医療法人社団五良会|理事長、竹内内科小児科医院|院長 五藤良将(糖尿病内科・感染症)
🚨 【時事】サンドウィッチマン伊達みきおさんが脳梗塞で活動休止
2026年8月28日、お笑いコンビ・サンドウィッチマンの伊達みきおさんが脳梗塞と診断され、当面の間休養されることが所属事務所より発表されました。報道によれば、体調不良を訴えて検査を受けたところ脳梗塞と診断され、幸い大事には至らず、現在は入院のうえリハビリに励んでいらっしゃるとのことです。
出典:日本経済新聞、時事通信、各社報道(2026年8月28日〜29日)
皆さま、こんにちは。五良会クリニック白金高輪 理事長の五藤良将です。テレビでおなじみの方の突然の報道に、驚かれた方も多いのではないでしょうか。伊達さんご自身の発症の原因は公表されておらず、本記事で個別の病状を推測するものではありません。まずは一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。
今回のニュースであらためて知っていただきたいのは、脳梗塞は決して「高齢者だけの病気」ではないということです。40〜50代の働き盛り世代の脳梗塞は珍しくなく、その土台になりやすいのがメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に代表される生活習慣病の積み重ねです。この記事では、一般論として、メタボリックシンドロームと脳梗塞リスクの関係、命を守る合言葉「FAST」、そして港区・白金高輪で内視鏡検査や糖尿病内科診療を行う内科医の立場から、健診・人間ドックを活用した予防と早期発見のポイントを解説します。
1. 脳梗塞とは―働き盛り世代も無関係ではありません
脳梗塞は、脳の血管が詰まって血流が途絶え、その先の脳細胞が障害される病気です。脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)の中で最も多くを占め、命が助かっても麻痺や言語障害などの後遺症が残ることがある、要介護状態の主な原因の一つでもあります。脳梗塞には大きく3つのタイプがあります。
| タイプ |
詰まり方 |
主な背景 |
| ラクナ梗塞 |
脳の細い血管が詰まる |
高血圧 |
| アテローム血栓性脳梗塞 |
動脈硬化で狭くなった太い血管が詰まる |
高血圧・糖尿病・脂質異常症・メタボ・喫煙 |
| 心原性脳塞栓症 |
心臓にできた血栓が脳に飛ぶ |
心房細動などの不整脈 |
このうちラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞は、高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満・喫煙といった生活習慣病の積み重ねが土台になります。動脈硬化は数年〜数十年かけて自覚症状のないまま進むため、40〜50代の発症は「その日突然」ではなく、実は長い準備期間の末に起こるものです。だからこそ、働き盛りの今からの対策に意味があります。
2. メタボリックシンドロームの診断基準
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積を土台に、高血圧・高血糖・脂質異常が重なった状態です。わが国の診断基準(メタボリックシンドローム診断基準検討委員会、2005年・日本内科学会など8学会合同)では、腹囲(おへその高さ)が男性85cm以上・女性90cm以上であることを必須条件に、以下の3項目のうち2つ以上に当てはまるとメタボリックシンドロームと診断されます。
| 項目 |
基準値 |
| 血圧 |
収縮期130mmHg以上 かつ/または 拡張期85mmHg以上 |
| 血糖 |
空腹時血糖110mg/dL以上 |
| 脂質 |
中性脂肪150mg/dL以上 かつ/または HDLコレステロール40mg/dL未満 |
⚠️ 注意
この基準値は「病気」と診断されるレベルより一段階手前に設定されています。血圧130/85mmHgは高血圧(140/90mmHg以上)の手前ですが、内臓脂肪と重なるとすでに動脈硬化が進み始める段階と考えられています。また腹囲が基準未満でも血圧・血糖・脂質の異常が重なる「隠れメタボ」の方も同様に注意が必要です。健診結果の「要注意」「要経過観察」を「まだ大丈夫」と読み替えないでください。
3. メタボが脳梗塞を招くメカニズム
一つひとつは「ちょっと高め」程度の数値でも、重なることで動脈硬化が加速することが分かっています。内臓脂肪から脳梗塞に至るまでの流れは、次のようなステップで進みます。
| STEP 1 |
内臓脂肪がたまる 食べすぎ・飲みすぎ・運動不足で、おなかの内側に脂肪が蓄積します。 |
| STEP 2 |
悪玉物質が分泌される 内臓脂肪から血圧・血糖・脂質を悪化させる物質(アディポサイトカイン)が出て、血管に炎症が起こりやすくなります。 |
| STEP 3 |
高血圧・高血糖・脂質異常が重なる それぞれが血管の内側の壁を傷つけます。 |
| STEP 4 |
動脈硬化が進む 血管の壁が厚く硬くなり、プラーク(こぶ)ができて血液の通り道が狭くなります。この間、痛みなどの自覚症状はほとんどありません。 |
| STEP 5 |
血管が詰まる=脳梗塞 プラークが破れて血栓ができ、脳の血管をふさぎます。 |
💡 危険因子は「足し算」ではなく「掛け算」
厚生労働省のe-ヘルスネットでも紹介されているとおり、肥満・高血圧・高血糖・脂質異常などの危険因子は、複数重なると心筋梗塞や脳梗塞のリスクが数倍に跳ね上がることが国内の疫学研究で示されています。一つひとつが軽くても「重なっていること」自体が危険信号です。
4. データで見るリスクの大きさ
福岡県久山町で60年以上続く「久山町研究」では、メタボリックシンドロームのある方はない方に比べて、脳梗塞を含む心血管病の発症リスクが約2倍に上昇することが示されています。また、糖尿病のある方の脳梗塞リスクは、ない方の約2〜3倍とされます(糖尿病診療ガイドライン2024)。
高血圧は脳卒中の最大の危険因子です。2025年8月に発刊された高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)では、原則として多くの成人で診察室血圧130/80mmHg未満・家庭血圧125/75mmHg未満を目指す方針が示されました。これらの数値はすべて、生活習慣の見直しと治療によって「動かせる数字」であるという点が重要です。
5. 命を守る合言葉「FAST」と一過性脳虚血発作(TIA)
脳梗塞は「時間との勝負」の病気です。発症から4.5時間以内であれば血栓を溶かす薬(rt-PA静注療法)、条件を満たせばカテーテルで血栓を取り除く治療(血栓回収療法)が可能な場合があり、早く治療を始めるほど後遺症を軽くできる可能性が高まります(脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕、日本脳卒中学会)。日本脳卒中協会が啓発する合言葉が「FAST(ファスト)」です。
| 頭文字 |
チェック内容 |
| Face(顔) |
「イー」と笑ったとき、顔の片側がゆがむ・口角が下がる |
| Arm(腕) |
両腕を前に上げると、片方の腕が下がってくる・力が入らない |
| Speech(言葉) |
ろれつが回らない・言葉が出てこない・短い文を正しく繰り返せない |
| Time(時間) |
一つでも当てはまれば、発症時刻を確認してすぐに119番 |
⚠️ 「すぐ治まったから大丈夫」が一番危険です
片側の手足のしびれ・脱力、ろれつの回りにくさ、片目が見えにくいなどの症状が数分〜数十分で消えた場合、一過性脳虚血発作(TIA)の可能性があります。TIAは「本格的な脳梗塞の前ぶれ」であり、発症後数日以内が特に危険とされています。症状が消えても「治った」わけではありません。その日のうちに医療機関を受診してください。
6. もうひとつの脳梗塞―心房細動と健診の心電図異常
メタボ対策と並行して知っていただきたいのが、心房細動という不整脈です。心臓の中にできた血栓が脳に飛んで太い血管を塞ぐ「心原性脳塞栓症」は、アテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞に比べて重症化しやすいことが知られています。心房細動は動悸の自覚がないまま経過することも多く、健診の心電図で不整脈を指摘された際に放置しないことが早期発見につながります。
健診で「期外収縮」「不整脈の疑い」と指摘された場合、多くは治療の必要がない良性のものですが、まれに心房細動などの基礎疾患が隠れていることもあります。判断に迷う場合は、当院の血液検査・心エコー・ホルター心電図まで含めた評価をご利用ください(詳しくは後述の関連記事もご参照ください)。
7. 白金高輪で受けられる「血管を守る」健診・人間ドック
五良会クリニック白金高輪は、内視鏡検査・消化器内科・血液内科・糖尿病内科を1F・2Fで一貫して提供しているクリニックです。動脈硬化は自覚症状のないまま進むからこそ、健診・人間ドックで「数字」として早期に捉えることが重要です。
✅ 当院で確認できる主な項目
✅ 腹囲・血圧・血糖(HbA1c)・脂質(LDL・中性脂肪・HDL)などメタボ診断基準の各項目
✅ 胃カメラ・大腸カメラ(土曜・日曜・祝日も毎週実施)と腹部エコーを組み合わせた「丸ごと検査」
✅ 血液内科専門外来(毎週日曜・木曜)による血液検査の精査
✅ 心電図・必要に応じた心エコー、ホルター心電図による不整脈の評価
✅ 糖尿病内科としてのCGM(持続血糖モニター)を活用した個別化管理
「健診で複数の項目に印がついているが、何から手をつけていいか分からない」という段階からのご相談も歓迎しています。数値をまとめて確認し、優先順位をつけて対策を立てることができます。
8. 今日からできる予防
① まず「3%」の減量から
内臓脂肪は「つきやすく、落ちやすい」脂肪です。体重の約3%の減量(例:80kgの方なら約2.4kg)でも、血圧・血糖・中性脂肪の改善が期待できることが特定保健指導などの知見で示されています。涼しくなる季節は、食事の見直しとウォーキングを始める好機です。
② 血圧・血糖・脂質を「数字で」管理する
高血圧は脳梗塞の最大の危険因子です。JSH2025の目標値を目安に、家庭血圧の測定を習慣にしましょう。健診で指摘された血糖(HbA1c)・LDLコレステロール・中性脂肪は放置せず、かかりつけ医と一緒に目標値を決めて管理することが大切です。
③ 禁煙・節酒・そして健診を受ける
喫煙は動脈硬化を強力に進めます。禁煙は何歳から始めても効果が期待できる、最も確実な脳梗塞予防の一つです。飲酒は節度ある量にとどめましょう。そして、この秋の健診・人間ドックはぜひ受けてください。腹囲・血圧・血糖・脂質という「メタボの成績表」を毎年確認することが、10年後の脳を守る第一歩になります。
9. こんな方は一度ご相談ください
⚠️ 受診をおすすめするチェックリスト
▶ 健診で腹囲・血圧・血糖・脂質のうち2つ以上を指摘された
▶ 「要注意」「要精密検査」の結果を1年以上放置している
▶ 血圧の薬・糖尿病の薬を自己判断でやめてしまっている
▶ タバコを吸っていて、やめたいと思っている
▶ 過去に一時的なしびれ・ろれつの回りにくさがあったが、受診していない
▶ ご家族に脳卒中・心筋梗塞になった方がいる
10. 理事長コメント
💬 理事長 五藤良将より
「著名な方の病気の報道があると、その日は多くの方が健康を意識されますが、数日経つと元の生活に戻ってしまうことも少なくありません。脳梗塞は何年もかけて静かに準備される病気だからこそ、『今日、思い出したこと』を行動に移していただきたいと思います。当院では内視鏡・血液内科・糖尿病内科を組み合わせて、メタボリックシンドロームの土台にある動脈硬化のリスクを数値でお示しすることができます。健診結果が気になっている方は、遠慮なくご相談ください。」
11. まとめ
📝 この記事のポイント
✅ 脳梗塞は働き盛り世代にも起こりうる病気です
✅ メタボリックシンドロームは腹囲+血圧・血糖・脂質のうち2項目以上で診断されます
✅ 危険因子は「重なる」ことで数倍にリスクが跳ね上がります
✅ 一つでも当てはまれば119番――合言葉は「FAST」
✅ 症状が数分で消えても「治った」わけではなく、TIAの可能性があります
✅ 健診の心電図異常(心房細動など)も脳梗塞の原因になりえます
✅ 体重の3%減量、血圧・血糖・脂質の数値管理、禁煙、そして定期的な健診が予防の柱です
12. よくある質問(FAQ)
Q. 健診でメタボと言われましたが、症状は何もありません。それでも受診すべきですか?
A. はい、症状がない今こそ受診のよいタイミングです。動脈硬化は何年もかけて無症状のまま進み、最初の症状が脳梗塞や心筋梗塞そのものであることも少なくありません。まずは血圧・血糖・脂質の評価と生活習慣の見直しから始めましょう。
Q. 腹囲は基準未満ですが、血圧と血糖だけ高めです。メタボではないので大丈夫でしょうか?
A. 診断基準上はメタボリックシンドロームに該当しなくても、複数の危険因子が重なっていれば動脈硬化のリスクは同様に上昇しえます。いわゆる「隠れメタボ」の状態であり、腹囲の数値だけで安心せず、血圧・血糖・脂質はそれぞれ管理することをおすすめします。
Q. 数分で治ったしびれやろれつの回りにくさがありました。もう受診しなくて大丈夫でしょうか?
A. いいえ、それは一過性脳虚血発作(TIA)の可能性があり、脳梗塞の前ぶれとされています。TIA後の数日以内は本格的な脳梗塞のリスクが特に高いとされていますので、「治ったから安心」とせず、できるだけ早く医療機関を受診してください。
Q. お腹まわりの脂肪はなかなか減りません。何から始めるのが効果的ですか?
A. 内臓脂肪は皮下脂肪より減りやすい脂肪です。甘い飲料・間食・締めの一品を減らす「引き算」と、ウォーキングなどの有酸素運動から始めてください。目標は3〜6か月で現体重の3%減です。生活改善が難しい場合は、薬物療法を含めた選択肢を糖尿病内科でご相談いただけます。
Q. 家族が脳梗塞になりました。自分もリスクが高いのでしょうか?
A. 脳梗塞そのものが直接遺伝するわけではありませんが、高血圧・糖尿病などの体質や生活習慣は家族で共有されやすく、ご家族に脳卒中の方がいる場合はリスクがやや高いと考えて、早めに血圧・血糖・脂質を確認しておくことをおすすめします。
Q. 健診の心電図で不整脈を指摘されました。脳梗塞と関係ありますか?
A. 不整脈の多くは経過観察で問題ないものですが、心房細動などが背景にある場合、心臓の中にできた血栓が脳に飛んで脳梗塞(心原性脳塞栓症)を起こすことがあります。健診で指摘された場合は、一度、血液検査や心エコーなどで評価しておくと安心です。
Q. 白金高輪で、メタボ・脳梗塞予防に関する検査はまとめて受けられますか?
A. はい。当院(白金高輪駅2番出口徒歩1分)では、血液検査・心電図に加えて、内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)や腹部エコーを組み合わせた「丸ごと検査」、血液内科専門外来(毎週日曜・木曜)、糖尿病内科としてのCGMを活用した個別化管理まで、一貫して対応しております。土曜・日曜・祝日も診療しておりますので、平日お忙しい働き盛り世代の方もご相談いただけます(火曜休診)。
13. 参考文献
1. 日本脳卒中学会脳卒中ガイドライン委員会編. 脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕. 協和企画, 2025年8月30日発行.
2. 日本高血圧学会編. 高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025). ライフサイエンス出版, 2025年8月発刊.
3. メタボリックシンドローム診断基準検討委員会. メタボリックシンドロームの定義と診断基準. 日本内科学会雑誌. 2005;94(4):794-809.
4. 日本糖尿病学会編. 糖尿病診療ガイドライン2024. 南江堂, 2024年.
5. 厚生労働省 e-ヘルスネット「メタボリックシンドローム」(2026年9月閲覧)
6. 日本脳卒中協会「脳卒中の予防と早期発見(FAST)」(2026年9月閲覧)
7. 久山町研究(九州大学)関連報告:メタボリックシンドロームと心血管病発症リスクに関する疫学データ
8. 各社報道(日本経済新聞・時事通信・スポーツ報知ほか、2026年8月28日〜29日):サンドウィッチマン伊達みきおさんの脳梗塞による活動休止について
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理事長 五藤 良将