続く下痢・腹痛、放っておいて大丈夫?受診の目安と検査を消化器内科専門医・指導医が解説
執筆:五良会クリニック白金高輪|院長 玉井博修、監修:医療法人社団五良会|理事長、竹内内科小児科医院|院長 五藤良将(糖尿病内科・感染症)
下痢や腹痛は、多くの場合は数日で自然に治まります。ところが、「何日たってもスッキリしない」「治ったと思ったらまた繰り返す」という下痢・腹痛が続くと、不安になる方も多いと思います。
続く下痢・腹痛の背景には、感染症だけでなく、過敏性腸症候群(IBS)や炎症性腸疾患、ときに大腸がんなどが隠れていることもあります。この記事では、消化器内科の視点から、下痢を「期間」で見分ける考え方、見逃したくない危険なサイン、そして消化器内科で行う検査までを、わかりやすくご説明します。

1. 下痢は「続いた期間」で分けて考える
下痢は、続いた期間によって大きく3つに分けて考えると整理しやすくなります。この「どのくらい続いているか」が、原因を見極めるうえでとても重要な手がかりになります。
| 分類 | 続いた期間 | 考えられる主な原因 |
|---|---|---|
| 急性下痢 | おおむね2週間以内 | 多くはウイルス・細菌などによる感染性腸炎。食あたり・食中毒もここに含まれる |
| 遷延性下痢 | 2〜4週間程度 | 感染後に続く下痢、薬の影響など。長引く場合は精査を検討 |
| 慢性下痢 | 4週間以上 | 過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、大腸がん、薬剤性、甲状腺の異常など。一度きちんと調べるべき |
ポイント
急性下痢の多くは感染が原因で、水分をとりながら数日待てば回復します。一方、4週間以上続く慢性下痢は、感染以外の病気が隠れていることがあるため、自己判断で様子を見続けず、消化器内科でのチェックをおすすめします。
2. 続く下痢・腹痛の背景にある主な病気
下痢・腹痛が長引くとき、背景には次のような病気が考えられます。「ただのお腹の弱さ」と思っていたものが、実は治療できる病気だったというケースも少なくありません。
| 病気 | 特徴 |
|---|---|
| 過敏性腸症候群(IBS) | 検査で異常がないのに、腹痛や下痢・便秘を繰り返す。ストレスや緊張で悪化しやすい |
| 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病) | 腸に慢性的な炎症が起こる。血便・体重減少・発熱を伴うことがあり、若い世代にもみられる |
| 大腸ポリープ・大腸がん | 便通の変化(下痢と便秘の繰り返し)、血便、便が細くなる、体重減少などで気づくことがある |
| 薬剤性の下痢 | 抗菌薬(抗生物質)などの服用後に起こることがある。市販薬・サプリも一因になりうる |
| 甲状腺機能の異常・糖尿病など | 甲状腺ホルモンの過剰や、糖尿病による自律神経の乱れでも下痢が続くことがある |
⚠️ 「ストレスのせい」と決めつけない
過敏性腸症候群はとても多い病気ですが、その診断はほかの病気がないことを確認したうえで下されるものです。はじめから「ストレス性」と自己判断してしまうと、治療が必要な病気を見逃すことがあります。
3. 見逃したくない危険なサイン
次のようなサイン(医学的には「警告症状」と呼びます)があるときは、背景に炎症性腸疾患や大腸がんなどが隠れている可能性があります。一つでも当てはまる場合は、自己判断で様子を見ず、早めに消化器内科を受診してください。
早めの受診をおすすめする「危険なサイン」
① 血便が出る、便が黒い
② 体重が知らないうちに減ってきた
③ 夜間や睡眠中にも下痢・腹痛で目が覚める
④ 発熱を伴う、強い腹痛がある
⑤ 50歳以上になって初めてこうした症状が出てきた
⑥ 健診で貧血を指摘された
⑦ 家族に大腸がんや炎症性腸疾患の方がいる
とくに血便は、痔のような肛門近くの出血から、大腸の炎症・腫瘍まで原因がさまざまです。「痔だろう」と思い込まず、一度は大腸の状態を確認しておくことが安心につながります。
4. 消化器内科で行う検査
続く下痢・腹痛の原因を調べるため、消化器内科では症状やリスクに応じて次のような検査を組み合わせます。すべてを一度に行うわけではなく、まずは負担の少ない検査から段階的に進めます。
| 問診・診察 | 症状の経過、便の性状、食事、服用中の薬、ご家族の病気などを丁寧にうかがい、お腹を診察します。原因を絞り込む最初の重要なステップです。 |
| 血液検査 | 炎症の有無、貧血、栄養状態、甲状腺ホルモンなどを確認します。 |
| 便の検査 | 便潜血(出血の有無)や、必要に応じて細菌の検査を行います。 |
| 腹部エコー | 体に負担をかけず、お腹の中の様子を調べます。 |
| 内視鏡検査 | 大腸カメラ(大腸内視鏡)では、炎症・ポリープ・がんの有無を直接確認でき、組織を採って詳しく調べることもできます。みぞおちの痛みや吐き気を伴う場合は胃カメラも検討します。 |
5. 過敏性腸症候群(IBS)かもしれないとき
検査をしても明らかな異常がないのに、腹痛とともに下痢や便秘を繰り返す場合、過敏性腸症候群(IBS)が考えられます。腸そのものに傷や炎症があるわけではなく、ストレスや緊張、生活リズムの乱れなどをきっかけに、腸が過敏に反応してしまう状態です。
「通勤電車の中でお腹が痛くなる」「大事な会議の前に決まって下痢をする」といった形で、日常生活に支障が出ることもあります。IBSは決して気のせいではなく、食事・生活習慣の工夫やお薬で十分に改善が見込める病気です。まずは危険なサインがないかを確認し、必要な検査でほかの病気を除外したうえで、一人ひとりに合った治療を考えていきます。
6. 受診の目安と当院でできること
下痢・腹痛で受診を迷ったときは、次の目安を参考にしてください。
こんなときは消化器内科へ
① 下痢が2週間以上続いている/繰り返している
② 血便・体重減少・発熱など「危険なサイン」がある
③ 症状で日常生活や仕事に支障が出ている
④ 健診の便潜血で「要精査」と言われた
五良会クリニック白金高輪では、消化器内科の視点からつらい下痢・腹痛の原因を見極め、血液・便・エコー・内視鏡検査までを院内で一貫して行えます。糖尿病や甲状腺など全身の病気が背景にある場合も、内科全体で対応できる体制です。土曜・日曜・祝日も診療しておりますので、お気軽にご相談ください。
7. よくあるご質問(FAQ)
8. 理事長コメント
9. まとめ
✅ 背景にIBS・炎症性腸疾患・大腸がん・薬剤性などが隠れることがある
✅ 血便・体重減少・夜間の下痢・50歳以上での発症は危険なサイン
✅ 検査は血液・便・エコー・内視鏡を症状に応じて段階的に
✅ 「ストレス性」と決めつけず、まずは消化器内科でチェックを
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理事長 五藤 良将