【医療監修のお知らせ】FRIDAYデジタル掲載:石橋貴明さんの「食道がん」について五藤理事長が解説
このたび、五良会クリニック白金高輪の理事長・五藤良将医師が、講談社のWebメディア『FRIDAYデジタル』にて、タレント・石橋貴明さんが公表された「食道がん」についての医療監修を担当いたしました。
記事内では、”声のかすれ”が反回神経の圧迫によるサインである可能性、食道がんの早期発見と治療法、そして治療後の生活再建までを、内科医としての視点から詳しく解説しております。
▼掲載記事はこちら https://friday.kodansha.co.jp/article/420314?page=2
食道がんとは?~What is Esophageal Cancer?
食道がん(esophageal cancer)は、食道粘膜の上皮細胞に由来する悪性腫瘍であり、解剖学的には頸部・胸部・腹部食道に分類され、組織学的には主に扁平上皮がん(SCC)と腺がん(AC)に分けられます。日本を含むアジア諸国では扁平上皮がんが圧倒的に多く(約90%以上)、欧米では腺がんの頻度が増加しています。
扁平上皮がんは、特に食道の上中部に好発し、以下のようなリスク因子が明確に関与しています:
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長期の喫煙および大量飲酒(アルコール脱水素酵素活性低下との関連)
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熱い飲料の反復摂取による慢性的な粘膜刺激
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低栄養、ビタミン欠乏(ビタミンA, C, Eなど)
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食道アカラシア、Plummer-Vinson症候群などの基礎疾患
腺がんの主なリスクは、逆流性食道炎からのバレット食道形成とされており、胃食道逆流症(GERD)との関連性が強いです。
病理組織学的には、SCCは上皮内から発生し、早期では粘膜層・粘膜下層に限局していますが、リンパ管侵襲性が強く、縦隔リンパ節への転移を早期に伴うこともあります。進行例では気管支、大動脈、反回神経への直接浸潤が生じることもあります。
世界的に引用される代表的な論文として、Rustgi AK and El-Serag HB によるレビュー(”Esophageal carcinoma.” N Engl J Med. 2014; 371(26): 2499–2509. DOI:10.1056/NEJMra1314530)があります。
この論文では、食道がんの疫学、リスク因子、分子病態、診断法、治療戦略に関する包括的なレビューが行われています。
主な要点は以下の通りです:
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食道がんは世界的に罹患率・死亡率が高いがんであり、SCCはアジア・アフリカ、ACは欧米に多い。
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SCCのリスクには飲酒・喫煙・低栄養など、ACにはGERDとバレット食道が深く関係。
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分子レベルではTP53, CDKN2Aなどの遺伝子変異やEGFR/HER2シグナル経路の異常が関与。
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早期病変には内視鏡治療、進行例には手術・化学放射線療法・分子標的療法が用いられる。
このレビューは、現在の食道がん診療ガイドラインの基礎にもなっており、臨床医にとって必読の総説論文とされています。
治療と予後について~Treatment and Prognosis
早期の食道がん(ステージ0〜1)であれば、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)や化学放射線療法により、5年生存率は80〜90%と非常に良好です。進行した場合でも、外科的手術、放射線、化学療法を組み合わせた集学的治療により、根治を目指すことが可能です。
また、治療中・治療後における”声”のリハビリテーションや心理的サポートの重要性にも言及しています。反回神経の障害による嗄声は一時的であることも多く、音声リハビリによって改善が期待できます。
当院での内視鏡検査体制~Our Endoscopy System at Goryokai Clinic
五良会クリニック白金高輪では、最新の富士フィルム社製内視鏡システムを導入し、食道・胃・十二指腸を対象とした上部消化管内視鏡検査を行っています。
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経鼻・経口いずれの内視鏡にも対応
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日本消化器内視鏡学会認定専門医が施行
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静脈麻酔下で苦痛の少ない検査が可能
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鎮静希望の方にはウトウトした状態での検査が可能
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ピロリ菌検査、胃がんリスク検査も同時対応
検査に不安のある方、過去に苦しい思いをされた方も、ぜひ安心してご相談ください。
▶ 詳しくは当院の消化器内科・内視鏡のご案内ページもご覧ください: https://goryokai-shirokanetakanawa.jp/menu/%e6%b6%88%e5%8c%96%e5%99%a8%e5%86%85%e7%a7%91/
高度医療機関との連携体制~Our Collaboration with Advanced Medical Institutions
当院では、万が一検査結果にてがんの可能性が疑われた場合でも、迅速に高度医療機関へのご紹介が可能です。以下のような医療機関と連携しております:
- がん研有明病院
- 東京大学医学部附属病院
- 慶應義塾大学病院
- 東京慈恵会医科大学附属病院
- 順天堂大学医学部附属順天堂医院
- 昭和医科大学病院
- 日本赤十字社医療センター
- 北里大学北里研究所病院
当院では、地域のかかりつけ医としての役割を担いながら、大学病院レベルの精密検査およびスムーズな紹介体制を構築しています。
最後に~In Closing
「声が出にくい」「喉の違和感が続く」といった症状は、早期の消化器疾患のサインであることもあります。気になる症状がある方は、ぜひ早めにご相談ください。
五良会クリニック白金高輪は、地域に根ざしながらも最先端の医療体制を整え、皆さまの健康を支えます。