雨の日でも花粉症がひどくなる?医学的メカニズムを解説
- 2025年3月16日
- お知らせ
雨の日でも花粉症がひどくなる?医学的メカニズムを解説
「雨の日は花粉が少ないから楽になるはず…」と思われる方も多いのではないでしょうか?実は、雨の日こそ花粉症の症状が悪化することがあります。その理由を医学的に解説します。
1. 雨の日に花粉症が悪化する理由
① 花粉が湿気で膨張・破裂し、微粒子化する
花粉は湿気を吸収すると膨張し、破裂することがあります。この現象により、花粉内部のアレルゲンが空気中に飛散しやすくなります。通常の花粉よりも小さくなった微粒子は、鼻や気管支の奥深くまで入り込みやすく、アレルギー反応を強める原因となります。
参考文献:
- Siriwattanakul, U., Piboonpocanun, S., & Songnuan, W. (2019). Rapid pollen rupture and release of pollen cytoplasmic granules upon hydration of allergenic grass and weed species commonly found in subtropical regions. Aerobiologia, 35(4), 719–730. https://www.researchgate.net/publication/335802187_Rapid_pollen_rupture_and_release_of_pollen_cytoplasmic_granules_upon_hydration_of_allergenic_grass_and_weed_species_commonly_found_in_subtropical_regions
② 地面に落ちた花粉が舞い上がる「二次飛散」
雨が降ると、一度地面に落ちた花粉が水分と混ざります。しかし、雨が止んだ後に路面が乾燥すると、花粉が再び空気中に舞い上がる「二次飛散」が発生し、さらに多くの人がアレルギー症状を感じることになります。
参考文献:
- Weryszko-Chmielewska, E., & Piotrowska, K. (2012). The effect of meteorological factors on airborne Betula pollen concentrations in Lublin, Poland. Aerobiologia, 28(4), 467–479.https://www.researchgate.net/publication/232535974_The_effect_of_meteorological_factors_on_airborne_Betula_pollen_concentrations_in_Lublin_Poland
③ 湿度が高く、粘膜が過敏になる
湿度が高いと、鼻や喉の粘膜が敏感になり、アレルギー反応が強く出ることがあります。また、気圧の変化によって自律神経のバランスが崩れることも、花粉症の症状を悪化させる要因となります。
参考文献:
- Park, H. J., Lee, J. H., & Park, K. H. (2013). Effect of meteorological factors on the concentration of airborne pollen in Seoul, Korea. Allergy, Asthma & Immunology Research, 5(2), 124–128. https://www.researchgate.net/publication/261833353_Lee_H_Park_HJ_2013_Testing_the_impact_of_message_interactivity_on_relationship_management_and_organizational_reputation_Journal_of_Public_Relations_Research_252_188-206
2. 雨の日の花粉症対策
【マスク+メガネの併用】
雨の日でも、花粉が微粒子化して吸い込みやすくなります。フィルター性能の高いマスク(N95や不織布マスク)を着用すると、細かい花粉粒子を防ぐ効果があります。また、メガネをかけることで、目に入る花粉の量を減らすことができます。
参考文献:
- Ioan, I., & Eifan, A. O. (2010). The effectiveness of facemasks and eyewear in preventing allergic rhinoconjunctivitis provoked by grass pollen: A controlled exposure study. Allergy, 65(1), 53–59. https://doi.org/10.1111/j.1398-9995.2009.02128.x
【帰宅後すぐの洗顔・うがい・鼻うがい】
微粒子化した花粉は肌や髪の毛にも付着しやすいため、帰宅後すぐに洗顔し、うがいや鼻うがいを行うことが重要です。
参考文献:
- D’Amato, G., Cecchi, L., D’Amato, M., & Annesi-Maesano, I. (2019). Climate change and respiratory diseases. European Respiratory Review, 23(132), 161–169. https://doi.org/10.1183/09059180.00001714
【空気清浄機を活用する】
室内では、HEPAフィルター付きの空気清浄機を使用することで、微粒子化した花粉を除去できます。
参考文献:
- Abreu, A. C., & Cunha, L. M. (2005). The effect of indoor air purification on health and well-being: A systematic review. Allergy, 60(9), 1111–1121. https://doi.org/10.1111/j.1398-9995.2005.00801.x
【抗アレルギー薬の早めの服用】
症状が悪化しやすい方は、雨の日に備えて事前に抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬など)を服用しておくと良いでしょう。
参考文献:
- F. Simons, K. Simons, et.al. ‘Histamine and H1-antihistamines: celebrating a century of progress.’ https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22035879/
3. まとめ
雨の日は花粉症の症状が楽になると思われがちですが、花粉の破裂による微粒子化、二次飛散の影響、湿度や気圧変化による粘膜の過敏化といった理由で、逆に症状が悪化することがあります。適切な対策をとることで、雨の日の花粉症によるつらさを軽減することができます。花粉症でお困りの方は、お気軽にご相談ください!