その夏の疲れ、「夏バテ」ではなく「かくれ貧血」かもしれません ― 鉄欠乏性貧血のサインと対処法|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

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その夏の疲れ、「夏バテ」ではなく「かくれ貧血」かもしれません ― 鉄欠乏性貧血のサインと対処法|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

その夏の疲れ、「夏バテ」ではなく「かくれ貧血」かもしれません ― 鉄欠乏性貧血のサインと対処法

医療法人社団五良会|理事長、竹内内科小児科医院|院長 五藤良将(糖尿病内科・感染症)

その夏の疲れ、「夏バテ」ではなく「かくれ貧血」かもしれません ― 鉄欠乏性貧血のサインと対処法

暑さが本格化するこの季節、「体がだるい」「すぐ息切れする」「立ちくらみがする」といった不調を、なんとなく夏バテのせいにしていませんか。確かに夏の疲労の多くは暑さや睡眠不足によるものですが、その中には鉄欠乏性貧血(てつけつぼうせいひんけつ)が隠れていることがあります。症状が夏バテとよく似ているため、見過ごされやすいのが特徴です。

鉄欠乏性貧血は女性に多い印象を持たれがちですが、男性や高齢の方にも起こり、その背景に消化管の病気が隠れているケースもあります。この記事では、夏に気づきやすい「かくれ貧血」の見分け方、検査でわかること、食事と治療のポイントを、五良会クリニック白金高輪の内科・血液内科の視点から分かりやすく解説します。

この記事の結論

夏の慢性的な倦怠感・息切れ・立ちくらみが続くときは、暑さのせいと決めつけず、一度血液検査を受けることをおすすめします。鉄欠乏性貧血は原因を見つけて適切に治療すれば改善が期待できる一方、放置すると背後の病気を見逃すことがあります。

1. 「夏バテ」と「かくれ貧血」はなぜ間違えやすいのか

夏バテと鉄欠乏性貧血は、症状が驚くほど似ています。どちらも全身のだるさ・食欲低下・集中力の低下を起こすため、ご自身では区別がつきにくいのです。「毎年夏になると調子が悪い」という方の中には、実は通年で軽い貧血が続いていて、暑さが加わることで症状が表面化している方もいらっしゃいます。

項目 いわゆる夏バテ 鉄欠乏性貧血(かくれ貧血)
主な誘因 暑さ・発汗・睡眠不足・自律神経の乱れ 鉄不足(出血・摂取不足・需要増加)
経過 涼しくなると改善することが多い 季節に関係なく続く・徐々に進行
特徴的なサイン ほてり・寝苦しさ・胃腸の重さ 顔色が悪い・爪がもろい・氷を無性に食べたくなる
確かめ方 経過観察・生活改善 血液検査で確定できる

大きな違いは、貧血は血液検査で客観的に確認できるという点です。「夏が終わっても疲れが抜けない」「毎年なんとなく不調」という方は、自己判断で済ませず一度調べてみる価値があります。

2. 鉄欠乏性貧血とは ― 体の中で何が起きているか

血液の赤い色のもとであるヘモグロビン(血色素)は、全身に酸素を運ぶ役割を担っています。このヘモグロビンを作るために欠かせない材料がです。鉄が不足するとヘモグロビンが十分に作れなくなり、全身が軽い酸欠状態になります。これが鉄欠乏性貧血で、貧血の中でもっとも頻度が高いタイプです。

鉄が不足する3つの経路

鉄欠乏は、おおまかに次の3つのいずれか(あるいは複数)で起こります。

① 失う量が増える(出血)
月経過多、胃・十二指腸潰瘍や大腸ポリポーシス・腫瘍などからの消化管出血、痔など。少量でも持続すると鉄が枯渇します。
② 取り込む量が足りない(摂取・吸収不足)
偏った食事や過度なダイエット、胃の手術後やピロリ菌感染による吸収低下など。
③ 必要量が増える(需要増加)
妊娠・授乳期、成長期、激しい運動を続けるアスリートなど、体が多くの鉄を必要とする時期。

大切なのは、鉄欠乏性貧血は「結果」であって、その奥に必ず原因があるという点です。鉄剤で数値を上げるだけでなく、なぜ鉄が足りなくなったのかを突き止めることが、本当の意味での治療になります。

3. なぜ夏に貧血が目立ちやすいのか

鉄欠乏そのものは季節を問いませんが、夏は次のような理由で貧血の症状が表面化しやすくなります。

食事が偏りやすい

暑さで食欲が落ち、そうめんや冷たい麺類などあっさりした炭水化物中心になりがちです。肉・魚・卵といった鉄を多く含む食品が減ると、鉄の摂取量も自然に低下します。

脱水で症状が増幅されやすい

発汗による軽い脱水は、立ちくらみやふらつきを招きます。もともと貧血がある方では、脱水と貧血が重なってめまいや倦怠感が強く出ることがあります。

「夏バテだから」と受診が遅れやすい

夏は不調を季節のせいにしやすく、結果として背後の貧血や病気の発見が遅れる傾向があります。これが夏のかくれ貧血のいちばんの落とし穴です。

4. こんな症状は要注意 ― セルフチェック

以下の項目に複数あてはまる場合、鉄欠乏性貧血の可能性があります。あくまで目安であり、診断は血液検査が必要です。

📝 かくれ貧血セルフチェック
□ 階段や坂道で以前より息切れしやすい
□ 朝起きても疲れが取れない・日中だるい
□ 立ち上がったときにクラっとする
□ 顔色や唇、まぶたの裏が白っぽいと言われる
□ 爪が割れやすい・スプーン状に反っている
□ 髪が抜けやすくなった
□ 氷や生米など、食べ物以外を無性に口にしたくなる(氷食症)
□ 集中力が続かない・頭が重い
□ 動悸がする・脈が速いと感じる

⚠️ 注意

貧血はゆっくり進むと体が慣れてしまい、かなり進行するまで自覚しにくいことがあります。「いつものこと」と感じていても、数値では中等度以上の貧血ということも珍しくありません。

5. 貧血の背後に隠れている病気

鉄欠乏性貧血で特に注意したいのが、消化管からの慢性的な出血です。胃・十二指腸潰瘍やポリープ、まれに胃がん・大腸がんなどが、痛みのないまま少量ずつ出血し、貧血として最初に見つかることがあります。

こんなときは原因の精査が大切です

月経のない男性や閉経後の女性に鉄欠乏性貧血がみられる場合、消化管出血をはじめとする原因の検索がとりわけ重要になります。便潜血が陽性だった方、黒い便(タール便)が出た方も同様です。

こうした場合に有用なのが胃カメラ(上部消化管内視鏡)・大腸カメラ(下部消化管内視鏡)です。出血源を直接確認でき、ポリープなどはその場で対応できることもあります。当院では血液検査から内視鏡検査まで院内で連携して進められる体制を整えています。

6. 検査でわかること ― ヘモグロビンとフェリチン

鉄欠乏性貧血は、採血で比較的かんたんに評価できます。とくに重要なのが、貧血の有無をみるヘモグロビンと、体内の鉄の貯金量を反映するフェリチンです。

検査項目 わかること
ヘモグロビン(Hb) 貧血があるかどうか。WHOの基準では成人男性13g/dL未満、成人女性(非妊娠)12g/dL未満が貧血の目安とされます。
MCV(赤血球の大きさ) 鉄欠乏では赤血球が小さくなる(小球性)傾向。貧血のタイプを推定できます。
フェリチン 体内の貯蔵鉄の量。低下していれば鉄が枯渇しているサイン。ヘモグロビンが正常でもフェリチンだけ低い「かくれ鉄欠乏」を拾えます。
血清鉄・TIBC 鉄の不足や代謝の状態を補助的に評価します。
🔬 ポイント:フェリチンの大切さ
ヘモグロビンが基準内でも、フェリチンが低ければ鉄の「貯金」はすでに底をつきかけています。健診の標準項目にフェリチンは含まれないことが多いため、疲れやすさが続く方は医療機関でフェリチンを含めた検査を相談するとよいでしょう。なお、フェリチンは炎症があると高めに出ることがあり、結果の解釈には医師の判断が役立ちます。

7. 食事で鉄を上手に取るコツ

食事の鉄には2種類あり、吸収のされやすさが異なります。動物性食品に多いヘム鉄は吸収がよく、植物性食品に多い非ヘム鉄はやや吸収されにくいのが特徴です。

種類 多く含む食品
ヘム鉄(吸収◎) 赤身肉、レバー、カツオ・マグロなどの赤身魚、あさり
非ヘム鉄(吸収○) ほうれん草、小松菜、大豆製品、ひじき、卵
✅ 吸収を高める工夫
ビタミンC(野菜・果物)と一緒に取ると非ヘム鉄の吸収が高まります
・たんぱく質をしっかり取る(鉄を運ぶ材料になります)
・食事の直後の濃いお茶・コーヒーは鉄の吸収を妨げることがあるので、少し時間をあけると安心です

⚠️ 食事だけで治そうとしないで

すでに貧血がある場合、食事の改善だけで十分な鉄を補うのは難しいことが多いです。バランスのよい食事は再発予防には大切ですが、診断と治療は医療機関で受けてください。

8. 治療の進め方 ― 鉄剤と原因治療

鉄欠乏性貧血の治療は、大きく「鉄を補う」ことと「鉄が減った原因を治す」ことの両輪で進めます。

STEP 1 診断と原因の検索
血液検査で貧血と鉄欠乏を確認し、必要に応じて内視鏡や婦人科的な評価で原因を調べます。
STEP 2 鉄を補う
多くは飲み薬の鉄剤を使います。胃のむかつきなどが出る場合は、用量や種類の調整、状況により点滴での鉄補充を検討します。
STEP 3 原因の治療
潰瘍・ポリープ・月経過多など、見つかった原因に応じた治療を行います。ここが再発予防の鍵です。
STEP 4 貯蔵鉄まで回復させる
ヘモグロビンが正常化しても、フェリチンが十分に回復するまで治療を続けることが大切です。自己判断で中断すると再発しやすくなります。

鉄剤を飲むときの豆知識

鉄剤で便が黒くなることがありますが、薬によるもので心配は不要です。一方、胃の不快感や便秘などが気になるときは、我慢せず主治医にご相談ください。飲み方の工夫で続けやすくなることがあります。

9. よくあるご質問(FAQ)

Q. サプリメントの鉄でも治せますか?
A. 軽い予防には役立つこともありますが、貧血と診断された場合は医療用の鉄剤のほうが含有量・吸収の面で確実です。まずは原因を調べ、治療方針を相談しましょう。市販品の自己判断での多用は、かえって体調を崩すことがあります。
Q. ヘモグロビンが正常なら安心ですか?
A. 必ずしもそうではありません。ヘモグロビンが基準内でもフェリチンが低い「かくれ鉄欠乏」では、疲れやすさや集中力低下が出ることがあります。気になる症状が続く方は、フェリチンを含めた評価をおすすめします。
Q. どのくらいで良くなりますか?
A. 個人差はありますが、適切に鉄を補うと数週間で自覚症状が軽くなる方が多いです。ただし貯蔵鉄まで回復させるにはさらに時間がかかります。自己判断で中断せず、検査値をみながら治療を続けることが大切です。
Q. 何科を受診すればよいですか?
A. まずは内科で血液検査を受けるのがよいでしょう。原因の精査が必要な場合は、消化器内科(内視鏡)や血液内科と連携して進めます。当院ではこれらを院内で連携できます。

10. 理事長コメント

💬 理事長 五藤良将より
「夏の疲れを『毎年のことだから』と片づけてしまう方は少なくありません。けれど、鉄欠乏性貧血はその奥に治療すべき原因が隠れていることがあり、採血ひとつで道筋が見えてきます。当院では血液検査から原因の精査、内視鏡検査、血液内科専門外来までを院内で連携して進められます。気になる症状が続くときは、どうか我慢せずご相談ください。」

11. まとめ

📝 この記事のポイント
✅ 夏の倦怠感・息切れ・立ちくらみは「夏バテ」だけでなく鉄欠乏性貧血が隠れていることがある
✅ 貧血は血液検査で客観的に確認できる。症状が季節を越えて続くなら一度検査を
✅ ヘモグロビンが正常でもフェリチン低下の「かくれ鉄欠乏」がある
✅ 鉄欠乏の奥に消化管出血などの病気が隠れていることがあり、原因の検索が重要
✅ 治療は鉄を補うだけでなく、原因を治し、貯蔵鉄まで回復させることが大切

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