健診で「MCVが高い」と言われたら|大球性貧血とビタミンB12欠乏のサイン――しびれ・物忘れ、メトホルミン内服中の方は要注意【白金高輪の血液内科】|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

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健診で「MCVが高い」と言われたら|大球性貧血とビタミンB12欠乏のサイン――しびれ・物忘れ、メトホルミン内服中の方は要注意【白金高輪の血液内科】|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

健診で「MCVが高い」と言われたら|大球性貧血とビタミンB12欠乏のサイン――しびれ・物忘れ、メトホルミン内服中の方は要注意【白金高輪の血液内科】

医療法人社団五良会|理事長、竹内内科小児科医院|院長 五藤良将(糖尿病内科・感染症)

健康診断の血液検査で「MCVが高い」「大球性貧血の疑い」と書かれていて、意味が分からず不安になっていませんか。あるいは「貧血ではないけれど、MCVだけ高い」という結果に、様子見でよいのか迷っている方も多いと思います。MCV(平均赤血球容積)は、赤血球1個あたりの大きさを示す値です。この数字が大きいということは、赤血球が「大きく育ちすぎている」ことを意味し、その背景にはビタミンB12欠乏葉酸欠乏、まれに骨髄の病気が隠れていることがあります。
とくにビタミンB12欠乏は、貧血よりも先に手足のしびれ・歩きにくさ・物忘れといった神経の症状が出ることがあり、気づくのが遅れると神経の障害が元に戻らなくなることがあります。また、糖尿病でメトホルミンを長く飲んでいる方胃を手術した方ピロリ菌による萎縮性胃炎がある方は、B12が不足しやすい代表的なグループです。この記事では、白金高輪駅徒歩1分・港区の内科/血液内科専門外来のある「五良会クリニック白金高輪」の医師が、MCV高値の読み方、原因の見分け方、検査と治療の進め方までを解説します。
📋 この記事の内容(クリックで該当箇所へ)
① 結論:MCV高値+しびれ・物忘れがあれば、すぐにビタミンB12を測ってください
② MCVとは?健診の赤血球の項目(MCV・MCH・MCHC)の読み方
③ 大球性(MCVが高い)の主な原因一覧
④ ビタミンB12が不足する5つの理由
⑤ 貧血より怖い「神経のサイン」――しびれ・歩行のふらつき・物忘れ
⑥ 検査の進め方|血中濃度・抗体・胃カメラで原因を突き止める
⑦ 治療|内服と注射の使い分け、葉酸だけを飲んではいけない理由
⑧ 糖尿病でメトホルミンを飲んでいる方へ
⑨ 「B12もMCVも異常なのに原因が分からない」ときに考えること
⑩ 受診の目安と、当院での進め方
⑪ よくあるご質問(FAQ)
⑫ 理事長コメント
⑬ まとめ
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1. 結論:MCV高値+しびれ・物忘れがあれば、すぐにビタミンB12を測ってください

まず結論からお伝えします。健診でMCVが基準範囲の上限(多くの施設で100〜102 fL前後)を超えている場合、それが「体質」で片づけられることはほとんどありません。ビタミンB12・葉酸の血中濃度を測ることで、原因の多くはその日のうちに絞り込めます。とくに次のいずれかに当てはまる方は、早めの受診をおすすめします。

⚠️ 早めの受診をおすすめする方

・手足の先がしびれる・じんじんする、感覚が鈍い
歩くとふらつく、暗いところで足元が不安定になった
物忘れ・集中力低下が以前より目立つ
舌がヒリヒリする・つるつるして赤い(Hunter舌炎)
胃の手術(胃全摘・胃切除)を受けたことがある
メトホルミン(糖尿病の薬)を数年以上飲んでいる
菜食中心で、肉・魚・卵・乳製品をほとんど摂らない

ビタミンB12欠乏による貧血は、ビタミンを補えば血液の数値はよく戻ります。一方で、神経の症状は発症からの期間が長いほど回復が不十分になりやすいと考えられています。「貧血は軽いから大丈夫」ではなく、「神経症状が出る前に見つける」——これがMCV高値をきちんと調べる最大の理由です。

2. MCVとは?健診の赤血球の項目(MCV・MCH・MCHC)の読み方

健診の血液検査には、ヘモグロビン(Hb)や赤血球数(RBC)のほかに、MCV・MCH・MCHCという3つの「赤血球指数」が並んでいます。これは赤血球の大きさと中身の濃さを表す指標で、貧血の原因を分類する最初の手がかりになります。
項目 意味 おおよその基準範囲
MCV
平均赤血球容積
赤血球1個の大きさ 約80〜100 fL
(施設により85〜102など幅あり)
MCH
平均赤血球ヘモグロビン量
赤血球1個に含まれるヘモグロビンの 約27〜34 pg
MCHC
平均赤血球ヘモグロビン濃度
赤血球の中のヘモグロビンの濃さ 約31〜36 %
このうちMCVによって、貧血は大きく3つに分けられます。
分類 MCV 代表的な原因
小球性 低い(およそ80未満) 鉄欠乏性貧血、慢性炎症、サラセミアなど
正球性 基準範囲内 出血直後、腎性貧血、溶血、慢性疾患に伴う貧血など
大球性 高い(およそ100〜102超) ビタミンB12欠乏・葉酸欠乏、アルコール、肝疾患、甲状腺機能低下症、骨髄異形成症候群など

貧血がなくてもMCVだけ高いことがあります

ビタミンB12や葉酸の不足は、ヘモグロビンが下がるより先にMCVが上がることが少なくありません。「Hbは正常だからスルーでよい」と判断せず、MCV高値そのものを手がかりに調べることが、早期発見につながります。

3. 大球性(MCVが高い)の主な原因一覧

大球性は、原因によって「巨赤芽球性」「非巨赤芽球性」に分けられます。巨赤芽球性とは、細胞のDNA合成がうまく進まず、赤血球のもとになる細胞が大きいまま成熟してしまう状態です。ビタミンB12と葉酸は、まさにこのDNA合成に必要なビタミンです。
タイプ 原因 ポイント
巨赤芽球性 ビタミンB12欠乏 悪性貧血、胃切除後、萎縮性胃炎、薬剤、極端な菜食など。神経症状を伴いうる
葉酸欠乏 アルコール多飲、偏食、妊娠、抗てんかん薬・メトトレキサートなど
非巨赤芽球性 アルコール多飲・肝疾患 日常診療でよく遭遇。禁酒・節酒でMCVが下がることがある
甲状腺機能低下症 だるさ・むくみ・体重増加を伴うことがある
網赤血球の増加 溶血・出血後の回復期。若い赤血球は大きい
骨髄異形成症候群(MDS)など 高齢者で、白血球・血小板も一緒に低い場合は要注意。血液内科での精査対象

4. ビタミンB12が不足する5つの理由

ビタミンB12は、肉・魚・卵・乳製品などの動物性食品に含まれ、胃から分泌される「内因子」というたんぱく質と結合して、小腸の末端(回腸)で吸収されます。つまり、胃と回腸のどちらかに問題があると吸収できません。肝臓に数年分の貯蔵があるため、不足しても症状が出るまでに年単位の時間がかかるのが特徴です。

① 悪性貧血(自己免疫性萎縮性胃炎)

自分の免疫が胃の壁細胞や内因子を攻撃してしまい、内因子が作れなくなる病気です。「悪性」という名前は、有効な治療がなかった時代の名残であり、現在はビタミンB12を補充すれば血液の異常はよく改善します。橋本病などの甲状腺疾患や1型糖尿病、白斑といった他の自己免疫疾患を合併することがあります。

② 胃の手術(胃全摘・胃切除)を受けた方

胃を全摘すると内因子が作れなくなるため、数年後に必ずといってよいほどB12欠乏が起こります。手術から5年、10年と経ってから神経症状で気づかれることもあり、胃の手術歴がある方は定期的な確認が重要です。減量目的の胃バイパス術後も同様のリスクがあります。

③ ピロリ菌による萎縮性胃炎

ヘリコバクター・ピロリ菌の長期感染により胃粘膜が萎縮すると、胃酸と内因子の分泌が落ち、B12の吸収効率が下がります。萎縮性胃炎は胃がんのリスク因子でもあるため、MCV高値をきっかけに胃カメラで胃粘膜の状態を確認する意義は小さくありません。

④ 薬剤(メトホルミン・胃酸を抑える薬)

糖尿病治療の基本薬であるメトホルミンは、添付文書の「その他の副作用」にビタミンB12減少が記載されており、長期使用によりビタミンB12の吸収不良があらわれることがあるとされています。また、PPI(プロトンポンプ阻害薬)やH2ブロッカーなど胃酸を抑える薬の長期使用も、食品中のB12を遊離させにくくすることでリスクとなり得ます。

⑤ 極端な菜食・摂取不足

ビタミンB12は植物性食品にはほとんど含まれません。完全菜食(ヴィーガン)を長く続けている方、高齢で食が細くなった方では摂取不足が起こり得ます。授乳中の母親がB12不足の場合、乳児にも欠乏が及ぶことがあるため注意が必要です。

5. 貧血より怖い「神経のサイン」――しびれ・歩行のふらつき・物忘れ

ビタミンB12は、神経を包む「髄鞘(ずいしょう)」の維持にも欠かせません。欠乏すると、貧血とは独立して神経の症状が現れます。代表的なものが亜急性連合性脊髄変性症で、脊髄の後索・側索が障害され、足のしびれ、振動を感じにくい、位置感覚の低下、歩行時のふらつきなどが生じます。舌の痛みや平滑化(Hunter舌炎)も古くから知られたサインです。

⚠️ 「貧血がない=安心」ではありません

ビタミンB12欠乏では、血液の異常がまだ軽い段階で神経症状が先行することがあります。しびれや歩きにくさが数か月続いている場合は、整形外科的な原因だけでなく、B12欠乏の可能性も一度は検討する価値があります。

また、認知機能の低下や抑うつ気分がB12欠乏と関連することも報告されています。もの忘れの精査で「治せる原因」を探すとき、ビタミンB12・葉酸・甲状腺機能は必ず確認したい項目です。

6. 検査の進め方|血中濃度・抗体・胃カメラで原因を突き止める

「MCVが高い」と指摘された場合、当院では次のような流れで原因を絞り込みます。多くは採血だけで方向性が決まります
STEP 1 血算・網赤血球・末梢血塗抹
白血球・血小板も一緒に低くないか、赤血球の形や好中球の核の分節過剰(過分葉)がないかを確認します。
STEP 2 血清ビタミンB12・葉酸
まずここで大半が判別できます。あわせてフェリチン(鉄)も測ります(鉄欠乏が併存するとMCVが見かけ上正常化するため)。
STEP 3 甲状腺機能・肝機能・LDH・間接ビリルビン
甲状腺機能低下症、肝疾患、無効造血や溶血の有無を確認します。
STEP 4 抗内因子抗体・抗胃壁細胞抗体
悪性貧血が疑われる場合に追加します。抗内因子抗体は感度は約50%と高くありませんが、特異度は約90%と高く、陽性であれば診断的価値が高い検査です。
STEP 5 上部消化管内視鏡(胃カメラ)
萎縮性胃炎の有無・ピロリ菌感染・腫瘍性病変の確認。自己免疫性萎縮性胃炎は胃がん・胃カルチノイドのリスクが高いことが知られています。

血清ビタミンB12の数値の目安

200 pg/mL未満:低値。欠乏と判断されます
200〜300 pg/mL:境界域。症状や他の検査とあわせて判断します
300 pg/mL以上:欠乏の可能性は低いと考えます
※ただしカットオフを200 pg/mLとした場合の感度は65〜95%、特異度は50〜60%と報告されており、数値だけで白黒はつきません。また、抗内因子抗体の力価が高い悪性貧血では、測定上の干渉により血清B12が偽性に正常〜高値を示すことがあると報告されています。症状がそろっていれば、数値が正常でも欠乏を否定しません。

📄 健診結果をお持ちください
MCV・Hb・白血球・血小板の推移が分かると、必要な検査を最短で組み立てられます。白金高輪駅2番出口から徒歩1分、土・日・祝も診療しています。
健診結果を持ってご相談ください(WEB予約はこちら)

7. 治療|内服と注射の使い分け、葉酸だけを飲んではいけない理由

ビタミンB12欠乏の治療は、不足しているB12を補うこと不足している原因を明らかにすることの2本立てです。日本ではメコバラミン(活性型ビタミンB12)の内服薬と注射薬が広く用いられています。
補充方法 向いている方 補足
注射(筋注) 悪性貧血、胃全摘後、神経症状がある方、吸収障害が明らかな方 内因子がなくても確実に体内に入ります。導入期は頻回、その後は維持投与に移行します
内服 摂取不足が主体の方、薬剤性、軽度の低下 高用量では内因子を介さない受動拡散でも一定量が吸収されます。効果は採血で確認します

⚠️ 自己判断で「葉酸サプリだけ」を飲まないでください

ビタミンB12欠乏の状態で葉酸だけを投与すると、貧血は改善しても神経症状は改善せず、かえって悪化させることがあると指摘されています。市販のマルチビタミンやサプリメントで数値だけが「隠れて」しまい、診断が遅れることもあります。まず採血で原因を確かめてから補充を始めるのが安全です。

✅ 治療でどう変わるか
補充を始めると、数日で網赤血球が増え始め、ヘモグロビンは数週間かけて回復していきます。舌の痛みや倦怠感も比較的早く改善することが多い一方、神経症状は回復に月単位の時間がかかり、経過が長いほど後遺症が残りやすいとされています。だからこそ「早く見つける」ことに意味があります。

8. 糖尿病でメトホルミンを飲んでいる方へ

メトホルミンは、有効性・安全性・コストのバランスに優れた2型糖尿病治療の基本薬です。長く飲み続ける方が多い薬だからこそ、ビタミンB12の低下という副作用を知っておく価値があります。添付文書にも「その他の副作用」としてビタミンB12減少が記載され、長期使用により吸収不良があらわれることがあると注記されています。専門誌でも、長期投与例では定期的なビタミンB12値の測定を考慮すべきと繰り返し指摘されています。

見落とされやすい落とし穴

糖尿病の方の手足のしびれは、まず糖尿病神経障害と考えられがちです。しかし、メトホルミンを長期に内服している方では、ビタミンB12欠乏による神経障害が重なっている可能性があります。血糖コントロールが良好なのにしびれが進む場合、ビタミンB12を一度測ってみることをおすすめします。

なお、ビタミンB12が低いからといって、自己判断でメトホルミンを中止しないでください。多くの場合、B12を補充しながら治療を継続できます。当院では糖尿病内科と血液内科の視点を組み合わせ、薬の見直しと補充の要否を一緒に検討します。

9. 「B12もMCVも異常なのに原因が分からない」ときに考えること

ビタミンB12も葉酸も正常で、アルコールや甲状腺にも問題がない——それでもMCVが高い場合、骨髄そのものの働きに注目します。とくに次のような特徴があるときは、血液内科での精査をおすすめします。
🔎 血液内科での精査を検討するサイン
白血球・血小板も同時に低い(2系統以上の減少)
・MCVが年々じわじわ上昇している
輸血が必要なほどの貧血が進行している
・原因不明の発熱・体重減少・寝汗を伴う
・末梢血塗抹で赤血球や白血球の形の異常を指摘された
高齢の方で複数の血球が減っている場合、骨髄異形成症候群(MDS)などの可能性を考えます。診断には骨髄検査が必要になることがあり、その際は連携医療機関へご紹介します。過度に不安になる必要はありませんが、「原因不明のまま何年も放置」は避けたい状況です。

10. 受診の目安と、当院での進め方

五良会クリニック白金高輪(東京メトロ南北線・都営三田線「白金高輪駅」2番出口 徒歩1分/港区高輪1丁目)では、健診で赤血球の異常を指摘された方の精査を行っています。当院の特徴は、採血・胃カメラ・専門外来までを一つの窓口で完結できる点です。
受診の目安 おすすめの窓口
MCV高値を指摘された/原因を調べたい 内科(平日・土日祝も診療)で採血から
血球が複数低い/血液疾患の経過観察中 血液内科専門外来(毎週日曜日・木曜日)
萎縮性胃炎・ピロリ菌・胃の症状も確認したい 内視鏡検査(土曜・日曜・祝日も毎週実施
糖尿病でメトホルミン内服中、しびれが気になる 糖尿病内科(B12測定と薬剤調整をあわせて)
港区にお住まい・お勤めの方はもちろん、白金台・三田・麻布十番・田町など南北線・三田線沿線からも通いやすい立地です。平日はお忙しい方も、土・日・祝の受診をご利用ください。

11. よくあるご質問(FAQ)

Q1. MCVが高いだけで、貧血はありません。放置してよいですか?
A. おすすめしません。ビタミンB12・葉酸の不足では、ヘモグロビンが下がる前にMCVだけが上昇することがあります。採血でB12・葉酸・フェリチン・甲状腺機能を確認すれば、多くは原因が分かります。原因が分かれば「様子見でよい」ことも明確になり、安心につながります。
Q2. お酒をよく飲みます。MCVが高いのはお酒のせいですか?
A. アルコール多飲は大球性の代表的な原因の一つで、節酒・禁酒でMCVが下がることがあります。ただし飲酒者は葉酸欠乏も起こしやすいため、「お酒のせい」と決めつけず、一度は採血で確認することをおすすめします。肝機能やγ-GTPの評価もあわせて行います。
Q3. ビタミンB12はサプリメントで補えますか?
A. 摂取不足が原因なら有効なことがあります。ただし悪性貧血や胃切除後のように吸収そのものができない場合は、通常量のサプリでは不十分で、注射や高用量の内服が必要です。また、原因を確かめる前にサプリを始めると血中濃度が上がって診断が難しくなるため、受診前の自己判断での開始はおすすめしません。
Q4. 血清ビタミンB12が正常なのに、欠乏と言われました。なぜですか?
A. 血清ビタミンB12は感度・特異度ともに万能ではありません。カットオフを200 pg/mLとした場合の感度は65〜95%、特異度は50〜60%と報告されています。さらに、抗内因子抗体の力価が高い悪性貧血では測定上の干渉により偽性に正常〜高値を示すことがあると報告されています。症状・MCV・末梢血所見・抗体検査を総合して判断します。
Q5. 悪性貧血と言われました。「悪性」ということは、がんですか?
A. がんではありません。有効な治療法がなかった時代に致命的な経過をたどったことから付いた歴史的な病名で、現在はビタミンB12の補充で血液の異常はよく改善します。ただし背景にある自己免疫性萎縮性胃炎は胃がん・胃カルチノイドのリスクが高いことが知られており、胃の状態を一度きちんと確認しておくことが大切です。内視鏡による経過観察の間隔は、萎縮の程度や年齢などを踏まえて個別に相談して決めます。
Q6. メトホルミンを飲んでいます。何年ごとにビタミンB12を測ればよいですか?
A. 全国一律の決まった間隔は定められていませんが、長期投与例では定期的な測定を考慮すべきとされています。当院では、数年以上の内服歴がある方、しびれなどの神経症状がある方、貧血やMCV上昇がある方を優先して測定し、その後は結果に応じて間隔を決めています。心配な方は診察時にお申し出ください。
Q7. しびれはビタミンB12を補えば治りますか?
A. 改善が期待できますが、回復には月単位の時間がかかり、症状が長く続いていた場合ほど完全には戻りにくいとされています。「早く見つけて早く補う」ことが何より重要です。しびれが続いている方は、原因検索を先延ばしにしないでください。
Q8. 健診の結果が数年分あります。持参したほうがよいですか?
A. ぜひお持ちください。MCVがいつから、どのくらいのペースで上がってきたかが分かると、必要な検査を絞り込みやすくなります。スマートフォンの写真でも構いません。

12. 理事長コメント

💬 理事長 五藤良将より
「MCVは、健診結果のなかでも見過ごされやすい項目です。しかしビタミンB12欠乏は、血液の異常より先に神経の症状で現れることがあり、しかも補充すれば防げる病態です。糖尿病内科で長くメトホルミンを処方してきた立場からも、しびれを『糖尿病神経障害だから』で終わらせないよう心がけています。当院は血液内科専門外来(毎週日曜日・木曜日)と内視鏡検査(土日祝も毎週実施)を院内に備えており、採血から胃の評価、専門医の診察までを一か所で進められます。健診結果を1枚お持ちいただければ、次にすべきことをその場でお伝えします。」
五藤良将(日本抗加齢医学会専門医/日本糖尿病協会登録医/日本旅行医学会認定医)

13. まとめ

📝 この記事のポイント
✅ MCVは赤血球の大きさを示す値。おおむね100〜102 fLを超えると「大球性」
✅ 大球性の代表的原因はビタミンB12欠乏・葉酸欠乏。ほかにアルコール、肝疾患、甲状腺機能低下症、骨髄異形成症候群など
✅ ビタミンB12欠乏は貧血より先にしびれ・歩行障害・物忘れなどの神経症状が出ることがある
✅ 悪性貧血・胃切除後・萎縮性胃炎・メトホルミン長期内服・極端な菜食が主なリスク
✅ 血清B12は200 pg/mL未満で低値、200〜300は境界域。ただし数値だけでは白黒つかない
葉酸だけの補充は神経症状を悪化させうるため、原因確認前の自己判断はしない
✅ 神経症状は早く見つけて早く補うほど回復が期待できる
参考文献・出典
・廣川誠「Ⅲ.診断と治療 3.悪性貧血」日本内科学会雑誌 第103巻 第7号(2014年7月10日)
・MSDマニュアル プロフェッショナル版「ビタミンB12欠乏症」「自己免疫性萎縮性胃炎」(2026年8月時点)
・メトホルミン塩酸塩錠 添付文書(「その他の副作用」にビタミンB12減少、長期使用による吸収不良の注記)
・日経メディカル「メトホルミン長期投与でビタミンB12欠乏に注意」(長期投与例における定期的なビタミンB12測定の考慮)
・LSIメディエンス WEB総合検査案内「ビタミンB12(シアノコバラミン)」(血清B12の判定区分・感度/特異度)
・臨床神経学「血清ビタミンB12の異常な上昇がありながら、悪性貧血と亜急性脊髄連合変性症と診断しえた1例」(2025年)
・厚生労働省 eJIM「ビタミンB12(医療者向け)」

本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や検査値の解釈は個人差がありますので、必ず医療機関にご相談ください。

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