健診で「膵のう胞」「膵管拡張」と言われたら|IPMNの経過観察と膵がん早期発見を消化器病専門医が解説【白金高輪・港区】|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

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健診で「膵のう胞」「膵管拡張」と言われたら|IPMNの経過観察と膵がん早期発見を消化器病専門医が解説【白金高輪・港区】|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

健診で「膵のう胞」「膵管拡張」と言われたら|IPMNの経過観察と膵がん早期発見を消化器病専門医が解説【白金高輪・港区】

執筆:五良会クリニック白金高輪|院長 玉井博修(日本内科学会 総合内科専門医・指導医/日本消化器病学会 専門医・指導医/日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医/日本肝臓学会 専門医・指導医)
共著:医療法人社団五良会|理事長、竹内内科小児科医院|院長 五藤良将(糖尿病内科・感染症)

健康診断・人間ドックの腹部エコー(超音波検査)やCT・MRIで、「膵のう胞(すいのうほう)があります」「主膵管が拡張しています」と書かれ、不安になって検索された方も多いのではないでしょうか。まず結論からお伝えします。膵のう胞そのものの多くは良性で、すぐに手術が必要になるものはごく一部です。しかし同時に、膵のう胞は「膵臓がんが将来見つかりやすい人」を教えてくれる数少ないサインでもあり、放置ではなく定期的な経過観察が必要です。
膵臓がんは早期発見が難しく、国立がん研究センターのがん統計では5年相対生存率が約13%と、主要ながんのなかで最も低い水準にとどまっています。だからこそ「のう胞が見つかった」という情報は、早期発見につながる貴重な入口になります。この記事では、健診で膵のう胞・膵管拡張を指摘された方に向けて、のう胞の種類、IPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)の考え方、2024年に改訂された国際診療ガイドライン(京都ガイドライン)の危険サイン、経過観察の間隔、精密検査の流れを、白金高輪(港区)の五良会クリニック白金高輪の院長・玉井博修(日本消化器病学会 専門医・指導医)と理事長・五藤良将が共著で解説します。
📋 この記事の内容(クリックで該当箇所へ)
① 結論:多くは良性。ただし「膵がんの高リスク群」として定期観察が必要
② 膵のう胞とは?健診で見つかる頻度と、見つかる仕組み
③ のう胞の種類――IPMN・SCN・MCN・仮性のう胞の違い
④ IPMNとは?分枝型・主膵管型・混合型でリスクが大きく違う
⑤ 2024年改訂「京都ガイドライン」の危険サイン(HRS・WF)一覧
⑥ 経過観察はどの間隔で?サイズ別のフォローアップ
⑦ 「主膵管拡張」だけを指摘されたときの考え方
⑧ のう胞以外の膵がんリスク――新規発症の糖尿病は要注意サイン
⑨ 白金高輪での検査の流れ――エコー・血液検査からMRCP・EUSへ
⑩ 院長・理事長コメント
⑪ よくある質問(FAQ)
⑫ まとめ
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1. 結論:多くは良性。ただし「膵がんの高リスク群」として定期観察が必要

膵のう胞とは、膵臓の中またはその周囲にできた「液体のたまった袋状の構造」の総称です。CT・MRIの画質向上と人間ドックの普及により、症状のない方に偶然見つかる(偶発的に発見される)ケースが年々増えています。指摘された方の多くは、すぐに治療が必要な状態ではありません。
✅ まず知っておいていただきたいこと
・健診で見つかる膵のう胞の多くはすぐに手術が必要なものではありません
・とくに小さな分枝型IPMNは、多くの方が経過観察のみで長期に安定して過ごされています
・必要なのは「怖がること」でも「忘れること」でもなく、決められた間隔で同じ目でフォローすることです

ただし「放置」は最も避けたい選択です

膵のう胞をお持ちの方は、のう胞そのものががん化する可能性に加えて、のう胞とは別の場所に通常型の膵臓がんが発生することが知られています。つまり「のう胞が大きくならなければ安心」ではなく、膵臓全体を定期的に見ていく必要があります。健診結果を引き出しにしまい込んでしまうことが、いちばんのリスクです。

2. 膵のう胞とは?健診で見つかる頻度と、見つかる仕組み

膵臓は胃の裏側、体の深いところにある長さ15cmほどの細長い臓器です。血糖を下げるインスリンなどのホルモンを出す「内分泌」の働きと、食べ物を消化する膵液を出す「外分泌」の働きを担っています。「沈黙の臓器」と呼ばれるほど症状が出にくいため、異常が見つかるきっかけの多くは健診・人間ドックの画像検査です。

見つかる頻度は「年齢とともに増える」

膵のう胞の発見率は検査の種類によって大きく変わります。腹部エコーでの発見率は数%程度ですが、MRI(MRCP)を用いた検討では成人の10%以上、高齢になるほど高率に見つかると報告されています。つまり「見つかった=珍しい異常」ではなく、精度の高い検査を受ければ一定の割合で見つかるものと理解していただくのが正確です。

腹部エコーで「膵臓の一部が見えませんでした」と書かれる理由

膵臓は胃や腸のガスに隠れやすく、とくに膵尾部(脾臓側)は超音波で描出しにくい部位です。健診結果に「膵臓描出不良」「一部評価困難」と記載されることがあるのはこのためで、異常があるという意味ではありません。ただしのう胞や膵管拡張を疑う所見があるときは、MRI(MRCP)などで補うことが勧められます。

3. のう胞の種類――IPMN・SCN・MCN・仮性のう胞の違い

「膵のう胞」はひとつの病気の名前ではなく、性質の異なるいくつかの病変をまとめた呼び方です。どのタイプかによって、経過観察でよいのか、外科的な相談が必要なのかが変わります。代表的なものを整理します。
種類 特徴 基本的な考え方
IPMN
(膵管内乳頭粘液性腫瘍)
膵管の中に粘液を作る腫瘍ができ、膵管がふくらんでのう胞状に見える。健診で見つかる膵のう胞の多くを占める。中高年以降に多い タイプとサイズ・危険サインの有無で経過観察/精査/切除相談を判断
SCN
(漿液性のう胞腫瘍)
小さなのう胞が集まった「蜂の巣状」の見た目。中年以降の女性にやや多い ほとんどが良性。大きくなって症状が出る場合を除き経過観察
MCN
(粘液性のう胞腫瘍)
中年女性の膵体尾部に多い、厚い壁を持つ単房性ののう胞。膵管との交通がない 悪性化の可能性があるため、専門施設で外科的切除を検討することが一般的
仮性のう胞 急性膵炎や慢性膵炎、外傷のあとにできる「炎症の後始末」ののう胞。腫瘍ではない 自然に縮むことも多い。大きい・症状があるものは治療対象

⚠️ 健診結果票だけでは種類は確定できません

腹部エコーの結果票には多くの場合「膵のう胞」「膵嚢胞性病変」としか書かれていません。種類の見きわめには、膵管との交通の有無・壁の厚さ・内部の構造を見る必要があり、MRI(MRCP)や超音波内視鏡(EUS)が有用です。自己判断せず、まずは内科・消化器内科でご相談ください。

4. IPMNとは?分枝型・主膵管型・混合型でリスクが大きく違う

IPMN(Intraductal Papillary Mucinous Neoplasm:膵管内乳頭粘液性腫瘍)は、膵管の内側に粘液を作る腫瘍ができる病気です。作られた粘液で膵管がふくらむため、画像では「のう胞」に見えます。健診で見つかる膵のう胞の相当部分がこのIPMNです。
タイプ どこにできるか 悪性化のリスク
分枝型(branch duct型) 主膵管から枝分かれした細い膵管。健診で見つかるIPMNの大多数 比較的低い。危険サインがなければ経過観察が基本
主膵管型(main duct型) 膵臓の中央を走る主膵管そのものが太くなる 高い。専門施設で切除を含めた検討が必要
混合型 分枝と主膵管の両方に病変がある 主膵管型に準じて慎重な評価が必要
🔬 知っておきたい数字:IPMNと膵がん
分枝型IPMNを経過観察した研究では、膵がん(IPMN由来のがん+膵臓の別の場所に生じる通常型膵がん)の発生は年率およそ1〜2%台と報告されています。1年あたりでは小さな数字に見えますが、10年単位で積み重なると無視できない大きさになります。これが「症状がなくても定期観察を続ける」理由です。
出典:膵のう胞・IPMNの長期追跡に関する国内外の複数の観察研究の報告値(日本膵臓学会関連文献)

5. 2024年改訂「京都ガイドライン」の危険サイン(HRS・WF)一覧

IPMNの診療は、国際的な診療ガイドラインに基づいて行われます。従来の「福岡ガイドライン(2017年改訂)」は2024年に大きく改訂され、日本語版『エビデンスに基づくIPMN国際診療ガイドライン[日本語版](2024年版)』(通称・京都ガイドライン)として刊行されました。改訂の柱は、危険サインの見直し、超音波内視鏡(EUS)所見とEUS-FNA(穿刺吸引細胞診)の位置づけの明確化、経過観察データの反映などです。
このガイドラインでは、危険度を「高リスク所見(HRS:high-risk stigmata)」「要注意所見(WF:worrisome features)」の2段階に分けて評価します。

🔴 高リスク所見(HRS)――専門施設で切除を含めた検討

・膵頭部の病変による閉塞性黄疸(白目や皮膚が黄色くなる)
・造影される5mm以上の壁在結節、または充実成分
主膵管径10mm以上の拡張
・細胞診で悪性が強く疑われる所見

🟡 要注意所見(WF)――EUSなどの追加評価と、短めの間隔での観察

のう胞径30mm以上
・造影される5mm未満の壁在結節/のう胞壁の肥厚・造影効果
主膵管径5〜9mmの拡張
・尾側膵の萎縮を伴う主膵管の急な狭窄
リンパ節腫大
・腫瘍マーカーCA19-9の上昇(2024年版では偽陽性を減らすため、より高いカットオフ値の採用が提案されています)
のう胞の増大速度が速い(目安として2年で5mm以上、年2.5mm以上)
急性膵炎の既往
糖尿病の新規発症、または急激な悪化(2024年版で重視されるようになった項目)

読み方のポイント

HRS・WFは「あったら即がん」という意味ではありません。あくまで「より詳しく調べるべきか」「どのくらいの間隔で見るか」を決めるための道しるべです。要注意所見が複数重なるほど注意度が上がる、という考え方をします。判断はご自身ではなく、画像を直接見る医師にお任せください。

📅 健診結果票をお持ちいただければ、その場で方針をご説明できます

五良会クリニック白金高輪(白金高輪駅2番出口から徒歩1分/東京メトロ南北線・都営三田線)は火曜を除き土日祝も診療しています。平日にお時間の取りにくい方も、週末に腹部エコーと血液検査でのフォローが可能です。

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6. 経過観察はどの間隔で?サイズ別のフォローアップ

危険サインのない分枝型IPMNでは、のう胞のサイズに応じて経過観察の間隔を決めるのが一般的です。当院が採用している目安は次のとおりです(京都ガイドライン2024年版の考え方に準拠。年齢・併存疾患・ご本人の希望により個別に調整します)。
のう胞のサイズ 経過観察の目安
20mm未満 診断から6か月後に再検査。変化がなければ以後は18か月ごと
20〜30mm 6か月ごとに2回確認し、安定していれば1年ごと
30mm以上、または危険サインあり より短い間隔での観察、または専門施設での切除検討・EUSによる精査
✅ 経過観察を「意味のあるもの」にする3つのコツ
できるだけ同じ施設・同じ検査法で。測り方が変わると数mmの差が正しく評価できません
過去の結果票を必ず持参する。「昨年何mmだったか」が最重要の情報です
自己判断で中断しない。膵のう胞の経過観察に「もう卒業」という明確な終わりは、原則としてありません

7. 「主膵管拡張」だけを指摘されたときの考え方

のう胞がなく、「主膵管が太い」「膵管拡張」とだけ指摘されることがあります。主膵管は本来2〜3mm程度の細い管で、加齢によってわずかに太くなることは知られています。しかし、はっきりとした拡張は次のような原因を考える必要があります。
主膵管拡張の主な原因 補足
主膵管型・混合型IPMN 粘液で膵管が拡張する。悪性化リスクが高いため精査が必要
膵管の狭窄(がんによる圧迫・浸潤を含む) 尾側の膵萎縮を伴う急な狭窄は、小さな膵がんの間接所見のことがある
慢性膵炎 膵石や膵管の不整を伴うことが多い。飲酒歴が参考になる
加齢に伴う生理的変化 高齢の方でわずかに太い場合。ただし除外診断として扱う

「膵管拡張」は、小さな膵がんが出す数少ないサインのひとつです

早期の膵がんは腫瘤(かたまり)として写らないことがあり、膵管の局所的な拡張や狭窄が唯一の手がかりになる場合があります。エコーで「膵管拡張」と指摘された方は、のう胞がなくても一度、消化器内科でMRCPを含めた評価をご相談ください。

8. のう胞以外の膵がんリスク――新規発症の糖尿病は要注意サイン

膵臓がんは、危険因子の重なりによってリスクが上がることが知られています。膵のう胞・IPMNは、そのなかでもとくに重要な因子のひとつです。
危険因子 ポイント
膵のう胞・IPMN のう胞由来のがんに加え、離れた部位に通常型膵がんが生じうる
糖尿病 とくに50歳以降の新規発症、体重が減っているのに血糖が悪化する場合は要注意
慢性膵炎 長期の炎症が発がんの背景になる
家族歴 血縁者に膵がんの方がいる場合。『膵癌診療ガイドライン2025年版』では、家族性膵癌の近親者や生殖細胞系列の病的バリアント保有者に対する膵サーベイランス(定期的な監視)が新たに提案されました
喫煙・多量飲酒・肥満 いずれも是正可能な因子。禁煙・減酒・減量はリスク低減につながる

地域連携で早期発見率を上げた「尾道方式」

広島県尾道市では、かかりつけ医が危険因子を持つ方を拾い上げ、専門施設へ紹介して精密検査につなげる仕組み(尾道方式)が構築されました。約8年半で市民ら約8,400人を精査し、約430人が膵がんと診断され、そのうち超早期のステージ0が18人、ステージIが36人含まれていたと報道されています。「かかりつけ医が拾い上げ、専門施設が精査する」という発想は、当院が地域で担いたい役割そのものです。
出典:日本経済新聞(2022年7月)ほか報道、日経メディカル関連記事

⚠️ こんな症状があるときは早めに受診を

みぞおち・背中の持続する鈍い痛み/原因のはっきりしない体重減少/食欲不振が続く/白目や皮膚が黄色い(黄疸)/尿が濃くなり便が白っぽい/糖尿病が急に悪化した――これらは膵臓の病気で見られることがある症状です。のう胞の経過観察中であっても、次回予約を待たずにご相談ください

9. 白金高輪での検査の流れ――エコー・血液検査からMRCP・EUSへ

白金高輪駅2番出口から徒歩1分の五良会クリニック白金高輪(港区高輪1-3-1 プレミストタワー白金高輪1F)では、健診で膵のう胞・膵管拡張を指摘された方のフォローアップを保険診療で行っています。流れは次のとおりです。
STEP 1 健診結果を持って受診
のう胞のサイズ・部位・膵管径が記載されたページをお持ちください。過去数年分あると変化を評価でき、診療の質が大きく変わります
STEP 2 腹部エコー+血液検査
のう胞のサイズ・数・膵管径・膵実質を評価。血液検査では膵酵素(アミラーゼ・リパーゼ)、肝胆道系酵素、CA19-9などの腫瘍マーカー、HbA1c・血糖もあわせて確認します
STEP 3 精査が必要な場合の紹介
MRI(MRCP)・造影CT・超音波内視鏡(EUS)が必要と判断した場合は、検査可能な連携医療機関へ紹介状を作成します。結果は当院で一緒に確認し、次の方針をご説明します
STEP 4 定期フォローの継続
サイズ別の間隔(第6章)に沿って、同じ施設で定点観測。血糖の悪化や体重減少など、膵臓からのサインも同時に見ていきます
当院は消化器内科・内視鏡と糖尿病内科が同じフロアで連携しているのが特長です。膵のう胞をお持ちの方は糖尿病や脂肪肝、脂質異常症を併せ持つことも多く、膵臓のフォローと生活習慣病の管理を1回の外来でまとめて行えます。胃カメラ・大腸カメラも土日祝を含め毎週実施していますので、消化器全体の評価をご希望の方はあわせてご相談ください。

10. 院長・理事長コメント

💬 院長 玉井博修より
日本内科学会 総合内科専門医・指導医/日本消化器病学会 専門医・指導医/日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医/日本肝臓学会 専門医・指導医
「膵のう胞は、見つかった瞬間だけを見ても答えが出ない病変です。大切なのは『前回と比べてどうか』という時間軸の情報で、そのためには同じ間隔で、同じ目で追い続けることが欠かせません。私が最も残念に思うのは、一度指摘されたまま数年が経ってしまったケースです。膵臓は症状で教えてくれない臓器だからこそ、画像の記録が命綱になります。結果票を数年分お持ちいただければ、それだけで診療の精度が上がります。どうか一度、ご相談ください。」
💬 理事長 五藤良将より
「糖尿病内科の立場から強調したいのは、『中年以降に急に発症した糖尿病』『これまで安定していた血糖の急な悪化』が、膵臓からの重要なサインになりうるという点です。2024年の国際ガイドラインでも、新規発症・急激な悪化の糖尿病が要注意所見として明確に位置づけられました。当院では玉井院長の消化器内科と糖尿病内科が同じフロアで連携し、膵のう胞の経過観察と血糖管理を一つの外来で完結できます。白金高輪で、健診結果を『次の一手』に変えるお手伝いをさせてください。」

11. よくある質問(FAQ)

Q1. 膵のう胞と言われました。がんですか?
A. 健診で見つかる膵のう胞の多くはその時点でがんではありません。ただし、種類によって将来の悪性化リスクが異なり、またのう胞を持つ方は膵臓の別の場所にがんが生じるリスクもやや高いことが知られています。だからこそ「がんではないから終わり」ではなく、定期的な経過観察が推奨されます。
Q2. 「10mmの膵のう胞」と書かれていました。放置してよいですか?
A. 20mm未満で危険サインがなければ緊急性は高くありませんが、放置ではなく経過観察が必要です。目安としては診断から6か月後に再評価し、変化がなければ以後18か月ごとに確認します。次の健診まで1年空けるのではなく、まず一度、内科・消化器内科で評価を受けておくと安心です。
Q3. 膵のう胞の経過観察は、エコーとMRIのどちらがよいですか?
A. 腹部エコーは被曝がなく手軽ですが、膵臓は腸のガスに隠れて一部が見えにくいという弱点があります。のう胞の形や膵管との関係を詳しく見るにはMRI(MRCP)が優れ、壁在結節の評価には超音波内視鏡(EUS)が最も鋭敏です。実際には、エコーを基本にしつつ節目でMRCPを組み合わせる方法がよく用いられます。当院ではエコー・血液検査を行い、MRCPやEUSが必要な場合は連携医療機関へご紹介します。
Q4. CA19-9が高いと言われました。膵臓がんでしょうか?
A. CA19-9は膵がんで上昇しうる腫瘍マーカーですが、胆道の炎症や良性疾患、喫煙などでも上昇します。また日本人の一部には体質的にCA19-9を作れない方がおり、その場合はがんがあっても上がりません。マーカー単独では診断できないため、必ず画像所見と合わせて評価します。2024年版の国際ガイドラインでも、不要な手術を避けるため、より高いカットオフ値の採用が提案されています。
Q5. 経過観察はいつまで続ける必要がありますか?
A. 分枝型IPMNは年数が経つほど累積の発がんリスクが上がることが報告されており、「〇年で終了」という明確な区切りは原則としてありません。ただし、ご高齢の方や、手術に耐えられる体力・併存疾患の状況によっては、観察を続ける意義そのものを主治医と相談して決めることになります。一律ではなく個別に判断する領域です。
Q6. 膵のう胞があると、お酒や食事に制限はありますか?
A. のう胞そのものに対する食事療法は確立していません。ただし禁煙・節酒・適正体重の維持・血糖コントロールは、膵がんの危険因子を減らすうえで意味があります。とくに喫煙は是正できる最大の因子のひとつです。急性膵炎を起こしたことがある方は、飲酒と脂質の摂り方について個別の指導が必要ですので、外来でご相談ください。
Q7. 家族に膵臓がんの人がいます。何か検査を受けたほうがよいですか?
A. 『膵癌診療ガイドライン2025年版』(日本膵臓学会、2025年7月発行)では、家族性膵癌の近親者や、未発症の生殖細胞系列病的バリアント保有者に対する膵サーベイランスが新たに提案されました。該当する可能性がある方は、まず内科で家族歴を整理し、必要に応じて専門施設での相談につなぎます。白金高輪・港区周辺で相談先をお探しの方は、健診結果とご家族の情報をお持ちのうえ当院へお越しください。

12. まとめ

📝 この記事のポイント
✅ 健診で見つかる膵のう胞の多くは良性だが、「膵がんの高リスク群」として定期観察が必要
✅ 最も多いのは分枝型IPMN。主膵管型・混合型は悪性化リスクが高く専門施設での検討を
✅ 2024年改訂の京都ガイドラインでは、閉塞性黄疸・5mm以上の壁在結節・主膵管10mm以上が高リスク所見
のう胞30mm以上・主膵管5〜9mm・急な増大・新規発症の糖尿病などは要注意所見
✅ 経過観察の目安は20mm未満=6か月後→18か月ごと/20〜30mm=6か月ごと2回→1年ごと
✅ のう胞がなくても「膵管拡張」だけで小さな膵がんのサインのことがある
白金高輪駅2番出口 徒歩1分の当院では、火曜を除き土日祝も腹部エコー・血液検査でのフォローが可能
糖尿病×膵臓がん
新規発症の糖尿病と膵臓がんの関係を解説。記事を読む →
健診×腹部エコー
同じ腹部エコーで指摘されやすい胆嚢の所見。記事を読む →
腹部エコー×内視鏡
膵臓・肝臓・胆嚢をまとめて調べる考え方。記事を読む →
健診の受け方
健診結果を「次の検査」につなげるための基本。記事を読む →
🏥 健診で膵のう胞・膵管拡張を指摘された方へ
五良会クリニック白金高輪(港区高輪・白金高輪駅2番出口 徒歩1分/東京メトロ南北線・都営三田線)では、腹部エコーと血液検査による健診後フォローを保険診療で行っています。日本消化器病学会 専門医・指導医の玉井院長が経過観察の方針を丁寧にご説明し、MRCP・EUSなどの精密検査が必要な場合は連携医療機関へ責任を持ってご紹介します。火曜を除き土日祝も診療。健診結果票(できれば過去数年分)をお持ちのうえ、お気軽にご相談ください。

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お電話でのご予約:03-6432-5353(1F 内科・消化器内科)/当日枠・LINE相談もご利用いただけます
【参考文献・出典】
・国際膵臓学会ほか『エビデンスに基づく IPMN国際診療ガイドライン[日本語版](2024年版)』(通称・京都ガイドライン)医学書院, 2024年
・日本膵臓学会 膵癌診療ガイドライン改訂委員会『膵癌診療ガイドライン 2025年版(第7版)』金原出版, 2025年7月25日発行
・国立がん研究センター がん情報サービス「膵臓 最新がん統計・患者数」(ganjoho.jp)
・日本経済新聞 2022年7月「膵臓がん早期発見、『尾道方式』広がる 開業医らと連携」ほか関連報道
・五良会クリニック白金高輪 消化器内科 診療案内

※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の診断・治療方針を示すものではありません。実際の判断は主治医にご相談ください。

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