米田院長の記事が「日経ドラッグインフォメーション」に掲載されました。
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健診で脂肪肝を指摘された女性に処方されたビタミンE
健康診断で脂肪肝を指摘され、当院を受診した山本美佳子さん(仮名、66歳)。
脂肪肝の要因には大量の飲酒や飲食、肥満などがあるが、山本さんに飲習慣はなく、BMIは22と標準だ。
当院で血液検査を行うと、ASTが 85IU/L、ALTが72IU/L、血小板9万/Lと、肝臓に炎症があり、線維化もかなり進んでいることが疑われる値だった。診察の結果、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と診断した。
人間ドックや検診では、受診者のうち 男性の3〜4割、女性の約2割が脂肪肝と診断され、その1〜2割がNASHに該当する。NASHはメタボリックシンドロームと関連が深い疾患だが、肥満でなくとも、加齢や閉経に伴うエストロゲンの低下などで発症することがある。
現時点でNASHに対して保険適用されている医薬品は存在せず、治療はまず生活指導を行う。その上で、患者の多くが高血圧、糖尿病、脂質異常症といった基礎疾患を併発しているため、それらに準じた薬物治療を行うが、山本さんはいずれも併発していなかった。
そこで私は、ビタミンE製剤のユベラNソフトカプセル(一般名トコフェロールニコチン酸エステル)を処方した。NASHに対するビタミンEの処方は日本消化器病学会・日本肝臓学会の「NAFLD/NASH診療ガイドライン2020(改訂第2版)」で推奨されている (推奨の強さ:強、エビデンスレベルA)。長年にわたり、国内外の臨床研究でその有効性が確認されているためだ。例えば、血液生化学検査でのASTやALTの改善、肝組織学的には脂肪化や炎症、線維化を抑制する効果などが確認されている。作用機序は諸説あり、近年はNASHによって体内で増加する活性酸素を捕捉し、脂質、蛋白質の酸化を抑制する抗酸化作用によると考えられている。NASHは複合的な要因で発症するため、全ての患者にビタミンEが効果を示すわけではないが、自験例では5割程度は効果があると実感している。 山本さんにはユベラNの服用を継続してもらった結果、AST、ALTが半年後に基準値まで改善し、血小板は数年後に14万/Lまで増加した。
NIKKEI Drug Information 2023.11 PE 011
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