夏バテで胃腸が弱っていませんか?食欲不振・胃もたれの原因と対策を消化器内科医が解説
執筆:五良会クリニック白金高輪|院長 玉井博修(日本内科学会 総合内科専門医・指導医/日本消化器病学会 専門医・指導医/日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医/日本肝臓学会 専門医・指導医)
共著:医療法人社団五良会|理事長、竹内内科小児科医院|院長 五藤良将(糖尿病内科・感染症)
皆さま、こんにちは。五良会クリニック白金高輪です。本記事は、消化器・内視鏡・肝臓の専門医である院長・玉井博修と、理事長・五藤良将の共著でお届けします。本格的な夏を迎え、「なんとなく食欲がない」「胃が重くて朝食が入らない」「冷たいものばかり飲んでいたらお腹の調子が悪い」——そんな「夏バテによる胃腸の不調」を感じている方が、この時期の外来では目立って増えてきます。
夏バテは「気合いで乗り切るもの」と思われがちですが、実際には自律神経の乱れと消化機能の低下が組み合わさった、れっきとした体の変調です。そして中には、夏バテだと思って放置していたら、別の病気が隠れていたというケースも少なくありません。この記事では、消化器内科の視点から、夏に胃腸が弱るメカニズム、自分でできる対策、そして「受診したほうがよいサイン」までを詳しく解説します。
1. 「夏バテ」とは何か——医学的に見た正体
「夏バテ」は正式な病名ではなく、夏の高温多湿な環境に体が適応しきれずに起こる、全身のだるさ・食欲不振・胃腸の不調などの総称です。医学的には、暑さによる自律神経の失調、発汗にともなう水分・電解質の喪失、そして消化機能の低下が組み合わさった状態と考えられています。
特に近年の日本の夏は、最高気温35℃を超える猛暑日が続くうえ、屋外の暑さと冷房の効いた室内との大きな温度差に一日に何度もさらされます。体温調節を担う自律神経はそのたびにフル稼働を強いられ、疲弊していきます。自律神経は胃腸の動き(蠕動運動)や消化液の分泌もコントロールしているため、自律神経が乱れると真っ先に影響が出やすいのが胃腸なのです。
ポイント:夏バテの胃腸症状は「自律神経の疲れ」のあらわれ
食欲不振や胃もたれは、胃そのものの故障というより、胃腸を動かす司令塔である自律神経が暑さで疲弊しているサインです。だからこそ、食事の工夫だけでなく、睡眠や温度差対策など「自律神経をいたわる生活」が回復の鍵になります。
2. なぜ夏に胃腸が弱るのか——3つのメカニズム
メカニズム1:自律神経の乱れで胃腸の動きが低下する
胃腸の蠕動運動や胃酸・消化酵素の分泌は、主に副交感神経が優位なときに活発になります。ところが、猛暑や室内外の温度差というストレスが続くと交感神経が優位な状態が長く続き、胃腸の働きにブレーキがかかります。その結果、「食べたものがいつまでも胃に残っている感じ(胃もたれ)」「少し食べただけでお腹いっぱいになる(早期満腹感)」といった症状が出やすくなります。
メカニズム2:冷たい飲食物のとりすぎで消化機能が落ちる
暑いとどうしても、冷たい飲み物やアイス、そうめんなどの冷たい麺類に偏りがちです。冷たいものを一度に大量にとると胃の血流が低下し、消化酵素の働きも鈍くなるため、消化不良や下痢を起こしやすくなります。また、糖質中心の食事に偏ることで、たんぱく質やビタミンB群など疲労回復に必要な栄養素が不足し、だるさがさらに悪化するという悪循環に陥ります。
メカニズム3:かくれ脱水が胃腸にも影響する
夏は自覚がないまま体の水分が失われる「かくれ脱水」が起こりやすい季節です。体の水分が不足すると、消化液の分泌が減るだけでなく、腸の内容物の水分も減って便秘につながることがあります。一方で、冷たい水分の一気飲みは下痢の原因にもなり、夏は便秘と下痢を繰り返す方も少なくありません。
3. あなたの不調は夏バテ?セルフチェック
次のような症状が暑くなってから現れ、涼しい環境で休むと少し楽になる場合は、夏バテによる胃腸の不調の可能性が高いと考えられます。
| 症状のタイプ | 具体的なサイン |
|---|---|
| 食欲の変化 | 朝食が入らない/冷たい麺類ばかり食べている/少量でお腹いっぱいになる |
| 胃の症状 | 胃もたれ/みぞおちの重さ・つかえ感/げっぷが増えた |
| 腸の症状 | 軟便・下痢が続く/便秘と下痢を繰り返す/お腹の張り |
| 全身の症状 | 体のだるさが抜けない/寝ても疲れが取れない/頭が重い・集中できない |
⚠️ 注意
上記に当てはまっても、症状が2週間以上続く場合や、次章の「危険なサイン」がひとつでもある場合は、夏バテと自己判断せず医療機関の受診をおすすめします。
4. 放置してはいけない「危険なサイン」
消化器内科医として最もお伝えしたいのはここです。「夏バテだと思っていたら、検査をしてみると別の病気だった」というケースは、決してまれではありません。以下のサインは、夏バテでは通常起こらない症状です。
次の症状があれば、早めに医療機関を受診してください
✖ 意図しない体重減少(半年で体重の5%以上、例: 60kgの方で3kg以上)
✖ 黒い便(タール便)や血便が出た
✖ 嘔吐を繰り返す、吐いたものに血が混じる
✖ 飲み込むときのつかえ感が続く・悪化している
✖ 夜中に痛みで目が覚めるほどの腹痛
✖ 発熱をともなう下痢や、激しい腹痛をともなう下痢
✖ 健康診断で貧血や便潜血陽性を指摘されたまま放置している
これらは、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、感染性腸炎、さらには胃がん・大腸がんなど、検査による確認が必要な病気のサインである可能性があります。「夏だから仕方ない」と様子を見ているうちに進行してしまうことが、いちばん避けたい事態です。
5. 弱った胃腸を立て直す食事のポイント
夏バテで弱った胃腸には、「スタミナをつけよう」と揚げ物や焼肉を無理に食べるのはかえって逆効果です。消化にやさしく、必要な栄養素を効率よくとることを優先しましょう。
| ポイント | 具体例 |
|---|---|
| たんぱく質を毎食少しずつ | 卵、豆腐、白身魚、鶏むね肉、納豆など消化のよいたんぱく源を。冷奴や温泉卵は食欲がないときにも取り入れやすい食材です |
| ビタミンB1を意識する | 豚肉、うなぎ、枝豆、豆類など。糖質をエネルギーに変える際に必要で、不足すると疲労感が強まります。ねぎ・にら・にんにくと組み合わせると吸収が高まります |
| 「温」を一品加える | 冷たい麺だけで済ませず、味噌汁やスープなど温かい一品を添えて胃の血流を保ちます。具だくさんの汁物は水分・塩分・栄養補給を兼ねられます |
| 香味野菜・酸味を活用 | みょうが、しそ、生姜、梅干し、お酢などは食欲を引き出す助けになります |
| アルコールは控えめに | ビールの飲みすぎは胃粘膜への刺激と脱水・尿酸値上昇の原因になります。飲む場合は水分を並行してとりましょう |
6. 生活習慣の工夫——冷房・睡眠・水分のとり方
冷房は「我慢せず、冷やしすぎず」
冷房を我慢すると熱中症のリスクが高まるため、冷房は適切に使うことが大前提です。そのうえで、室内外の温度差が大きくなりすぎないよう室温の目安は26〜28℃程度とし、風が直接体に当たらないようにしましょう。オフィスなどで温度を調整できない場合は、カーディガンや腹巻きでお腹まわりを冷やさない工夫が有効です。
睡眠は自律神経の回復時間
疲弊した自律神経を回復させる最大の手段は睡眠です。熱帯夜に冷房を切って寝ると睡眠の質が大きく下がるため、朝までつけたままにして室温を保つほうが体への負担は少なくなります。就寝直前の熱いお風呂や飲酒、スマートフォンの長時間使用は睡眠を浅くするので控えめにしましょう。
水分は「冷やしすぎず、こまめに」
キンキンに冷えた飲み物の一気飲みは胃腸への刺激が強いため、常温〜軽く冷えた程度の水分をこまめにとるのが理想です。大量に汗をかいたときは水だけでなく塩分(電解質)の補給も忘れずに。なお、緑茶やコーヒーなどカフェイン飲料、アルコールは利尿作用があるため、水分補給の主役には向きません。
7. 夏バテに隠れていることがある病気
「夏バテによる食欲不振・だるさ」とよく似た症状を示す病気があります。対策をしても改善しない場合は、以下の可能性を検査で確認する価値があります。
| 隠れていることがある病気 | 夏バテと紛らわしい点・見分けのヒント |
|---|---|
| 機能性ディスペプシア | 検査で異常がないのに胃もたれ・早期満腹感が続く病気。夏に悪化することもありますが、季節を問わず症状が続くのが特徴です。治療法があるため「体質」とあきらめる必要はありません |
| 逆流性食道炎 | 胸やけ、げっぷ、みぞおちの不快感。冷たい炭酸飲料やビールの増える夏に悪化しやすい病気です |
| 胃潰瘍・胃がんなどの胃の病気 | 初期症状は夏バテの胃症状とほぼ区別がつきません。体重減少・黒色便・貧血をともなう場合は必ず胃カメラでの確認を |
| 鉄欠乏性貧血 | だるさ・疲れやすさ・動悸が夏バテと紛らわしい代表例。血液検査ですぐに分かります。背景に消化管からの出血が隠れていることもあります |
| 糖尿病 | のどの渇き・倦怠感・体重減少は高血糖のサインでもあります。甘い清涼飲料水を多飲する夏は血糖値が悪化しやすい季節です |
| 甲状腺機能の異常 | 暑がり・動悸・体重減少(機能亢進)や、だるさ・むくみ(機能低下)など。血液検査で確認できます |
8. 当院でできる検査——胃カメラは土日祝も対応
五良会クリニック白金高輪では、夏バテに隠れた病気を見逃さないために、次のような検査体制を整えています。
| STEP 1 | 診察・問診 症状の経過、食事・生活状況、体重の変化などを詳しくうかがい、夏バテとして経過を見てよいか、検査が必要かを判断します |
| STEP 2 | 血液検査 貧血、肝機能・腎機能、血糖値(HbA1c)、電解質、甲状腺機能などを確認し、だるさの背景に内科的な病気がないかを調べます |
| STEP 3 | 胃カメラ(上部消化管内視鏡) 胃もたれ・つかえ感・黒色便などがある場合に。当院は土日祝も毎週、内視鏡検査に対応しており、平日お忙しい方も受けていただきやすい体制です。鎮静剤を用いた楽な検査にも対応しています |
白金高輪駅 徒歩1分・火曜以外は毎日診療
当院は東京メトロ南北線・都営三田線「白金高輪駅」2番出口から徒歩1分。土・日・祝日も10:00〜15:00で診療しています。「平日は仕事で受診できない」という方こそ、夏の不調を放置せずご相談ください。
9. よくあるご質問
10. 院長・理事長コメント
11. まとめ
✅ 冷たい飲食物のとりすぎ・かくれ脱水が胃腸の不調に拍車をかける
✅ 対策の基本は消化にやさしい食事+温かい一品、冷やしすぎない水分補給、質のよい睡眠
✅ 体重減少・黒色便・嘔吐の継続・2週間以上続く症状は夏バテと自己判断しない
✅ 夏バテの陰に貧血・糖尿病・胃腸の病気が隠れていることがあり、血液検査と胃カメラで確認できる
✅ 当院は土日祝も診療・内視鏡検査に対応。白金高輪駅徒歩1分でアクセスも便利
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東京メトロ南北線・都営三田線「白金高輪駅」2番出口 徒歩1分
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院長 玉井 博修
理事長 五藤 良将