【心筋梗塞・脳卒中27%減】GLP-1製剤の心血管保護作用|SELECT試験から見る糖尿病以外の効能|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

〒108-0074
東京都港区高輪1丁目3-1 プレミストタワー白金高輪 1F
03-6432-5353
人のアイコンスタッフ募集 WEB問診 オンライン診療 instagtamのアイコン Xのアイコン
ヘッダー画像

ブログ

【心筋梗塞・脳卒中27%減】GLP-1製剤の心血管保護作用|SELECT試験から見る糖尿病以外の効能|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

【心筋梗塞・脳卒中27%減】GLP-1製剤の心血管保護作用|SELECT試験から見る糖尿病以外の効能

2023年11月11日、肥満医学の世界を一変させる論文がNew England Journal of Medicineに掲載されました。SELECT試験 ― セマグルチド2.4mg(ウゴービ)が、糖尿病でない肥満者の主要心血管イベント(MACE)を20%減少させたという、肥満治療薬として初の本格的アウトカム試験の結果です。
従来、肥満治療薬は「体重を減らす美容目的の薬」と見られがちでしたが、SELECT試験によりGLP-1製剤は«命を守る薬»であることが証明されました。本記事では、心筋梗塞・脳卒中をどれだけ減らせるのか、そのメカニズムは何か、糖尿病でない方でも保険適用される条件は何か、を解説します。

1. SELECT試験 ― 17,604名・3.3年追跡の大規模試験

項目 内容
試験名 SELECT(Semaglutide Effects on Cardiovascular Outcomes in People with Overweight or Obesity)
対象 45歳以上、BMI 27以上、心血管疾患既往あり、2型糖尿病なしの17,604名
薬剤 セマグルチド2.4mg/週 vs プラセボ
追跡期間 平均3.3年(最長5年)
主要評価項目 MACE3(心血管死+非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中)
発表 NEJM 2023年11月11日(Lincoff AM, et al.)

2. 主要結果 ― MACE 20%減少、心血管死15%減少

🔬 SELECT試験 主要アウトカム
MACE3:−20%(HR 0.80、95%CI 0.72-0.90、p<0.001)
心血管死:−15%(HR 0.85)
非致死性心筋梗塞:−28%(HR 0.72)
• 非致死性脳卒中:−7%(有意差なし)
全死亡:−19%(HR 0.81)
• 体重減少:−9.4%(プラセボ−0.9%)
• NNT(治療必要数):67人を3.3年治療すれば1件のMACEを防げる

3. なぜGLP-1が心血管を守るのか ― 5つのメカニズム

SELECTのサブ解析では、MACE減少効果は体重減少だけでは説明できないことが明らかになりました。GLP-1には体重減少を超えた多面的な心保護作用があります。
メカニズム 心血管への効果
1. 抗炎症作用 CRP約30%低下。動脈硬化進展抑制
2. 血圧低下 収縮期血圧3〜5mmHg低下(体重減少由来+GLP-1の血管直接作用)
3. 脂質改善 中性脂肪低下、Non-HDL-Cの低下、apoB低下
4. 血糖変動の安定化 糖尿病でなくてもインスリン抵抗性改善、HbA1c低下
5. 内皮機能改善・血栓性抑制 一酸化窒素産生促進、血小板凝集抑制

4. 心不全への効果 ― 入院リスク低下

SELECT試験の事前規定サブ解析(Lancet 2024)で、心不全既往のある参加者ではセマグルチドが心不全入院・心血管死を有意に減らしたことが報告されました。さらにSTEP-HFpEF試験では、HFpEF(左室駆出率保持型心不全)患者でセマグルチドが運動耐容能(KCCQスコア)を有意に改善しました。
✅ HFpEF(駆出率保持型心不全)への福音
従来、HFpEFは「薬の効きにくい心不全」とされ、SGLT2阻害薬以外に有効な治療がありませんでした。GLP-1の登場で、肥満を伴うHFpEFには有力な新選択肢が加わったといえます。

5. マンジャロ・チルゼパチドの心血管エビデンス

チルゼパチド(マンジャロ/ゼップバウンド)は、SELECT試験のような大規模心血管アウトカム試験「SURPASS-CVOT試験」が進行中で、2026年中に結果発表予定です。GLP-1単独より強力な体重減少効果から、より大きな心血管保護効果が期待されています。

6. 日本での位置づけと最適使用推進ガイドライン

日本でも厚生労働省の最適使用推進ガイドラインに沿って、心血管リスクの高い肥満症患者への適応が示されています。BMI 27以上+2つ以上の肥満関連健康障害(高血圧・脂質異常症・糖尿病など)でウゴービ・ゼップバウンドが保険適用となり、心血管リスク低減も期待できます。

7. 当院でできる心血管リスク評価

☑ 血液検査(脂質、HbA1c、Non-HDL-C、apoB、hs-CRP、HOMA-IR)
☑ 心電図・血圧24時間測定(必要時)
☑ 頸動脈エコー(動脈硬化評価)
☑ 心臓超音波検査(連携施設紹介)
☑ CAVI/ABI(動脈硬化評価)
☑ 心血管リスク総合評価。ウゴービ等の肥満症保険診療は届出施設での処方が必要なため、ご希望時は他院連携をご案内

8. 理事長コメント

💬 理事長 五藤良将より
「私が研修医だった頃、減量はあくまで«補助療法»で、メインは血圧・脂質・糖尿病それぞれの薬を組み合わせることでした。SELECT試験はそのパラダイムを覆し、減量そのものが命を守る«治療»になりうると証明したのです。心血管疾患は日本人の死因第2位で、肥満は心血管リスクの中核因子。GLP-1治療は、健診で『そろそろ薬を増やしましょう』と言われ続けている方ほど大きな恩恵を受けます。当院では脂質・血圧・血糖・体重をワンストップで管理する糖尿病内科外来をご用意していますので、心血管リスクが気になる方はぜひご相談ください。」

9. まとめ

📝 この記事のポイント
✅ SELECT試験で17,604名・3.3年追跡。糖尿病なしでも心血管保護を初めて証明
✅ MACE 20%減少、心血管死15%減少、心筋梗塞28%減少、全死亡19%減少
✅ 体重減少だけでは説明できない多面的な抗炎症・血圧・脂質改善作用
✅ HFpEF(駆出率保持型心不全)にも有効性
✅ マンジャロのSURPASS-CVOT試験は2026年に結果発表予定
✅ 日本でも肥満症の保険適用枠で心血管保護の恩恵が受けられる
✅ 当院は心血管リスクの一元評価と最適な薬剤選択をご提案

10. よくあるご質問

Q1. 糖尿病でなくてもGLP-1を始める意味はありますか?
A. SELECT試験はまさに「糖尿病なし+BMI 27以上+心血管疾患既往あり」の方が対象でした。糖尿病でなくても、肥満と動脈硬化があれば心血管保護目的でGLP-1治療の意義は明確です。
Q2. SGLT2阻害薬とGLP-1、どちらが心血管に良い?
A. 両方ともMACEを減らしますが、SGLT2は心不全入院抑制・腎保護に強く、GLP-1は心血管死・心筋梗塞抑制と体重減少に強いです。糖尿病合併例では両方併用も選択肢です。
Q3. すでに心筋梗塞の既往があります。安全ですか?
A. SELECT試験は心筋梗塞既往者を含む心血管疾患既往者が対象でした。安全性が確立されており、むしろ再発予防のメリットが大きいです。
Q4. レタトルチド(トリプルG)も心血管に良い?
A. レタトルチドの心血管アウトカム試験TRIUMPH-Outcomes(11,500名規模)が進行中で、結果は2027〜2028年予定。理論上はより強力な効果が期待されます。
Q5. 心血管保護目的なら何mgで何年続けるべき?
A. SELECT試験ではセマグルチド2.4mg/週を平均3.3年継続して効果が証明されています。可能な限り長期継続が望ましく、心血管リスクが続く限り維持療法を検討します。
Q6. リベルサスでも心血管保護効果は得られますか?
A. リベルサスは糖尿病患者で心血管アウトカム試験(PIONEER 6)で安全性が示されていますが、肥満患者でのアウトカムデータはまだ限定的です。心血管保護目的なら現状ウゴービ皮下注がエビデンス最強です。
Q7. 高血圧の薬と併用しても大丈夫?
A. むしろ相乗効果が期待できます。GLP-1で血圧がさらに下がる場合があるため、降圧剤の調整が必要なケースもあります。定期診察で対応します。

参考文献

1. Lincoff AM, et al. Semaglutide and Cardiovascular Outcomes in Obesity without Diabetes (SELECT). N Engl J Med. 2023;389:2221-2232.
2. Kosiborod MN, et al. Semaglutide in Patients with Obesity-Related Heart Failure (STEP-HFpEF). N Engl J Med. 2023;389:1069-1084.
3. Deanfield J, et al. Semaglutide and cardiovascular outcomes in patients with obesity and prevalent heart failure (SELECT pre-specified analysis). Lancet. 2024.
4. Marso SP, et al. Liraglutide and Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes (LEADER). N Engl J Med. 2016;375:311-322.
5. ノボ ノルディスク. ウゴービ®皮下注 添付文書および心血管リスクに関する情報.
6. 厚生労働省. セマグルチド製剤 最適使用推進ガイドライン.
GORYOKAI CLINIC SHIROKANE-TAKANAWA
五良会クリニック白金高輪
内科・小児科・消化器内科・血液内科・内視鏡検査・糖尿病内科・アレルギー科
内科 小児科 消化器内科 血液内科 内視鏡
糖尿病内科 アレルギー科 予防接種 健康診断 渡航医学
〒108-0074 東京都港区高輪1丁目3-1 プレミストタワー白金高輪 1F
東京メトロ南北線・都営三田線「白金高輪駅」2番出口 徒歩1分
診療時間 日・祝
10:00〜13:00 10:00

15:00
10:00

15:00
14:30〜19:00

休診日:火曜日/土・日・祝は10:00〜15:00(最終受付14:30)

WEB予約前日まで 当日WEB予約CLINICS(当日順番) WEB問診事前入力でスムーズ
LINE公式アカウント Instagram1F公式 電話03-6432-5353

理事長 五藤 良将