夏の血糖コントロール|脱水・食欲低下と上手に付き合うコツを糖尿病内科医が解説
医療法人社団五良会|理事長、竹内内科小児科医院|院長 五藤良将(糖尿病内科・感染症)
気温と湿度が上がる夏は、糖尿病をお持ちの方にとって血糖値が乱れやすい季節です。「冷たい飲み物が増えた」「食欲が落ちてしっかり食べられない」「汗をたくさんかく」——こうした夏特有の生活の変化が、知らないうちに血糖コントロールに影響します。
この記事では、白金高輪で糖尿病内科診療を行う立場から、夏に血糖値が乱れやすい理由、脱水と高血糖・低血糖のリスク、水分や食事のとり方の工夫、そして受診すべきタイミングをわかりやすく整理してお伝えします。毎年の夏を安心して過ごすためのヒントにしていただければと思います。
1. なぜ夏は血糖値が乱れやすいのか
夏は、生活習慣の変化によって血糖値が高くも低くもブレやすくなります。主な要因として、冷たい甘い飲み物や清涼飲料水の摂取増加、そうめんや冷やし中華など炭水化物に偏った食事、食欲低下による食事量の不安定さ、大量の発汗による脱水などが挙げられます。
特に、のどの渇きを冷たいジュースやスポーツドリンクで頻繁に潤していると、糖分のとりすぎから血糖値が上がりやすくなります。一方で、暑さで食事が進まないのに薬やインスリンはいつも通り使っていると、今度は低血糖のリスクが高まります。夏は「高血糖」と「低血糖」の両方に注意が必要な季節です。
こんな変化に心当たりはありませんか
冷たい飲み物が増えた/麺類など単品の食事が多い/食欲がなく食事を抜くことがある/汗を大量にかく/屋外での活動が増えた——いずれも血糖コントロールに影響しうる夏の生活変化です。
2. 脱水と高血糖の悪循環に注意
血糖値が高い状態が続くと、体は余分な糖を尿として排出しようとし、尿の量が増えて水分が失われやすくなります。そこへ夏の発汗が重なると脱水が進み、血液中の糖がさらに濃縮されて血糖値が上がる、という悪循環に陥ることがあります。
脱水は熱中症のリスクを高めるだけでなく、まれに高血糖による重い脱水状態(高浸透圧高血糖状態)につながることもあり、高齢の方では特に注意が必要です。「のどが渇く」「尿が多い」「体がだるい」が続くときは、高血糖と脱水のサインかもしれません。
🚨 こんなときは早めに受診を
・ 強いのどの渇き・多尿が続く
・ ぐったりする、意識がもうろうとする
・ 嘔吐や下痢で水分・食事がとれない(シックデイ)
高血糖や脱水が進んでいる可能性があります。水分がとれない、症状が強いときはためらわずご相談ください。
3. 食欲低下と「夏の低血糖」
暑さで食欲が落ち、食事量が減っているのに、いつもと同じ量の血糖を下げる薬やインスリンを使っていると、低血糖を起こすことがあります。低血糖は、冷や汗、動悸、手の震え、強い空腹感、意識がぼんやりするなどの症状で現れ、放置すると危険です。
⚠️ 自己判断で薬を中断しないでください
「食べられないから薬をやめる」「だるいから勝手に減らす」といった自己判断は、かえって血糖値を不安定にし危険です。食事がとれない日(シックデイ)の薬の扱いには注意が必要なため、対応に迷うときは必ず主治医にご相談ください。
低血糖を感じたときに備えて、ブドウ糖やすぐに糖分を補える食品を携帯しておくと安心です。低血糖を繰り返す場合は、薬の種類や量の見直しが必要なこともあります。
4. 上手な水分のとり方
脱水を防ぐためにはこまめな水分補給が欠かせませんが、糖尿病をお持ちの方は「何を飲むか」も大切です。基本は水やお茶(無糖)を、のどが渇く前にこまめにとりましょう。
| 飲み物 | ポイント |
|---|---|
| 水・無糖のお茶 | 基本の水分。血糖値を上げずに補給できる |
| 清涼飲料水・ジュース | 糖分が多く血糖値が上がりやすい。日常の水分補給には不向き |
| スポーツドリンク | 糖分を含むため日常的な多飲は注意。大量発汗時に必要な場合は主治医に相談を |
| 経口補水液 | 脱水時の補給に有用だが糖・塩分を含む。必要時に適量を |
「ペットボトル症候群」に注意
糖分の多い清涼飲料水を大量に飲み続けると、急激に血糖値が上がり体調を崩す「ペットボトル症候群(ソフトドリンクケトーシス)」を起こすことがあります。のどの渇きは、甘い飲み物ではなく水やお茶で潤すことが基本です。
5. 食事と生活の工夫
食欲が落ちる夏でも、できるだけ栄養のバランスを保つことが血糖の安定につながります。無理なく続けられる工夫を紹介します。
炭水化物に偏らない
そうめんや冷やし中華などの麺類は手軽ですが、単品だと炭水化物に偏りがちです。卵・肉・魚・大豆製品などのたんぱく質や、野菜・海藻を一緒にとり、血糖値の急上昇をゆるやかにしましょう。
食べられないときも少量ずつ
食欲がないときは、無理に一度に食べようとせず、消化のよいものを少量ずつ分けてとると負担が減ります。冷たいものばかりで胃腸を冷やしすぎないことも大切です。
運動は涼しい時間帯に
適度な運動は血糖コントロールに役立ちますが、夏は熱中症を避けるため、早朝や夕方など涼しい時間帯を選び、水分をとりながら行いましょう。屋外がつらい日は、室内での軽い運動でも構いません。
足のケアも忘れずに
素足やサンダルで過ごす機会が増える夏は、足のケガや水虫に気づきにくくなります。糖尿病をお持ちの方は傷が悪化しやすいため、毎日足を観察し、気になる傷や変化があれば早めにご相談ください。
6. 受診すべきサインと当院でできること
「血糖値が高め・低めで安定しない」「食事がとれず薬の扱いに迷う」「足に治りにくい傷がある」——こうしたときは、早めに糖尿病内科にご相談ください。五良会クリニック白金高輪では、血糖値やHbA1cの測定を行い、夏の生活に合わせた食事・運動・薬の調整を一人ひとりに合わせてご提案します。
五藤理事長は日本糖尿病協会登録医として糖尿病診療にあたっています。当院は火曜を除く平日に加え、土・日・祝も診療しておりますので、お忙しい方も通院を続けやすい体制を整えています。シックデイ(体調を崩した日)の薬の扱いなど、不安な点もお気軽にご相談ください。
7. 理事長コメント
8. まとめ
✅ 高血糖と脱水は悪循環になりやすく、こまめな水分補給が大切
✅ 水分は甘い飲み物ではなく水・無糖のお茶が基本(ペットボトル症候群に注意)
✅ 食欲が落ちても薬は自己判断でやめず、シックデイは主治医に相談
✅ 血糖が不安定・足に傷があるなどのときは早めに糖尿病内科を受診
9. よくあるご質問(FAQ)
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理事長 五藤 良将