健診で「クレアチニン高値・eGFR低下」と言われたら|高血圧治療と腎機能の関係を専門医が解説(CKD診療ガイド2024・JSH2025対応)
医療法人社団五良会|理事長、竹内内科小児科医院|院長 五藤良将(糖尿病内科・感染症/日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医)
📰 【関連メディア掲載】FRIDAYデジタル/Yahoo!ニュースに監修記事が掲載されました
2026年5月7日配信のFRIDAYデジタル「【専門医が解説】失神、心筋虚血、腎機能低下…命にかかわる危険な「低血圧」が日本で増加している理由」に当院理事長 五藤良将が監修者として登場。本記事ではFRIDAY記事で取り上げた「血圧と腎機能の関係」を、健診結果の読み方からCKD診療ガイド2024まで詳しく解説します。
1. クレアチニン・eGFR・蛋白尿の意味
| 指標 | 意味 |
|---|---|
| クレアチニン | 筋肉から出る老廃物。腎臓で尿に排泄される。高いほど腎機能低下(基準値:男性0.65〜1.07、女性0.46〜0.79 mg/dL) |
| eGFR | 推算糸球体ろ過量。1分間に腎臓がろ過する血液量。クレアチニンと年齢・性別から計算。60未満で要注意 |
| 蛋白尿(尿蛋白) | 糸球体障害のサイン。「±」「+」以上は精査推奨。クレアチニン正常でも陽性なら腎症の可能性 |
| 尿アルブミン | 糖尿病性腎症の早期マーカー。30 mg/gCr以上で「微量アルブミン尿」 |
2. CKDの重症度分類(GFR区分・蛋白尿区分)
| GFR区分 | eGFR (mL/分/1.73㎡) | 解釈 |
|---|---|---|
| G1(正常〜高値) | ≥ 90 | 蛋白尿あれば腎症 |
| G2(正常〜軽度低下) | 60〜89 | 蛋白尿あれば腎症 |
| G3a(軽度〜中等度) | 45〜59 | CKDと診断、要受診 |
| G3b(中等度〜高度) | 30〜44 | 専門医紹介を検討 |
| G4(高度低下) | 15〜29 | 腎臓専門医必須 |
| G5(末期腎不全) | < 15 | 透析・移植の検討 |
3. 血圧と腎機能の関係(双方向の悪循環)
eGFR低下 → 体液貯留・レニン亢進 → 高血圧悪化
また、過度な降圧 → 腎血流不足 → 急性腎障害(AKI)→ さらなるeGFR低下
4. CKD診療ガイド2024の降圧目標
| CKDのタイプ | 降圧目標(診察室) |
|---|---|
| 糖尿病合併CKD(A1〜A3すべて) | < 130/80 mmHg |
| 非糖尿病・蛋白尿陽性(A2、A3) | < 130/80 mmHg |
| 非糖尿病・蛋白尿陰性(A1) | < 140/90 mmHg |
出典
日本腎臓学会『CKD診療ガイド2024』、日本高血圧学会『高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)』
5. 第一選択薬(ACE阻害薬・ARB)の意味
| 薬剤グループ | 役割 |
|---|---|
| ACE阻害薬/ARB | 蛋白尿陽性CKDの第一選択。腎保護効果あり |
| Ca拮抗薬 | 確実な降圧効果。蛋白尿陰性CKDなら第一選択候補 |
| SGLT2阻害薬 | 糖尿病性腎症・心不全合併CKDで腎保護効果が示されている |
| フィネレノン(ケレンディア) | 非ステロイド型MR拮抗薬。糖尿病性腎症の追加治療として使用が広がる |
6. 過降圧で腎機能が悪化する仕組み
出典:SPRINT Research Group. N Engl J Med. 2015 / 2021.
過降圧が腎臓を傷める3つの仕組み
② 腎血流量の絶対的減少 ― 灌流圧不足で糸球体ろ過が減少
② 輸出細動脈の過度な拡張(RAS阻害薬使用時) ― 糸球体内圧低下でクレアチニン上昇
② 体液量の減少(利尿薬・SGLT2阻害薬併用時) ― 前負荷低下で腎血流不足
⚠️ ACE阻害薬・ARBを始めた直後にクレアチニンが上がるのは「想定内」
これらの薬は糸球体内圧を下げるため、開始2週間以内にクレアチニン10〜20%上昇するのは想定内であり、長期的には腎保護に働きます。30%超の上昇や高カリウム血症が出れば調整が必要なので、開始2週後の血液検査が重要です。
7. 健診結果別・受診の目安
| eGFR ≥ 60+蛋白尿(−) | 経過観察。次年度の健診で再確認。血圧・体重管理は継続 |
| eGFR ≥ 60+蛋白尿(±以上) | 内科受診を推奨。尿沈渣・尿アルブミン定量で精査 |
| eGFR 45〜59 | CKDと診断。内科で血圧・血糖管理を開始 |
| eGFR 30〜44 | 内科+必要時に腎臓専門医。SGLT2阻害薬・ACE/ARB導入の検討 |
| eGFR < 30 | 腎臓専門医必須。透析準備の評価が必要なステージ |
8. 理事長コメント
当院では健診結果(eGFR・尿蛋白・尿アルブミン)と家庭血圧、糖尿病・脂質を一括して評価し、ACE阻害薬/ARB/SGLT2阻害薬の選択や、過降圧を避ける投薬調整を行います。腎機能が気になる方は、健診結果と血圧手帳、お薬手帳を持参してご相談ください。」
9. まとめ
✅ 高血圧と腎機能低下は双方向の悪循環。適切な降圧で断ち切る
✅ 糖尿病合併・蛋白尿陽性CKDの降圧目標は130/80未満(CKD診療ガイド2024)
✅ 蛋白尿陽性CKDの第一選択はACE阻害薬/ARB、SGLT2阻害薬・フィネレノンも追加
✅ 過降圧は急性腎障害の原因に。SPRINT試験で増加が示されている
✅ 健診結果+家庭血圧+お薬手帳を持って受診を
ACE阻害薬/ARB/SGLT2阻害薬/フィネレノンを症例ごとに最適化し、過降圧を避けながら腎保護を目指します。
✅ 糖尿病性腎症の評価・治療を希望の方
✅ 降圧薬を飲んでいて腎機能が気になる方
✅ SGLT2阻害薬・フィネレノン導入の相談
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