起立性低血圧・食後低血圧で転倒を防ぐ|高齢者と家族のためのチェックリスト【専門医解説】|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

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起立性低血圧・食後低血圧で転倒を防ぐ|高齢者と家族のためのチェックリスト【専門医解説】|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

起立性低血圧・食後低血圧で転倒を防ぐ|高齢者と家族のためのチェックリスト【専門医解説】

医療法人社団五良会|理事長、竹内内科小児科医院|院長 五藤良将(糖尿病内科・感染症/日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医)

📰 【関連メディア掲載】FRIDAYデジタル/Yahoo!ニュースに監修記事が掲載されました

2026年5月7日配信のFRIDAYデジタル「【専門医が解説】失神、心筋虚血、腎機能低下…命にかかわる危険な「低血圧」が日本で増加している理由」に当院理事長 五藤良将が監修者として登場。本記事では、高齢者で特に問題となる起立性低血圧・食後低血圧を取り上げ、転倒・骨折を防ぐ実践的な対策を解説します。

「立ち上がった瞬間にクラッとした」「食後に強い眠気と脱力感が出る」――これは加齢のせいだけではありません。起立性低血圧食後低血圧は、75歳以上の高齢者の20%以上に見られる転倒・骨折・失神の最大要因のひとつです。
JSH2025(高血圧管理・治療ガイドライン2025)も、降圧治療における起立性低血圧への配慮を明記しました。本記事では、診断基準・原因・予防・受診の目安を、ご家族にも使いやすいチェックリスト形式で整理します。

1. 起立性低血圧とは(診断基準)

📌 起立性低血圧の定義(国際的合意)
起立後3分以内に、収縮期血圧が20mmHg以上、または拡張期血圧が10mmHg以上低下することが診断基準。失神・ふらつきなどの症状を伴うとさらに危険度が高い。
朝・トイレ後・入浴後など、横→座→立に姿勢が変わる場面で起こりやすく、救急搬送の高齢者の転倒原因として最多レベルです。打ちどころが悪いと頭部外傷、大腿骨頸部骨折→寝たきり、というケースも珍しくありません。

2. 食後低血圧とは(診断基準)

📌 食後低血圧の定義
食後2時間以内に収縮期血圧が20mmHg以上低下するもの。消化のために腸管に血流が集まり、循環血液量が相対的に不足する。炭水化物の多い食事で起こりやすい。
高齢者では、昼食後30分〜1時間でうとうと→ふらついて転倒、というパターンが典型例です。「食後の眠気」と片付けず、血圧低下のサインとして捉えることが大切です。

3. なぜ高齢者に多いのか

原因 解説
圧受容体反射の低下 立位で血圧を保つ自律神経反射が加齢で鈍くなる
体液量の減少 のどの渇きを感じにくく、慢性的な軽度脱水になりやすい
多剤併用(ポリファーマシー) 降圧薬・α遮断薬・前立腺薬・抗うつ薬・抗パーキンソン薬で誘発
基礎疾患 糖尿病性自律神経障害、パーキンソン病、Lewy小体型認知症など
不動・寝たきり 下肢筋ポンプの低下で静脈還流が落ちる

4. 引き金になる薬・条件

💊 起立性低血圧を起こしやすい薬剤

● 降圧薬全般(特にα遮断薬・利尿薬)
● 前立腺肥大の薬(タムスロシン等のα1遮断薬)
● 抗うつ薬(三環系・SNRI・トラゾドン等)
● 抗パーキンソン病薬(レボドパ・ドパミン作動薬)
● SGLT2阻害薬・利尿薬(脱水を介して)
● 一部の抗精神病薬・睡眠導入薬

⚠️ 注意

薬の中止が必要かどうかは、医師が個別に判断します。自己判断での中止は禁物です。「お薬手帳」を持参して相談してください。

5. 家族向け早期発見チェックリスト

☑️ ご家族でチェックしてください

□ 起き上がってすぐ「ちょっと座る」「壁につかまる」が増えた
□ 朝・トイレ後・入浴後にふらつきがある
□ 食後30〜60分で強い眠気・脱力感がある
□ 短期間に転倒が複数回あった(1年以内に2回以上)
□ 薬が3剤以上に増えた/降圧薬が追加された
□ 食事量・水分量が以前より減っている
□ 便秘・尿が出にくい(自律神経障害のサイン)
□ 血圧手帳の朝値が以前より低い

3つ以上当てはまる場合、起立性/食後低血圧の可能性があります。次の受診で相談しましょう。

6. 自宅でできる予防(非薬物療法)

STEP 1 起き方を3段階に
布団・椅子から急に立たない。「足首を動かす→端座位30秒→立ち上がる」
STEP 2 水分・塩分を意識
1日1.5L以上の水分、塩分は厳格制限の指示がない限り適度に。脱水を防ぐ
STEP 3 食事を分割
大食を避け、炭水化物中心の食事を控えめに。食後30分はゆっくり座って過ごす
STEP 4 弾性ストッキング
下肢の静脈うっ滞を防ぐ。日中装着、夜間は外す
STEP 5 下肢の運動
つま先立ち、足首回し、軽いスクワット。筋ポンプを保つ
STEP 6 頭側挙上で就寝
枕を高めに(10〜20cm)。夜間多尿が減り、朝の起立時血圧が安定する

7. 治療の選択肢(ミドドリン等)

非薬物療法で改善しない場合は、以下のような薬物治療が検討されます。
薬剤 作用と注意点
ミドドリン
(メトリジン)
末梢α作動薬で動静脈収縮。2.5〜10mgを1日3回。冠動脈疾患・末梢動脈疾患には推奨されない
フルドロコルチゾン 体液量を増やして起立性低血圧を改善。心不全・高血圧悪化に注意
原因薬剤の見直し ポリファーマシー解消。降圧薬の減量・変更が最も即効性のあることも

8. JSH2025・SPRINTから見た降圧治療との関係

JSH2025は全年齢130/80未満を打ち出した一方で、「症候性低血圧・起立性低血圧・転倒・骨折に注意し、有害事象が生じない範囲で個別に降圧目標を設定する」ことを明確に記載しました。
🔬 SPRINT試験の重要な教訓
強化降圧群(収縮期120未満目標)では、75歳以上で低血圧・失神・転倒のリスクが有意に高いことが示されました。SPRINTは「下げる効果」と同時に「下げすぎの代償」を明確化した試験で、JSH2025の個別最適化の根拠の1つとなっています。
出典:SPRINT Research Group. N Engl J Med. 2015;373:2103-2116.
✅ 高齢者の血圧目標の考え方
JSH2025は原則130/80未満を掲げつつ、フレイル・転倒既往・起立性低血圧合併の高齢者では、無理せず140/90未満(家庭135/85未満)も許容する方針を示しています。「数字より症状」と「家庭血圧での確認」が両立のカギです。

9. 理事長コメント

💬 理事長 五藤良将より
「FRIDAYの取材でも繰り返し申し上げましたが、高齢者の転倒・骨折の多くは『下がりすぎた血圧』が背景にあります。寝たきりの第一歩を防ぐのは、医療側にとっても重要な仕事です。

当院ではご本人だけでなく、ご家族からの『最近よく座り込むようになって…』『食後によくウトウトしている…』というご相談も大歓迎です。お薬手帳と血圧手帳を持参いただければ、その場で原因薬の見直しまで一緒に検討できます。一人で悩まず、ぜひ受診をご検討ください。」

10. まとめ

📝 この記事のポイント
✅ 起立性低血圧=起立3分以内に収縮期20/拡張期10mmHg以上の低下
✅ 食後低血圧=食後2時間以内に収縮期20mmHg以上の低下
✅ 高齢者では多剤併用と圧受容体反射低下が背景
✅ 起き方の3段階・水分・弾性ストッキング・下肢運動・頭側挙上で予防
✅ JSH2025は高齢者・フレイルでは個別目標を許容(140/90未満も)
✅ 家族のチェックリストで早期発見、お薬手帳と血圧手帳を持参して受診を

INTERNAL MEDICINE
🩸 当院の内科・高齢者血圧管理外来のご案内
五良会クリニック白金高輪では、ご家族同伴でのお薬整理・血圧再調整をお受けしています。
「下げすぎを防ぎながら脳卒中も防ぐ」 ― お一人おひとりに合わせた目標設定を行います。
✅ 立ちくらみ・ふらつきが増えた高齢のご家族
✅ 1年以内に2回以上の転倒があった方
✅ 多剤併用(5剤以上)の見直しを希望の方
✅ 食後の眠気・脱力が気になる方
ご家族のみのご相談も承ります。

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