「寝酒」を手放す、新しい睡眠薬という選択肢|デエビゴ・クービビック・ボルズィを医師が解説|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

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「寝酒」を手放す、新しい睡眠薬という選択肢|デエビゴ・クービビック・ボルズィを医師が解説|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

「寝酒」を手放す、新しい睡眠薬という選択肢|デエビゴ・クービビック・ボルズィを医師が解説

「寝酒」を手放す、新しい睡眠薬という選択肢|デエビゴ・クービビック・ボルズィとオレキシン受容体拮抗薬4剤を医師が解説

医療法人社団五良会|理事長、竹内内科小児科医院|院長 五藤良将

「眠れないから、つい一杯」。お酒の力を借りて眠る、いわゆる「寝酒(ナイトキャップ)」が習慣になっている方は、白金高輪・港区エリアでお忙しく働くビジネスパーソンにも少なくありません。けれども、寝酒はかえって睡眠の質を落とし、肝臓にも負担を重ねていく——この事実は、意外と知られていません。
結論からお伝えします。近年は「オレキシン受容体拮抗薬」という、自然な眠りに近づけながら依存やふらつきが起こりにくい、新しいタイプの睡眠薬が登場しました。デエビゴ®・クービビック®、そして2025年11月に発売されたばかりの最新薬ボルズィ®まで、選択肢は大きく広がっています。本記事では五良会クリニック白金高輪の視点から、新しい睡眠薬の仕組みと4剤の使い分け、そして「お酒の量そのものを減らしたい方」への減酒薬セリンクロ®までを、わかりやすくご説明します。いずれも医師の処方が必要なお薬です。
寝酒を手放す新しい睡眠薬という選択肢|オレキシン受容体拮抗薬4剤を解説|五良会クリニック白金高輪

1. 「寝酒」は睡眠にも肝臓にも逆効果

「お酒を飲むと寝つきが良くなる」——これは半分だけ本当で、半分は誤解です。アルコールには寝つきを早める作用がある一方で、夜の後半になると睡眠を浅くし、中途覚醒・早朝覚醒を増やします。利尿作用で夜間にトイレが近くなり、いびきや睡眠時無呼吸を悪化させることもあります。つまり「眠れた気がするのに、休めていない」状態になりやすいのです。
さらに困るのは、寝酒は「慣れ(耐性)」ができて、同じ量では眠れなくなり、だんだん量が増えていくこと。増えた飲酒は、そのまま肝臓への負担になります。寝酒の習慣が続くと、知らないうちに脂肪肝、さらにはアルコール関連肝疾患(ALD)へと進むことも珍しくありません。

⚠️ 寝酒がまねく悪循環

眠るために飲む → 睡眠の質が下がる → 余計に眠れない → 量が増える → 肝臓に負担・依存リスク → さらに眠れない……。この悪循環を断つ第一歩は、「眠りは眠りの薬で、お酒はお酒の問題として」分けて考えることです。

眠れないお悩みを、お酒で抑え込む必要はありません。依存しにくい新しい睡眠薬で「眠る力」を整えながら、必要に応じてお酒の量にも向き合う——これが、睡眠と肝臓の両方を守る考え方です。

2. 睡眠薬は「怖い薬」から変わってきた

「睡眠薬はクセになって怖い」というイメージをお持ちの方は、多いと思います。たしかに、かつて主流だったベンゾジアゼピン系は、よく効く一方で、ふらつき・転倒・物忘れ・依存といった課題がありました。
しかし近年は、脳を「無理に眠らせる」のではなく、覚醒を保つしくみをやさしく弱めて、自然な眠りに近づける新しいタイプの薬が登場しています。それが「オレキシン受容体拮抗薬」です。日本では2014年のベルソムラ®以降つぎつぎと登場し、2025年には4剤目のボルズィ®が加わりました。睡眠薬は今、「怖い薬」から「うまく付き合える薬」へと、大きく変わってきています。

3. オレキシン受容体拮抗薬とは?

脳には、「オレキシン」という、覚醒(目覚め)を維持する物質があります。夜になってもこのオレキシンが働き続けると、頭が冴えて眠れません。オレキシン受容体拮抗薬は、このオレキシンの働きをやさしくブロックすることで、高ぶった覚醒のスイッチをそっとオフにし、自然な眠りへと導きます。脳を強制的に鎮める従来薬とは、作用の仕組みそのものが異なります。

💡 ポイント

自然な眠りに近い/依存・耐性が起こりにくいとされる/急にやめても反動(反跳性不眠)が比較的少ない——これがオレキシン受容体拮抗薬の大きな特長です。

4. 4剤の比較(ベルソムラ・デエビゴ・クービビック・ボルズィ)

現在、日本で使えるオレキシン受容体拮抗薬は4種類になりました。最大の違いは効果の持続時間(半減期)です。半減期が長いほど夜間〜早朝までしっかり効きやすく、短いほど翌日への持ち越し(眠気)が少なくなります。不眠のタイプに合わせて使い分けます。
一般名(商品名) 発売 半減期の目安 特徴
スボレキサント(ベルソムラ®) 2014年 12〜15時間 最初に登場したタイプ。中等度の持続時間
レンボレキサント(デエビゴ®) 2020年 17〜19時間 入眠・中途覚醒の両方に効果。やや長め
ダリドレキサント(クービビック®) 2024年12月 8時間 睡眠全体をカバーしつつ持ち越しが少ない
ボルノレキサント(ボルズィ®)🆕 2025年11月 1.3〜3.3時間(最短) 4剤目の最新薬。翌朝への持ち越しが最も少ないと期待

📊 半減期で何が変わる?

半減期が長いと中途覚醒・早朝覚醒に効きやすい反面、翌朝に眠気が残りやすくなります。短いと翌日への持ち越しが少なく、日中のパフォーマンスに影響しにくい——という違いがあります。短い順に並べると ボルズィ < クービビック < ベルソムラ < デエビゴ となります。

5. 3つの新薬それぞれの特徴

デエビゴ®(レンボレキサント)

デエビゴ®は、寝つき(入眠困難)と夜中の目覚め(中途覚醒)の両方に効果が期待でき、幅広い不眠に使いやすい薬です。比較研究では、入眠までの時間や中途覚醒に対する効果が良好と報告されています。作用がやや長めのため、翌朝に眠気が持ち越したり、まれに悪夢が起こることがあります。「寝つきも夜中の目覚めも気になる」「しっかり眠りを持続させたい」という方に向きます。

クービビック®(ダリドレキサント)

クービビック®は2024年12月に発売された不眠症治療薬です。半減期が約8時間と中程度で、睡眠全体をカバーしながら、翌朝への持ち越しが少ないのが特長です。通常は1日1回50mgを就寝直前に、状態に応じて25mgを用います(食事と同時・食直後の服用は避けます)。「翌日の仕事や運転で日中の眠気を避けたい」「朝のだるさが気になる」という方に向く、バランスの良い薬と評価されています。

ボルズィ®(ボルノレキサント)──第4の最新薬 🆕

ボルズィ®は、大正製薬が国内で開発し(Meiji Seika ファルマと併売)、2025年8月25日に製造販売承認を取得、2025年11月27日に発売された最も新しい不眠症治療薬です。海外では未承認の、いわば「日本発」のオレキシン受容体拮抗薬です。最大の特長は半減期が約1.3〜3.3時間と4剤のなかで最も短いこと。そのため翌日への持ち越し(眠気・注意力や集中力の低下)のリスクが少ないと期待され、特に「寝つきが悪い(入眠困難)」タイプの不眠で候補になります。通常は1日1回5mgを就寝直前に、最大10mgまで用います(2.5・5・10mg錠)。作用時間が短いぶん、早朝覚醒が強い方では効果の持続を確認しながら調整します。新薬のため、これから使用経験を重ねていく段階です。

📊 4剤のなかでの位置づけ

「とにかく翌日に残したくない・寝つきだけ整えたい」ならボルズィ、「夜通ししっかり眠りたい」ならデエビゴ、というように、同じオレキシン受容体拮抗薬でも持続時間で使い分けられるようになりました。どれが合うかは、不眠のタイプと生活スタイル次第です。

6. 従来薬(ベンゾジアゼピン系)との違い

  ベンゾジアゼピン系(従来) オレキシン受容体拮抗薬(新)
眠らせ方 脳全体を鎮めて眠らせる 覚醒を弱め、自然な眠りに近づける
依存・耐性 起こりやすく、やめにくいことがある 起こりにくいとされる
ふらつき・転倒 筋弛緩作用でリスクあり(高齢者で特に注意) 筋弛緩作用が少ない

⚠️ 従来薬が悪いわけではありません

ベンゾジアゼピン系にも適した場面があります。大切なのは、一人ひとりの状態に合わせて、できるだけ依存の少ない薬を、必要最小限で、出口を見据えて使うことです。

7. お酒の量を減らしたい方へ──「減酒」とセリンクロ

寝酒の習慣があり「眠るために飲んでいるうちに、お酒の量が増えてしまった」という方には、睡眠の整え方とあわせて「飲酒量そのものを見直す」ことが、肝臓を守るうえでとても大切です。そこで近年注目されているのが、「断酒」ではなく「減酒(飲酒量の低減)」という考え方です。
その手段のひとつが、国内初の飲酒量低減薬セリンクロ®(一般名:ナルメフェン塩酸塩水和物)です。大塚製薬とH.ルンドベック社が開発し、2019年1月8日に製造販売承認を取得、同年3月5日に発売されました。飲酒の1〜2時間前に1回10mgを服用すると、脳のオピオイド受容体(μ・δ受容体に拮抗、κ受容体に部分的に作動)を介して飲酒欲求をやわらげ、飲酒量を低減すると考えられています(1日1回まで、症状により最大20mgまで)。
✅ 「減酒」というアプローチ
「いきなりお酒を完全にやめるのは難しい」という方でも、まずは量を減らすことから始められます。飲酒量が減れば、肝臓の数値(γ-GTPなど)の改善や、寝酒に頼らない睡眠の回復が期待できます。大塚製薬の無料アプリ「減酒にっき」などで記録をつけながら進めると、変化を実感しやすくなります。

⚠️ 大切な前提

セリンクロ®の効能・効果は「アルコール依存症患者における飲酒量の低減」です。単なる「少し飲みすぎ」という段階では処方の対象になりません。また、アルコール依存症治療の最終的な目標は原則として「断酒」であり、減酒はそこへ向かう中間ステップ、あるいは治療目標の一つと位置づけられています。心理社会的な支援とあわせて用いるお薬です。まずは医師にご相談ください。

当院(1F保険診療)では、こうした「お酒と肝臓」のお悩みに関する詳しい解説記事もご用意しています。減酒・セリンクロの具体的な進め方、飲酒量のセルフチェック(AUDIT・KAST)、脂肪肝の新しい診断(MASLD・MASH)まで、本記事末尾の「あわせて読みたい関連記事」から続けてご覧いただけます。
🔁 クロスポイント:睡眠・お酒・肝臓・抗加齢はつながっている
🛏️ 睡眠:寝酒をやめて眠りの質を取り戻すことが、すべての出発点です。
🍺 お酒:減酒で飲酒量をコントロールすれば、肝臓への負担が軽くなります。
🫀 肝臓:脂肪肝・アルコール関連肝疾患は、早く気づいて手を打てば改善が見込めます。
🌱 抗加齢:「薬に頼り続ける」のではなく「眠る力・お酒と上手につき合う力を取り戻す」。これは、自分の力で健やかに年を重ねるという抗加齢の発想そのものです。

8. 副作用と注意点

オレキシン受容体拮抗薬は比較的安全性の高い薬ですが、「副作用ゼロ」ではありません。よくみられるのは翌日の眠気・頭痛・倦怠感などで、多くは軽度です。次の点にご注意ください。

📊 使用上の注意

• 服用後は自動車の運転や危険を伴う作業は避ける(翌朝に眠気が残る場合も)
アルコールとの併用は避ける(効果や副作用が強まることがあります/寝酒との「兼用」は禁物です)
• まれに、入眠時や中途覚醒時の幻覚・悪夢・金縛り様の症状が出ることがある
• 就寝の直前に服用し、すぐ横になる
• 必ず医師の指示どおりに使用し、自己判断で量を増やさない

9. 当院の方針──「出口」を見据えた処方

不眠症治療の第一選択は、世界的にも睡眠衛生指導と認知行動療法(CBT-I)です(「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」)。薬はそれを補うもの。五良会クリニック白金高輪では、最初から「減らす・卒業する」ことを見据えて、デエビゴ・クービビック・ボルズィなど依存の少ない薬を、不眠のタイプに合わせて必要最小限で用います。
🏥 当院(1F保険診療)の強み
• 新しい睡眠薬(ボルズィを含む4剤)から、一人ひとりに合った薬をご提案
• 今飲んでいる睡眠薬の見直し・減薬のご相談にも対応
• お酒と肝臓のお悩みには、減酒(セリンクロ)のご相談・腹部エコー・肝機能評価まで対応
• 胃カメラ・大腸カメラは土曜・日曜・祝日も含めて毎週実施。脂肪肝の背景にある生活習慣まで、消化器内科・糖尿病内科と連携して評価

10. よくあるご質問(FAQ)

Q1. 「寝酒」と睡眠薬、どちらがマシですか?
A. 眠るための手段としては、依存の少ない睡眠薬のほうが睡眠の質を保ちやすく、肝臓への負担も避けられます。寝酒は一時的に寝つきを良くしても、夜の後半の眠りを浅くし、量も増えやすいため、習慣化はおすすめできません。
Q2. デエビゴ・クービビック・ボルズィ、どれが良いですか?
A. 一概には言えません。夜通ししっかり眠りたいならデエビゴ、バランス重視ならクービビック、翌日に残したくない・寝つき中心ならボルズィが候補です。症状や生活に合わせて医師が選びます。
Q3. 睡眠薬とお酒を一緒に飲んでもいいですか?
A. 避けてください。アルコールと睡眠薬の併用は、効果や副作用が強まる危険があります。睡眠薬を始めたら、寝酒は卒業することが前提です。
Q4. セリンクロは「お酒を飲みすぎる人」なら誰でも使えますか?
A. いいえ。対象は医師が「アルコール依存症」と診断した方に限られます。飲酒量や飲み方が気になる場合は、まずAUDIT・KASTなどのチェックや診察でご相談ください。
Q5. 今のベンゾ系の薬から切り替えられますか?
A. 可能なことが多いです。急な変更は反動を招くため、計画的に切り替え・減薬を進めます。ご相談ください。
Q6. 市販で買えますか?
A. ここで紹介した睡眠薬もセリンクロも、いずれも医師の処方が必要な医療用医薬品です。市販の睡眠改善薬とは別物です。当院でご相談ください。

11. 理事長コメント

💬 理事長 五藤良将より
「外来では『眠れないから寝酒が手放せない』というご相談をよくいただきます。でも、お酒で眠る習慣は睡眠の質を下げ、知らないうちに肝臓を傷めていきます。今は依存しにくい新しい睡眠薬がそろい、お酒の量に向き合う『減酒』という選択肢もあります。眠りもお酒も、無理にがまんするのではなく、出口を見据えて一緒に整えていきましょう。腹部エコーや内視鏡、肝機能の評価まで一つの場所で続けられるのが、当院の強みです。」

12. まとめ

📝 この記事のポイント
✅ 「寝酒」は睡眠の質を下げ、量が増えて肝臓を傷める悪循環を招きやすい
✅ オレキシン受容体拮抗薬は、自然な眠りに近く依存しにくい新しい睡眠薬
✅ 日本では4剤(ベルソムラ・デエビゴ・クービビック・ボルズィ)が使え、半減期で使い分ける
✅ 最新のボルズィ®は半減期が最短で、翌日に持ち越しにくい(2025年11月発売)
✅ お酒の量を減らしたい方には、減酒薬セリンクロ®という選択肢(対象はアルコール依存症と診断された方)
✅ 睡眠・お酒・肝臓・抗加齢はつながっている。出口を見据えて一緒に整えることが大切
参考:大正製薬・Meiji Seika ファルマ「ボルズィ錠2.5mg/5mg/10mg」ニュースリリース(2025年8月25日製造販売承認取得・2025年11月27日発売)/PMDA ボルズィ錠 添付文書/大塚製薬「セリンクロ錠10mg」ニュースリリース(2019年1月8日承認・2019年3月5日発売)/PMDA セリンクロ錠10mg 添付文書・医薬品リスク管理計画書(効能・効果:アルコール依存症患者における飲酒量の低減)/各製品添付文書(ベルソムラ・デエビゴ・クービビック)/日本睡眠学会ほか「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」
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