喘息・COPDの人がインフルエンザにかかると|増悪・肺炎を防ぐワクチン、吸入薬の続け方、抗インフル薬の選び方を理事長 五藤良将が解説【2026年 東京都注意報・白金高輪】
喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)をお持ちの方は、インフルエンザの流行期になると「かかったら咳や息苦しさがひどくなるのではないか」と不安になりますよね。その心配は的を射ています。喘息やCOPDのある方は、症状が軽く安定していても、インフルエンザで肺炎や発作・増悪(急に悪化すること)を起こしやすいとされているためです。
東京都では2026年8月27日にインフルエンザの流行が開始し、9月17日に注意報基準を超えました。東京都感染症情報センターの流行状況ページ(2026年10月8日更新・第40週までのデータ)でも、今シーズンの定点検出はA/H1pdm09が37件、A/H3とB型は0件でした。この記事では、喘息・COPDの方がこの流行期に押さえておきたい「ワクチン」「かかったときの吸入薬の続け方」「抗インフルエンザ薬の選び方」「受診の目安」を、白金高輪駅徒歩1分の五良会クリニック白金高輪の理事長・五藤良将が整理します。
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医療法人社団 五良会 理事長 五藤 良将
日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医
この記事は五藤良将が執筆・監修し、内容に責任を持っています。
1. 結論:喘息・COPDは「軽症でも」インフルエンザの重症化ハイリスク
結論を先にお伝えします
✅ 熱が下がっても、咳・ゼーゼー・息苦しさが強まるときは、増悪や肺炎のサインかもしれません。
✅ 普段の吸入ステロイドなどの長期管理薬は、自己判断で中止しないのが原則です。
✅ 抗インフルエンザ薬は、吸入型に注意が必要な場合があるため、持病を伝えたうえで選びます。
米国CDC(疾病予防管理センター)は、喘息のある人は、喘息が軽くても、よくコントロールされていても、インフルエンザで重い合併症を起こすリスクが高いと説明しています。インフルエンザは喘息発作の引き金になり、肺炎にもなりやすく、喘息は入院した子どもで最も多い基礎疾患であり、入院した成人でも多い基礎疾患の一つだとしています(CDC「Flu and People with Asthma」2024年9月更新)。
日本の厚生労働省「インフルエンザQ&A」も、基礎疾患のある方や高齢の方は重症化する可能性が高いとし、肺炎などの合併症で入院や死亡に至る人もいると述べています。また、2009年の新型インフルエンザの際には、日本アレルギー学会が「患者全体の約30%前後が喘息患者で、一般人口の有症率(10〜15%程度)より明らかに高い」と注意喚起しました(同学会会告、2009年11月17日改訂版)。
2. なぜ悪化しやすいのか|気道と「増悪」の関係
インフルエンザウイルスは、のどから気管支、肺へと広がり、気道に炎症を起こします。喘息やCOPDの方の気道は、もともと炎症があって狭く、刺激に敏感です。そこへウイルス感染が加わると、気道がさらに狭くなり、咳・痰・ゼーゼー・息切れが急に強まる「増悪」が起こりやすくなります。
日本呼吸器学会の「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン 第6版」(2022年6月刊行)は、COPDの増悪の原因について「呼吸器感染症と大気汚染が多い(約30%は原因不明)」と記載しています。インフルエンザなどの呼吸器感染症は、増悪の代表的な引き金の一つです。
| 喘息 | COPD | |
|---|---|---|
| インフルエンザで起こりやすいこと | 発作の誘発、ゼーゼー・咳の悪化、肺炎 | 咳・痰・息切れの増悪、肺炎、酸素不足 |
| 特に注意したい人 | 小児、高齢者、重症の喘息、発作の頻度が高い人 | 高齢者、喫煙歴が長い人、息切れで日常動作が制限される人 |
| 日頃の柱 | 吸入ステロイドなどの長期管理薬、禁煙、ワクチン | 禁煙、吸入気管支拡張薬、ワクチン、呼吸リハビリ |
※上の表は一般的な整理です。実際のリスクは、重症度・年齢・合併症によって異なります。
3. ワクチンは「注射型」が基本|肺炎球菌・RSVも視野に
インフルエンザワクチンは、感染を完全に防ぐものではありません。厚生労働省は、ワクチンの最も大きな効果は重症化を防ぐことであり、発症を抑える効果も一定程度あるとしています。効果は接種後約2週間で現れ、約5か月続くと考えられています。流行に備え、例年12月中旬までに接種を終えることが望ましいとされています(厚生労働省「インフルエンザQ&A」)。
注射型(不活化ワクチン)が基本です
CDCは、注射型のインフルエンザワクチンは生後6か月以上で承認されており、喘息のある人での安全性も長く確認されているとしています。日本アレルギー学会の会告(2009年時点)も、不活化ワクチンは副反応がほとんどなく、4歳以上の喘息患者に安全に接種できるとしています。一方で同会告は、毎年接種しても喘息の増悪を防ぐ効果までは示されていないとも述べており、ワクチンの目的は「インフルエンザそのもの」と、その合併症を減らすことです。
⚠️ 接種を延期したほうがよい場合
肺炎球菌ワクチン・RSVワクチンも視野に
GOLD(COPDの国際的な指針)2026年版は、インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンを引き続き強く推奨し、新たに50歳以上へのRSウイルス(RSV)ワクチンの推奨を加えたと報じられています(CHEST Physician、2026年2月4日)。CDCも、喘息のある人に肺炎球菌ワクチンを勧めており、インフルエンザワクチンと同じ日に接種できるとしています。日本での肺炎球菌ワクチン・RSVワクチンの対象年齢や定期接種の扱いは製品・年齢により異なるため、接種歴をお持ちのうえでご相談ください。
60〜64歳の方へ(定期接種の対象)
4. フルミスト(経鼻生ワクチン)は喘息の人に使える?
経鼻弱毒生ワクチン「フルミスト点鼻液」は、鼻にスプレーする痛みのないワクチンで、当院でも入荷しています。ただし、喘息のある方では慎重な判断が必要です。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象年齢(電子添文 2026年8月改訂・第6版) | 2歳以上19歳未満(2歳未満には接種しない) |
| 喘息・喘鳴に関する記載 | 「重度の喘息を有する者又は喘鳴の症状を呈する者」は接種要注意者。診察と接種の適否を慎重に判断し、十分な説明と同意のうえで注意して接種する |
| 抗インフルエンザ薬との関係 | オセルタミビル・ザナミビル・ラニナミビルなどは併用注意(ワクチンウイルスの増殖が抑えられ、効果が弱まるおそれ) |
| CDCの考え方(米国) | 喘息のある人は一般に経鼻スプレー型を避ける。5歳以上は医師に相談。2〜4歳で喘息、または過去12か月に喘鳴がある場合は接種しない |
つまり、喘息のあるお子さんや、ゼーゼーを繰り返すお子さんでは、まず注射型を基本に考え、フルミストを希望する場合は診察で個別に判断するのが安全です。「注射が苦手だから」という理由だけで決めず、喘息の重症度・直近の喘鳴の有無を医師にお伝えください。
5. かかったとき|普段の吸入薬は「自己判断で止めない」
かかったときに最も避けたいのが、「熱があるから」「薬を使っているのに悪くなったから」と、長期管理薬を自己判断でやめてしまうことです。喘息の長期管理薬(吸入ステロイドなど)は、気道の炎症を抑え続ける薬で、感染中こそ必要です。
たとえば、喘息・COPD治療薬の吸入剤(ビランテロール・フルチカゾンフランカルボン酸エステル配合剤)の添付文書(2024年6月・第3版)にも、喘息症状がコントロール不良または悪化した場合に自己判断で中止せず医師に相談するよう指導すること、急な発作には短時間作動型の吸入β2刺激薬(いわゆる発作止め)を使い、使用量が増えたり効果が不十分になったりした場合は速やかに受診することが記載されています。
| 状況 | 対応の目安 |
|---|---|
| 普段の長期管理薬(吸入ステロイドなど) | 指示どおり続ける。自己判断でやめない |
| 発作止め(短時間作動型の吸入薬) | 指示された使い方で使う。使う回数が増える、効きが悪い場合は早めに受診 |
| 市販の解熱鎮痛薬 | 喘息のある方は、成分によっては喘息に影響することがあります。使う前に医師・薬剤師に確認する |
| お薬手帳・吸入薬 | 受診時に必ず持参する(吸入の種類・回数を確認するため) |
※「アスピリン喘息(NSAIDs過敏)」の既往がある方は、解熱鎮痛薬の選択に特に注意が必要です。詳しくは、当院のインフルエンザの解熱剤の記事もご覧ください。
6. 抗インフルエンザ薬の選び方|吸入型への注意
インフルエンザの治療薬には、内服薬(オセルタミビル〈タミフル〉、バロキサビル〈ゾフルーザ〉など)、吸入薬(ザナミビル〈リレンザ〉、ラニナミビル〈イナビル〉)、点滴薬(ペラミビル)があります。一般的に、発症から48時間以内に始めると効果が期待されます。薬ごとの違いは治療薬5種類の違いの記事で詳しく解説しています。
喘息・COPDの方で気を付けたいのは吸入型の抗インフルエンザ薬です。
| 薬 | 喘息・慢性呼吸器疾患に関する情報 |
|---|---|
| イナビル(ラニナミビル) | 添付文書(2025年1月改訂・第4版)に、気管支喘息・COPDなど慢性呼吸器疾患のある患者では「患者の状態を十分に観察しながら投与すること」と記載。インフルエンザ感染で気道過敏性が高まり、気管支攣縮や呼吸機能低下を起こすことがあるため。重大な副作用として気管支攣縮・呼吸困難(頻度不明) |
| リレンザ(ザナミビル) | CDCは、喘息のある人はザナミビルを使わないよう案内(喘鳴を起こすことがあるため) |
| 内服薬(タミフル・ゾフルーザなど) | 吸入操作が不要。気道への直接刺激を避けられるため、喘息・COPDの方では内服薬を優先して検討するのが一般的 |
⚠️ 受診時にお伝えいただきたいこと
📞 熱・咳・息苦しさがあるときは、お早めにご相談ください
当日WEB予約なら、順番が近づいたらお知らせします。息苦しさが強い場合は、予約を待たず119番を優先してください。
7. すぐ受診・救急要請すべきサイン
🚨 こんなときは救急受診・119番を迷わずに
■ 唇や爪が紫色になる(チアノーゼ)
■ 発作止めの吸入薬を使っても楽にならない、または短い間隔で何度も必要になる
■ 胸の痛みがある、意識がぼんやりする、横になれず座ったままでないと息ができない
■ 乳幼児で、ゼーゼーが強く、ミルクや水分が取れない
次のような経過のときは、救急ではなくても当日中の受診をお勧めします。
✅ 一度熱が下がったのに、再び高熱が出た
✅ 咳と痰が急に増えた、痰の色が変わった
✅ 息切れが普段より強く、階段や着替えがつらい
✅ 夜間に咳やゼーゼーで眠れない
✅ 発作止めを使う回数が普段より明らかに増えた
インフルエンザの合併症としての肺炎や、熱が下がったあとの長引く咳については、合併症の記事とインフルエンザ後の咳の記事もあわせてご覧ください。
8. 流行期の備え|アクションプランと家庭内対策
CDCは、喘息のある方に、薬は指示どおりに使い、定期薬を少なくとも2週間分は切らさず手元に置き、医師と作った「喘息行動計画(アクションプラン)」に沿って対応することを勧めています。これは喘息に限らず、COPDの方にも役立つ考え方です。
| 備え | 具体的な行動 |
|---|---|
| 薬を切らさない | 流行期に入る前に、長期管理薬・発作止めの残量を確認し、早めに処方を受ける |
| 悪化時の行動を決めておく | 「発作止めを何回使ったら受診」「どの症状が出たら救急」を主治医と事前に決めておく |
| ワクチンを済ませる | インフルエンザワクチン、必要に応じて肺炎球菌・RSVワクチンを相談する |
| 家庭内感染を減らす | 家族がかかった場合は、部屋を分ける・マスク・手洗い・換気。家族の出勤再開の目安は家庭内感染の記事へ |
| 禁煙・受動喫煙を避ける | 喫煙は喘息・COPD共通の悪化因子。禁煙の相談もお受けします |
9. 理事長コメント
10. よくある質問(FAQ)
11. まとめ
✅ ワクチンは注射型が基本。肺炎球菌・RSVワクチンも年齢と接種歴に応じて相談を
✅ フルミストは「重度の喘息・喘鳴」で要注意。喘息のあるお子さんは個別判断です
✅ 感染中も長期管理薬は自己判断で止めない。発作止めの回数が増えたら早めに受診を
✅ 抗インフルエンザ薬は吸入型に注意。持病と吸入薬をお伝えのうえ選択します
✅ 話せないほどの息苦しさ、唇の紫色、発作止めが効かないときは119番
12. 白金高輪で診るという選択(当院が選ばれる理由)
ここまでの内容を、当院では次のような体制で診ています。喘息・COPDをお持ちの方がインフルエンザ流行期に受診しやすいよう、事実に基づいてご案内します。
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理由① 駅徒歩1分・当日WEB予約 東京メトロ南北線・都営三田線「白金高輪駅」2番出口から徒歩1分(港区高輪、プレミストタワー白金高輪1F)。息苦しい中でも移動の負担を抑えられます。 |
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理由② 土日祝も10:00〜15:00診療 平日に受診しにくい方のために、土・日・祝も10:00〜15:00で診療しています(火曜休診)。 |
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理由③ 持病を踏まえた薬の選択 インフルエンザ検査のうえ、喘息・COPDの診断名、吸入薬、過去の副作用を伺い、内服・吸入などの中から薬を選びます。 |
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理由④ ワクチンの相談 注射型インフルエンザワクチンに加え、フルミストも入荷しています。喘息の重症度や喘鳴の有無を診察で確認して判断します。 |
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理由⑤ 糖尿病内科・血液内科を併設 糖尿病をお持ちの方は感染で血糖が乱れやすいため、持病全体を見ながらご相談いただけます。 |
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理由⑥ 専門医療機関との連携 入院や、呼吸器専門の精密検査・治療が必要と判断した場合は、専門の医療機関をご紹介します。 |
喘息・COPDの流行期の備えを、一度ご相談ください。
参考文献・出典
- 東京都感染症情報センター「インフルエンザ流行状況」(2026年10月8日更新・第40週までのデータ、2026年9月17日報道発表『都内のインフルエンザ、注意報基準を超える』)。https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/flu/flu/
- 厚生労働省「インフルエンザQ&A」(Q18・Q19・Q23・Q27・Q30・Q31)。
- CDC. Flu and People with Asthma(2024年9月5日更新)。
- 日本呼吸器学会「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン 第6版」2022年6月。
- GOLD 2026 Report の要点(CHEST Physician、2026年2月4日)。
- 日本アレルギー学会 会告「新型インフルエンザと喘息(改訂版)」2009年11月17日(現在の推奨は最新のガイドラインでご確認ください)。
- フルミスト点鼻液 電子添文(2026年8月改訂・第6版)、PMDA医療用医薬品情報。
- イナビル吸入懸濁用160mgセット 添付文書(2025年1月改訂・第4版)、PMDA医療用医薬品情報。
- レルベアエリプタ 添付文書(2024年6月・第3版)、PMDA医療用医薬品情報。
AUTHOR / SUPERVISOR
医療法人社団 五良会 理事長 五藤 良将(ごとう よしまさ)
- 防衛医科大学校 医学部 卒業(27期)。防衛医科大学校病院、自衛隊中央病院、自衛隊横須賀病院ほかで臨床経験を積む
- 医療法人社団 五良会 理事長/医療法人社団 正友会 理事長/竹内内科小児科医院 院長
- 日本内科学会 認定内科医/日本抗加齢医学会 専門医/日本糖尿病協会 登録医/日本旅行医学会 認定医
- 日本温泉気候物理医学会 温泉療法専門医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/難病指定医
- 所属学会:日本内科学会、日本糖尿病学会、日本アレルギー学会、日本東洋医学会、日本リウマチ学会、日本外来小児科学会、日本抗加齢医学会、日本睡眠学会、日本美容内科学会、日本旅行医学会 ほか
- 著書『あぶら落とすスープ』(アスコム)。NHK・TBS・フジテレビ・日本テレビ・テレビ朝日などメディア出演多数
執筆・監修責任について
本記事は、五藤良将が公的機関の発表・国内外の診療ガイドライン・添付文書を確認したうえで執筆・監修しています。内容は公開時点(2026年10月12日)の情報に基づくものであり、新しい知見やガイドラインの改訂があった場合は、こちらで記事を更新します。
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者さんの診断・治療に代わるものではありません。症状や治療のご判断については、必ず医師にご相談ください。記載内容について気になる点がございましたら、五良会クリニック白金高輪(03-6432-5353)までお知らせください。
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