(スギ)花粉症の治療(薬と注射)
<眠気くなりづらい内服薬>
抗ヒスタミン薬の特徴と選び方
アレルギー症状を和らげるために使用される抗ヒスタミン薬は、それぞれの特性によって適した服用方法や副作用のリスクが異なります。ここでは、主要な抗ヒスタミン薬の特徴や違いについてご紹介します。
① ビラノア®(ビラスチン)
用法・用量
✅ 成人(16歳以上): 1回20mgを1日1回、空腹時に服用(食前1時間または食後2時間以上)
特徴
🛑 眠気の副作用が少ない(脳への移行性が低いため)
🍽 食事の影響を受けやすいため、空腹時に服用が必要
🔄 インバースアゴニスト作用を有し、H1受容体を安定的に抑制
⏳ 速効性があり、効果が長時間持続(半減期が長い)
② アレグラ®(フェキソフェナジン)
用法・用量
✅ 成人(12歳以上): 1回60mgを1日2回
✅ 小児(7歳以上12歳未満): 1回30mgを1日2回
特徴
🛑 眠気が極めて少ない(脳への移行性が非常に低い)
🍽 食事の影響を受けにくく、食後でも服用可能
🩺 安全性が高く、長期使用にも適している
③ デザレックス®(デスロラタジン)
用法・用量
✅ 成人・12歳以上: 1回5mgを1日1回
✅ 小児(6か月以上12歳未満): 体重に応じて用量を調整
特徴
🍽 食事の影響を受けないため、服用タイミングを気にしなくてOK
⏳ 長時間作用(半減期:約27時間)により1日1回の服用で効果が持続
④ クラリチン®(ロラタジン)
用法・用量
✅ 成人・12歳以上: 1回10mgを1日1回
✅ 小児(2歳以上12歳未満):
- 体重30kg以上: 10mgを1日1回
- 体重30kg未満: 5mgを1日1回
特徴
🛑 眠気が最も少ない抗ヒスタミン薬の一つ
🩺 代謝物(デスロラタジン)が活性を持ち、効果が長持ち
🍽 食事の影響を受けず、服用しやすい
⏳ 即効性はやや劣るが、副作用が少なく安全性が高い
眠気の少ない抗ヒスタミン薬の選び方
東北大学・谷内先生の研究によると、脳内H1受容体の占有率が低い抗ヒスタミン薬は眠気を引き起こしにくいことが示されています。
🔍 脳内H1受容体の占有率が低い薬
✅ ビラスチン(ビラノア®)
✅ フェキソフェナジン(アレグラ®)
✅ オロパタジン(アレロック®)
🚗 これらの薬は、脳への影響が少なく日中の活動や運転時にも向いています。
特に、仕事や勉強で集中力を維持したい方、運転をする方には推奨される薬です。
必要に応じてシングレア®などのロイコトリエン拮抗薬、さらに ナゾネックス®、アラミスト®などのステロイド点鼻薬、 小青竜湯などの漢方薬も処方いたしますので、どうぞご相談ください。(花粉症治療薬として「ビラノアOD錠20mg」「モメタゾン(ナゾネックス後発品)点鼻液50μg「JG」56噴霧用 5mg10g」「アレジオンLX点眼液0.1%(1日2回点眼タイプ)」「アレジオン点眼液0.05%(1日4回タイプ)」は院内処方採用しております!
アレジオンLX点眼液0.1%の特徴とおすすめポイント
アレジオンLX点眼液0.1%は、スギ花粉やダニなどによるアレルギー性結膜炎の治療に使用される抗ヒスタミン点眼薬です。
✅ 1日2回の点眼でOK!忙しい方にもおすすめ
通常の抗ヒスタミン点眼薬は1日4回の点眼が必要ですが、アレジオンLX点眼液は1日2回(朝・夜)の点眼で効果を発揮します。
「LX」は”Long”の略で、長時間作用を意味しており、忙しくて点眼回数を減らしたい方に特におすすめです。
📌 用法・用量
💧 1回1滴を1日2回(朝・夜)点眼
✅ 防腐剤フリー!コンタクトレンズをつけたまま点眼可能
アレジオンLX点眼液は、防腐剤を一切含んでいないため、ソフトコンタクトレンズ・ハードコンタクトレンズを装着したまま点眼可能です。
防腐剤が目に与える刺激を気にする方にも安心してご使用いただけます。
🩺 防腐剤フリーでも開封後28日間は安全に使用可能
✅ アレルギー症状を効果的に抑えるインバースアゴニスト作用
**有効成分「エピナスチン」**は、ヒスタミンH1受容体アンタゴニストとしての作用に加え、インバースアゴニスト作用を持っています。
🔬 インバースアゴニスト作用とは?
通常の抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンの作用をブロックすることでアレルギー症状を抑えますが、インバースアゴニスト作用を持つエピナスチンは、H1受容体の安定化を促し、アレルギー反応自体を起こりにくくする効果が期待されます。
このため、長期間使用することで、アレルギー症状の発症を抑える効果が期待できるのが大きな特徴です。
✅ 花粉症対策は早めがカギ!予防的な使用もおすすめ
🌸 花粉症の症状を軽減するために、花粉飛散の2週間~1か月前から点眼を開始することが推奨されています。
早めの使用で、花粉によるアレルギー反応を抑える効果が期待できます。
抗アレルギー注射のご案内
当院では、アレルギー症状の緩和を目的とした注射療法を提供しております。患者様の症状に合わせた治療を行い、適応・禁忌に注意しながら安全に実施いたします。
1. 強力ネオミノファーゲンシー(SNMC)注射
主成分: グリチルリチン酸(甘草由来)
効果: 肝機能改善・抗炎症・抗アレルギー作用
作用機序
強力ネオミノファーゲンシーは、肝機能を改善し、アレルギーや炎症を抑える作用を持つ注射製剤です。
✅ 肝機能の改善・肝細胞保護作用
- 肝細胞の炎症を抑え、肝機能を改善
- ウイルス性肝炎、脂肪肝、アルコール性肝障害に有効
✅ 抗炎症・抗アレルギー作用
- ステロイド様作用で炎症を抑制
- 蕁麻疹やアトピー性皮膚炎の改善
✅ 細胞膜の再生促進作用
- 細胞膜の安定化と修復を促進
✅ 抗酸化作用・免疫調整作用
- 活性酸素を抑え、細胞ダメージを軽減
- 免疫バランスを整え、アレルギー症状を軽減
適応
- 肝疾患(慢性肝炎、脂肪肝、アルコール性肝炎)
- アレルギー疾患(アトピー性皮膚炎、蕁麻疹)
- 炎症性疾患(関節炎、自己免疫疾患など)
使用のポイント
- 飲酒前後の使用で肝臓への負担を軽減し、二日酔いやアルコール性肝障害のリスクを軽減
禁忌
以下の方には使用できません。
🚫 本剤の成分に対しアレルギーのある方(過敏反応やアナフィラキシーのリスク)
🚫 低カリウム血症の方(グリチルリチンにより血清カリウムが低下するため)
🚫 高血圧の方(ナトリウム保持作用により血圧上昇のリスク)
🚫 重度の腎機能障害の方(腎負担増加の可能性)
注意
- 長期間の使用で偽アルドステロン症(低カリウム血症・高血圧)を引き起こす可能性があるため、定期的な血液検査を推奨
- 高血圧やむくみがある方は、医師と相談の上で使用
2. ヒスタグロビン注射
主成分: 免疫グロブリン製剤
効果: ヒスタミン抑制・アレルギー症状の軽減
投与方法
💉 週1~2回、計3週間(3~6回投与)で1クール
💉 効果が不十分な場合は1クール追加可能
💉 花粉飛散期間中は週1回の注射が可能
作用機序
✅ ヒスタミンの直接的中和(ヒスタミンに結合・中和し、アレルギー症状を軽減)
✅ 免疫系の調整とIgE依存性反応の抑制(肥満細胞の脱顆粒を抑え、ヒスタミンの放出を減少)
✅ ヒスタミン受容体への作用(H1受容体のヒスタミン結合を阻害し、抗ヒスタミン薬と類似の効果)
✅ 免疫グロブリンとしての免疫調整(IgEを介した過剰な免疫反応を抑え、アレルギー症状を緩和)
適応
- 気管支喘息、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎(有効率50~70%)
- 非特異的IgEや好酸球が高い方に特に有効
禁忌
🚫 ショックの既往歴がある方(アナフィラキシーリスク)
🚫 激しい喘息発作時の方(症状悪化の可能性)
🚫 月経直前・期間中の方(ホルモンバランスの影響)
🚫 妊娠中・妊娠の可能性がある方(胎児への影響不明)
🚫 著しく衰弱している方(免疫・代謝への負担増加)
注意
⚠ 生ワクチン接種との間隔に注意(接種前は2週間、ヒスタグロビン注射後は3~4カ月あける必要あり)
⚠ 献血不可(ヒト血漿由来の免疫グロブリン製剤の影響を考慮し、輸血の安全性を確保するため)
3. ノイロトロピン注射
主成分: ウシ由来のワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出物
効果: アレルギー症状の緩和・鎮痛作用
作用機序
✅ 抗アレルギー作用(肥満細胞の活性抑制・ヒスタミン放出の抑制)
✅ 神経系を介した抗炎症・鎮痛作用(神経過敏を抑制し、慢性疼痛を軽減)
✅ 自律神経調整作用(交感神経・副交感神経のバランスを整え、アレルギー症状を抑える)
✅ ヒスタグロビンとの相乗効果(併用することでアレルギー症状の改善効果を増大)
投与方法
💉 週1~2回、計6回程度の投与が推奨
💉 効果に応じて追加投与が可能
💉 花粉飛散期間中は週1回の投与が可能
研究報告
📖 多年性アレルギー性鼻炎に対する減感作療法とノイロトロピン併用療法は、減感作療法単独よりも有効(Okuda et al., 1992)
まとめ
注射名 | 主な効果 | 投与頻度 | 保険適用 |
---|---|---|---|
強力ネオミノファーゲンシー | 肝機能改善・アレルギー抑制 | 必要時 | 〇 |
ヒスタグロビン | 花粉症・喘息・蕁麻疹・アトピー抑制 | 週1~2回 × 3週間(1クール) | 〇 |
ノイロトロピン | 花粉症・アレルギー性鼻炎・痛み抑制 | 週1~2回 × 6回程度 | 〇 |
当院では、患者様の症状に合わせた適切な治療を提供いたします。ご相談の際は医師までお尋ねください。
ビタミンCやビタミンB、ミネラル成分が多く含まれたアレルギー反応を抑える花粉症点滴も自費にてご案内しております。(6000円)