インフルエンザ予防薬について(院内処方もしております)|4剤をNNTで比較・費用・用量・対象者を内科医が解説
インフルエンザ予防薬について(院内処方もしております)|4剤をNNTで比較・費用・用量・対象者を内科医が解説
医療法人社団五良会|理事長、竹内内科小児科医院|院長 五藤良将(糖尿病内科・感染症)
日本抗加齢医学会専門医/日本糖尿病協会登録医/日本旅行医学会認定医
🚨 【2026年9月2日 全面改訂】今シーズンは「予防薬の出番」が例年より1か月早く来ています
▶ 2026年8月27日:東京都が流行開始を発表(第34週の定点当たり報告数 1.49人)
▶ 2026年8月28日:厚生労働省が全国の流行入りを発表(第34週 1.11人/報告患者数4,094人)。1999年の感染症法施行以降、2009年に次ぐ2番目に早い流行入りです
▶ 2026年9月2日:埼玉県の第35週(8月24日〜30日)は2.58人と、前週(1.83人)からさらに増加
▶ インフルエンザワクチンの接種開始は10月1日。接種後に免疫がつくまで約2週間かかるため、9月は「ワクチンでは守れない期間」になります
出典:東京都保健医療局 報道発表(2026年8月27日)/厚生労働省「インフルエンザの発生状況について」(2026年8月28日発表・第34週)/埼玉県 インフルエンザ流行情報 第35週(2026年9月2日公表)
こんにちは。五良会クリニック白金高輪の五藤良将です。「家族がインフルエンザになってしまった」「受験を控えている」「高齢の親と同居している」——こうしたご事情で、まだ症状のない方が発症を防ぐために飲む薬、いわゆる予防投与(曝露後予防)のご相談が、今シーズンは例年より1か月ほど早く増えています。
当院ではインフルエンザ予防薬を院内処方でお渡ししております。診察後にその場でお薬をお渡しできますので、薬局に立ち寄る必要がありません。曝露から48時間(薬剤によっては36時間)という時間制限のある治療において、この差は小さくありません。
本記事では、各薬剤の予防効果をNNT(何人に投与すれば1人の発症を防げるか)という分かりやすい指標で比較し、対象となる方・用量・費用・副作用、そして「予防薬にできること、できないこと」を、添付文書と臨床試験の一次情報にもとづいて整理いたします。
📌 ご利用前にお読みください
● インフルエンザ予防薬は健康保険適用外(全額自費診療)です
● 感染者との接触後48時間以内(リレンザは36時間以内)に服用を開始する必要があります
● 診察後、その場で院内処方いたします(薬局に行く必要はありません)
● 予防薬はワクチンの代わりにはなりません。効果は服用している期間に限られます
② 誰が対象になるのか(添付文書の原則と、自費診療での実施)
③ 効果の読み方——NNTとARRとは?
④ 予防薬4剤の効果比較(NNT・ARR一覧)
⑤ 各薬剤の詳細——用法・用量・体重別の早見表
⑥ 当院の費用一覧(院内処方・税込)
⑦ ケース別:あなたにはどの薬が向いているか
⑧ 理事長コラム:「86%減少」と「11.7%減少」の違い
⑨ 理事長コラム:なぜ「重症化予防」のエビデンスは弱いのか
⑩ 副作用と、予防投与ができない・慎重を要する方
⑪ 予防の主役はあくまでワクチンです
⑫ 受診から院内処方までの流れ
⑬ 理事長コメント
⑭ まとめ
⑮ よくあるご質問(Q&A 12問)
⑯ 参考文献・出典
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1. 予防投与とは何か——「治療」との決定的な違い
抗インフルエンザ薬には、大きく2つの使い方があります。同じ薬でも、目的・用量・保険の扱いがすべて異なります。
| 項目 | 治療投与 | 予防投与(曝露後予防) |
|---|---|---|
| 対象 | すでに発症している方 | まだ症状のない、接触した方 |
| 目的 | 有熱期間の短縮 | 発症そのものを防ぐ |
| 開始のタイミング | 発症から48時間以内 | 接触から48時間以内(リレンザは36時間以内) |
| 保険 | 健康保険適用 | 適用外(全額自費) |
| 用量 | 薬剤ごとの治療用量 | 薬剤によっては治療用量と異なります(後述) |
⚠️ 「時間制限」がこの治療の最大のハードルです
ご家族が発症された当日か、遅くとも翌日にはご相談いただく必要があります。「週末に様子を見てから」では間に合いません。当院は火曜日を除き、土曜・日曜・祝日も10:00〜15:00で診療しております。金曜の夜にご家族が発症された場合でも、土日に受診いただけます。
2. 誰が対象になるのか(添付文書の原則と、自費診療での実施)
各薬剤の添付文書には、予防投与の対象について「原則として」の規定が置かれています。まずはこの原則を正確にご理解ください。
① 高齢者(65歳以上)
② 慢性呼吸器疾患または慢性心疾患のある方
③ 代謝性疾患のある方(糖尿病等)
④ 腎機能障害のある方
⚠️ 妊娠中の方について
妊娠中の方は、インフルエンザに罹患した際の重症化リスクが高いことが知られています。ただし予防投与については、添付文書に列挙された4項目には明記されておらず、薬剤ごとに妊娠中の使用に関する注意事項が異なります。妊娠中の方は自己判断せず、必ず産科の主治医と連携したうえでご相談ください。
3. 効果の読み方——NNTとARRとは?
医学では、薬の効果を伝えるためにさまざまな指標が使われます。本記事では、患者さんにとって最も実感しやすい2つを中心にご説明します。
| 指標 | 意味 |
|---|---|
| NNT (治療必要数) |
「何人に投与すれば1人の発症を防げるか」を示す指標。数字が小さいほど効率的です。「NNT 7」なら、7人に投与することで1人の発症を予防できることを意味します。 |
| ARR (絶対リスク減少) |
「発症率が実際に何%下がるか」を示す指標。「ARR 13.6%」なら、100人中約14人分の発症を防げることを意味します。NNTはARRから計算されます(NNT = 1 ÷ ARR)。 |
4. 予防薬4剤の効果比較(NNT・ARR一覧)
以下の数値は、家庭内でインフルエンザ感染者と接触した方を対象とした臨床試験の結果にもとづいています。試験デザインや対象集団が異なるため、数値の単純な横並び比較には限界がある点はご承知おきください。
| 薬剤名 | ARR (絶対リスク減少) |
NNT (治療必要数) |
投与方法 | こんな方に |
|---|---|---|---|---|
| オセルタミビル (タミフル後発品) |
13.6% | 7 | 経口 (7〜10日間) |
費用を抑えたい方/確実な予防効果を重視する方 |
| ゾフルーザ (バロキサビル) |
11.7% | 9 | 経口 (1回のみ) |
飲み忘れが心配な方/1回で済ませたい方 |
| イナビル (ラニナミビル) |
7.6% | 13 | 吸入 (1回のみ) |
錠剤が苦手な方/お子さま |
| リレンザ (ザナミビル) |
― | ― | 吸入 (10日間) |
全身への吸収が少ない薬剤を希望される方(開始期限が36時間以内と短い点に注意) |
💡 表の読み方
たとえばオセルタミビル(NNT 7)の場合、家族がインフルエンザに感染した7人に予防投与を行えば、そのうち1人の発症を防ぐことができる、という意味です。NNTが小さいほど、より少ない人数で効果が得られる=効率的な薬剤といえます。裏を返せば、7人中6人は「飲んでも飲まなくても結果が同じだった」ことになります。だからこそ、その1人になったときの損失が大きい方ほど、予防投与の価値が高いと考えられます。
5. 各薬剤の詳細——用法・用量・体重別の早見表
オセルタミビル(タミフル後発品)
用法:体重37.5kg以上の方に対し、曝露後48時間以内に開始し、1日1カプセル(75mg)を7〜10日間服用します。
| 特徴 | 注意点 |
|---|---|
| ・長年の臨床実績があります ・後発品で費用を抑えられます ・NNT 7で最も効率的です |
・7〜10日間の連日服用が必要です ・飲み忘れると効果が落ちます ・吐き気・腹痛などの消化器症状が比較的多い薬剤です |
ゾフルーザ(バロキサビル マルボキシル)
用法:曝露後2日以内に1回のみ服用します。体重により用量が異なります。予防目的で使用できるのは体重20kg以上の方です。
| 対象 | 用量(単回) |
|---|---|
| 成人・12歳以上/体重80kg未満 | 40mg(20mg錠 × 2錠) |
| 成人・12歳以上/体重80kg以上 | 80mg(20mg錠 × 4錠) |
| 12歳未満/体重20kg以上40kg未満 | 20mg(20mg錠 × 1錠) |
| 12歳未満/体重40kg以上 | 40mg(20mg錠 × 2錠) |
⚠️ ゾフルーザの予防投与に関する3つの但し書き
① 体重20kg未満の小児は予防投与の適応外です(治療のみ対応)。
② 添付文書上、服用日から10日を超えた期間の予防効果は確認されていません。
③ B型インフルエンザの予防については、有効性を示すデータが限られています。今シーズンはB型ビクトリア系統も同時に流行しているため、この点は薬剤選択の判断材料になります。また小児に投与する場合は、流行ウイルスの薬剤耐性情報に留意し、他の抗インフルエンザ薬の使用も考慮したうえで慎重に検討することとされています。
イナビル(ラニナミビル オクタン酸エステル)
用法:吸入薬で、1回の吸入で完結します。水なしで使用できます。
| 対象 | 用量 |
|---|---|
| 10歳以上 | 2キット(40mg)を単回吸入(20mgを2日間に分けて吸入する方法もあります) |
| 10歳未満 | 1キット(20mg)を単回吸入 |
| 特徴 | 注意点 |
|---|---|
| ・1回の吸入で完結します ・水なしで使用できます ・お子さまにも使いやすい剤形です |
・正しい吸入手技が必要です(当院では診察室で吸入していただきます) ・喘息のある方は事前にご相談ください |
リレンザ(ザナミビル)
用法:10mgを1日1回、10日間吸入します。曝露後36時間以内に開始する必要があり、4剤のなかで最も期限が短い薬剤です。全身への吸収が少ないという特徴があります。
喘息や慢性閉塞性肺疾患のある方では、吸入により気管支けいれんや呼吸機能の低下を起こすことがあるため、慎重な判断が必要です。ご希望の場合は診察時にご相談ください。
6. 当院の費用一覧(院内処方・税込)
| 薬剤名 | 費用(税込・診察料込) | 投与方法 |
|---|---|---|
| オセルタミビル(タミフル後発品・10錠) | 8,000円 | 1日1回 × 7〜10日間(経口) |
| ゾフルーザ(2錠) | 10,000円 | 1回のみ(経口) |
| イナビル(10歳以上:2キット/10歳未満:1キット) | 10,000円 | 1回のみ(吸入) |
● 曝露後48時間という時間制限のなかで、移動と待ち時間を1回分減らせます
● 感染者と接触した方が、薬局でさらに人と接する機会を減らせます
● 上記費用には診察料が含まれており、お会計は1回のみです
⚠️ ご注意
● 上記は予防投与(自費診療)の費用です。すでに発症されている方の治療は健康保険の適用となり、費用は異なります。
● ゾフルーザは体重80kg以上の方、または増量が必要な方で錠数が変わるため、費用が変動する場合があります。
● 費用は改定されることがあります。最新の金額は受診時にご確認ください。
7. ケース別:あなたにはどの薬が向いているか
| こんなご事情の方 | 検討しやすい選択肢と考え方 |
|---|---|
| 受験生ご本人 | 試験日までの期間で選びます。試験が1週間以内ならゾフルーザやイナビルの単回投与が管理しやすく、期間が長く確実性を優先するならオセルタミビルの連日投与を検討します。 |
| 受験生の同居家族 | 「本人だけ守る」より「家庭内に持ち込まない」ほうが効果的な場合があります。きょうだいや保護者の方の予防投与も含めてご相談ください。 |
| 65歳以上の高齢の方 | 添付文書上の原則対象です。腎機能に応じて用量調整が必要な薬剤があるため、普段の採血結果をお持ちいただけると判断が確実になります。 |
| 糖尿病で治療中の方 | 代謝性疾患として原則対象に含まれます。あわせて、発熱時の内服薬・インスリンの調整(シックデイ対応)も確認しておきましょう。当院の糖尿病内科でご相談いただけます。 |
| 喘息のある方 | 吸入薬(イナビル・リレンザ)は気管支けいれんのリスクがあるため、内服薬を優先して検討することが多くなります。 |
| 小さなお子さま | 体重20kg未満のお子さまはゾフルーザの予防投与ができません。吸入手技の可否によってイナビルかオセルタミビルかを選びます。当院は小児科も併設しております。 |
| 海外出張・渡航直前の方 | 単回投与で完結する薬剤が携行の面で有利です。渡航先で必要な英文診断書の発行にも対応しております(当院には渡航医学認定医が2名在籍しています)。 |
8. 理事長コラム:「86%減少」と「11.7%減少」の違い
ゾフルーザの効果について、「発症リスク86%減少」という数字を目にされた方もいらっしゃるかもしれません。一方、本記事では「ARR 11.7%」と記載しています。同じ薬なのに、なぜ数字が違うのでしょうか。
実はこれは、2種類の異なる指標なのです。
| 指標 | 意味 | ゾフルーザの値 |
|---|---|---|
| ARR(絶対リスク減少) | 発症率が実際に何%下がったか | 11.7% |
| RRR(相対リスク減少) | 元のリスクと比べて何%カットされたか | 86% |
● ゾフルーザ群の発症率:1.9%
ここから計算すると——
● ARR = 13.6% − 1.9% = 11.7%(実際に減った分)
● RRR = (13.6% − 1.9%) ÷ 13.6% = 86%(元と比べた割合)
Ikematsu H, et al. N Engl J Med. 2020;383(4):309-320.
「86%減少」と聞くと非常に効果的に感じますが、これは「元のリスクの86%がカットされた」という意味です。一方、ARRは「100人中約12人分の発症を防げる」という、より実感しやすい数字です。
ポイント
NNT(治療必要数)はARRから計算されます。患者さんへの説明には、ARRやNNTを用いるほうが「実際にどれくらいの効果があるのか」が伝わりやすいと考え、本記事ではARRを中心に記載しています。広告や記事で大きな%を見たときは、それがARRなのかRRRなのかを確かめる——これは、インフルエンザに限らず、あらゆる医療情報を読むときに役立つ視点です。
9. 理事長コラム:なぜ「重症化予防」のエビデンスは弱いのか
ここまでご説明した予防効果(NNT・ARR)は、いずれも質の高いランダム化比較試験にもとづくものです。家庭内で感染者と接触した場合、予防薬の服用により発症リスクを下げられることは、一定のエビデンスによって支持されています。
一方、すでに発症した方への「治療」としての効果については、慎重な理解が必要です。2014年のコクランレビューによると、オセルタミビルの治療効果は「症状が約1日早く改善する」程度であり、入院予防や重症化予防の効果は証明されていません。
「インフルエンザ治療薬が重症化を防ぐ」という明確なエビデンスがないと聞くと、「本当に効くのか」と疑問に思われるかもしれません。しかし、これには理由があります。
① 倫理的な壁
最も質の高いエビデンスを得るには、「薬を投与するグループ」と「薬を投与しないグループ(プラセボ群)」を比較するランダム化比較試験が必要です。しかし、重症のインフルエンザ患者さんを対象に「この方には薬を投与しない」という試験を行うことは、現代の医療倫理では許されません。目の前で苦しんでいる患者さんに、効果があるかもしれない薬をあえて使わないことは、医師として行うことができないのです。
20世紀半ばまでは、今日では考えられないような臨床試験が行われていた時代もありました。しかし1947年のニュルンベルク綱領、1964年のヘルシンキ宣言などを経て、現代医学では被験者の安全と権利を最優先にすることが世界的な基準となっています。つまり、「エビデンスがない」のは「効果がない」からではなく、「倫理的に証明する方法がない」という側面もあるのです。
② 観察研究の限界
そのため、重症化予防の研究は主に「観察研究」に頼らざるを得ません。観察研究では「薬を使った人と使わなかった人を後から比較する」のですが、もともと症状が軽い人が薬を使わなかったり、重症の人ほど積極的に治療を受けたりするため、バイアス(偏り)が生じやすいという問題があります。
大切なのは、『薬に何を期待するか』を最初にすり合わせておくことだと考えています。『飲めば絶対にかからない』のではなく、『7人に1人の発症を減らせる』——この数字を共有したうえで、それでも打っておきたい理由があるかどうかを、一緒に考えたいと思っています。」
10. 副作用と、予防投与ができない・慎重を要する方
| 薬剤 | 主に報告されている副作用 |
|---|---|
| オセルタミビル | 吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、頭痛 |
| ゾフルーザ | 下痢、吐き気、頭痛 |
| イナビル | 下痢、頭痛、嘔吐、めまい |
| リレンザ | 発疹、顔のむくみ、頭痛、気管支けいれん(喘息のある方) |
共通して注意が必要なこと
まれに重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー)や、異常行動などの精神神経症状が報告されています。特に小児・未成年者では、発熱から少なくとも2日間は、目を離さないようにご配慮ください(マンション等では玄関や窓の施錠を含む)。これは抗インフルエンザ薬の服用の有無にかかわらず必要な配慮とされています。副作用が気になる場合は服用を中止し、医師にご相談ください。
⚠️ 予防投与ができない・慎重な検討が必要な方
● その薬剤の成分に対して過敏症の既往がある方
● 体重20kg未満のお子さま(ゾフルーザの予防投与は適応外)
● 体重37.5kg未満の方(オセルタミビルの予防投与は37.5kg以上が対象)
● 喘息・慢性閉塞性肺疾患のある方(吸入薬は慎重に検討します)
● 腎機能障害のある方(薬剤により用量調整が必要です)
● 妊娠中・授乳中の方(産科主治医と連携のうえ個別に判断します)
● すでに発熱等の症状が出ている方(この場合は予防ではなく「治療」として、保険診療で対応します)
11. 予防の主役はあくまでワクチンです
🚨 予防薬はワクチンの代わりにはなりません
インフルエンザ予防の最も効果的な方法はワクチン接種です。予防薬は、ワクチンを接種していても感染者と濃厚接触した場合や、ワクチン接種が間に合わなかった場合の追加の予防手段という位置づけです。日本小児科学会の指針でも、予防の基本は「ワクチン接種・マスク着用・手洗い」であり、予防投与は院内集団発生やハイリスク患者の曝露時に考慮するもの、とされています。
2026-2027シーズンのワクチンは、いま実際に流行しているA香港型(サブクレードK)に合わせて更新された3価ワクチンです。当院では2026年10月1日から2027年1月31日まで接種を実施いたします。港区の高齢者定期接種・子どもの任意接種助成にも対応しております。
| 対策 | ポイント |
|---|---|
| ワクチン接種 | 最も効果的な予防法。毎年の接種を推奨します。効果が出るまで約2週間、持続は約5か月間です |
| こまめな手洗い | 石けんで20秒以上。外出後・食事前に |
| マスク着用 | 飛沫感染を防ぎます。人混みでは特に |
| 換気 | 1時間に5〜10分。対角線上の2か所を開けると空気が流れます |
12. 受診から院内処方までの流れ
| STEP 1 | 接触した日時を確認する ご家族や同僚がいつ発症したか、最後に接触したのはいつかを整理しておいてください。48時間(リレンザは36時間)の起算点になります。 |
| STEP 2 | ご予約またはWEB問診(推奨) ご予約なしでも受診いただけますが、ご予約の方が優先となります。当日WEB予約とWEB問診をご利用いただくと待ち時間を短縮できます。 |
| STEP 3 | 診察 接触状況、持病、腎機能、これまでの薬の副作用歴、体重などを確認し、適応と薬剤を一緒に決めます。すでに症状が出ている場合は、予防ではなく検査・治療(保険診療)に切り替えます。 |
| STEP 4 | 院内処方でその場でお渡し 吸入薬の場合は、診察室で吸入手技をご確認いただきます。お会計は自費診療として1回で完了します。 |
| STEP 5 | 服用期間中も体調観察を続ける 予防投与中でも発症する可能性はあります。発熱等が出た場合は、あらためて受診してください(その時点からは保険診療となります)。 |
13. 理事長コメント
今シーズンは流行の立ち上がりが1か月以上早く、ワクチンが行き渡る10月中旬までに『空白期間』が生じています。当院は火曜日を除き土日祝も診療しており、予防薬は院内処方でその場でお渡しできます。ご家族が発症された当日でも、翌日でも構いません。48時間という時間だけは戻せませんので、迷われたらまずお電話(03-6432-5353)でご相談ください。」
14. まとめ
✅ 添付文書の原則対象は、発症者の同居家族・共同生活者のうち65歳以上/慢性呼吸器・心疾患/糖尿病等の代謝性疾患/腎機能障害のある方
✅ それ以外の方(受験生など)も、自費診療として医師の判断で実施できます
✅ NNTはオセルタミビル7、ゾフルーザ9、イナビル13。数字が小さいほど効率的です
✅ ゾフルーザは体重20kg未満は適応外、B型に対する予防のデータは限定的です
✅ 当院の費用はオセルタミビル8,000円/ゾフルーザ10,000円/イナビル10,000円(税込・診察料込・院内処方)
✅ 「86%減少」はRRR、「11.7%減少」はARR。指標の違いを知ることが情報を正しく読む鍵です
✅ 予防の主役はワクチン。当院は2026年10月1日〜2027年1月31日に接種を実施します
15. よくあるご質問(Q&A 12問)
16. 参考文献・出典
【予防投与の効果】
- Hayden FG, et al. Prevention of influenza in households by oseltamivir. N Engl J Med. 2004;351(23):2406-2416.
- Ikematsu H, et al. Baloxavir marboxil for prophylaxis against influenza in household contacts. N Engl J Med. 2020;383(4):309-320.(BLOCKSTONE試験)
- Ishiguro N, et al. Phase III randomized, double-blind study of laninamivir octanoate for postexposure prophylaxis of influenza. Antiviral Therapy. 2010;15(3):429-438.
【治療投与の効果・限界】
- Jefferson T, et al. Neuraminidase inhibitors for preventing and treating influenza in adults and children. Cochrane Database Syst Rev. 2014;(4):CD008965.
- Hanula R, et al. Evaluation of Oseltamivir Used to Prevent Hospitalization in Outpatients With Influenza. JAMA Intern Med. 2024;184(1):18-27.
- Lee N, et al. Antivirals for treatment of severe influenza: a systematic review and network meta-analysis of randomised controlled trials. Lancet. 2024;404:928-940.
【添付文書・公的情報・学会指針】
- ゾフルーザ®錠10mg/錠20mg/顆粒2%分包 添付文書(塩野義製薬)
- タミフル®カプセル75/ドライシロップ3% 添付文書(中外製薬)ならびにオセルタミビルリン酸塩製剤 添付文書
- イナビル®吸入粉末剤20mg 添付文書(第一三共)
- リレンザ® 添付文書(グラクソ・スミスクライン)
- 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会「2025/26シーズンのインフルエンザ治療・予防指針」2025年10月22日
- 厚生労働省「インフルエンザの発生状況について」2026年8月28日発表(2026年第34週)
- 東京都保健医療局 報道発表資料「都内でインフルエンザが流行開始」2026年8月27日/東京都感染症情報センター「インフルエンザの流行状況(東京都 2025-2026年シーズン)」
- 埼玉県「インフルエンザ流行情報 2026年第35週」2026年9月2日公表
- 厚生労働省 健康・生活衛生局長通知「令和8年度インフルエンザHAワクチン製造株の決定について」感発0604第1号、2026年6月4日
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