健診で「白血球が少ない」「好中球減少」と言われたら|原因(感染・薬剤性・血液疾患)と血液内科を受診すべきサイン【港区・白金高輪の内科】
- 2026年9月13日
- お知らせ
医療法人社団五良会|理事長、竹内内科小児科医院|院長 五藤良将(糖尿病内科・感染症/日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医)
「健診の結果票に『白血球が少ない』『好中球減少』と書かれていたけれど、体調は変わらないので様子を見ている」――港区・白金高輪エリアの健診後の外来で、しばしばお聞きするご相談です。白血球(特に好中球)は、細菌などの感染から体を守る免疫細胞の主力です。数値がわずかに基準値を下回る程度であれば経過観察で問題ないことも多い一方、数値の程度や背景によっては、感染症にかかりやすくなったり、まれに血液の病気が隠れていたりすることがあります。
この記事では、日本臨床腫瘍学会「発熱性好中球減少症(FN)診療ガイドライン改訂第3版」(2024年2月発行)、厚生労働省・PMDA「重篤副作用疾患別対応マニュアル 無顆粒球症」(令和4年2月改定)等に基づき、健診結果の正しい読み方、放置してよい範囲、緊急受診が必要なサインを、白金高輪駅徒歩1分の内科がわかりやすく解説します。健診結果票をお手元に置いて読んでいただくと、より実感を持ってご理解いただけます。
1. 結論:数値だけでなく「程度」と「背景」を確認してください
先に結論をお伝えします。健診で「白血球が少ない」「好中球減少」を指摘された場合、多くはウイルス感染などによる一過性の変化で、経過観察でよいケースが大半です。特に軽度の減少で、他の血液検査値に異常がなく、症状もない場合は、数週間〜数か月後の再検査で自然に回復していることをしばしば経験します。
一方で、減少の程度が強い場合、内服中のお薬がある場合、貧血や血小板減少を伴う場合、発熱を伴う場合には、薬剤性無顆粒球症や血液の病気が背景にある可能性があり、早めの精査が必要です。まずは「自分の数値がどの程度なのか」「原因として思い当たるお薬や体調の変化がないか」を確認することが第一歩です。
2. 好中球とは何か――白血球の中での役割
白血球は、体に侵入した細菌やウイルスと戦う免疫細胞の総称で、好中球・リンパ球・単球・好酸球・好塩基球など複数の種類に分かれます。このうち好中球は白血球全体の半分以上を占め、細菌感染に対する最前線の防御を担う細胞です。健診結果票の「白血球数」だけでなく、その内訳である「好中球(Neutro・Neut・好中球%)」の値まで確認することが重要です。
好中球が減少すると、細菌に対する防御力が下がり、通常であれば問題にならないような常在菌でも感染症を起こしやすくなります。健診の血液検査で好中球減少が見つかるのは、体からの「免疫の見張り番が手薄になっているかもしれない」というサインと捉えることができます。
3. 健診結果の見方――基準値と減少の程度分類
白血球数の基準範囲は検査機関によって幅がありますが、一般的な目安は3,300〜8,600/μL前後です。好中球数はそこに好中球の割合(好中球%)を掛け合わせて計算します。好中球数そのものの基準は施設によって差がありますが、1,500/μL未満を好中球減少とするのが一般的な考え方です。がん薬物療法の副作用評価で用いられるCTCAE(有害事象共通用語規準)の重症度分類は、健診異常の程度を理解するうえでも参考になります。
| 好中球数の目安 | 程度 | 考え方の目安 |
|---|---|---|
| 基準下限〜1,500/μL | 軽度減少 | 症状がなければ経過観察で対応することが多い |
| 1,000〜1,500/μL | 中等度減少 | 原因検索(内服薬・感染歴・他の血球)を行うことが望ましい |
| 500〜1,000/μL | 高度減少 | 感染リスク上昇。原因精査と血液内科への相談を検討 |
| 500/μL未満 | 無顆粒球症 | 重症感染症のリスクが高く、発熱時は緊急受診が必要 |
数値の区切りは目安です
上記の数値区分は、CTCAE(有害事象共通用語規準)による重症度分類の考え方を、健診結果の理解のために簡略化したものです。実際の基準範囲は検査機関により異なり、年齢・人種による生理的な違いもあるため、判定はご自身の健診結果票の基準範囲と、医師の診察のもとで行う必要があります。
4. 主な原因(1)感染症によるもの――多くは一過性
健診で見つかる好中球減少の中で頻度が高いのが、ウイルス感染に伴う一過性の減少です。インフルエンザなどの急性ウイルス感染症では、感染初期に好中球が骨髄から末梢血へ動員される一方で、その後一時的に数値が下がることがあります。伝染性単核症(EBウイルス感染症)では、感染者の約半数に軽度の白血球減少や血小板減少がみられるとされ、多くは1〜2週間程度で自然に改善します。
「健診の少し前に風邪をひいていた」「最近発熱があった」という心当たりがある場合は、感染症からの回復過程で一時的に数値が下がっている可能性があります。この場合は、数週間〜1か月程度あけて再検査を行い、数値が戻っているかを確認するだけで済むことが少なくありません。
5. 主な原因(2)薬剤性――抗甲状腺薬・抗菌薬などに注意
内服中のお薬がある場合に必ず確認したいのが薬剤性の好中球減少・無顆粒球症です。厚生労働省・PMDA「重篤副作用疾患別対応マニュアル 無顆粒球症(顆粒球減少症、好中球減少症)」(令和4年2月改定)では、原因となりうる薬剤として抗甲状腺薬・抗菌薬・抗血小板薬・抗てんかん薬・抗精神病薬・消化性潰瘍治療薬など、幅広い種類が挙げられています。
| 薬剤の種類 | 代表例・特徴 |
|---|---|
| 抗甲状腺薬 | チアマゾール(メルカゾール)・プロピルチオウラシル。頻度は約0.2%とされ、服用開始後2〜3か月以内の発症が8割以上。この期間は2週間ごとの血液検査が推奨される |
| 抗菌薬 | ST合剤で頻度が高いとされ、β-ラクタム系でも10〜14日以上の投与で起こりうる |
| 抗血小板薬 | チクロピジンなど。投与開始から比較的早期の発症が知られる |
| 抗てんかん薬・抗精神病薬 | クロザピンなど。無顆粒球症の代表的な原因薬剤の一つとして知られ、定期的な血液モニタリングが制度化されている薬剤もある |
| 消化性潰瘍治療薬・NSAIDs | H2受容体拮抗薬・PPI・解熱鎮痛薬など、日常的によく使われる薬剤でも頻度は低いながら報告がある |
お薬手帳をご持参ください
・新しく始めたお薬がある方(特に開始から2〜3か月以内)
・バセドウ病・橋本病で抗甲状腺薬を内服中の方(喉の痛み・発熱があれば自己判断で内服を続けず、すぐにご相談ください)
・複数の医療機関から薬を処方されている方
健診結果と一緒にお薬手帳をお持ちいただくと、原因の特定がスムーズになります。
白金高輪駅2番出口 徒歩1分/火曜を除き土・日・祝も診療
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6. 主な原因(3)自己免疫疾患・血液の病気
頻度は高くありませんが、自己免疫疾患や骨髄の病気が背景にあることもあります。全身性エリテマトーデス(SLE)や関節リウマチに伴うフェルティ症候群などの自己免疫疾患では、自己抗体が好中球を攻撃することで減少が起こります。また、骨髄そのもので血液細胞が正常に作られなくなる再生不良性貧血や骨髄異形成症候群(MDS)、白血病などでは、好中球減少に加えて貧血や血小板減少を同時に伴うことが特徴です。
先天的に好中球が少ない体質(良性の家族性・民族性好中球減少)の方もいらっしゃいますが、この場合は健診のたびに同程度の軽度減少が続き、感染を繰り返すこともなく、経過観察で問題ないことがほとんどです。「今回だけ急に下がった」のか「以前から同じくらいの値だった」のかを比較することも、原因を考えるうえで重要な手がかりになります。
貧血・血小板減少を伴う場合は特に注意
好中球減少が「白血球だけ」の異常であれば感染症・薬剤性が多い一方、ヘモグロビン(貧血)や血小板の数値も同時に下がっている場合は、骨髄の病気が背景にある可能性を考え、早めに血液内科で精査を受けることをおすすめします。
7. 見逃してはいけない危険なサイン――発熱性好中球減少症
好中球減少のなかでも、「発熱性好中球減少症(FN)」は緊急性の高い状態です。日本臨床腫瘍学会「発熱性好中球減少症(FN)診療ガイドライン改訂第3版」(2024年2月発行)では、好中球数が500/μL未満、または1,000/μL未満で48時間以内に500/μL未満まで低下すると予測される状態で、腋窩温37.5℃以上(口腔内温38℃以上)の発熱を伴う場合をFNと定義しています。このガイドラインは主にがん薬物療法中の患者を対象としたものですが、好中球が高度に減少している状態で発熱が起きた場合は急速に重症化しうるという基本的な考え方は、原因を問わず参考になります。
🚨 こんな症状があればすぐに受診してください
・好中球高度減少(500〜1,000/μL未満など)を指摘されている状態での38℃以上の発熱
・抗甲状腺薬・クロザピンなど無顆粒球症のリスクがある薬を内服中ののどの痛み・口内炎・発熱
・繰り返す口内炎、治りにくい歯肉の腫れ・皮膚の感染
これらは自己判断で様子を見ず、速やかに医療機関を受診してください(お薬が原因の場合は自己判断で中止せず、必ず処方医にもご相談ください)。
8. 経過観察でよい場合と精密検査が必要な場合の見分け方
ここまでの内容を、実際の健診結果と照らし合わせやすいように整理します。
| 状況 | 考え方の目安 |
|---|---|
| 軽度減少・症状なし・他の血球正常・以前から同程度 | 経過観察でよいことが多い(数か月後に再検査で確認) |
| 中等度以上の減少、または初めて指摘された | 原因検索(内服薬確認・感染歴・血液像)を推奨 |
| 貧血・血小板減少を同時に伴う | 血液内科での精密検査を推奨 |
| 無顆粒球症リスクのある薬を内服中に発熱・のどの痛み | 緊急受診(自己判断での服薬中止・様子見は避ける) |
9. 白金高輪1Fでの検査・フォローの流れ
健診で好中球減少・白血球減少を指摘された場合、当院では次のような流れで評価を進めます。
| STEP 1 | 問診・お薬手帳の確認 内服薬の有無・開始時期、最近の発熱・感染歴、過去の健診結果との比較を確認します |
| STEP 2 | 血液検査(血算・血液像の再確認) 白血球分画・貧血・血小板の有無をあわせて確認し、感染性・薬剤性・血液疾患の可能性を整理します |
| STEP 3 | 経過観察の設定、または専門機関への紹介 軽度であれば数週間〜数か月後の再検査を設定します。骨髄疾患が疑われる場合は、骨髄検査が可能な専門医療機関へ紹介いたします |
10. よくあるご質問(FAQ)
11. 理事長コメント
12. まとめ
✅ 多くはウイルス感染後の一過性の変化で、軽度・無症状なら経過観察でよいことが多い
✅ 抗甲状腺薬・抗菌薬・抗てんかん薬など、内服中の薬剤性の可能性は必ず確認を(お薬手帳持参)
✅ 貧血・血小板減少を伴う場合は骨髄の病気の可能性もあり、血液内科での精査が有用
✅ 500/μL未満での発熱は緊急性が高い「発熱性好中球減少症」。自己判断せずすぐ受診(日本臨床腫瘍学会ガイドライン改訂第3版)
✅ 白金高輪駅徒歩1分・火曜を除き土日祝も診療
血液内科専門医による外来診療を行っております。
✅ 貧血や血小板減少を同時に指摘された方
✅ 内服中の薬による副作用が心配な方
✅ 血液疾患の経過観察中の方
・日本臨床腫瘍学会「発熱性好中球減少症(FN)診療ガイドライン改訂第3版」2024年2月発行(南江堂):好中球減少・発熱性好中球減少症の定義、重症度の考え方
・厚生労働省・独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「重篤副作用疾患別対応マニュアル 無顆粒球症(顆粒球減少症、好中球減少症)」平成19年6月(令和4年2月改定):薬剤性無顆粒球症の原因薬剤・発症時期・モニタリングの考え方
・CTCAE(有害事象共通用語規準)v5.0:好中球数減少の重症度分類(Grade1〜4)
・好中球数・白血球数の基準値は検査機関により幅があるため、記事内では「目安」「前後」等の表現で明記し、実際の判定はご自身の健診結果票の基準範囲に基づき医師の診察のもとで行う必要があります
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10:00 〜 15:00 |
| 14:30〜19:00 | ○ | ○ | ○ | ○ |
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