【2026年最新】肺炎球菌ワクチン完全ガイド|キャップバックス・プレベナー20・港区定期接種を徹底解説|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

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【2026年最新】肺炎球菌ワクチン完全ガイド|キャップバックス・プレベナー20・港区定期接種を徹底解説|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

【2026年最新】肺炎球菌ワクチン完全ガイド|キャップバックス・プレベナー20・港区定期接種を徹底解説

医療法人社団五良会|理事長、竹内内科小児科医院|院長 五藤良将(糖尿病内科・感染症)/日本抗加齢医学会専門医、日本旅行医学会認定医

こんにちは。五良会クリニック白金高輪 理事長の五藤良将です。
肺炎球菌ワクチンの世界が、2026年に大きく動きました。2025年10月29日に「初めて成人に特化して開発された肺炎球菌結合型ワクチン」キャップバックス®(PCV21)がMSD社から発売され、2026年4月1日からは港区を含む全国の定期接種ワクチンがニューモバックスNP(PPSV23)からプレベナー20(PCV20)に切り替わりました。さらに、2026年4月1日付で日本呼吸器学会・日本感染症学会・日本ワクチン学会の3学会合同提言「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第8版)」が公表され、これまで「一生有効」と説明されてきたPCV結合型ワクチンの効果持続期間について重要な見直しが行われています。
本記事では、患者さまから多くご質問をいただく「キャップバックスとプレベナー20の違い」「定期接種は受けるべきか・任意接種でキャップバックスを選ぶべきか」について、STRIDE-3試験の臨床データ、PCV21固有の11血清型、副反応プロファイル、血清型疫学の経時変化、そして第8版指針の新しい考え方まで、最新のエビデンスに基づいて徹底解説します。

💉 当クリニックの結論(2026年5月時点)
原則として「キャップバックス(PCV21)」1回接種を推奨します。
成人IPD(侵襲性肺炎球菌感染症)の原因血清型を80.3%カバー(PCV20は55.6%)。STRIDE-3試験でPCV21固有11血清型のうち10血清型でPCV20に対する優越性が証明されており、副反応もPCV20より少ない傾向です。
当院価格:15,000円(税込・1回完結)

⚠️ 2026年4月からの3つの重要な制度変更
定期接種ワクチンが変更:ニューモバックスNP(PPSV23)→ プレベナー20(PCV20)
第8版指針が公表:3学会合同提言(日本呼吸器学会・日本感染症学会・日本ワクチン学会)2026年4月1日改訂
効果持続期間の見直し:PCV20/PCV21の効果持続は5年程度と考えられ、5年以降の再接種が必要と明記

🏥 五良会クリニック白金高輪からのお知らせ
当院は港区高齢者肺炎球菌定期予防接種の業務委託医療機関です。港区在住で対象となる65歳の方は予診票をご持参いただくことで、自己負担1,500円でプレベナー20(PCV20)の定期接種が受けられます。
任意接種ではキャップバックス(PCV21)・プレベナー20(PCV20)の2種類をご用意。ニューモバックスNP(PPSV23)は2026年3月末で当院での取り扱いを終了しました。

📋 この記事の内容(クリックで該当箇所へ)

1. 港区の高齢者肺炎球菌定期予防接種について

港区では2026年4月1日より、高齢者肺炎球菌定期予防接種のワクチンがプレベナー20(PCV20)に変更されました。これは厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会(2025年10月23日・第71回会議および2025年12月19日・第74回会議)の決定に基づくものです。
項目 内容
対象者 公費・自費を問わず過去に一度も肺炎球菌ワクチンを接種したことがない65歳の港区民(または60歳以上65歳未満で心臓・腎臓・呼吸器機能障害1級の身体障害者手帳所持者)
接種期間 65歳の誕生日前日から66歳の誕生日前日まで
使用ワクチン プレベナー20(PCV20)※2026年4月1日より
自己負担額 1,500円(税込)※生活保護受給者等は免除
必要なもの 予防接種予診票(誕生月の前月末頃に区から郵送)
当院での受付 予診票をご持参の上、受付へお越しください(予約優先)

⚠️ 予診票が届いていない方へ

誕生月の前月末頃に予診票が郵送されます。届いていない場合は、港区みなと保健所保健予防課予診票コールセンター(03-6400-0094)にご連絡ください。予診票をお持ちでない場合は全額自己負担となります。また、過去に1回でも(自費を含む)肺炎球菌ワクチンを接種したことがある方は助成対象外となります。

2. 肺炎球菌ワクチンの種類(PCV13/15/20/21・PPSV23)

現在、日本で高齢者向けに使用できる肺炎球菌ワクチンは以下の通りです。
略称 商品名 メーカー 種類 当院(2026年4月以降)
PCV21 キャップバックス® MSD 21価結合型 採用(推奨)15,000円
PCV20 プレベナー20® ファイザー 20価結合型 採用 13,500円(定期:1,500円)
PCV15 バクニュバンス® MSD 15価結合型 取扱なし
PPSV23 ニューモバックス®NP MSD 23価莢膜多糖体 2026年3月で取扱終了
📌 キャップバックス®の薬事承認情報
承認日:2025年8月8日(PMDA・MSD株式会社)
発売日:2025年10月29日
効能・効果:高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる成人における肺炎球菌による感染症の予防
用法・用量:0.5mLを1回筋肉内注射
出典:MSD株式会社 2025年10月29日付プレスリリース、PMDA 医療用医薬品情報検索

3. 莢膜多糖体ワクチンと結合型ワクチンの違い

肺炎球菌ワクチンには大きく分けて「莢膜(きょうまく)多糖体ワクチン(PPSV23)」「結合型ワクチン(PCV13/15/20/21)」の2種類があります。この違いが、免疫の獲得様式と効果の質に大きく影響します。
🔬 豆知識:肺炎球菌の「莢膜」とは?
肺炎球菌は外側を「莢膜」という糖でできた膜で覆っています。この莢膜がバリアとなって白血球による殺菌を妨げています。ワクチンはこの莢膜成分を使って「この敵が来たら攻撃せよ」と免疫に覚えさせるものです。莢膜の糖鎖の構造によって100種類以上の血清型に分類され、それぞれの血清型ごとに別の免疫が必要になります。
項目 莢膜多糖体ワクチン(PPSV23) 結合型ワクチン(PCV13/15/20/21)
ワクチンの構造 莢膜の糖のみ 莢膜の糖+キャリアタンパク質(CRM197など)
免疫の付き方 B細胞のみ活性化
(T細胞非依存型)
T細胞とB細胞の両方が活性化
(T細胞依存型)
免疫記憶 形成されない メモリーB細胞が形成される
効果の質 抗体産生のみ 抗体産生+ブースター効果
効果持続(第8版指針) 約5年(徐々に低下) 5年程度と考えられる(第8版で見直し)
再接種(第8版指針) 原則として再接種しない 5年以降の再接種が必要と考えられる
(ただし再接種データはなく検討中)
📝 理事長コラム:なぜ結合型ワクチンの免疫はより質が高いのか
莢膜多糖体ワクチン(PPSV23)はB細胞を直接活性化しますが、ヘルパーT細胞を介さないため免疫記憶が成立しません。抗体は経年的に減弱し、約5年で効果が低下します。

結合型ワクチン(PCV)は莢膜多糖体にキャリアタンパク質(無毒化ジフテリアトキソイド:CRM197など)を結合させることで、①樹状細胞がヘルパーT細胞を活性化 → ②T細胞とB細胞が相互作用 → ③メモリーB細胞が形成されます。将来同じ菌が侵入した際にメモリーB細胞が速やかに反応し、高いIgG産生能が発揮されます(ブースター効果)。

かつては「結合型ワクチンは一生効く」と説明されていましたが、2026年4月公表の第8版指針では「PCV20/PCV21接種後のワクチン効果の持続は5年程度と考えられる」とされ、5年以降の再接種が必要と考えられる旨が明記されました。今後の追加エビデンスを注視していく必要があります。

4. キャップバックス(PCV21)はなぜ”成人特化型”なのか — 11血清型の意味

キャップバックス®(PCV21)の最大の特徴は、初めて成人での疫学に特化して設計された結合型ワクチンであるという点です。これは単なる「血清型の数が多いワクチン」ではなく、開発思想そのものが従来のPCVと根本的に異なります。

なぜ「成人特化型」が必要だったのか

2010年代以降、日本でも小児定期接種としてPCV7→PCV13→PCV15→PCV20が順次導入されました。子どもの肺炎球菌保菌率は30〜50%と高く、子どもがワクチンで保菌しなくなった血清型は、その子どもから移される成人でも自然に減少します(間接効果)。
そのため、小児PCV13定期接種後の日本では、PCV13に含まれる血清型による成人IPDは大幅に減少した一方で、PCV13に含まれない血清型(15A、23A、35Bなど)による成人IPDが相対的に増加するという「血清型置換」が起きています。これこそが、成人で実際にIPDを起こしている血清型に特化して設計されたPCV21が必要とされた理由です。

キャップバックス®が含む21血清型

分類 血清型(21種類)
PCV20との共通10血清型
(PCV13由来含む)
3、6A、7F、8、10A、11A、12F、19A、22F、33F
PCV21固有の11血清型
(PCV20に含まれない)
9N、15A、15C*、16F、17F、20A、23A、23B、24F、31、35B
PCV21完全固有の8血清型
(PCV13/15/20/PPSV23のいずれにも含まれない)
15A、15C*、16F、23A、23B、24F、31、35B
*15Cは15Bと構造類似のため15Bに対しても免疫原性を有します。
📌 ペニシリン耐性株への意義
第8版指針によれば、国内の髄膜炎由来株(n=404、2013-2024)におけるペニシリンG耐性(MIC≥0.12 µg/mL)の血清型分布で、キャップバックス®に含まれる血清型23A(47%)、15A(19%)、35B(13%)の割合が多いことが報告されています。耐性菌対策の観点からも、PCV21の意義は大きいといえます。

5. PCV21 vs PCV20 徹底比較 — STRIDE-3試験の結果

キャップバックス®(PCV21)とプレベナー20®(PCV20)は、世界で初めて頭対頭(head-to-head)で直接比較された無作為化二重盲検第III相試験「STRIDE-3」で比較されました。これは肺炎球菌ワクチン未接種の50歳以上の成人 2,362例を1:1に割り付けた、医学的価値の高い比較試験です。
🔬 STRIDE-3試験(V116-003試験)の概要
試験デザイン:無作為化・実薬対照・並行群間・多施設共同・二重盲検比較試験
対象:肺炎球菌ワクチン未接種の50歳以上の成人 n=2,362
群分け:キャップバックス®群 n=1,181 / PCV20群 n=1,181(1:1無作為化)
評価指標:接種30日後のOPA GMT比(オプソニン化食食活性幾何平均抗体価)
主要評価項目
  ①PCV21固有11血清型に対するPCV20群に対するキャップバックス®群の優越性
  ②PCV20と共通の10血清型に対するキャップバックス®群の非劣性
出典:Platt HL, et al. Lancet Infect Dis. 2024;24:1141-50.(STRIDE-3)

5-1. PCV21固有11血清型:10血清型で優越性を証明

PCV21固有の11血清型のうち、10血清型でPCV20群に対するキャップバックス®群の優越性が検証されました(OPA GMT比の両側95%CI下限値>2.0、片側p<0.025)。
血清型 OPA GMT比
(PCV21/PCV20)
95%CI 優越性
9N 4.55 4.12 〜 5.04
15A 3.30 2.91 〜 3.74
15C 2.03 1.77 〜 2.34 未検証
16F 5.75 5.16 〜 6.41
17F 16.86 14.90 〜 19.09
20A 9.66 8.66 〜 10.79
23A 8.10 6.86 〜 9.55
23B 10.09 8.48 〜 12.00
24F 38.71 33.87 〜 44.25
31 21.69 18.68 〜 25.18
35B 6.17 5.59 〜 6.80
*OPA GMT比が1を上回るほどキャップバックス®群が優れる。優越性基準:両側95%CI下限値>2.0、片側p<0.025。
*血清型17F、20A、24F、31では特に大きな差(10倍以上)が示されています。

5-2. PCV20との共通10血清型:非劣性を確認

PCV20と共通する10血清型(3、6A、7F、8、10A、11A、12F、19A、22F、33F)に対しては、キャップバックス®群のPCV20群に対する非劣性が検証されました(OPA GMT比の両側95%CI下限値>0.5、片側p<0.025)。つまり、共通血清型に対しても従来のPCV20と同等の免疫原性を有することが確認されています。

5-3. カバー率の比較(日本国内データ)

第8版指針および厚生労働省研究班の成人IPDサーベイランス(n=295、2024年)に基づくカバー率は以下の通りです。
指標 キャップバックス®
(PCV21)
プレベナー20
(PCV20)
PPSV23
侵襲性肺炎球菌感染症(15歳以上)
2024年・n=295
80.3% 55.6% 56.6%
肺炎球菌性肺炎(65歳以上)
2019.5-2022.12・n=451
72.3% 42.8% 42.6%
出典:Maeda H, et al. Hum Vaccin Immunother. 2025;21(1):2518847./厚生労働科学研究費補助金「成人の侵襲性肺炎球菌感染症サーベイランスの強化のための研究」(2025-2027年度予定)/https://ipd-information.com/adult/overview/

6. 血清型疫学の経時変化(2013→2024)

日本国内の成人IPDの原因血清型は、過去10年で大きく変化しています。これは小児定期接種でPCV13、PCV15、PCV20が段階的に導入されたことに伴う血清型置換(serotype replacement)間接効果によるものです。
ワクチン 2013-2015
(n=471)
2016-2018
(n=1,099)
2019-2021
(n=792)
2022-2024
(n=672)
推移
キャップバックス®(PCV21) 79% 79% 75% 78% ほぼ横ばい
PPSV23 68% 64% 53% 51% ↓低下
プレベナー20(PCV20) 69% 64% 53% 50% ↓低下
PCV15 55% 36% 32% 35% ↓大幅低下
PCV13 45% 30% 27% 29% ↓大幅低下
PCV7 11% 8% 9% 6% ↓ほぼ消失
出典:成人IPDサーベイランス(厚生労働省研究班 2013-2024年)/第8版指針 表内データより
📊 この表が示している事実
PCV13・PCV15・PCV20・PPSV23のカバー率は、過去10年で軒並み20〜40ポイント低下しました。これは小児定期接種のPCV13導入による集団免疫効果(間接効果)のためです。一方、PCV21(キャップバックス®)のカバー率だけが、2013-2015年から2022-2024年まで一貫して75〜79%を維持しています。これは、PCV21が「小児ワクチンの間接効果で減少しにくい、成人特有の血清型」に特化して設計されたためです。

7. 副反応プロファイルの比較

STRIDE-3試験では、安全性についても詳細な比較が行われました。結論として、キャップバックス®群の副反応はPCV20群と同等以下であり、特に注射部位の疼痛・腫脹は明らかにキャップバックス®群の方が少ないことが示されています。

7-1. 接種後5日間の有害事象(事前規定)

有害事象 キャップバックス®群
(n=1,177)
PCV20群
(n=1,175)
注射部位の有害事象(合計) 41.4% 53.6%
  疼痛 39.4% 51.7%
  腫脹 6.0% 8.3%
  紅斑 5.4% 6.3%
全身性の有害事象(合計) 28.4% 27.5%
  疲労 20.1% 19.6%
  頭痛 11.5% 12.9%
  筋肉痛 5.9% 6.7%
  発熱(38℃以上) 1.3% 1.3%

7-2. 全有害事象の発現率と重篤副反応

試験期間中に有害事象を1件以上発現した割合は、キャップバックス®群58.2%・PCV20群66.2%とキャップバックス®群で少ない傾向を示しました。重篤な副反応はキャップバックス®群・PCV20群ともに認められませんでした。
✅ キャップバックス®の安全性プロファイルのまとめ
注射部位の疼痛は約12ポイント少ない(39.4% vs 51.7%)
注射部位反応の合計も約12ポイント少ない(41.4% vs 53.6%)
全身性反応はPCV20とほぼ同等(疲労・頭痛・筋肉痛・発熱)
重篤副反応はPCV20と同等で稀
つまりキャップバックス®は、効果が高いだけでなく、痛みや腫れが少ない傾向があり、忍容性に優れたワクチンと評価できます。

8. 効果の持続期間と再接種 — 第8版の新しい考え方

2026年4月1日に公表された「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第8版)」(日本呼吸器学会・日本感染症学会・日本ワクチン学会 合同委員会)では、結合型ワクチンの効果持続期間について従来とは異なる考え方が示されました。これは、当院でも患者さまへの説明を更新している重要なポイントです。
⚠️ 第8版指針からの正確な引用
「PCV20およびPCV21接種後のワクチン効果の持続は5年程度と考えられるため、免疫原性の観点からはPCV20あるいはPCV21接種後5年以降の再接種が必要と考えられる。しかしながら、現時点でPCV20およびPCV21接種後の再接種の免疫原性、安全性のデータはない。」
出典:日本呼吸器学会・日本感染症学会・日本ワクチン学会 合同委員会「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第8版 2026年4月1日改訂)」図中注釈#5

8-1. 「一生効く」という従来の説明はどう変わったか

これまで結合型ワクチン(PCV)は「メモリーB細胞による免疫記憶が形成されるため一生効く」と説明されることがありました。実際、PCV13のCAPiTA試験事後解析では「研究期間5年では予防効果が減衰しなかった」とされ、5年を超える長期持続を示唆する報告もあります。
しかし第8版では、新たに登場したPCV20・PCV21について、「5年程度の持続」「5年以降の再接種が必要と考えられる」という慎重な表現に改められました。これは、PCV20・PCV21の長期効果を直接示すデータがまだ蓄積されていないこと、また実際の再接種についても安全性・免疫原性データがないことを踏まえた、現時点での暫定的な見解です。

8-2. 第8版が示す再接種の考え方

第8版では、再接種について次の3点が明確化されています。
① PPSV23の再接種は原則として選択肢としない
第7版以降、高齢者におけるPCVの利用が拡充されたため、PPSV23接種後にPPSV23を再接種する従来の方針は原則選択肢から外されました。

② PCV既接種者はPCV20またはPCV21を1年以上の間隔で追加可能
PPSV23、PCV13、PCV15、PCV20のいずれかの既接種者は、1年以上の間隔を置いてPCV20またはPCV21を追加接種できます。安全性の観点からは1年以上の間隔とされています。

③ PCV20・PCV21接種後の再接種は「5年以降」が現時点での考え方
ただし再接種の免疫原性・安全性データはまだないため、今後のエビデンス蓄積を待ちながら、定期接種制度の動向を注視する必要があります。

📌 患者さまへの当院の説明
キャップバックス®またはプレベナー20を接種後、5年程度は効果が期待でき、5年を超えたあたりで再接種を検討するという考え方が、現在の標準的な指針です。ただし、再接種に関する明確なエビデンスや、PCV21の定期接種化、追加接種制度がどうなるかは、今後の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の議論次第です。当院では制度変更や指針改訂のたびに、患者さまへ最新の情報を発信していきます。

9. 年齢・接種歴別のおすすめ

患者さまの状況別に、第8版指針と当院の方針を踏まえた最適な接種プランをご提案します。
あなたの状況 おすすめの対応
肺炎球菌ワクチンを
一度も接種したことがない方
65歳:港区定期接種(PCV20、自己負担1,500円)が第一選択。費用を問わずカバー率を重視する方にはキャップバックス®(PCV21)15,000円もおすすめ。

66歳以上:定期接種対象外のため、キャップバックス®(PCV21)1回接種(15,000円)を推奨。1回完結で、5年程度の効果が期待できます。

過去にニューモバックス(PPSV23)を
接種したことがある方
前回接種から1年以上経過していれば、キャップバックス®またはプレベナー20を追加接種できます。第8版指針ではPPSV23の再接種は原則選択肢としないとされ、結合型ワクチンへの切替えが推奨されます。
過去にPCV13・PCV15・PCV20を
接種したことがある方
接種後1年以上の間隔を置いてキャップバックス®(PCV21)を追加接種できます。PCV20とは異なる11血清型をカバーできるため、より広範な予防が可能です。
ハイリスク者
(糖尿病・慢性肺疾患・
慢性心疾患・慢性腎疾患・
免疫不全状態など)
第8版指針ではPCV20またはPCV21の接種、あるいはPCV15-PPSV23の連続接種が推奨されます。基礎疾患の重症度に応じて、当院の専門外来でご相談ください。
📌 第8版が特に挙げるハイリスク疾患
基礎疾患:糖尿病(17.8%)、慢性肺疾患(14.8%)、アルコール依存症(14.7%)、慢性心疾患(14.7%)、慢性肝疾患(4.0%)(2013-2022年・成人IPDサーベイランス)
免疫不全状態:固形がん、抗がん剤治療、ステロイド療法、慢性腎疾患・透析、自己免疫性疾患、機能的・解剖学的無脾症、免疫抑制剤治療、生物学的製剤治療、血液幹細胞移植後など

10. 理事長コメント

💬 理事長 五藤良将より
肺炎球菌ワクチンは、私が当院で「すべての高齢者・基礎疾患のある方に必ず受けていただきたい」と最も強く考えているワクチンの一つです。日本では成人IPD(侵襲性肺炎球菌感染症)の70%以上が65歳以上で発症し、その6割近くが糖尿病、慢性心肺疾患、慢性肝腎疾患などの基礎疾患を持っています。当院では糖尿病内科・血液内科・消化器内視鏡といった「重症化リスクを抱える患者さん」を多く診療しており、毎週のように「ワクチンを打つべきか」とご質問をいただきます。

今回、初めて成人疫学に特化して設計されたキャップバックス®(PCV21)がSTRIDE-3試験という直接比較試験で従来のPCV20を上回るデータを示し、しかも副反応もより少ない傾向であることが示されたのは、日本の高齢者にとって大きな前進です。一方で第8版指針では「5年程度の持続」「5年以降の再接種が必要」という慎重な見解も明示されました。これらの新しいエビデンスを踏まえた個別の接種プランを、私自身が外来で一人ひとりご相談しています。港区在住で65歳の方は、ぜひ予診票をご持参の上、お気軽にご相談ください。

11. よくあるご質問(FAQ)

Q1. 港区の定期接種がPCV20になりましたが、キャップバックス®の方がよいのですか?
A. カバー率の観点からはキャップバックス®をおすすめします。IPDカバー率80.3%(vs PCV20の55.6%)、肺炎球菌性肺炎カバー率72.3%(vs PCV20の42.8%)と優れており、STRIDE-3試験でも11血清型中10血清型でPCV20に対する優越性が証明されています。費用を抑えたい方には定期接種(自己負担1,500円)のPCV20も妥当な選択肢です。
Q2. STRIDE-3試験はどんな試験ですか?
A. ワクチン未接種の50歳以上の成人2,362例を1:1で無作為化し、キャップバックス®群とPCV20群で免疫原性と安全性を比較した無作為化二重盲検第III相試験です(11ヶ国、Platt HL, et al. Lancet Infect Dis. 2024)。試験の結果、PCV21固有11血清型中10血清型でPCV20に対する優越性、共通10血清型で非劣性が確認されました。
Q3. 「5年で効果が切れる」と説明が変わったのはなぜですか?
A. 2026年4月1日公表の第8版指針で、PCV20・PCV21については「効果持続は5年程度と考えられ、5年以降の再接種が必要と考えられる」と明記されたためです。PCV13では研究期間5年で効果減衰がなかったとする報告もありますが、PCV20・PCV21の長期データはまだ蓄積中であり、現時点では慎重な見解が示されています。今後のエビデンス次第で見解が変わる可能性があります。
Q4. ニューモバックスを以前打ちました。キャップバックス®も打てますか?
A. 前回接種から1年以上経過していれば接種できます。第8版指針では「PPSV23の再接種は原則選択肢としない」とされており、結合型ワクチン(PCV21またはPCV20)への切り替えが推奨されます。
Q5. 他院でプレベナー20(定期接種)を打ちました。キャップバックス®も追加で打てますか?
A. はい、PCV20接種後1年以上経過していれば、キャップバックス®(PCV21)を追加接種できます。PCV20には含まれないPCV21固有の11血清型(9N、15A、15C、16F、17F、20A、23A、23B、24F、31、35B)をカバーできるため、より広範な予防が可能になります。
Q6. キャップバックス®はなぜ定期接種ではないのですか?
A. 2025年10月に発売されたばかりの新しいワクチンで、現在、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で定期接種化が検討されている段階です(2026年2月26日・第33回ワクチン評価小委員会で議論)。今後の制度変更が期待されます。
Q7. 副反応はキャップバックス®とPCV20でどう違いますか?
A. STRIDE-3試験では、キャップバックス®群の方が注射部位の疼痛・腫脹が少ないことが示されました(注射部位反応 41.4% vs 53.6%、疼痛 39.4% vs 51.7%)。全身性反応(疲労・頭痛・筋肉痛・発熱)はほぼ同等です。重篤副反応はいずれの群でも認められませんでした。
Q8. 港区の予診票が届いていません。どうすればいいですか?
A. 誕生月の前月末頃に郵送されます。届いていない場合は、みなと保健所保健予防課予診票コールセンター(03-6400-0094)にご連絡ください。予診票なしで接種した場合は全額自己負担となります。

12. ご予約・ご相談

肺炎球菌ワクチンのご相談は当院スタッフまでお気軽にお声がけください。
ワクチン 価格(税込) 備考
💉 キャップバックス®(PCV21) 15,000円 任意接種・当院推奨
プレベナー20®(PCV20) 1,500円(定期:港区助成)
13,500円(任意)
65歳・初回の方は定期接種利用可

13. まとめ

📝 この記事のポイント
キャップバックス®(PCV21)は2025年10月29日発売。初めて成人疫学に特化して設計された結合型肺炎球菌ワクチン
STRIDE-3試験でPCV21固有11血清型中10血清型でPCV20に対する優越性、共通10血清型で非劣性を証明
IPDカバー率80.3%(vs PCV20の55.6%)、肺炎球菌性肺炎カバー率72.3%(vs PCV20の42.8%)
PCV21完全固有の8血清型(15A、15C、16F、23A、23B、24F、31、35B)は他のワクチンでカバーできない
副反応はPCV20より少ない傾向(注射部位反応 41.4% vs 53.6%)
2026年4月から港区定期接種がPPSV23→PCV20に変更(自己負担1,500円)
第8版指針(2026年4月1日)でPCV20・PCV21の効果持続は「5年程度・5年以降の再接種が必要」と新たな見解
✅ PPSV23の再接種は原則選択肢としない(第8版で明記)
✅ PCV既接種者は1年以上の間隔でPCV21の追加接種が可能
✅ 当院は港区高齢者肺炎球菌定期予防接種の業務委託医療機関。キャップバックス®15,000円/プレベナー20 13,500円(任意)
参考文献・出典:
1. 日本呼吸器学会・日本感染症学会・日本ワクチン学会 合同委員会「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第8版 2026年4月1日改訂)」
2. Platt HL, et al. Safety, tolerability, and immunogenicity of an adult pneumococcal conjugate vaccine, V116(STRIDE-3): a randomized, double-blind, active comparator controlled, international phase 3 trial. Lancet Infect Dis. 2024;24:1141-50.
3. Maeda H, et al. Serotype-distribution among adults with community-acquired pneumonia in Japan between 2019 and 2022: A multicenter observational study. Hum Vaccin Immunother. 2025;21(1):2518847.
4. キャップバックス®筋注シリンジ 添付文書(2025年10月作成・第2版)/MSD株式会社
5. MSD株式会社「成人に特化して設計された21価肺炎球菌結合型ワクチン『キャップバックス®筋注シリンジ』新発売のお知らせ」(2025年10月29日)
6. 港区ホームページ「高齢者肺炎球菌定期予防接種」(2026年4月版)
7. 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 第71回(2025年10月23日)・第74回(2025年12月19日)議事資料
8. 成人IPDサーベイランス(厚生労働省研究班 2025-2027年度予定)https://ipd-information.com/adult/overview/

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