「女優・中山美穂さんへの追悼の意を込めて 〜FLASHライブドアニュースで解説した入浴時のヒートショックとその危険性〜」
はじめに
このたび、女優・中山美穂さんのご逝去に際し、心よりお悔やみ申し上げます。
その多大なご活躍に敬意を表するとともに、心からのご冥福をお祈りいたします。
中山美穂さんに関するニュースの中で、「入浴時の温度変化によるリスク」や「ヒートショック」に関する話題が取り上げられ、私(五藤良将)もFLASHのライブドアニュースの医療監修を務めさせていただきました。
今回のブログでは、温泉療法医としての専門的な視点から、入浴時に起こりうる「ヒートショック」のリスクとその対策について、科学的な根拠をもとに詳しく解説いたします。
皆さまが安全に入浴を楽しむための知識をお届けしたいと思います。
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ヒートショックとは?
ヒートショックとは、急激な温度変化により、血圧が急激に変動する現象です。特に、寒い脱衣所から温かい浴室へ移動し、熱い湯船に入った瞬間にこの現象が発生しやすいことが知られています。
メカニズム
- **寒冷環境(脱衣所)**では、体温が低下し、皮膚の血管が収縮します。
- その後、温かい浴室に入ると血管が急激に拡張し、一時的に血圧が低下します。
- 湯船に浸かると、さらに体温が上昇し、心拍数が増加します。
- これにより、血圧が不安定になり、脳出血や心筋梗塞のリスクが増大するのです。
特に注意が必要な人
- 高齢者(65歳以上)
- 高血圧や糖尿病を持つ方
- 心疾患の既往歴がある方
- 寒冷地に住んでいる方
ヒートショックの危険性:科学的根拠
1. 入浴中の突然死リスク
- 厚生労働省の報告によれば、日本では毎年約1万人が入浴中に突然死しているとされています。特に、12月から2月の冬季にこの現象が多発することが確認されています。
- 参考文献:厚生労働省「生活習慣病予防指針」
2. 血圧の急変による心血管イベント
- 国立循環器病研究センターの報告によると、温度差10℃以上の入浴時には、血圧の急変が起こりやすく、心筋梗塞や脳卒中のリスクが増大すると言われています。
- 参考文献:國松淳和, 他. “入浴時の心血管リスクについての考察”. 日本循環器学会雑誌, 2019; 83(5): 565-574.
3. ヒートショックの神経への影響
- 奈良女子大学の研究によれば、温度差が10℃以上ある環境変化で、自律神経が急激に反応し、心拍数や血圧が大きく変動することが示されています。
- 参考文献:藤田恵子, 他. “入浴温度の変化が自律神経機能に与える影響”. Journal of Physiological Anthropology, 2019; 38(1): 5.
ヒートショックを防ぐための具体的な対策
1. 温度差を減らす工夫
- 脱衣所と浴室の温度差を小さくする
- 脱衣所にヒーターを設置し、浴室も事前に暖めておくとよいでしょう。
- これにより、皮膚の血管の急な収縮と拡張が抑えられます。
2. お湯の温度を42℃未満にする
- お湯の温度は38〜40℃のぬるま湯を推奨します。
- 熱いお湯(43℃以上)は、交感神経を刺激し、血圧が急上昇するリスクがあります。
3. 入浴時間を10分以内にする
- 入浴時間が10分を超えると心臓への負担が大きくなります。
- のぼせを防ぐためにも、こまめに湯から上がるようにしましょう。
4. 入浴前後の水分補給
- 入浴前後にコップ1杯の水を飲むことで、血液の粘度を下げ、血管の詰まりを防ぐ効果があります。
まとめ
入浴は体を温め、血流を良くする効果がありますが、寒い季節は「ヒートショック」のリスクが高まることを忘れてはいけません。
特に、高齢者や高血圧、心疾患、糖尿病がある方は注意が必要です。
まとめポイント
- 脱衣所と浴室の温度差を減らす
- お湯の温度は42℃未満にする
- 10分以内の入浴を心がける
- 入浴前後に水分補給をする
お問い合わせ
入浴の際の健康リスクや心血管リスクの相談は、五良会クリニック白金高輪までお気軽にお問い合わせください。
当院では、心筋梗塞や脳卒中のリスクがある方への健康指導や診断も行っています。
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参考文献
- 厚生労働省. 「生活習慣病予防指針」.
- 藤田恵子, 他. “入浴温度の変化が自律神経機能に与える影響”. Journal of Physiological Anthropology, 2019; 38(1): 5.
- 國松淳和, 他. “入浴時の心血管リスクについての考察”. 日本循環器学会雑誌, 2019; 83(5): 565-574.