雨の日でも花粉症がひどくなる?医学的メカニズムを解説|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

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雨の日でも花粉症がひどくなる?医学的メカニズムを解説|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

雨の日でも花粉症がひどくなる?医学的メカニズムを解説

雨の日でも花粉症がひどくなる?|医師が解説する5つのメカニズムと対策

「雨の日は花粉が少ないから楽になるはず…」

花粉症の方なら、誰しも一度はそう思ったことがあるのではないでしょうか。

しかし実際には、「雨の日のほうがつらい」「雨上がりに症状が爆発する」と感じている方が少なくありません。ウェザーニューズの調査でも、雨の日に花粉症が「大丈夫」と答えた方の割合は、晴天時と比べてわずか5〜10ポイント程度しか増えていないことがわかっています。

つまり、雨の日でも大多数の方は花粉症の症状が続いているのです。

この記事では、雨の日に花粉症が悪化する医学的メカニズムを、最新の研究データをもとに詳しく解説し、具体的な対策もご紹介します。

こんな経験はありませんか?

雨の日なのにくしゃみ・鼻水が止まらない
雨上がりの翌朝、症状が一気に悪化する
天気が崩れると頭重感や倦怠感も出る
「雨だから大丈夫」と油断して薬を飲まなかった日に限ってつらい
雨の日のほうが咳やゼーゼーが出やすい気がする

ひとつでも当てはまる方は、ぜひ最後までお読みください。



1. 雨の日に花粉症が悪化する5つのメカニズム

雨の日の花粉症悪化には、複数のメカニズムが関与しています。単に「花粉が減るから楽になる」という単純な話ではありません。

① 花粉が水分を吸収して膨張・破裂し「微粒子」になる

これが最も重要なメカニズムです。

花粉粒子は雨や湿気に触れると水分を吸収して膨張し、やがて浸透圧ショック(osmotic shock)によって破裂します。破裂した花粉からは、内部に含まれるアレルゲンが微粒子(sub-pollen particles:SPP)として大量に放出されます。

ここがポイント

通常のスギ花粉は直径約30μm(マイクロメートル)で、鼻の粘膜でキャッチされます。しかし、破裂後の微粒子は直径0.5〜4μmと、通常の花粉の1/10以下のサイズ。この微粒子は鼻のフィルターをすり抜け、気管支や肺の奥深くまで到達し、より強いアレルギー反応を引き起こします。

2019年のSiriwattanakulらの研究では、花粉が水に触れるとわずか数分で破裂し、内部のアレルゲン顆粒が放出されることが確認されています。また、オーストラリア・メルボルンの研究では、雨の後に空気中のアレルゲン澱粉顆粒が最大50倍に増加したとの報告があります。

② 気圧低下によるヒスタミン分泌の亢進

雨の日には気圧が低下します。気圧の低下は、体内のヒスタミン(アレルギー症状の原因物質)の分泌を増加させることが知られています。

ヒスタミンは、くしゃみ・鼻水・目のかゆみなどアレルギー症状の主役です。花粉の飛散量が減っても、体のほうが過敏になっているため、少量の花粉でも強い症状が出やすくなります。

③ 自律神経の乱れ(気象病との重なり)

急激な気圧変化は自律神経のバランスを崩します。愛知医科大学の佐藤純教授の研究によると、気圧低下時には副交感神経が優位になり、鼻粘膜が腫れやすくなります。

花粉症そのものの症状に加え、気象病としての頭痛・倦怠感・めまいが重なることで、「雨の日は全身がつらい」という状態になりがちです。

④ 雨の降り始めに花粉が一気に地上に落ちてくる

上空に漂っていた花粉は、雨が降り始めるタイミングで雨粒に取り込まれ、一気に地上レベルに落下します。つまり、雨の降り始めの数十分間は、地上の花粉濃度が一時的に急上昇する可能性があります。

特にこのタイミングで外出していた場合、普段よりも高濃度の花粉に曝露されることになります。

⑤ 「雨だから大丈夫」という油断

意外に見落としがちなのが、心理的な油断です。

「雨だから花粉が少ないだろう」と考え、マスクを外す・薬を飲まない・窓を開けるといった行動をとると、少量でも残っている花粉やアレルゲン微粒子に無防備にさらされることになります。

注意

花粉シーズン中は天候に関係なく、毎日の対策を継続することが最も重要です。「雨だから安心」は禁物です。


2.「雨の翌日」がもっと危険な理由

実は、雨の日そのものよりも「雨の翌日」のほうが、花粉症のリスクが高いことがわかっています。

日本気象協会のデータによれば、雨の翌日に晴れると、飛散する花粉量は前日の数十倍〜数百倍に達することがあります。これには以下の2つのメカニズムが関係しています。

通常の飛散 + 二次飛散のダブルパンチ

① 通常の飛散:晴れて乾燥すると、スギやヒノキの雄花が花粉を放出

② 二次飛散:雨で地面に落ちた花粉が乾燥して再び空中に舞い上がる

この2つが同時に起こるため、通常の晴天日よりもはるかに多い花粉が空中を漂うことになります。

都市部は特に要注意

アスファルトの多い都市部では、花粉が土に吸収されにくく、地面に長く残ります。そのため、二次飛散の影響を受けやすい傾向があります。白金高輪・港区エリアにお住まいの方も、雨の翌日は特に注意が必要です。

さらに、前述のように雨で破裂した花粉の微粒子も乾燥すると再び浮遊するため、雨の翌日は通常サイズの花粉 + 微粒子の両方に曝露されるという二重のリスクがあります。


3. 雷雨ぜんそく(Thunderstorm Asthma)という脅威

花粉シーズン中の激しい雷雨は、「雷雨ぜんそく(Thunderstorm Asthma)」と呼ばれる特殊な現象を引き起こすことがあります。

2016年メルボルン事件 ― 1万人が救急搬送

2016年11月、オーストラリア・メルボルンで花粉シーズン中に激しい雷雨が発生し、約1万人が急性の喘息発作で医療機関を受診、10人が死亡するという衝撃的な事件が起こりました。

これは世界最大規模の雷雨ぜんそく事件として医学史に記録されています。

雷雨ぜんそくのメカニズム

段階 現象
Step 1 雷雨の強い上昇気流が、大量の花粉を雲の中に巻き上げる
Step 2 雲中の高湿度環境で花粉が水分を吸収し、浸透圧ショックで破裂する
Step 3 雷の電気的刺激も花粉の破裂を促進する
Step 4 冷たい下降気流(アウトフロー)が、微粒子化したアレルゲンを地上に運ぶ
Step 5 突風が微粒子を広範囲に拡散 → 大量の人が一斉に吸入し、喘息発作が誘発される

メルボルンの事件では、嵐の通過後に破裂した花粉の量が147%増加したことが確認されています。

花粉症の方も他人事ではありません

雷雨ぜんそくのリスクが高いのは、喘息患者だけでなく「花粉症があるが喘息と診断されていない方」も含まれます。メルボルンの事件では、それまで喘息と診断されていなかった花粉症患者が多数発作を起こしました。花粉シーズン中の雷雨時は、花粉症の方も室内に退避することが大切です。


4. 天候別・花粉リスク比較表

天候によって花粉のリスクがどう変わるかを一覧にまとめました。

天候 花粉飛散量 微粒子リスク 体調への影響 総合リスク
晴れ・風強い ◎ 非常に多い △ 少ない ○ 普通 ★★★★
雨の降り始め ○ 一時的に増加 ◎ 高い ○ 気圧変動 ★★★
雨(終日) △ 少ない ○ やや高い ○ 気圧低下・ヒスタミン↑ ★★
雨の翌日(晴れ) ◎ 数十〜数百倍 ◎ 非常に高い ○ 普通 ★★★★★
雷雨(花粉シーズン) ○ やや減少 ◎ 極めて高い ◎ 急激な気圧変動 ★★★★★

臨床の現場から

当院でも、雨の翌日に晴れた日や、急な天候変化の翌日に「症状が急にひどくなった」と来院される患者さんが多い印象です。天候と花粉症状のパターンを把握しておくことは、適切な治療にもつながります。


5. 雨の日の花粉症対策 ― 7つの実践ポイント

対策① マスクの選び方を見直す

雨の日は花粉が微粒子化するため、通常の布マスクでは捕捉しきれない可能性があります。

マスクの種類 通常花粉(30μm) 微粒子(0.5〜4μm) おすすめ度
布マスク ×
不織布マスク
N95 / KF94マスク

雨の日や雨上がりは、不織布マスク以上のフィルター性能をもつマスクの使用が理想的です。また、マスクの隙間からの侵入を防ぐため、フィット感のよいタイプを選びましょう。

対策② メガネ・ゴーグルの併用

花粉症用メガネを着用することで、目に入る花粉量を約65%減らせるとされています(Ioan & Eifan, 2010)。微粒子も目の粘膜に付着しやすいため、雨の日でもメガネの併用は有効です。

対策③ 帰宅後の「花粉リセット」を徹底する

微粒子化した花粉は肌や髪の毛にも付着しやすいため、帰宅後すぐの対策が重要です。

対策 ポイント
洗顔 目の周りを中心にやさしく洗い、付着した微粒子を除去
うがい 喉に付着した花粉を洗い流す。水うがいで十分
鼻うがい 生理食塩水で鼻腔を洗浄。粘膜に付着したアレルゲンを直接除去できる
着替え・シャワー 衣服や髪に付着した花粉を室内に持ち込まない

対策④ 空気清浄機をフル活用する

HEPAフィルター搭載の空気清浄機は、微粒子化した花粉(0.3μm以上)を99.97%以上除去できます。花粉シーズン中は、リビングと寝室に常時稼働させることをおすすめします。

対策⑤ 窓を開けない

雨の日でも「換気のため」と窓を開けると、微粒子化した花粉が室内に侵入します。花粉シーズン中は、空気清浄機やエアコンの送風機能で換気を行い、窓はできるだけ閉めておきましょう。

対策⑥ 洗濯物は室内干しに

「雨の日は外に干せないから室内干し」は自然な行動ですが、雨の翌日の晴天でうっかり外干ししてしまうと、大量の二次飛散花粉が付着します。花粉シーズン中は天候に関係なく室内干しが安心です。

対策⑦ 花粉情報 + 天気予報のチェックを習慣に

「明日は雨のち晴れ」という予報は、花粉症にとっては最も要注意のパターンです。天気予報と花粉飛散情報を組み合わせて確認する習慣をつけましょう。


6. 薬物療法のポイント ―「雨だから」と薬を休まない

花粉症の治療で最も大切なのは、「症状の有無にかかわらず、花粉シーズン中は毎日服薬を続けること」です。

抗ヒスタミン薬は、体内のヒスタミン受容体を先にブロックすることで効果を発揮します。「今日は雨だから薬を休もう」と中断すると、ブロックが外れた状態でアレルゲンに曝露され、翌日以降に症状が爆発するリスクがあります。

当院で処方している主な花粉症薬

内服薬:ビラノアOD錠20mg(眠くなりにくい第2世代抗ヒスタミン薬)
点鼻薬:モメタゾン点鼻液50μg(ナゾネックス後発品)
点眼薬:アレジオンLX点眼液0.1%(1日2回タイプ)
眼瞼クリーム:アレジオン眼瞼クリーム0.5%
注射療法:ヒスタグロビン・ノイロトロピンなど

「薬を飲んでも効かない」「雨の日がとにかくつらい」という方は、薬の種類や組み合わせの見直しが必要かもしれません。お気軽にご相談ください。


7. モーニングアタックとの関連

花粉症の方が朝起きた直後に激しいくしゃみ・鼻水に襲われる現象を「モーニングアタック」と呼びます。

雨の日のモーニングアタックが特につらい理由は以下の通りです。

① 室内に残った花粉への曝露:前日帰宅時に衣服や髪に付着した花粉が寝具や室内に残り、就寝中に吸入し続けている。

② 自律神経の切り替え:睡眠中(副交感神経優位)から覚醒(交感神経優位)への切り替えがスムーズにいかず、鼻粘膜が過敏な状態が持続する。雨の日は気圧低下でこの切り替えがさらに不安定になる。

③ 抗ヒスタミン薬の効果切れ:夜に服用した薬の血中濃度が朝方に低下し、防御力が下がったタイミングで花粉に曝露される。

対策としては、帰宅後の花粉リセットを徹底すること、就寝前に点鼻ステロイドを使用すること、そして寝室に空気清浄機を設置することが有効です。


8. よくある質問(Q&A)

Q. 雨の日は窓を開けて換気してもいいですか?

A. 花粉シーズン中はおすすめしません。雨の日でも花粉の微粒子が空中に漂っている可能性があり、また花粉以外にもカビ胞子(真菌胞子)が増加していることがあります。空気清浄機やエアコンでの換気が安全です。

Q. 雨の日に外出する際、傘をさせばマスクは不要ですか?

A. 傘は上方からの花粉には有効ですが、微粒子化した花粉は空気中に漂っているため、マスクは必ず着用してください。特にN95や不織布マスクが効果的です。

Q. 雨の日に花粉症の薬を飲まなくても大丈夫?

A. 飲まないのはNGです。花粉シーズン中は天候に関係なく毎日服用を継続してください。薬を中断すると、翌日以降の症状悪化リスクが高まります。

Q. 花粉症なのに喘息のような咳が出ることはありますか?

A. あります。花粉症(アレルギー性鼻炎)の方の約25%は喘息を合併しているとされ、微粒子化した花粉は気管支まで到達するため、咳やゼーゼーという症状を引き起こすことがあります。特に雨の日や雷雨時にこのような症状が出る場合は、早めに医師にご相談ください。

Q. 舌下免疫療法を受けていれば、雨の日の悪化も防げますか?

A. 舌下免疫療法(シダキュア等)は、花粉に対するアレルギー反応そのものを弱める根本治療です。十分な治療期間(3年以上推奨)を経れば、雨の日も含めた花粉症全体の症状軽減が期待できます。当院でも舌下免疫療法を行っておりますので、長期的な改善をお考えの方はぜひご相談ください。

Q. 子どもにも同じ対策で大丈夫ですか?

A. 基本的な対策(マスク・帰宅後の洗顔・室内干し等)は同じですが、薬の種類や用量はお子さんの年齢によって異なります。当院は小児科も併設しておりますので、お子さんの花粉症もお気軽にご相談ください。


9. まとめ

「雨の日=花粉が少ない=楽になる」は、残念ながら正しくありません

よくある誤解 実際のところ
雨の日は花粉が飛ばない 飛散量は減るが、微粒子化したアレルゲンが浮遊
雨の日はマスク不要 微粒子はマスクをすり抜けやすく、高性能マスクが必要
雨の日は薬を飲まなくてよい 中断すると翌日の症状爆発のリスクあり
雨の翌日は雨で洗い流されて楽 二次飛散で数十〜数百倍の花粉が飛散する最も危険な日

花粉シーズンは、晴れの日も雨の日も一貫した対策が大切です。「対策を続けているのに症状がよくならない」「雨の日がとにかくつらい」という方は、薬の変更や追加治療が必要なサインかもしれません。

当院では、内服薬・点鼻薬・点眼薬・注射療法・舌下免疫療法まで幅広い選択肢をご用意しています。おひとりで悩まず、お気軽にご相談ください。


10. 参考文献

花粉の破裂・微粒子化

  1. Siriwattanakul U, Piboonpocanun S, Songnuan W. Rapid pollen rupture and release of pollen cytoplasmic granules upon hydration of allergenic grass and weed species commonly found in subtropical regions. Aerobiologia. 2019;35(4):719-730.
  2. Suphioglu C, Singh MB, Taylor PE, et al. Mechanism of grass-pollen-induced asthma. Lancet. 1992;339(8793):569-572.
  3. Taylor PE, Jonsson H. Thunderstorm asthma. Curr Allergy Asthma Rep. 2004;4(5):409-413.

気象条件と花粉飛散

  1. Weryszko-Chmielewska E, Piotrowska K. The effect of meteorological factors on airborne Betula pollen concentrations in Lublin, Poland. Aerobiologia. 2012;28(4):467-479.
  2. Park HJ, Lee JH, Park KH. Effect of meteorological factors on the concentration of airborne pollen in Seoul, Korea. Allergy Asthma Immunol Res. 2013;5(2):124-128.

雷雨ぜんそく

  1. D’Amato G, et al. Thunderstorm allergy and asthma: state of the art. Multidiscip Respir Med. 2021;16:806.
  2. Thien F, et al. Thunderstorm-triggered asthma: what we know so far. J Allergy Clin Immunol Pract. 2020;8(6):1768-1774.
  3. Campbell SL, et al. Airborne grass pollen and thunderstorms influence emergency department asthma presentations in a subtropical climate. Sci Total Environ. 2023;905:167132.

花粉症対策・治療

  1. Ioan I, Eifan AO. The effectiveness of facemasks and eyewear in preventing allergic rhinoconjunctivitis. Allergy. 2010;65(1):53-59.
  2. D’Amato G, Cecchi L, D’Amato M, Annesi-Maesano I. Climate change and respiratory diseases. Eur Respir Rev. 2014;23(132):161-169.
  3. Simons FER, Simons KJ. Histamine and H1-antihistamines: celebrating a century of progress. J Allergy Clin Immunol. 2011;128(6):1161-1174.

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