鉄欠乏性貧血の「真の原因」を見つける検査|採血からピロリ菌・腹部エコーまで|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

〒108-0074
東京都港区高輪1丁目3-1 プレミストタワー白金高輪 1F
03-6432-5353
人のアイコンスタッフ募集 WEB問診 オンライン診療 instagtamのアイコン Xのアイコン
ヘッダー画像

ブログ

鉄欠乏性貧血の「真の原因」を見つける検査|採血からピロリ菌・腹部エコーまで|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

鉄欠乏性貧血の「真の原因」を見つける検査|採血からピロリ菌・腹部エコーまで

医療法人社団五良会|理事長、竹内内科小児科医院|院長 五藤良将(糖尿病内科・感染症)

鉄欠乏性貧血は貧血全体の60〜80%を占める最も多い貧血ですが、「鉄が足りない」という診断で終わってしまうケースが少なくありません。本当に大切なのは、「なぜ鉄が足りなくなったのか」を突き止めることです。原因を放置したまま鉄剤だけで治療しても、再発を繰り返します。

本記事では、採血だけでは終わらない鉄欠乏性貧血の原因検索の全体像を、フェリチンや血清鉄の読み方から、腹部エコー・ピロリ菌・連携婦人科への紹介・吸収障害の検索まで、血液内科外来の視点でまとめました。当院での具体的なフローも紹介します。

1. なぜ「原因検索」が必要か

鉄欠乏性貧血の治療指針(日本鉄バイオサイエンス学会『鉄欠乏性貧血の診療指針』2024年)では、鉄剤治療と並行して「鉄欠乏の原因の徹底検索」が強調されています。鉄が足りなくなる経路は実は多彩で、出血、吸収障害、需要増加、摂取不足などが複雑に絡んでいるからです。

💡 鉄欠乏が起こる4つの経路
失血:消化管出血(がん・潰瘍・ポリープ)、月経過多、子宮筋腫など婦人科疾患、痔、尿路出血など
吸収障害:萎縮性胃炎、ピロリ菌感染、胃切除後、セリアック病、慢性炎症性疾患
需要増加:妊娠・授乳、成長期、激しい運動
摂取不足:極端なダイエット、菜食主義、偏食

これらをひとつずつ検査で確認していくのが「原因検索」です。本記事ではSTEP1〜7の順で進めていきます。

2. STEP1:採血で詳しく見るべき項目

健康診断の採血では、ヘモグロビン(Hb)と赤血球数くらいしか見ないことが多いですが、鉄欠乏性貧血の精査ではもっと詳しい項目が必要です。

項目 基準値の目安 意味
ヘモグロビン(Hb) 男性 13.0以上/女性 12.0以上 g/dL 貧血の有無の基準(WHO・日本)
MCV(平均赤血球容積) 80〜100 fL 小球性貧血(<80)なら鉄欠乏・サラセミア・慢性炎症を疑う
フェリチン 25〜250 ng/mL(男女) 貯蔵鉄の指標。12 ng/mL以下で枯渇、12〜25で減少
血清鉄 男性 60〜200/女性 50〜170 µg/dL 血液中の鉄量。日内変動が大きい
TIBC(総鉄結合能) 250〜400 µg/dL 鉄が足りないとTIBCは上昇。鉄欠乏性貧血の補助診断
網状赤血球(Ret) 0.5〜2.0% 骨髄が貧血に反応できているか、溶血性貧血との鑑別
ビタミンB12・葉酸 施設基準値 大球性貧血(巨赤芽球性貧血)の鑑別
CRP・LDH・腎機能 慢性炎症・溶血・腎性貧血の併存スクリーニング

💡 フェリチンの読み方が最重要

鉄欠乏性貧血の確定診断にはフェリチン低値(12 ng/mL以下、診療指針)が決め手になります。一方で、ヘモグロビンが正常でもフェリチン25 ng/mL以下なら「貯蔵鉄が減少した状態(潜在性鉄欠乏)」として治療介入を検討します。これがいわゆる「隠れ貧血」です(詳しくは§9)。

3. STEP2:便潜血・尿潜血でスクリーニング

採血で鉄欠乏が確認されたら、次は「どこから出血しているか」を簡易に絞り込みます。

検査 分かること/次の一手
便潜血(2日法・免疫法) 陽性 → 大腸カメラ必須。陰性でも貧血があれば内視鏡を考慮(特に右側結腸がんは偽陰性が出やすい)
尿潜血 陽性 → 腎・膀胱・尿管疾患の精査。腎腫瘍・膀胱がん・尿路結石なども慢性出血源になる
月経歴の問診 月経過多・経血量・周期・凝血塊の有無を確認。連携婦人科への紹介の必要性を判断

4. STEP3:胃カメラ・大腸カメラ

原因検索のなかで最も重要なステップです。特に50歳以上の男性閉経後女性では、上部・下部内視鏡の両方が原則となります。

⚠️ 内視鏡で検索すべき主な疾患
胃カメラ:胃がん・食道がん・胃十二指腸潰瘍・萎縮性胃炎・ピロリ菌・食道静脈瘤・血管異形成
大腸カメラ:大腸がん(特に右側結腸)・大型ポリープ・潰瘍性大腸炎・クローン病・憩室出血・血管異形成・痔核

当院では胃カメラ・大腸カメラを土曜・日曜・祝日を含む週6日実施しており、貧血の原因検索を最短ルートで進められます。詳しくは新規記事①の解説をご覧ください。

5. STEP4:腹部エコー(肝胆膵・子宮卵巣)

内視鏡では見えない臓器の精査に、腹部エコー(超音波検査)は非常に有用です。被ばくがなく、繰り返し受けられます。

観察対象 貧血と関連する所見
肝臓 肝硬変(食道静脈瘤の背景)、肝腫瘍、脾腫
胆嚢・胆管 胆嚢炎、胆管病変
膵臓 膵腫瘍、膵嚢胞
腎臓・尿路 腎腫瘍、水腎症、結石(尿潜血陽性の精査)
脾臓 脾腫(血液疾患・門脈圧亢進症のサイン)
子宮・卵巣 子宮筋腫・子宮腺筋症・卵巣腫瘍。月経過多の原因として頻度が高い

💡 女性は腹部エコーで子宮筋腫の有無を確認

月経過多の原因として子宮筋腫・子宮腺筋症は非常に多い病態です。腹部エコーで筋腫の存在や大きさが分かれば、貧血の原因として連携医療機関の婦人科へのご紹介に進めます(当院に婦人科はございません)。

6. STEP5:ピロリ菌検査と除菌

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は胃粘膜の慢性炎症を起こし、胃酸分泌の低下菌自身による鉄消費を介して鉄欠乏性貧血の原因になります。日本ヘリコバクター学会・国際的なコンセンサスでも、原因不明の鉄欠乏性貧血ではピロリ菌検査と陽性時の除菌が推奨されています。

検査法 特徴
迅速ウレアーゼ試験/組織検査(生検) 胃カメラと同時に実施。萎縮性胃炎の有無も合わせて評価できる
尿素呼気試験(UBT) 非侵襲的で除菌判定にも使用
便中ピロリ菌抗原 便検査で実施。小児にも使いやすい
血清抗体・尿中抗体 スクリーニング向き。除菌後の判定には不向き

陽性であれば、保険適用の1次除菌療法(PPI+アモキシシリン+クラリスロマイシン7日間)を行います。失敗すれば2次除菌(メトロニダゾールに変更)へ進みます。除菌成功後に貧血が改善する例は少なくありません。

7. STEP6:月経過多・子宮筋腫(連携婦人科への紹介)

月経のある女性の鉄欠乏性貧血では、月経過多そのものが原因になっていることが圧倒的に多いです。当院に婦人科はございませんが、問診と腹部エコーで婦人科疾患の存在を疑った場合は、連携医療機関の婦人科へご紹介しています。問診では次のような項目を確認します。

💓 月経過多が疑われるサイン
・経血量が多くナプキンが1〜2時間で交換が必要
・大きな凝血塊(レバー状)が出る
・月経期間が8日以上続く
・夜用ナプキン・タンポンで対応しないと外出できない
・周期的に貧血症状(立ちくらみ・倦怠感)が悪化する

これらに当てはまる場合は連携医療機関の婦人科へのご紹介を検討し、子宮筋腫・子宮腺筋症・子宮内膜ポリープ・機能性子宮出血などをエコー・MRIで評価していただきます。治療法は、子宮筋腫であれば筋腫核出術や子宮動脈塞栓術、ホルモン療法(GnRHアナログ・LEP製剤・ミレーナ)など多岐にわたります。

8. STEP7:吸収障害(セリアック病・胃切後)

出血源も婦人科疾患(連携医療機関の婦人科で精査済み)も否定的なのに鉄欠乏が続く場合、「腸からの吸収がうまくいっていない」可能性を考えます。

病態 特徴
萎縮性胃炎 ピロリ菌感染や加齢に伴い胃酸分泌が低下し、鉄の吸収が落ちる
胃切除後 胃がん術後・バイパス術後で鉄・ビタミンB12の吸収が低下
セリアック病 グルテンによる小腸絨毛萎縮。日本人ではまれだが、原因不明の鉄欠乏で検索することがある
炎症性腸疾患(IBD) クローン病・潰瘍性大腸炎。出血と吸収障害を同時に起こす
慢性炎症性疾患 関節リウマチ・慢性感染症などでヘプシジン上昇 → 鉄利用障害
PPI長期内服 胃酸抑制薬の長期使用で鉄吸収が低下することがある

9. 「隠れ貧血」(フェリチン低値)の捉え方

ヘモグロビンは正常範囲なのに、フェリチンが低く貯蔵鉄が枯渇している状態を「隠れ貧血」「潜在性鉄欠乏」「非貧血性低フェリチン血症」と呼びます。日本人女性の約2割、月経のある女性では約4割に隠れ貧血があると推定されています。

🔍 隠れ貧血で出やすい症状
慢性疲労・倦怠感がとれない
・気分の落ち込み・集中力低下・イライラ
抜け毛・爪が割れやすい・スプーン爪
・むずむず脚症候群(夜の脚のうずき)
・氷をかじりたくなる「氷食症」
・運動時の動悸・息切れ

採血でフェリチン25 ng/mL以下であれば、貧血そのものがなくても治療介入を検討します。原因検索(月経歴・食事・吸収障害)を行ったうえで、経口鉄剤を試し、副作用が強い場合は静注鉄剤の選択肢もあります。隠れ貧血を含めた治療判断は、血液内科専門外来でご相談いただくのが確実です。

10. 当院での原因検索フロー

五良会クリニック白金高輪では、鉄欠乏性貧血の原因検索を以下のステップで進めています。

STEP 1 外来診察+詳細採血
Hb・MCV・フェリチン・血清鉄・TIBC・網状赤血球・B12・葉酸・CRP・腎機能
STEP 2 便潜血・尿潜血
出血源のスクリーニング
STEP 3 胃カメラ・大腸カメラ(土日祝も可)
消化管悪性腫瘍・潰瘍・ピロリ菌の評価
STEP 4 腹部エコー
肝胆膵・腎・子宮卵巣の精査
STEP 5 必要に応じた専門連携
婦人科(連携医療機関)、泌尿器科、消化器外科などへの紹介
STEP 6 鉄補充の最適化
経口鉄剤の飲み方指導/フェジン・フェインジェクト・モノヴァーの静注選択

11. 理事長コメント

💬 理事長 五藤良将より
「貧血の原因検索は、消化管・婦人科・吸収障害・栄養・慢性炎症まで領域を横断する作業です。当院は内視鏡・血液内科専門外来・腹部エコーを1階内科で集約し、婦人科の精査が必要な場合は信頼できる連携医療機関の婦人科へスムーズにお繋ぎします。

『ヘモグロビンは正常と言われたけれど、フェリチンを見たら隠れ貧血だった』というケースも非常に多く、特に女性の慢性疲労や抜け毛、気分の落ち込みが鉄不足由来であることは少なくありません。気になる症状があれば、まず血液検査からお気軽にご相談ください。」

12. まとめ

📝 この記事のポイント
✅ 鉄欠乏性貧血は「鉄不足」で終わらせず、真の原因を突き止める
✅ 採血ではフェリチンが最重要。25 ng/mL以下なら「隠れ貧血」
✅ 男性・閉経後女性は胃カメラ+大腸カメラの両方が原則
✅ 腹部エコーで肝胆膵・腎・子宮卵巣をスクリーニング
✅ ピロリ菌は鉄欠乏性貧血の隠れた原因。除菌で改善することがある
✅ 月経過多・子宮筋腫は連携婦人科へご紹介
✅ PPI長期内服・胃切後・萎縮性胃炎では吸収障害を疑う
✅ 当院は内視鏡・腹部エコー・血液内科専門外来をワンストップで提供

HEMATOLOGY CLINIC
🩸 当院の血液内科専門外来のご案内
五良会クリニック白金高輪では、毎週日曜日・木曜日
血液内科専門医による外来診療を行っております。
✅ 健康診断で血液検査の異常を指摘された方
✅ 貧血や出血傾向が気になる方
✅ リンパ節の腫れが気になる方
✅ 血液疾患の経過観察中の方
お気軽にご相談ください。

GORYOKAI CLINIC SHIROKANE-TAKANAWA
五良会クリニック白金高輪
内科・小児科・消化器内科・血液内科・内視鏡検査・糖尿病内科・アレルギー科
内科 小児科 消化器内科 血液内科 内視鏡
糖尿病内科 アレルギー科 予防接種 健康診断 渡航医学
〒108-0074 東京都港区高輪1丁目3-1 プレミストタワー白金高輪 1F
東京メトロ南北線・都営三田線「白金高輪駅」2番出口 徒歩1分
診療時間 日・祝
10:00〜13:00 10:00

15:00
10:00

15:00
14:30〜19:00

休診日:火曜日/土・日・祝は10:00〜15:00(最終受付14:30)


WEB予約
前日まで

CLINICS
当日WEB予約

melmo
WEB問診

LINE
公式アカウント

Instagram
1F公式

電話
03-6432-5353

理事長 五藤 良将