フルミスト点鼻液(経鼻弱毒生インフルエンザワクチン)|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

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フルミスト点鼻液(経鼻弱毒生インフルエンザワクチン)|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

フルミスト点鼻液(経鼻弱毒生インフルエンザワクチン)

フルミスト点鼻液(経鼻投与型の弱毒生インフルエンザワクチン

 日本では、インフルエンザに関連した超過死亡数が年間1万人を超えると推定されており、その大半は高齢者ですが、インフルエンザ脳症に代表される乳幼児での重篤な合併症の報告も多く、インフルエンザでの入院患者の大部分を高齢者と15歳未満の小児が占めていることから、高齢者のみならず小児のインフルエンザ予防は医学的にも社会的にも重要な課題です。
インフルエンザワクチンの接種は、インフルエンザウイルスによるインフルエンザの発症を予防し、インフルエンザ感染に関連した重度合併症を防ぐためにとても大切です。

<用法・用量>
2歳以上19歳未満の者に、0.2mLを1回(各鼻腔内に0.1mLを1噴霧)、鼻腔内に噴霧します。

注意事項として今季(2024年10月から2025年1月まで)においては点鼻フルミストは小児のインフルエンザワクチン助成対象外です(フルミスト点鼻液の値段は、当院では完全予約制で税込み9,000円となり、助成・減額されません)。

<フルミスト点鼻接種後に鼻をすすったり、くしゃみしたり飲み込んでも有効か?>
鼻をすする必要はありません。フルミストを吸っている間は普通に呼吸できます。
フルミストを接種した後、くしゃみをしたり、鼻をかんだり、鼻や喉に滴り落ちたり、飲み込んだりしても、インフルエンザから身を守るのに十分有効であると報告されていますので安心してください。

<点鼻接種前に鼻をかむべきか?>
フルミスト点鼻接種前に鼻をかんでおく必要性についてや、フルミスト点鼻接種後にすぐに鼻をかむことについての禁止・制限は特別注意記載はありません。

<フルミスト点鼻と他のワクチンとの間隔は?>
『予防接種ガイドライン2024年版』(予防接種リサーチセンター)の「予防接種の接種間隔」には、経鼻生ワクチンを接種してから「注射ワクチンを含む他のワクチン」の接種を行うまで及び注射生ワクチンを接種してから経鼻生ワクチンの接種を行うまでの「間隔に規定はなし」と記載されております。注射生ワクチン同士の接種間隔は4週間をあけることとされていますが、このフルミスト点鼻に関しては「経鼻生ザワクチン」であり注射生ワクチンとは少し異なるためでしょうか。

<接種不適当者>
1. 明らかな発熱を呈している者
2. 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
3. 本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者
4. 明らかに免疫機能に異常のある疾患を有する者及び免疫抑制をきたす治療を受けている者(欧州添付文書において禁忌に設定されていること及び日本国内の生ワクチンにおいて一般的に接種不適当者とされているため。)
5. 妊娠していることが明らかな者(産婦人科診療ガイドラインにおいて妊婦への生ワクチン接種は原則禁忌とされていること及び米国予防接種諮問委員会(ACIP)勧告にて妊婦への弱毒生インフルエンザワクチンの接種は禁忌とされているため。)
6. 上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者

問診票】(事前にダウンロード、プリントアウトして自宅である程度記入してきて頂くとスムーズに接種を受けられます
経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト点鼻)問診票_五良会クリニック白金高輪

 

【説明】 フルミスト点鼻液鼻からスプレーするタイプで、弱毒化した生ウイルスを使用しています。鼻腔内に噴霧するタイプのワクチンのため、針穿刺の必要がなく、注射部位反応もないことから、被接種者の心理的・身体的負担の軽減も期待できます。今まで各医師が個人輸入して各医師の責任のもとで細々と接種されていましたが、今季から第一三共株式会社が正式に米国アストラゼネカ社から輸入して国内に正式ルートを通じて供給されるようになります。点鼻フルミストの対象者は、2歳~19歳未満の方のみと規定されております注意事項として今季(2024年10月から2025年1月まで)においては点鼻フルミストは小児のインフルエンザワクチン助成対象外です(当院は完全予約制で税込み9,000円となり、助成・減額されません)。生後6か月以上 13歳未満の方は通常インフルエンザワクチン(不活性化)を約4週間の間隔をあけて合計2回を接種が必要とされておりますが、点鼻フルミストは生ワクチンであり、1回のみの点鼻投与でインフルエンザウイルスの予防効果があります。

フルミストは点鼻投与後に弱毒ウイルスが鼻咽頭の粘膜に感染を起こすので、血中にウイルス中和抗体であるIgG抗体を形成するだけではなく、鼻咽頭の粘膜面に分泌型抗体であるIgAを作ります。従来の皮下注射のインフルエンザワクチンは、中和抗体であるIgG抗体を作ることはできますが、粘膜面にIgA抗体を作ることはできませんし、細胞性免疫の誘導効果はほぼありませんから型が合わないと効果は期待できないのです。フルミスト点鼻液によって獲得されたIgA抗体は分泌型抗体で鼻粘膜面に分泌されるため、鼻腔にウイルスが入ってきた時に粘膜面で結合して体内に入らないようにすることができます。このためフルミストには重症化予防効果はもちろんですが、感染予防効果を期待することができるのです。

アメリカでは、フルミスト点鼻式ワクチンは臨床研究論文で2歳から49歳に対して効果的で、副作用が少ないことが判明したので、2歳から49歳に対してA型およびB型のインフルエンザウイルス感染予防として推奨されています特に2歳から19歳までの子どもたちにおいては、フルミストは従来の皮下注射型ワクチンよりも高い予防効果があると報告されていますが、19歳から49歳の成人では、皮下注射型ワクチンと同等の効果があるとされています。

日本においては、点鼻フルミストの対象者は、2歳~19歳未満の方のみと規定されております

2~49歳においてフルミスト点鼻液はとても有効であることは海外論文でもちゃんと記載もありますが、19歳以上の方への投与は、日本の添付文書には記載されておりません。

Carter, N.J., Curran, M.P. Live Attenuated Influenza Vaccine (FluMist®; Fluenz™). Drugs71, 1591–1622 (2011). https://doi.org/10.2165/11206860-000000000-00000

In a large phase III trial, LAIV, compared with TIV, was associated with an increased incidence of medically significant wheezing in vaccine-naive children aged <24 months and an increased incidence of hospitalization in children aged 6-11 months; LAIV is not approved for use in children <24 months.

In conclusion, intranasal LAIV seasonal influenza vaccine is effective and well tolerated in children, adolescents and adults. LAIV was more effective than TIV in children, although this advantage was not seen in adults. In the US, LAIV is indicated for the active immunization of healthy subjects aged 2-49 years against influenza disease caused by virus subtypes A and type B contained in the vaccine.

一方、フルミスト点鼻液は2歳未満では有害事象の方が強かったので2歳未満には使用しません。また、生ワクチンであり、ほかの生ワクチンと同様に妊婦には禁忌です。