中性脂肪が高いと言われたら|基準値150mg/dLの意味と放置NGの理由――高トリグリセライド血症を白金高輪の内科が解説【動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版対応】
- 2026年8月18日
- 脂質異常症(コレステロール),高血圧,動脈硬化,内科一般
医療法人社団五良会|理事長、竹内内科小児科医院|院長 五藤良将(糖尿病内科・感染症)
② 中性脂肪とは何か|LDLコレステロールとの決定的な違い
③ 基準値と診断基準|空腹時150・随時175の使い分け
④ なぜ上がる?原因チェックリスト(食事・お酒・二次性)
⑤ 放置するとどうなるか|動脈硬化・急性膵炎・脂肪肝
⑥ 数値別・受診と治療の目安(150/300/500/1000)
⑦ 今日からできる対策5つ|中性脂肪は下がりやすい
⑧ 薬物治療の選択肢|フィブラート・EPA・スタチン
⑨ 当院での検査と診療の流れ(白金高輪駅徒歩1分)
⑩ よくあるご質問(FAQ)
⑪ 理事長コメント
⑫ まとめ
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1. 結論:空腹時150/随時175以上は「治療を考える数値」です
この数値ならお早めにご相談ください
中性脂肪 500mg/dL以上/みぞおち・背中の強い痛みを繰り返す/急激に体重が増えた・減った/糖尿病があり血糖コントロールが乱れている——これらに当てはまる方は、次の健診まで待たずに内科を受診してください。
2. 中性脂肪とは何か|LDLコレステロールとの決定的な違い
| 項目 | 中性脂肪(TG) | LDLコレステロール |
|---|---|---|
| 食事の影響 | 非常に大きい(食後・飲酒後に急上昇) | 小さい(採血時間をあまり選ばない) |
| 主なリスク | 動脈硬化+急性膵炎+脂肪肝 | 動脈硬化(心筋梗塞・脳梗塞) |
| 生活習慣での改善 | 反応しやすい(数週間〜数か月で下がることが多い) | 反応しにくい(遺伝の影響が大きい) |
| 上がりやすい人 | 飲酒量が多い、甘い物・炭水化物が多い、内臓脂肪型肥満、糖尿病 | 飽和脂肪酸の摂取が多い、家族性高コレステロール血症など |
中性脂肪が高いと、LDLの「質」も悪くなります
中性脂肪が高い方では、LDLが小さく密度の高い「small dense LDL(超悪玉)」に変化しやすく、同じLDL値でも動脈硬化を進めやすいことが知られています。中性脂肪はレムナントコレステロールなどとともに、LDL値だけでは見えないリスクを教えてくれる指標なのです。
3. 基準値と診断基準|空腹時150・随時175の使い分け
| 採血条件 | 高トリグリセライド血症の基準 | 治療目標 |
|---|---|---|
| 空腹時(10時間以上の絶食) | 150mg/dL以上 | 150mg/dL未満 |
| 随時(非空腹時) | 175mg/dL以上 | 175mg/dL未満 |
出典:日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」(2022年7月発行)
あわせて見るべき「non-HDLコレステロール」
⚠️ 中性脂肪400以上のときはLDL値が正確でないことがあります
健診で使われるLDLコレステロールの計算式(Friedewald式)は、TGが400mg/dL以上のときには使えません。この場合は直接法での測定や、non-HDLコレステロールでの評価が必要になります。「TGが高いのにLDLは正常だから大丈夫」と自己判断せず、医療機関で再評価を受けてください。
4. なぜ上がる?原因チェックリスト(食事・お酒・二次性)
| 分類 | 主な要因 | 対応のポイント |
|---|---|---|
| 生活習慣 | アルコール、甘い飲み物・菓子、白米やパンなど精製された糖質のとりすぎ、揚げ物、運動不足、内臓脂肪型肥満 | まず飲酒と糖質から。数週間で数値が動く |
| 他の病気(二次性) | 糖尿病(特にコントロール不良)、甲状腺機能低下症、慢性腎臓病・ネフローゼ症候群、脂肪肝(MASLD) | 血糖・甲状腺・腎機能・肝機能もあわせて採血で確認 |
| 薬の影響 | ステロイド、一部の利尿薬・β遮断薬、経口エストロゲン製剤、一部の免疫抑制薬など | 自己判断で中止せず、お薬手帳を持参して主治医に相談 |
| 体質・遺伝性 | 家族性複合型高脂血症、家族性Ⅲ型高脂血症、リポ蛋白リパーゼ(LPL)異常など | 若い頃から高い、家族に同様の方がいる場合は精査 |
「お酒はほどほど」でも中性脂肪は上がります
アルコールは肝臓での中性脂肪合成を直接増やします。焼酎やハイボールなど「糖質ゼロのお酒」でも中性脂肪は上がります。糖質の有無ではなくアルコールそのものが原因なので、「糖質オフだから安心」という考え方は当てはまりません。まずは2週間の休肝を試すと、ご自身への影響がはっきり分かります。
5. 放置するとどうなるか|動脈硬化・急性膵炎・脂肪肝
(1) 動脈硬化——心筋梗塞・脳梗塞のリスク
(2) 急性膵炎——中性脂肪だけがもつ「もう一つの危険」
TG 500以上でリスク上昇、1000以上は高リスク域
高トリグリセライド血症は、胆石・アルコールに次ぐ急性膵炎の原因です。一般にTG 500mg/dL以上で膵炎リスクが明確に上昇し、1000mg/dL以上では膵炎予防を最優先に治療を行います。報告によっては、1000〜1999mg/dLで約10%、2000mg/dLを超えると約20%が膵炎を発症するとされます。急性膵炎は入院管理が必要で、重症化すると命に関わります。
(3) 脂肪肝・糖尿病——「代謝の乱れ」の入口
6. 数値別・受診と治療の目安(150/300/500/1000)
| 空腹時TG | 評価 | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 〜149 | 基準範囲 | 現在の生活習慣を維持。年1回の健診を継続 |
| 150〜299 | 高TG血症 | まず生活習慣の見直しを3〜6か月。他のリスク因子が多い方は受診して評価を |
| 300〜499 | 高度 | 受診をおすすめします。二次性の原因検索(血糖・甲状腺・腎機能・肝機能)と治療方針の相談を |
| 500〜999 | 膵炎リスク域 | 早めに受診してください。禁酒・脂質制限に加え、薬物療法の併用を検討します |
| 1000以上 | 高リスク | 速やかに医療機関へ。膵炎予防を最優先とし、状況により入院管理も検討されます |
お仕事帰りや週末に、無理なくご相談ください。
7. 今日からできる対策5つ|中性脂肪は下がりやすい
| STEP 1 | アルコールを減らす(まず2週間の休肝から) もっとも効果が出やすい項目です。糖質ゼロのお酒でも中性脂肪は上がるため、「種類」より「量と頻度」を減らすことが重要です。 |
| STEP 2 | 甘い飲み物・菓子・果物のとりすぎをやめる 果糖は肝臓で中性脂肪に変わりやすい糖です。清涼飲料・果汁ジュース・菓子パンの習慣的な摂取は真っ先に見直しましょう。 |
| STEP 3 | 体重を3〜5%減らす 体重70kgの方なら2〜3.5kg。内臓脂肪は皮下脂肪より先に減るため、中性脂肪・ALT・γ-GTP・血糖が比較的早く改善します。 |
| STEP 4 | 青魚(EPA・DHA)を週2〜3回 サバ・イワシ・サンマなどのn-3系脂肪酸は中性脂肪を下げる方向に働きます。揚げ物より焼き・煮る調理を。 |
| STEP 5 | 速歩を1日20〜30分、週150分を目安に 有酸素運動は中性脂肪を下げ、HDL(善玉)を上げます。通勤時に一駅歩く、階段を使う、から始めて構いません。 |
8. 薬物治療の選択肢|フィブラート・EPA・スタチン
| 薬剤 | 特徴 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 選択的PPARαモジュレーター ペマフィブラート(パルモディア) |
第III相試験で空腹時TGが平均52.8%低下、HDL-C 16.1%上昇、レムナント様リポ蛋白コレステロール45.7%低下。腎機能低下例でも用量調節不要 | スタチン併用時は横紋筋融解症に注意(添付文書上、併用は治療上やむを得ない場合に限る) |
| フィブラート系 ベザフィブラート・フェノフィブラート等 |
TG低下作用が強く、長年使われてきた基本薬 | 腎機能に応じた減量・中止が必要。肝機能・CKの定期チェック |
| 高純度EPA製剤 イコサペント酸エチル(エパデール等) |
高脂血症に対し1回900mgを1日2回(または600mgを1日3回)、TG高値では1日最大2700mgまで増量可。日本人を対象としたJELIS試験でスタチンへの上乗せにより主要冠動脈イベントを19%抑制 | 食直後に服用(空腹時は吸収が低下)。出血傾向・抗血栓薬併用時は注意 |
| スタチン | LDL・non-HDL低下が主目的。TGも中等度低下 | 筋肉痛・CK上昇に注意。多くの場合まずLDL管理が優先されます |
出典:各薬剤の添付文書・製品情報(PMDA)/Yokoyama M, et al. Lancet. 2007;369(9567):1090-1098(JELIS)
だからこそ実際の診療では、①膵炎リスクが高い高度なTG高値は薬でしっかり下げる ②動脈硬化予防としてはLDL・non-HDLの管理と、体重・血糖・血圧・禁煙を含む包括的な対策を優先する——という使い分けが大切になります。数値を下げること自体が目的ではなく、その方の将来のリスクを下げることが目的です。
9. 当院での検査と診療の流れ(白金高輪駅徒歩1分)
| STEP 1 | 問診・健診結果の確認 健診結果票(できれば過去数年分)とお薬手帳をお持ちください。飲酒量・食習慣・体重の推移をうかがいます。 |
| STEP 2 | 採血(空腹時が理想) TG・LDL-C・HDL-C・non-HDL-Cに加え、HbA1c・血糖・肝機能(AST/ALT/γ-GTP)・腎機能・尿酸・甲状腺機能(必要時)を評価します。 |
| STEP 3 | 腹部エコー(必要に応じて) 脂肪肝や膵臓の状態を確認します。中性脂肪高値の方は脂肪肝を合併していることが多く、進行度の評価が重要です。 |
| STEP 4 | 方針の相談 まず生活習慣で3〜6か月みるのか、薬物治療を併用するのかを、リスク因子と数値をふまえて一緒に決めます。 |
| STEP 5 | フォローアップ おおむね2〜3か月ごとに採血で効果を確認。数値が落ち着けば間隔をあけていきます。 |
10. よくあるご質問(FAQ)
11. 理事長コメント
一方で、500mg/dLを超えるような高値は生活習慣だけの問題ではないことが多く、膵炎の予防という別の視点が必要になります。当院では糖尿病内科・消化器内科・腹部エコーを同じフロアで完結できますので、脂質・血糖・肝臓・膵臓をまとめて確認できます。健診結果の紙を1枚持って、気軽にいらしてください。」
12. まとめ
✅ 中性脂肪は動脈硬化だけでなく、500mg/dL以上で急性膵炎のリスクが上がる。1000mg/dL以上は高リスク域
✅ TGが400mg/dL以上だと計算式によるLDL値は不正確。non-HDLコレステロール(170mg/dL以上で高値)で評価する
✅ 原因は生活習慣だけでなく、糖尿病・甲状腺機能低下症・腎疾患・薬剤のこともある
✅ 対策の優先順位は①減酒 ②甘い物・糖質 ③体重3〜5%減 ④青魚 ⑤有酸素運動
✅ 薬はフィブラート(ペマフィブラート等)・高純度EPA・スタチン。数値だけを追わず、リスク全体で判断する
✅ 健診結果票を持って受診すれば、脂質・血糖・肝臓・腎臓をまとめて評価できます
腹部エコーによる脂肪肝の確認も同日に対応可能です(予約状況によります)。
✅ お酒を減らしても数値が下がらない方
✅ 脂肪肝・糖尿病予備群を指摘されている方
✅ 薬を始めるべきか迷っている方
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| 診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日・祝 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10:00〜13:00 | ○ | 休 | ○ | ○ | ○ | 10:00 〜 15:00 |
10:00 〜 15:00 |
| 14:30〜19:00 | ○ | ○ | ○ | ○ |
休診日:火曜日/土・日・祝は10:00〜15:00(最終受付14:30)
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