【2026年最新】GLP-1/GIP受容体作動薬と心血管保護|健診で「血糖高め」と言われた方へ|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

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【2026年最新】GLP-1/GIP受容体作動薬と心血管保護|健診で「血糖高め」と言われた方へ|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

【2026年最新】GLP-1/GIP受容体作動薬と心血管保護|健診で「血糖高め」と言われた方へ

健康診断で「HbA1cが高め」「空腹時血糖が高め」と指摘され、どうしたらよいか迷っておられる方は多いと思います。まだ薬を飲むほどではないのか、それとも早く受診すべきなのか、判断に迷うのは当然です。実は、健診の「血糖高め」は、単に糖尿病予備群というだけでなく、心臓や血管の将来リスクを知らせるサインでもあります。
近年、血糖を下げるだけでなく心筋梗塞や脳卒中といった心血管イベントを減らすことが大規模試験で示された薬剤が登場しています。それがGLP-1受容体作動薬と、GIPとGLP-1の両方に作用するGIP/GLP-1受容体作動薬(チルゼパチド)です。この記事では、健診で血糖を指摘された方に向けて、これらの薬がなぜ心臓を守るのか、日本で誰がどのように使えるのかを、糖尿病内科・感染症を専門とする理事長がやさしく解説します。


1. 健診で「血糖高め」と出たら何を意味するのか

特定健診(メタボ健診)では、血糖の結果は大きく2段階で判定されます。この2つの線引きを知っておくと、ご自身の結果がどの段階にあるのかが分かります。

保健指導判定値と受診勧奨判定値

区分 空腹時血糖 HbA1c(NGSP) 意味
保健指導判定値 100 mg/dL 以上 5.6% 以上 生活習慣の見直しが必要な段階(いわゆる「血糖高め」)
受診勧奨判定値 126 mg/dL 以上 6.5% 以上 医療機関の受診が勧められる段階

ポイント

空腹時血糖とHbA1cの両方を測っている場合は、判定では空腹時血糖の値を優先することになっています。HbA1cは過去1〜2か月の平均的な血糖を反映する指標で、当日の食事の影響を受けにくいのが特徴です。
出典:厚生労働省 標準的な健診・保健指導プログラム(特定健診の判定値)

「保健指導判定値」に入っただけなら、すぐに薬が必要というわけではありません。ただし、受診勧奨判定値(空腹時126 mg/dL以上、またはHbA1c 6.5%以上)に達している場合は、糖尿病の可能性が高く、放置せず医療機関で確認することが大切です。

2. 「血糖高め」は心臓・血管の将来リスクのサイン

血糖が高い状態が続くと、全身の血管がじわじわとダメージを受けます。特に問題になるのが、心筋梗塞・脳卒中・末梢動脈疾患といった「動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)」です。糖尿病があると、これらのリスクが数倍に高まることが知られています。
さらに、健診で血糖を指摘される方は、血圧・脂質・肥満・喫煙など他のリスクも重なっていることが少なくありません。リスクは足し算ではなく、掛け算のように積み重なります。だからこそ、「血糖高め」を早めのサインとして受け止め、血糖だけでなく心臓・血管全体を守る視点が重要になります。

⚠️ 注意

動脈硬化は自覚症状が出にくく、健診で血糖を指摘された時点ですでに進行していることもあります。「まだ症状がないから大丈夫」と考えず、数値のサインを大切にしてください。

3. GLP-1受容体作動薬・GIP/GLP-1受容体作動薬とは

GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)は、食事をとると腸から分泌される「インクレチン」と呼ばれるホルモンの一つです。血糖が高いときにだけインスリン分泌を促し、食欲を抑え、胃からの食べ物の排出をゆっくりにする働きがあります。

GLP-1受容体作動薬

このGLP-1の働きを薬にしたのがGLP-1受容体作動薬です。血糖を下げるだけでなく、体重減少・血圧改善などの作用もあり、多くの製品で週1回の注射1日1回の内服が可能です。

GIP/GLP-1受容体作動薬(チルゼパチド)

さらに新しいのが、GLP-1に加えてもう一つのインクレチンであるGIPにも作用するGIP/GLP-1受容体作動薬(一般名:チルゼパチド)です。2つのホルモン受容体に同時に働きかけることで、血糖と体重の両方に対して強力な効果が期待されます。日本では「マンジャロ」という製品名で、2型糖尿病の治療薬として使われています(週1回の皮下注射)。

用語の整理

GLP-1受容体作動薬…GLP-1のみに作用(例:セマグルチド=オゼンピック/リベルサス、デュラグルチド=トルリシティ、リラグルチド=ビクトーザ)
GIP/GLP-1受容体作動薬…GIPとGLP-1の両方に作用(チルゼパチド=マンジャロ)

4. 心血管保護のエビデンス(大規模試験のまとめ)

これらの薬が注目される最大の理由は、血糖を下げるだけでなく、実際に心筋梗塞や脳卒中を減らすことが大規模な臨床試験(心血管アウトカム試験)で示されてきた点です。代表的な試験を見てみましょう。
🔬 エビデンス(1)GLP-1受容体作動薬の心血管保護
2型糖尿病の患者さんを対象とした複数の大規模試験で、GLP-1受容体作動薬が心血管イベント(心血管死・心筋梗塞・脳卒中の複合=MACE)を減らすことが示されています。デュラグルチド(REWIND試験)、セマグルチド(SUSTAIN-6試験)、リラグルチド(LEADER試験)などが代表例です。日本糖尿病学会の「糖尿病治療ガイド2024」でも、これらは心血管イベントのリスク低下に関するエビデンスを持つ薬剤として位置づけられています。
出典:日本糖尿病学会 糖尿病治療ガイド2024/各心血管アウトカム試験
🔬 エビデンス(2)SELECT試験(セマグルチド)
SELECT試験は、糖尿病のない心血管疾患を持つ過体重・肥満の方 約17,600名を対象に、セマグルチド2.4mgを平均3.5年投与した国際共同試験です。その結果、心血管イベント(MACE)がプラセボ群より約20%低下しました。血糖が正常な人でも心血管保護がみられた点が大きな話題となりました。
出典:SELECT試験(N Engl J Med. 2023)ほか
🔬 エビデンス(3)SURPASS-CVOT試験(チルゼパチド)
2025年に発表されたSURPASS-CVOTは、2型糖尿病かつ動脈硬化性心血管疾患を持つ成人 約13,300名を対象に、チルゼパチド(GIP/GLP-1)とデュラグルチド(GLP-1)を直接比較した試験です。主要評価項目のMACEでは、チルゼパチドがデュラグルチドに対して非劣性を達成し(ハザード比0.92)、さらに総死亡はチルゼパチド群で16%低い結果でした(ハザード比0.84)。すでに心血管保護が確立しているGLP-1製剤と同等以上の心血管安全性が示されたと理解できます。
出典:SURPASS-CVOT試験(2025年発表)/イーライリリー公式発表 2025年

⚠️ 正確な理解のために

SURPASS-CVOTでチルゼパチドが示したのは、デュラグルチドに対する「非劣性(=同等以上)」であり、「明確な優越性」ではありません。どちらも心血管を守る有力な選択肢であり、患者さんごとの状態に合わせて選ぶことが大切です。

5. 「体重が減っただけ」では説明できない保護効果

「体重が減ったから心臓が守られたのでは?」と思われるかもしれません。しかし2025年に報告されたSELECT試験の追加解析では、体重減少の程度とは独立して心血管保護効果がみられたことが示されています。つまり、これらの薬には体重減少以外の直接的な血管保護作用(炎症の抑制、血管内皮の改善など)があると考えられています。
✅ 期待される多面的な効果
血糖の改善/体重の減少/血圧の改善/心血管イベントの抑制/一部の製剤では腎保護・脂肪肝への良い影響も報告

6. 日本で使える薬剤と適応(糖尿病か肥満症か)

ここが最も誤解されやすい点です。同じ成分でも、「2型糖尿病の薬」なのか「肥満症の薬」なのかで、使える対象・保険適用が異なります。健診で血糖を指摘された方に関係する範囲を整理します。
製品名(一般名) 分類 日本での主な適応 投与
マンジャロ(チルゼパチド) GIP/GLP-1 2型糖尿病 週1回 皮下注射
オゼンピック(セマグルチド) GLP-1 2型糖尿病 週1回 皮下注射
リベルサス(経口セマグルチド) GLP-1 2型糖尿病 1日1回 内服
トルリシティ(デュラグルチド) GLP-1 2型糖尿病 週1回 皮下注射
ゼップバウンド(チルゼパチド) GIP/GLP-1 肥満症(一定のBMI・合併症条件) 週1回 皮下注射

日本での承認・発売(web確認情報)

マンジャロ(2型糖尿病)は2023年4月18日に発売された、世界初の持続性GIP/GLP-1受容体作動薬です。肥満症治療薬のゼップバウンドは2024年12月27日に製造販売承認、2025年4月11日に発売されました。両者は同じ成分ですが、マンジャロは肥満症には保険適用がありません
出典:イーライリリー/日本イーライリリー公式発表、PMDA

「痩せ薬」としての自己判断は危険です

これらは本来、糖尿病や肥満症という病気の治療薬です。適応や体質に合わない使い方は、低血糖・消化器症状などのリスクを高めます。必ず医師の診察を受けたうえで、適応に沿って使用してください。

7. どんな方に向くか・始めるまでの流れ

GLP-1/GIP・GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病で、血糖のコントロールに加えて体重や心血管リスクの管理も重視したい方に特に向いています。ただし、実際に使うかどうかは、他の薬との組み合わせや腎機能・消化器の状態などを含めて総合的に判断します。
STEP 1 受診・問診
健診結果をお持ちいただき、血糖の経過・体重・生活習慣・既往歴をうかがいます。
STEP 2 検査・評価
血糖・HbA1c・腎機能・脂質などを確認し、糖尿病の診断と心血管リスクを評価します。
STEP 3 治療方針の相談
食事・運動などの生活改善を基本に、必要に応じて薬剤の選択肢(GLP-1製剤を含む)をご提案します。
STEP 4 導入・フォロー
開始後は効果と副作用を確認しながら調整します。持続血糖モニター(CGM)による評価にも対応しています。

8. 副作用と注意点

最も多い副作用は吐き気・食欲低下・便秘・下痢などの消化器症状で、多くは少量から始めて徐々に増やすことで軽減できます。まれに膵炎や胆石・胆道系のトラブルが報告されており、強い腹痛などがあれば速やかに受診が必要です。
Q. 低血糖は起きますか?
A. GLP-1製剤単独では低血糖は起こりにくい薬です。ただし、インスリンやスルホニル尿素薬(SU薬)と併用すると低血糖のリスクが上がるため、組み合わせに注意が必要です。
Q. 一生続ける必要がありますか?
A. 病状によります。生活改善が進み血糖が安定すれば減薬・調整を検討することもあります。自己判断で中止せず、必ず主治医と相談してください。

9. 健診で引っかかったら〜受診の目安(数値別)

健診の結果 おすすめの対応
HbA1c 6.5%以上/空腹時血糖 126 mg/dL以上 早めに受診を。糖尿病の可能性が高く、確定診断と心血管リスク評価が必要です。
HbA1c 5.6〜6.4%/空腹時血糖 100〜125 mg/dL 生活習慣の見直しを。血圧・脂質・肥満などが重なる方は一度ご相談ください。
昨年より数値が悪化している 絶対値が基準内でも、上昇傾向は要注意。早めの相談をおすすめします。
✅ 受診時にお持ちいただくとスムーズなもの
健診結果(できれば過去数年分)/お薬手帳/気になる症状のメモ

10. 理事長コメント

💬 理事長 五藤良将より
「健診で血糖を指摘されると不安になりますが、それは体が早めに送ってくれた大切なサインです。近年のGLP-1・GIP/GLP-1受容体作動薬は、血糖を下げるだけでなく心臓や血管を守る可能性が示され、糖尿病治療は大きく前進しました。とはいえ主役はあくまで生活習慣で、薬はそれを支える手段です。当院では糖尿病協会登録医としての糖尿病内科に加え、CGMや内視鏡による全身の評価も一体で行えます。数値の意味を一緒に確認し、あなたに合った無理のない方法を考えていきましょう。」

11. まとめ

📝 この記事のポイント
✅ 健診の血糖は「保健指導判定値(HbA1c 5.6%・空腹時100)」と「受診勧奨判定値(HbA1c 6.5%・空腹時126)」の2段階
✅ 「血糖高め」は心筋梗塞・脳卒中など心血管リスクの早めのサイン
✅ GLP-1・GIP/GLP-1受容体作動薬は血糖だけでなく心血管イベントを減らすエビデンスがある
✅ SELECT試験・SURPASS-CVOTなど大規模試験で心血管保護・安全性が示された
✅ マンジャロは2型糖尿病の薬、ゼップバウンドは肥満症の薬(適応が異なる)
✅ 受診勧奨判定値に達したら早めに医療機関へ