【2026年9月2日更新】新学期とともに広がるインフルエンザ|熱が出たときの受診・検査・出席停止と、ワクチンまでの「9月の空白期間」の乗り切り方|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

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【2026年9月2日更新】新学期とともに広がるインフルエンザ|熱が出たときの受診・検査・出席停止と、ワクチンまでの「9月の空白期間」の乗り切り方|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

【2026年9月2日更新】新学期とともに広がるインフルエンザ|熱が出たときの受診・検査・出席停止と、ワクチンまでの「9月の空白期間」の乗り切り方

【2026年9月2日更新】新学期とともに広がるインフルエンザ|熱が出たときの受診・検査・出席停止と、ワクチンまでの「9月の空白期間」の乗り切り方

医療法人社団五良会|理事長、竹内内科小児科医院|院長 五藤良将(糖尿病内科・感染症)

🚨 【今週の速報】流行入りから1週間、患者数はさらに増えています

▶ 2026年8月27日:東京都が「都内でインフルエンザが流行開始」と発表(第34週の定点当たり報告数 1.49人
▶ 2026年8月28日:厚生労働省が全国の流行入りを発表(第34週の定点当たり報告数 1.11人/報告患者数4,094人)
▶ 2026年9月2日:埼玉県が第35週(8月24日〜30日)の定点当たり報告数 2.58人を公表。前週(1.83人)からさらに増加しています

そして今週、多くの学校で新学期が始まりました。ワクチンの接種開始は10月1日——つまり9月は、流行が立ち上がっているのにワクチンがまだ手元にない「空白期間」です。
出典:東京都保健医療局 報道発表(2026年8月27日)/厚生労働省「インフルエンザの発生状況について」(2026年8月28日発表・第34週)/埼玉県 インフルエンザ流行情報 第35週(2026年9月2日公表)

こんにちは。五良会クリニック白金高輪の五藤良将です。先週、当院のブログで「インフルエンザが8月に全国で流行入りしました」というご報告をしたところ、大変多くの方にお読みいただきました。あの記事では「今シーズンの製造株」「高用量ワクチンの見送り」「いつ打つべきか」という、主にワクチンの話を整理しました。

今週の外来では、話題がもう一段階、現実的なものに変わっています。「子どもの学校で学級閉鎖が出た」「同じ部署で2人休んでいる」「家族が熱を出したが、自分はどうすればいいのか」——つまり、すでに身近で起きていることへの対処のご相談です。

そこで本記事では、ワクチンを待つ9月をどう乗り切るかという視点から、① いま何が起きているか(今週の数字)、② 熱が出たときの受診と検査のタイミング、③ 治療薬の選び方、④ 学校・職場をいつから再開できるか、⑤ 家庭内でうつさないための具体策、⑥ ワクチンと予防投与(曝露後予防)の使い分けを、公的機関の一次情報と添付文書にもとづいて実務的に整理いたします。

📋 この記事の内容(クリックで該当箇所へ)

1. 今週の流行状況(2026年9月2日時点)

インフルエンザの「流行入り」は、全国約3,000か所の定点医療機関から報告される1医療機関あたりの週間患者数が1.0人を超えたときに発表されます。2026年は、この基準を8月の時点で超えました。

項目 数値
全国の定点当たり報告数(第34週:8月17日〜23日) 1.11人(前週 第33週は0.69人)
全国の報告患者数(第34週) 4,094人
東京都の定点当たり報告数(第34週) 1.49人(8月27日に流行開始を発表)
埼玉県の定点当たり報告数(第35週:8月24日〜30日) 2.58人(前週1.83人からさらに増加)
昨シーズンの流行入り時期 2025年 第39週(9月22日〜28日)→ 今年は1か月以上早い
過去との比較 1999年の感染症法施行以降、2009年に次いで2番目に早い流行入り

首都圏はすでに全国平均を上回っています

第34週の都道府県別データでは、沖縄県4.43人を筆頭に、岩手県2.10人、青森県2.08人、神奈川県1.99人、埼玉県1.83人、千葉県1.80人、茨城県1.76人、新潟県1.65人と続いています。神奈川・埼玉・千葉が全国平均(1.11人)を大きく上回っており、関東は流行の中心のひとつになりつつあります。

港区が「まだ低い」ことは安心材料ではありません

第34週時点で、定点当たり患者報告数が1.0人を超えた保健所は都内31か所中20か所でした。港区はまだこの中に含まれていませんが、隣接する渋谷区は5.00人と都内で2番目の高さです。通勤・通学・買い物での往来を考えれば、港区に波及するのは時間の問題と考えるのが自然です。「まだ来ていないうちに備える」ことが、いま最も効率のよい対策です。

学級閉鎖は前年同期の約4.1倍

東京都内の臨時休業(学級閉鎖等)の累計は、2025〜2026年シーズン(2025年9月1日〜2026年8月23日)で6,377件。前シーズン同時期の1,537件と比べて約4.1倍です。内訳は小学校4,250件、中学校1,477件、高等学校349件、幼稚園290件で、小学生・中学生から家庭内へ持ち込まれるルートが太くなっていることがうかがえます。新学期が始まった今週以降、この傾向はさらに強まる可能性があります。

流行しているウイルスの型

型・亜型 東京都 2025〜2026年シーズン累計
A型 AH3(A香港型) 441件(58.3%)
B型 ビクトリア系統 288件(38.1%)
A型 AH1pdm09 27件(3.6%)
B型 山形系統 0件(0.0%)

💡 A香港型(AH3)が主役、B型も同時に動いています

前シーズン(2024〜2025年)はAH1pdm09が63.9%を占めていましたが、今回はA香港型とB型ビクトリア系統に入れ替わりました。A香港型は高齢者で重症化しやすく、B型はお子さんで多いという特徴があります。ご家庭に高齢の方とお子さんの両方がいらっしゃる場合、どちらの型にも備えが必要です。

2. なぜ9月が「一年でいちばん守りにくい月」なのか

例年であれば、9月はインフルエンザとほぼ無縁の月でした。今年が違うのは、3つの条件が同時に重なっているからです。

条件 内容
① すでに流行期 全国・東京都ともに8月下旬に流行入り。埼玉県では第35週にさらに増加しました。「まだ夏だから大丈夫」という前提が今年は成立しません。
② 新学期の再開 夏休みが終わり、児童・生徒の接触機会が一気に増えます。東京都も「学校や家庭内での感染拡大に十分な注意が必要」と呼びかけています。学級閉鎖はすでに前年同期の約4.1倍です。
③ ワクチンがまだない 2026年度の定期接種は10月1日開始の方向で準備が進んでいます。ワクチンの納入は医療機関ごとに10月前後で、しかも接種後に免疫がつくまで約2週間かかります。9月中に守ってくれるワクチンは、物理的に存在しません。

⚠️ つまり9月は「行動でしか守れない月」です

10月1日に接種しても、実際に免疫が立ち上がるのは10月中旬。それまでの約6週間は、手洗い・換気・咳エチケットといった基本的対策と、早い受診・早い判断が主戦力になります。地味ですが、今年に限っては極めて重要な6週間です。

3. 熱が出たら、いつ受診すればよいか(検査のタイミング)

外来で最も多いご質問が、この「いつ行けばいいのか」です。早すぎても遅すぎても困る、というのがインフルエンザ診療の悩ましいところです。

迅速抗原検査には「早すぎる」タイミングがあります

鼻の奥を綿棒でぬぐう迅速抗原検査は、鼻やのどのウイルス量がある程度増えてからでないと陽性になりません。発熱してすぐ、特に発症から12時間以内は、実際にインフルエンザであっても陰性と出てしまうこと(偽陰性)が少なくありません。

発症〜12時間 検査が陰性でも否定できません
ウイルス量が十分でなく、偽陰性が起こりやすい時間帯です。ただし、明らかな接触歴があり症状が典型的な場合は、この時間帯でも臨床的に診断し治療を開始することがあります。
12〜48時間 もっとも検査に適した時間帯です
抗原量が十分になり、かつ抗インフルエンザ薬の効果が最も期待できる「発症48時間以内」に間に合います。可能であればこの時間帯の受診をお勧めします。
48時間以降 診断はできますが、薬の効果は限定的になります
それでも重症化リスクの高い方や症状が強い方には、48時間を過ぎても投薬を検討します。「もう遅いから」と受診を諦めないでください。

💡 「夜に熱が出た」ときの現実的な目安

夜に発熱した場合、翌朝の受診でちょうど発症から10〜15時間程度となり、検査にも治療にも間に合うことがほとんどです。深夜に慌てて救急外来へ行くよりも、水分をとって休み、翌朝の診療開始時間に受診するのが多くの場合ベターです(下記「9. すぐに受診していただきたい危険なサイン」に該当する場合を除きます)。

今年は「コロナかインフルか」の見分けが特に難しい

発熱・のどの痛み・咳・だるさという症状だけで、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザを区別することはできません。今年は両者が同時期に動いており、さらに夏かぜ(ヘルパンギーナ・手足口病・咽頭結膜熱)も重なります。当院では新型コロナ抗原検査・インフルエンザ抗原検査・CRP(血液)検査を院内で実施しており、必要に応じて同日に鑑別いたします。

4. 治療薬の選び方——4剤+点滴薬の使い分け

日本では現在、5種類の抗インフルエンザ薬が使用できます。いずれも発症から48時間以内の開始が原則で、それぞれ長所と注意点があります。以下は「治療」としての用法です(予防投与の用法は第8章で別に整理します)。

薬剤名 投与方法 こんな方に
タミフル
(オセルタミビル)
内服・1日2回×5日間 乳幼児から高齢者まで幅広く使用実績があり、後発品で費用も抑えられます。吸入が難しい方の第一選択になりやすい薬です。
ゾフルーザ
(バロキサビル)
内服・1回のみ 1回で完結するため飲み忘れがありません。一方で薬剤耐性ウイルスの出現が報告されており、特に小児では使用を慎重に検討します。
イナビル
(ラニナミビル)
吸入・1回のみ 1回の吸入で完結し、水なしで使えます。ただし正しい吸入手技が必要で、小さなお子さんでは吸えないことがあります。
リレンザ
(ザナミビル)
吸入・1日2回×5日間 全身への吸収が少なく、妊娠中の方にも比較的使いやすいとされます。喘息のある方では気管支けいれんに注意が必要です。
ラピアクタ
(ペラミビル)
点滴・単回 内服も吸入もできない方、嘔吐が強い方に用います。確実に投与できるのが利点です。

⚠️ 「抗インフルエンザ薬=重症化を防ぐ薬」ではありません

日本小児科学会「2025/26シーズンのインフルエンザ治療・予防指針」(2025年10月22日公表・2026年9月2日時点の最新版)では、幼児、基礎疾患があり重症化リスクの高い患者、呼吸器症状が強い患者への投与が推奨されています。裏を返せば、健康な学童・成人で軽症の場合は、必ずしも全例に投薬が必要なわけではありません。抗インフルエンザ薬の主な効果は「有熱期間を約1日短縮すること」であり、入院や重症化を確実に防ぐという証拠は限定的です。当院では、リスクと症状を診たうえで、投薬するかどうかを一緒に決めています。

5. 学校・職場はいつから? 出席停止の早見表

ここが毎年もっとも混乱する部分です。「熱が下がったら翌日から登校」ではありません。学校保健安全法施行規則では、インフルエンザの出席停止期間は次のように定められています。

📘 学校保健安全法施行規則 第19条
「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」
※「発症した日(=発熱した日)」は0日目として数えます。
※「解熱した日」も0日目として数えます。
両方の条件を満たした翌日から登校・登園できます。
ケース 登校・登園できる日
月曜に発症(0日目)、火曜に解熱(0日目)/小学生 発症後5日=土曜まで、解熱後2日=木曜まで。遅いほうを採用し日曜から登校可(実質は翌月曜から)
月曜に発症、金曜に解熱/小学生 発症後5日=土曜まで、解熱後2日=日曜まで。翌月曜から登校可
月曜に発症、火曜に解熱/幼児(保育園・幼稚園) 解熱後は3日必要なため金曜まで。発症後5日=土曜まで。日曜から登園可(実質は翌月曜から)

大人の「出勤停止」に法的な決まりはありません

インフルエンザは、労働安全衛生法などで一律に就業制限が定められている感染症ではありません。実務上は勤務先の就業規則に従うことになり、多くの企業が学校保健安全法の基準(発症後5日かつ解熱後2日)を準用しています。ただし、解熱してもしばらくはウイルスを排出しています。特に医療・介護・保育・飲食に従事される方は、勤務先の規定を必ずご確認ください。当院では就業に関する診断書・治癒証明書の発行にも対応しております(自費)。

6. 家庭内感染を防ぐ7つの実務

学級閉鎖が前年の約4倍という数字が示すとおり、今シーズンは「学校 → 家庭」の持ち込みルートが太くなっています。家族の1人が発症したあと、家庭内で何をするかで結果が変わります。

STEP 1 部屋を分ける(最優先)
可能であれば発症した方に個室で過ごしていただきます。難しい場合でも、寝る場所を離す・頭の向きを互い違いにするだけで曝露量は減ります。
STEP 2 世話をする人を1人に決める
複数人が交代で看病すると、それだけ曝露する人が増えます。高齢の方・妊娠中の方・持病のある方は看病役を避けてください。
STEP 3 1時間に5〜10分の換気
対角線上の2か所を開けると空気が流れます。エアコン使用中でも、こまめな換気は成立します。
STEP 4 患者さん本人と看病する人の両方がマスク
飛沫を出す側が着けるほうが効果的です。本人が着けられない状況では、看病する側の着用が最後の砦になります。
STEP 5 手洗いは石けんで20秒以上
特に、看病のあと・食事の前・トイレのあと。アルコール手指消毒も併用してください。
STEP 6 タオル・食器・寝具を共用しない
洗面所のタオルは家族ごとに分けるか、使い捨てのペーパータオルに切り替えます。
STEP 7 ハイリスクの同居家族がいる場合は、48時間以内に相談を
65歳以上の方、慢性の呼吸器・心疾患、糖尿病などの代謝性疾患、腎機能障害のある方が同居されている場合、曝露後の予防投与という選択肢があります(第8章)。時間制限があるため、早めのご相談を。

7. ワクチン:10月1日開始・今シーズンの3株・港区の助成

2026-2027シーズンの製造株は「サブクレードK」対応です

2026年6月4日付の厚生労働省通知(感発0604第1号「令和8年度インフルエンザHAワクチン製造株の決定について」)により、今シーズンの製造株は次の3株に決定しています。

💉 令和8年度(2026/27シーズン)インフルエンザHAワクチン製造株
A型株
● A/スイス/6849/2025(IVR-278)(H1N1)
● A/ミシガン/105/2025(SAN-049A)(H3N2)

B型株
● B/東京/EIS13-175/2025(ビクトリア系統)

B型山形系統は2020年3月以降、世界的に検出されていないため、今シーズンも3価ワクチン(A型2株+B型1株)です。

✅ 昨シーズン接種した方も、今シーズン改めて打つ意義があります
A/H3N2(A香港型)では、世界的に「サブクレードK」と呼ばれる抗原変異株が優勢になりました。2025-2026シーズンのワクチンを接種した方の血清は、このサブクレードKのウイルスとの反応性が良くないことが確認されています。今シーズンのワクチンは、いま実際に流行しているA香港型に合わせて更新されたものです。3株すべてが前シーズンから変更されています。

高用量ワクチンは今シーズン使用できません

高齢のご家族の接種を検討中の方へ

高齢者向けの高用量インフルエンザHAワクチン「エフルエルダ®筋注」は、2026年10月1日から75歳以上を対象に定期接種化される方針でしたが、サノフィ株式会社が2026年7月21日に国内発売時期の延期を発表しました。同日、厚生労働省も事務連絡を発出し、令和8年度(2026/27シーズン)の定期接種では高用量ワクチンを使用しないことを周知しています。国内未発売のため、自費でも接種できません。

今シーズンは従来の標準用量ワクチンを、例年どおり定期接種で受けていただくのが答えです。高用量が使えないことは、標準用量ワクチンの有効性が下がることを意味しません。

港区の助成制度(例年の枠組み)

区分 対象 自己負担・助成
高齢者定期接種 満65歳以上の区民/満60〜64歳で心臓・腎臓・呼吸器・HIVによる身体障害1級の方 無料(期間内・指定医療機関で1回)
子どもの任意接種助成 生後6か月以上〜高校3年生相当年齢まで 接種1回あたり4,500円の助成(フルミストも対象)

⚠️ 上記は令和7年度(2025年度)の実績にもとづく内容です

令和8年度(2026年度)の詳細は港区から改めて案内されます。例年、高齢者定期接種の予診票は9月下旬に対象者へ個別発送されています。確定情報は港区みなと保健所保健予防課(03-6400-0081)または港区公式サイトでご確認ください。

📅 当院のインフルエンザワクチン接種スケジュール
✅ 接種開始:2026年10月1日(木)
✅ 接種終了:2027年1月31日(日)
✅ 定期接種(港区の高齢者インフルエンザ予防接種)・任意接種のいずれも同期間で対応
✅ 火曜日は休診です。土曜・日曜・祝日も10:00〜15:00で接種いただけます
✅ 13歳未満のお子さんは2回接種(間隔2〜4週間、免疫効果を考慮すると4週間が望ましい)

今シーズンは流行の立ち上がりが1か月以上早いため、10月上旬〜中旬でのご予約をお勧めしています。ワクチンの納入時期は医療機関ごとに異なりますので、在庫状況はお電話(03-6432-5353)またはLINEでお問い合わせください。

8. 「空白期間」を埋める選択肢——曝露後の予防投与

ワクチンがまだ届かない9月に、すでに家族や職場の同僚が発症してしまった——そんなときの選択肢が、抗インフルエンザ薬の「予防投与(曝露後予防)」です。当院では院内処方でお渡ししており、薬局に立ち寄る必要がありません。

添付文書上の「原則」の対象

インフルエンザを発症している患者さんの同居家族または共同生活者のうち、罹患したときに重症化するリスクが高いと判断される方——具体的には① 65歳以上の高齢者、② 慢性呼吸器疾患または慢性心疾患のある方、③ 代謝性疾患(糖尿病等)のある方、④ 腎機能障害のある方、が対象として挙げられています。

これ以外の方(受験生やご家族など)でも、全額自費の診療として、医師の判断のもとで実施することは可能です。

薬剤 予防投与の用法 開始の期限
オセルタミビル
(タミフル後発品)
体重37.5kg以上:1回75mgを1日1回、7〜10日間 接触後48時間以内
ゾフルーザ
(バロキサビル)
単回内服。成人・12歳以上は体重80kg未満で40mg、80kg以上で80mg。12歳未満は体重20kg以上40kg未満で20mg、40kg以上で40mg 接触後2日以内
イナビル
(ラニナミビル)
10歳以上:2キット(40mg)を単回吸入/10歳未満:1キット(20mg)を単回吸入 接触後48時間以内
リレンザ
(ザナミビル)
10mgを1日1回、10日間吸入 接触後36時間以内

⚠️ 3つの重要な注意点

予防投与は健康保険の適用外(全額自費)です。② 時間制限があります——特にリレンザは36時間以内と最も短く、「明日でいいか」では間に合いません。③ 100%予防できるわけではなく、効果は服用している期間に限られます。ゾフルーザについても、服用日から10日を超えた期間の予防効果は確認されていません。

各薬剤の予防効果(NNT・ARR)の比較、費用、副作用、そして「86%減少」と「11.7%減少」という数字の違いについては、別記事で詳しく解説しております。▶ インフルエンザ予防薬について(院内処方もしております)

9. すぐに受診していただきたい危険なサイン

🚨 次のいずれかに当てはまる場合は、時間帯を問わず医療機関へご相談ください

● 呼吸が苦しい、肩で息をしている、顔色が悪い
● 水分がとれない、半日以上尿が出ていない
● ぐったりして反応が鈍い、意識がはっきりしない
● けいれんを起こした、意味の通らないことを言う(特に小児・高齢者)
● 胸の痛みが続く
● いったん解熱した後に、再び高熱と強い咳が出てきた(細菌性肺炎の合併が疑われます

インフルエンザ後にもっとも警戒すべき合併症は細菌性肺炎です。特に高齢の方では、これが入院・重症化の主因になります。65歳の方は肺炎球菌ワクチン(定期接種)の対象年度でもあります。当院ではインフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの同時接種にも対応しておりますので、この秋にまとめてご相談ください。

また、小児では急性脳症、高齢者では脱水・持病の悪化(心不全、糖尿病のシックデイなど)にも注意が必要です。糖尿病で治療中の方は、発熱時の薬の調整についてあらかじめ主治医と確認しておかれることをお勧めします。

10. 理事長コメント

💬 理事長 五藤良将より
「今週の外来でいちばん多いのは、『まさか9月にインフルエンザとは思わなかった』という言葉です。私自身、感染症を専門としてきた立場から申し上げますと、今年の9月は『ワクチンがまだ届かないのに流行だけが始まっている』という、例年にない構造になっています。だからこそ、この1か月は薬やワクチンではなく、受診のタイミングを逃さないこと、家庭内での初動を間違えないことが結果を左右します。

当院は火曜日を除き、土曜・日曜・祝日も10:00〜15:00で診療しております。発熱されたご本人はもちろん、『家族が発症したが、自分はどうすべきか』というご相談だけでも構いません。予防薬は院内処方でその場でお渡しできますので、薬局を回る手間もかかりません。10月1日からのワクチンとあわせて、この秋を無事に乗り切っていきましょう。」

11. まとめ

📝 この記事のポイント
✅ 2026年8月下旬に全国・東京都ともに流行入り。埼玉県の第35週は2.58人とさらに増加しています
✅ 東京都の学級閉鎖は前年同期の約4.1倍。新学期で「学校 → 家庭」の持ち込みが増えます
✅ 主流はA香港型(AH3・サブクレードK)。B型ビクトリア系統も同時に動いています
✅ 迅速抗原検査は発症12〜48時間がもっとも適したタイミングです
✅ 出席停止は「発症後5日かつ解熱後2日(幼児は3日)」。熱が下がった翌日ではありません
✅ ワクチンは10月1日開始・3価・サブクレードK対応。高用量ワクチンは今シーズン使用できません
✅ ハイリスクの同居家族がいる場合、曝露後48時間以内(リレンザは36時間以内)に予防投与のご相談を
✅ 解熱後の再発熱は細菌性肺炎のサイン。65歳の方は肺炎球菌ワクチンの同時接種もご検討ください

12. よくあるご質問(Q&A 10問)

Q1. 9月にインフルエンザワクチンは打てませんか?
A. 当院では2026年10月1日からの接種開始を予定しています。ワクチンの納入時期は医療機関ごとに異なり、定期接種も10月1日開始の方向で準備が進んでいます。9月中はワクチン以外の対策(手洗い・換気・咳エチケット・早めの受診)で凌いでいただくことになります。
Q2. 熱が出てすぐ受診しましたが「陰性」でした。もう安心してよいですか?
A. 発症から12時間以内の検査は、インフルエンザであっても陰性と出ることがあります。周囲に感染者がいて症状が典型的な場合は、翌日に再検査するか、臨床的に診断して治療を開始することがあります。症状が続く場合は必ず再度ご相談ください。
Q3. 昨シーズンにインフルエンザにかかりました。今シーズンも打つ必要がありますか?
A. 必要です。今シーズンは3株すべてが前シーズンから変更されており、特にA/H3N2は世界的に優勢となった「サブクレードK」に合わせて更新されています。昨シーズンのワクチンを接種した方の血清は、サブクレードKのウイルスとの反応性が良くないことが確認されています。
Q4. 熱が下がったら翌日から学校に行けますか?
A. 行けません。学校保健安全法施行規則により「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」が出席停止期間です。発症日・解熱日はいずれも0日目として数え、両方の条件を満たした翌日から登校できます。
Q5. 大人は何日休めばよいですか?
A. 法律上の一律の規定はなく、勤務先の就業規則に従います。多くの企業が学校保健安全法の基準(発症後5日かつ解熱後2日)を準用しています。解熱してもしばらくはウイルスを排出しますので、特に医療・介護・保育・飲食のお仕事の方は慎重にご判断ください。診断書・治癒証明書の発行も承ります(自費)。
Q6. 家族がインフルエンザになりました。私は予防薬を飲めますか?
A. 可能です。添付文書上は、発症者の同居家族・共同生活者のうち重症化リスクが高い方(65歳以上、慢性呼吸器・心疾患、糖尿病等の代謝性疾患、腎機能障害)が原則の対象ですが、それ以外の方も全額自費の診療として医師の判断で実施できます。接触後48時間以内(リレンザは36時間以内)という時間制限がありますので、早めにご相談ください。
Q7. 予防薬を飲めば絶対にかかりませんか?
A. いいえ。予防投与は発症リスクを下げるものであり、100%の予防ではありません。また効果は服用している期間に限られます。予防の主役はあくまでワクチンで、予防薬は「ワクチンが間に合わない」「接種していても濃厚接触した」場合の追加手段という位置づけです。
Q8. 子どもは2回接種と聞きました。いつから始めればよいですか?
A. 生後6か月以上13歳未満は2回接種で、間隔は2〜4週間(免疫効果を考慮すると4週間が望ましい)とされています。10月上旬に1回目、11月上旬に2回目というスケジュールを、いまのうちにご家族の予定に入れておいてください。港区では生後6か月〜高校3年生相当年齢まで、1回あたりの助成があります。
Q9. 高齢の親に高用量ワクチンを打たせたいのですが。
A. 高用量ワクチン「エフルエルダ®筋注」は、2026年7月21日にメーカーが国内発売時期の延期を発表し、厚生労働省も同日、令和8年度の定期接種では使用しない旨の事務連絡を発出しました。今シーズンは自費でも接種できません。従来の標準用量ワクチンを定期接種で受けていただくのが今シーズンの答えです。
Q10. 発熱していますが、予約なしでも受診できますか?
A. 予約なしでも受診いただけますが、ご予約の方が優先となります。当日WEB予約(CLINICS)とWEB問診をご利用いただくと、待ち時間を短縮できます。発熱がある旨を問診にご記入いただければ、来院時のご案内もスムーズです。火曜日は休診、土曜・日曜・祝日は10:00〜15:00(最終受付14:30)で診療しております。

13. 参考文献・出典

  1. 厚生労働省「インフルエンザの発生状況について」2026年8月28日発表(2026年第34週)
  2. 東京都保健医療局 報道発表資料「都内でインフルエンザが流行開始」2026年8月27日
  3. 東京都感染症情報センター「インフルエンザの流行状況(東京都 2025-2026年シーズン)」
  4. 埼玉県「インフルエンザ流行情報 2026年第35週」2026年9月2日公表
  5. 厚生労働省 健康・生活衛生局長通知「令和8年度インフルエンザHAワクチン製造株の決定について」感発0604第1号、2026年6月4日
  6. 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 研究開発及び生産・流通部会 インフルエンザワクチン製造株検討小委員会 資料、2026年5月26日
  7. サノフィ株式会社 プレスリリース「エフルエルダ®筋注 国内発売時期の変更について」2026年7月21日/厚生労働省 事務連絡「令和8年度のインフルエンザに係る定期の予防接種について」2026年7月21日
  8. 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会「2025/26シーズンのインフルエンザ治療・予防指針」2025年10月22日
  9. 学校保健安全法施行規則 第19条(出席停止の期間の基準)
  10. ゾフルーザ®錠・顆粒 添付文書(塩野義製薬)/タミフル®カプセル・ドライシロップ 添付文書(中外製薬)/イナビル®吸入粉末剤 添付文書(第一三共)/リレンザ® 添付文書(グラクソ・スミスクライン)
  11. 港区「高齢者インフルエンザ予防接種」「子どものインフルエンザ予防接種」(令和7年度実施内容)
GORYOKAI CLINIC SHIROKANE-TAKANAWA
五良会クリニック白金高輪
内科・小児科・消化器内科・血液内科・内視鏡検査・糖尿病内科・アレルギー科
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〒108-0074 東京都港区高輪1丁目3-1 プレミストタワー白金高輪 1F
東京メトロ南北線・都営三田線「白金高輪駅」2番出口 徒歩1分
診療時間 日・祝
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15:00
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休診日:火曜日/土・日・祝は10:00〜15:00(最終受付14:30)


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理事長 五藤 良将