健診で「胃ポリープ」と言われたら|放置してよい種類・ダメな種類を消化器内視鏡専門医が解説【白金高輪】
- 2026年8月7日
- 健康診断・人間ドック,消化器内科,内視鏡,胃カメラ,お知らせ
執筆:五良会クリニック白金高輪|院長 玉井博修(日本内科学会 総合内科専門医・指導医/日本消化器病学会 専門医・指導医/日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医/日本肝臓学会 専門医・指導医)
共著:医療法人社団五良会|理事長、竹内内科小児科医院|院長 五藤良将(糖尿病内科・感染症)
1. 結論:多くは切除不要――ただし「種類」の確認が必須です
胃ポリープとは、胃の粘膜の一部がイボのように盛り上がったできものの総称です。健診や人間ドックで指摘される頻度が高い所見のひとつで、その大部分は良性です。日本消化器内視鏡学会も、市民向けの解説で胃ポリープの多くは治療を要しないことを示しています。
ポイントは、「胃ポリープ」という一つの病気があるのではなく、性質のまったく異なる複数の種類が「胃ポリープ」と一括りに呼ばれていることです。放置してよいかどうかは種類によって決まるため、バリウム検査で指摘された段階では判断できません。一度は胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)で種類を確認しておくこと――これがこの記事で最もお伝えしたい結論です。
この記事の前提
バリウム検査(胃部X線)では「ポリープがある」ことまでしか分かりません。種類の診断は胃カメラで直接観察し、必要に応じて組織検査(生検)を行って初めて確定します。
2. 胃ポリープとは?代表的な3つの種類
胃ポリープは大きく分けて「胃底腺ポリープ」「過形成性ポリープ」「胃腺腫(腺腫性ポリープ)」の3つに分類されます。まずは全体像を表で整理します。
| 種類 | 背景・原因 | がん化の心配 | 基本方針 |
|---|---|---|---|
| 胃底腺ポリープ | ピロリ菌に感染していない健康な胃粘膜にできやすい | ほとんどなし | 原則、経過観察 |
| 過形成性ポリープ | ピロリ菌感染による慢性胃炎の粘膜にできやすい | 大きいものではまれにあり(10mm以上で約2%との報告) | ピロリ菌検査・除菌+定期観察。大きいもの・出血するものは切除検討 |
| 胃腺腫 (腺腫性ポリープ) |
萎縮の進んだ胃粘膜にできやすい | 前がん病変として扱う | 厳重な経過観察または内視鏡切除を検討 |
このように、同じ「胃ポリープ」でも背景にある胃の状態も、がん化のリスクも、対応もまったく異なります。以下、それぞれ詳しく見ていきましょう。
3. 胃底腺ポリープ――「健康な胃」のサインとも言われるポリープ
健診で指摘される胃ポリープのうち、最も頻度が高いのがこの胃底腺ポリープです。胃の上部〜中部(胃底腺領域)に、数mm程度のなめらかな盛り上がりとして、しばしば複数個できます。中年の女性にやや多い傾向があります。
重要なのは、胃底腺ポリープがピロリ菌に感染していない、萎縮のないきれいな胃粘膜にできやすいという点です。ピロリ菌未感染の胃は胃がんのリスクがもともと低いため、胃底腺ポリープはむしろ「胃がんになりにくい胃であることを示すサイン」と表現されることもあります。がん化はほとんどなく、原則として切除は不要、経過観察で問題ありません。
胃薬(PPI・P-CAB)の長期服用と胃底腺ポリープ
逆流性食道炎などで胃酸を抑える薬(PPI:プロトンポンプ阻害薬、P-CAB:カリウムイオン競合型アシッドブロッカー)を長期間服用していると、血中のガストリンというホルモンが上昇し、胃底腺ポリープが増えたり大きくなったりすることが知られており、添付文書にも記載されています。
ただし、これを理由に自己判断で薬を中止するのは禁物です。服用の必要性とポリープの状態を天秤にかけ、主治医と相談しながら定期的に胃カメラで確認していくのが正しい付き合い方です。
4. 過形成性ポリープ――ピロリ菌感染と深く関係
過形成性ポリープは、主にピロリ菌感染によって慢性の炎症を起こした胃粘膜にできる、赤みの強いポリープです。つまり、このポリープが見つかった場合、「ポリープそのもの」よりも「背景にピロリ菌感染胃炎がある可能性」の方が重要な情報になります。ピロリ菌感染が続く胃は、胃がんのリスクが高い状態だからです。
一方で注意点もあります。過形成性ポリープは大きくなると、10mm以上のものからがんが発生する頻度が約2%と報告されており(過形成性ポリープの1.5〜4.5%にがんの併存を認めたとする報告もあります)、また表面からじわじわと出血して貧血の原因になることがあります。大きいもの、増大傾向のあるもの、出血を伴うものは内視鏡での切除を検討します。いずれにしても年1回程度の胃カメラでの定期観察が推奨されます。
5. 胃腺腫(腺腫性ポリープ)――「前がん病変」として扱います
胃腺腫は、ピロリ菌感染などで萎縮が進んだ胃粘膜にできやすい、やや白っぽく平たい隆起です。頻度は高くありませんが、3種類の中では最も注意が必要で、時間の経過とともに一部ががんへ進展しうる「前がん病変」として扱われます。
大きさや形(大きいもの、陥凹=へこみを伴うもの)によってはがんとの鑑別が問題になるため、拡大観察や生検で慎重に評価し、厳重な経過観察または内視鏡的切除を検討します。「腺腫と言われたが、そのままにしている」という方は、放置せず必ず消化器内科・内視鏡専門医の管理を受けてください。
「ポリープ=良性」と思い込まないでください
健診結果票の「胃ポリープ」という言葉だけでは、胃底腺ポリープなのか、腺腫なのか、それとも早期胃がんがポリープ状に見えているだけなのか区別できません。だからこそ、一度は胃カメラでの確認が必要なのです。
6. なぜ大腸ポリープは切除するのに、胃は様子を見るのか
「大腸ポリープは見つけたらすぐ切ったのに、胃のポリープは放っておいていいの?」――外来でよくいただく、もっともなご質問です。
答えは、臓器によってポリープの「顔ぶれ」が違うからです。大腸ポリープの多くは腺腫という前がん病変であり、大腸がんの多くが腺腫を経由して発生するため、「見つけたら切除」が原則になります。一方、胃ポリープの多数派はがん化の心配がほとんどない胃底腺ポリープです。切除に伴う出血などのリスクを考えると、良性と確認できたものまで一律に切除するメリットはありません。
つまり「胃ポリープは様子を見てよい」のではなく、「胃カメラで種類を確認したうえで、切除が必要なものだけを選んで治療する」のが胃の流儀、ということです。
7. 指摘されたらどうする?検査と経過観察の流れ
健診・人間ドックで胃ポリープを指摘された後の標準的な流れは次のとおりです。
| STEP 1 | 消化器内科を受診 健診結果票をお持ちのうえご相談ください。バリウム検査での指摘の場合は、胃カメラでの精密検査をご案内します。 |
| STEP 2 | 胃カメラで種類を診断 ポリープの色・形・部位と背景粘膜(ピロリ菌感染・萎縮の有無)を観察します。判断に迷う場合は組織を採取(生検)して病理検査で確定します。 |
| STEP 3 | ピロリ菌の検査・除菌 過形成性ポリープや萎縮性胃炎が疑われる場合はピロリ菌検査を行い、陽性なら保険適用で除菌治療を行います。 |
| STEP 4 | 種類に応じた経過観察・治療 胃底腺ポリープは原則経過観察、過形成性ポリープは年1回程度の胃カメラ、腺腫は厳重観察または切除検討。切除が必要な場合は連携する高次医療機関へ責任を持ってご紹介します。 |
🔍 健診で胃ポリープを指摘された方へ――まずは胃カメラで「種類」の確認を
五良会クリニック白金高輪(白金高輪駅2番出口 徒歩1分)では、土曜・日曜・祝日も毎週、鎮静剤を使った苦痛の少ない胃カメラを実施しています。
8. こんな場合は早めに受診を
次のいずれかに当てはまる方は、様子を見ずにご相談ください
⚠️ 健診で胃ポリープを指摘されたが、一度も胃カメラで種類を確認していない
⚠️ 「腺腫」「要精密検査」「経過観察が必要」と言われたまま受診が途切れている
⚠️ 黒い便(タール便)・貧血・立ちくらみがある(ポリープからの出血の可能性)
⚠️ みぞおちの痛み・胃もたれ・食欲不振・体重減少など症状を伴う
⚠️ ピロリ菌の検査を一度も受けたことがない
とくに黒色便や進行する貧血は、ポリープに限らず胃がん・胃潰瘍などの消化管出血のサインでもあります。港区・白金高輪周辺でお仕事をされている方も、当院は火曜を除き土日祝も診療していますので、平日お忙しい方こそ週末の受診をご活用ください。
9. よくあるご質問(FAQ)
10. 院長・理事長コメント
11. まとめ
✅ 胃底腺ポリープはピロリ菌未感染の健康な胃にできやすく、がん化はほとんどない
✅ 過形成性ポリープはピロリ菌感染のサイン。除菌で約80%が縮小・消失、10mm以上はがん化約2%の報告
✅ 胃腺腫は前がん病変。厳重な経過観察または切除の検討が必要
✅ バリウム検査だけでは種類は分からない。一度は胃カメラで種類と背景粘膜(ピロリ菌・萎縮)を確認を
✅ 黒い便・貧血・増大傾向は要注意サイン。早めに消化器内科へ
・日本消化器内視鏡学会「胃ポリープにはどんなものがありますか?」(市民のみなさま向けQ&A)
・日本ヘリコバクター学会「H. pylori感染の診断と治療のガイドライン」
・過形成性ポリープのがん化・がん併存に関する報告(10mm以上で約2%、1.5〜4.5%にがん併存)
※本記事の内容は2026年8月時点の情報に基づいています。
鎮静剤を使用した苦痛の少ない検査を行っております。
✅ ピロリ菌検査・除菌治療希望の方
✅ 胃部不快感・黒い便・体重減少が続く方
✅ 鉄欠乏性貧血の原因検索が必要な方
| 内科 | 小児科 | 消化器内科 | 血液内科 | 内視鏡 |
| 糖尿病内科 | アレルギー科 | 予防接種 | 健康診断 | 渡航医学 |
東京メトロ南北線・都営三田線「白金高輪駅」2番出口 徒歩1分
| 診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日・祝 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10:00〜13:00 | ○ | 休 | ○ | ○ | ○ | 10:00 〜 15:00 |
10:00 〜 15:00 |
| 14:30〜19:00 | ○ | ○ | ○ | ○ |
休診日:火曜日/土・日・祝は10:00〜15:00(最終受付14:30)
|
WEB予約 前日まで |
当日WEB予約 CLINICS(当日順番) |
WEB問診 事前入力でスムーズ |
|
LINE 公式アカウント |
1F公式 |
電話 03-6432-5353 |
院長 玉井 博修
理事長 五藤 良将