胃もたれ・みぞおちの痛みが続くのに異常なし|機能性ディスペプシア(FD)の原因・治療を白金高輪の消化器内科が解説
執筆:五良会クリニック白金高輪|院長 玉井博修(日本内科学会 総合内科専門医・指導医/日本消化器病学会 専門医・指導医/日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医/日本肝臓学会 専門医・指導医)
共著:医療法人社団五良会|理事長、竹内内科小児科医院|院長 五藤良将(糖尿病内科・感染症)
「胃もたれがずっと続く」「みぞおちがシクシク痛む」「少し食べただけですぐお腹がいっぱいになる」——このような症状が続いて胃カメラを受けても、「特に異常はありません」と言われた経験はありませんか。港区・白金高輪でも、こうしたつらい症状で受診される方は少なくありません。
検査で潰瘍やがんなどの明らかな異常がないのに、胃の不快な症状が慢性的に続く状態を機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia:FD)といいます。「気のせい」でも「怠け」でもなく、胃の運動や知覚の働きに関わる、治療の対象となる病気です。
📌 この記事の結論
胃もたれ・みぞおちの痛みが続くのに検査で異常がない場合、機能性ディスペプシア(FD)の可能性があります。まずは胃カメラで危険な病気を除外したうえで、生活習慣の見直しと、酸分泌抑制薬・消化管運動改善薬(アコチアミド)・漢方薬・ピロリ菌除菌などを組み合わせて治療します。適切に対応すれば症状の改善が期待できます。
1. 機能性ディスペプシア(FD)とは
機能性ディスペプシア(FD)とは、症状の原因となる明らかな異常(潰瘍・がん・炎症など)が上部消化管内視鏡検査などで見つからないにもかかわらず、みぞおちを中心とした慢性的な胃の症状が続く病気です。日本消化器病学会の「機能性消化管疾患診療ガイドライン2021(機能性ディスペプシア〈FD〉改訂第2版)」で、独立した疾患として診断・治療の指針が示されています。
かつては「慢性胃炎」「神経性胃炎」「胃下垂」などと呼ばれていた症状の多くが、現在ではFDとして整理されています。決してめずらしい病気ではなく、日本人の一般人口のおよそ10〜20%にみられ、消化器内科を受診する上腹部症状の患者さんの大きな割合を占めるとされています。
⚠️ 「異常なし=問題なし」ではありません
検査で異常が出ないのは、FDが胃の形の異常ではなく、胃の「動き」や「感じ方」の異常だからです。目に見える傷がなくても、つらい症状は現実に存在します。適切な治療の対象になります。
2. 2つのタイプと主な症状
FDは国際的な診断基準(Rome IV基準)で、症状の出方によって大きく2つのタイプに分けられます。両方が重なることも少なくありません。
| タイプ | 代表的な症状 |
|---|---|
| 食後愁訴症候群(PDS) 食事に関連するタイプ |
食後の胃もたれ(もたれ感)、少し食べただけでお腹がいっぱいになる早期満腹感 |
| 心窩部痛症候群(EPS) 痛みが中心のタイプ |
みぞおちの痛み、みぞおちの灼熱感(焼けるような感じ) |
Rome IV基準では、これらの症状が6か月以上前から始まり、最近3か月間は症状が続いていることが目安とされます。加えて、症状を説明できる器質的疾患(潰瘍やがんなど)が検査でみつからないことが診断の条件です。
3. なぜ起こる?FDの主な原因
FDは1つの原因ではなく、いくつもの要因が重なって起こると考えられています。ガイドラインで挙げられている主な背景は次のとおりです。
① 胃の運動機能の異常
食後に胃の上部(胃底部)がうまく広がらず、食べ物を十分にためられない(適応性弛緩の障害)、あるいは胃から十二指腸への排出が遅れることで、もたれ感や早期満腹感が生じます。
② 胃・十二指腸の知覚過敏
通常なら気にならない程度の胃酸や胃の伸展を、痛みや不快感として強く感じてしまう状態です。みぞおちの痛みや灼熱感の一因と考えられています。
③ ピロリ菌感染
ヘリコバクター・ピロリ菌の感染がFDに関与している場合があります。除菌によって症状が長期的に改善するケースがあり、ガイドラインでも除菌が推奨されています(除菌で改善したものは「ヘリコバクター・ピロリ関連ディスペプシア」として区別されます)。
④ ストレス・自律神経・脳腸相関
脳と胃腸は自律神経を通じて密接に影響し合っています(脳腸相関)。過度なストレスや不安、睡眠不足は胃の運動や知覚に影響し、症状を悪化させることがあります。
⑤ 生活習慣・感染性胃腸炎の後
早食い・過食・脂っこい食事・喫煙・過度の飲酒などが引き金になります。また、感染性胃腸炎にかかった後に発症する「感染後FD」も知られています。
4. 放置してはいけない「警告症状」と胃カメラ
FDと診断するためには、まず胃がんや胃・十二指腸潰瘍などの「本当に治療が必要な病気」を除外することが欠かせません。特に次のような警告症状(アラームサイン)がある場合は、自己判断で市販薬を続けず、早めに上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)を受けることが大切です。
🚨 こんな症状は早めに胃カメラを
・食べ物がつかえる、飲み込みにくい
・黒いタール便が出る、吐血・下血がある
・貧血を指摘された
・繰り返す嘔吐、しこりを触れる
・50歳以上で初めて症状が出た、胃がんの家族歴がある
こうした症状がなくても、胃カメラは「異常がないことを確認して安心につなげる」意味でも有用です。五良会クリニック白金高輪では、土曜・日曜・祝日も毎週、胃カメラを実施しており、鎮静剤を使った苦痛の少ない検査に対応しています。平日お忙しい港区・白金高輪エリアの方も受診しやすい体制です。
5. 診断の流れ
| STEP 1 | 問診 症状の内容・出るタイミング・期間、食事や生活習慣、服用中の薬(鎮痛薬など)、ストレスの状況を詳しくうかがいます。 |
| STEP 2 | 血液検査・ピロリ菌検査 貧血や炎症、肝臓・膵臓などの異常がないかを確認し、ピロリ菌感染の有無を調べます。 |
| STEP 3 | 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ) 胃がん・潰瘍・逆流性食道炎などの器質的な病気を除外します。必要に応じて腹部エコーも行います。 |
| STEP 4 | 診断・治療方針の決定 器質的な異常がなく、症状がFDの基準を満たす場合にFDと診断し、症状のタイプに合わせて治療を始めます。 |
6. 治療法(生活習慣+薬物療法)
治療は「生活習慣の見直し」と「薬物療法」を組み合わせて行います。症状のタイプ(PDS/EPS)やピロリ菌の有無に応じて、患者さんごとに調整します。
① 生活習慣の見直し(基本)
よく噛んでゆっくり食べる、腹八分目を心がける、脂っこいものや刺激物・過度の飲酒を控える、禁煙、睡眠を確保しストレスをためこまない——こうした基本的な対策が土台になります。
② 薬物療法
| 薬の種類 | 特徴・向いている症状 |
|---|---|
| 酸分泌抑制薬 (PPI・P-CAB・H2ブロッカー) |
胃酸を抑える薬。みぞおちの痛み・灼熱感が中心(EPSタイプ)の方でまず用いられます。 |
| 消化管運動機能改善薬 (アコチアミド=アコファイド 等) |
胃の運動を助ける薬。食後の胃もたれ・早期満腹感(PDSタイプ)に用いられます。アコチアミドの保険適応は「食後膨満感・上腹部膨満感・早期満腹感」で、1回100mgを1日3回食前に服用します。 |
| 漢方薬 (六君子湯 等) |
胃の運動や食欲に関わる働きが期待され、もたれ・食欲不振がある方に用いられることがあります。 |
| ピロリ菌の除菌 | ピロリ菌陽性の場合に行います。除菌で症状が改善することがあり、胃がん予防の面でもメリットがあります。 |
| 抗不安薬・抗うつ薬 など | 上記で改善が乏しい場合の次の選択肢。不安・抑うつの関与が強い方に、少量から慎重に用いることがあります。 |
⚠️ 自己判断での市販薬の長期使用に注意
市販の胃薬で一時的に楽になっても、背景に胃がんや潰瘍が隠れていることがあります。症状が長引く・繰り返す場合は、一度きちんと検査を受けることをおすすめします。
7. 院長・理事長コメント
8. よくあるご質問(FAQ)
9. まとめ
✅ FDは「胃の動き・感じ方」の異常で起こる、治療できる病気です(気のせい・怠けではありません)
✅ まずは胃カメラで胃がん・潰瘍などの危険な病気を除外することが第一歩です
✅ 治療は生活習慣の見直しに加え、酸分泌抑制薬・アコチアミド・漢方・ピロリ除菌などを症状に合わせて使います
✅ 白金高輪駅徒歩1分、土日祝も内視鏡対応。長引く胃の不調はお早めにご相談ください
鎮静剤を使用した苦痛の少ない検査を行っております。
✅ ピロリ菌検査・除菌治療希望の方
✅ 胃部不快感・つかえ感・体重減少が続く方
✅ 健診で「要精密検査」を指摘された方
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院長 玉井 博修
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