歯ぐきの出血・腫れは糖尿病のサインかも|”第6の合併症”歯周病とHbA1cの双方向関係【港区・白金高輪の内科】|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

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歯ぐきの出血・腫れは糖尿病のサインかも|”第6の合併症”歯周病とHbA1cの双方向関係【港区・白金高輪の内科】|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

歯ぐきの出血・腫れは糖尿病のサインかも|”第6の合併症”歯周病とHbA1cの双方向関係【港区・白金高輪の内科】

医療法人社団五良会|理事長、竹内内科小児科医院|院長 五藤良将(糖尿病内科・感染症)

健康診断や日々の歯みがきで、「歯ぐきから血が出る」「歯ぐきが腫れぼったい」と感じたことはありませんか。多くの方は「歯みがきの仕方が悪かったのかな」「疲れているだけ」と考え、そのままにしてしまいがちです。
しかし歯周病は、糖尿病の網膜症・腎症・神経障害・大血管障害・足病変と並んで「糖尿病の第6の合併症」と呼ばれています。しかも両者の関係は一方通行ではなく、歯周病を治療すると血糖コントロール(HbA1c)が改善するという報告が複数のメタ解析で示されています。この記事では、糖尿病と歯周病の双方向の関係、セルフチェックの方法、内科と歯科の連携の進め方について、白金高輪・港区の内科医の立場から解説します。

1. なぜ「歯ぐきの出血・腫れ」に注意が必要なのか

歯ぐきからの出血や腫れは、歯周病(歯肉炎・歯周炎)の代表的なサインです。歯周病は歯を支える骨(歯槽骨)が慢性的な炎症によって溶けていく病気で、進行すると歯がぐらついたり抜けたりします。国内の疫学調査では、成人の多くが軽度以上の歯周病を有しているとされ、決してまれな病気ではありません。

歯周病を疑う代表的なサイン

歯みがき時の出血/歯ぐきの赤み・腫れ/口臭が気になる/歯と歯の間に食べ物が挟まりやすくなった/歯ぐきが下がって歯が長く見える/歯がぐらつく感じがある

歯周病は自覚症状が乏しいまま進行することが多く、「サイレントディジーズ(静かに進行する病気)」とも呼ばれます。さらに重要なのは、歯周病が単なる「お口の中だけの問題」ではなく、糖尿病を中心とした全身の健康状態と密接に関わっているという点です。

2. 歯周病は「糖尿病の第6の合併症」

糖尿病の合併症というと、網膜症・腎症・神経障害の三大合併症や、心筋梗塞・脳卒中などの大血管障害を思い浮かべる方が多いと思います。しかし歯周病学の分野では、これらに続く「第6の合併症」として歯周病が位置づけられています。
この考え方の根拠となっているのが、日本歯周病学会が発行する『糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン 改訂第3版2023』(2023年6月25日発行)と、日本糖尿病学会・日本糖尿病協会編『糖尿病診療ガイドライン2024』第16章「糖尿病と歯周病」です。いずれも、糖尿病と歯周病の関係が一方通行ではなく双方向であることを明記しています。
🔬 双方向の関係とは
糖尿病 → 歯周病:高血糖状態が続くと歯周病にかかりやすく、重症化しやすくなります。
歯周病 → 糖尿病:歯周病による慢性炎症が、血糖コントロール(HbA1c)を悪化させる方向に働きます。
つまり、歯周病を治療することは糖尿病治療の一環でもあり、血糖コントロールを行うことは歯周病予防の一環でもある、という関係です。

3. 糖尿病があると歯周病になりやすく、重症化しやすい理由

高血糖状態が歯周組織に与える影響として、主に以下のようなメカニズムが考えられています。

▶ 終末糖化産物(AGEs)の蓄積

歯ぐきの組織が糖化し、炎症性サイトカインの産生が亢進します

▶ 白血球の機能低下

歯周病菌に対する防御機能が弱まり、感染が広がりやすくなります

▶ 微小血管障害

歯ぐきへの血流が悪化し、組織の修復力が低下します

▶ 口腔内の乾燥・自浄作用の低下

唾液の分泌や自浄作用が低下し、歯垢(プラーク)が付着しやすくなります

このため糖尿病の方は、血糖コントロールが良好でない方を中心に、歯周病の罹患率・重症度がいずれも高くなる傾向があるとされています。

4. 歯周病が血糖コントロールを悪化させるメカニズム

逆に、歯周病があると血糖コントロールが悪化しやすくなることも分かっています。歯周ポケット内で歯周病菌が繁殖すると、局所の炎症性サイトカイン(TNF-αなど)が持続的に産生され、これが血流を介して全身に波及します。これらの炎症性物質は、インスリンの働き(インスリン感受性)を妨げる方向に作用するため、歯周病の炎症が続くほど血糖値が下がりにくくなるという悪循環が生まれます。

⚠️ 注意

「歯ぐきの調子が悪いだけ」と軽視していると、糖尿病の治療薬をきちんと使っていてもHbA1cが思うように下がらない、という状況につながることがあります。血糖コントロールが安定しない場合は、歯周病の有無も確認することをおすすめします。

5. 歯周病治療でHbA1cはどれくらい改善する?

歯周基本治療(スケーリング・ルートプレーニングなど、歯石や歯垢を除去する治療)が血糖コントロールに与える効果は、複数のランダム化比較試験(RCT)のメタ解析で検証されています。
🔬 エビデンス:歯周基本治療とHbA1cの変化
Cochrane系統的レビュー(35件のRCT、対象者計3,249名)では、歯周治療によりHbA1cが平均で約0.5%改善する可能性が示されています。
別のメタ解析では、歯周基本治療後3か月でHbA1cが約0.43%、6か月で約0.3%、12か月で約0.5%低下したとする報告もあります。
『糖尿病診療ガイドライン2024』では、歯周治療によるHbA1c改善効果について推奨グレードA(十分な科学的根拠がある)として記載されています。
HbA1cが0.3〜0.5%変化することは、経口血糖降下薬を1剤追加・調整するのに近いインパクトがあるとも言われます。もちろん個人差はありますが、「歯周病治療は、飲み薬や注射だけに頼らない血糖管理の選択肢の一つになり得る」という点は知っておいていただきたいポイントです。

健診でHbA1cを指摘されている方、歯ぐきの調子も気になる方は、一度あわせてご相談ください。

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6. セルフチェック:こんな症状があれば要注意

以下の項目に複数当てはまる場合は、歯周病が進行している可能性があります。歯科でのチェックをおすすめします。
✅ 歯みがきのたびに歯ぐきから血が出る
✅ 起床時に口の中がネバつく、口臭が気になる
✅ 歯ぐきが赤く腫れている、押すと膿が出ることがある
✅ 歯と歯の間の隙間が広がった気がする
✅ 硬いものを噛むと歯がぐらつく感じがある
✅ 健診でHbA1cや血糖値の高値を指摘されたことがある
特に糖尿病の診断を受けている方、健診で血糖値・HbA1c高値を指摘されている方は、自覚症状がなくても年1〜2回程度の歯科でのメンテナンスを習慣にすることが望ましいとされています。

7. 糖尿病の方が歯科治療を受けるときの注意点

「糖尿病があると歯医者にかかりにくいのでは」と心配される方もいらっしゃいますが、多くの場合、適切な準備をすれば通常どおり歯科治療を受けることができます。ただし、抜歯や外科的な歯周治療などを行う際には、いくつか押さえておきたいポイントがあります。

血糖コントロールの状態を歯科医に伝える

直近のHbA1c値、使用中の糖尿病治療薬(インスリン、SU薬、SGLT2阻害薬など)、低血糖の起こしやすさなどを歯科医に伝えておくことで、治療のタイミングや麻酔の使い方、感染予防の対応を調整してもらいやすくなります。血糖コントロールが極端に不良な状態(目安としてHbA1c高値が持続している場合など)では、抜歯などの侵襲的な処置を計画的に延期することもあります。

感染・治癒遅延に注意する

高血糖状態では創傷治癒が遅れやすく、感染のリスクもやや高くなる傾向があります。抜歯やインプラント治療などの前後では、歯科医の指示に従い、必要に応じて抗菌薬の予防投与などが検討されます。

シックデイ・食事量の変化にも注意

歯科治療後に一時的に食事が取りづらくなることがあります。インスリンやSU薬を使用中の方は、低血糖を避けるための食事・薬の調整について、あらかじめ当院の糖尿病内科にご相談いただくことをおすすめします。

8. 内科と歯科の連携(医科歯科連携)でできること

糖尿病と歯周病はどちらも慢性疾患であり、内科と歯科がそれぞれの立場から継続的に関わることで、より良い管理が期待できます。当院では、健康診断や日々の診療でHbA1c・血糖値を確認する中で、歯周病の可能性についても患者さんにお声がけするよう努めています。
✅ 医科歯科連携でできること
内科での血糖コントロール状況の情報提供(診療情報提供書の発行)
歯科治療前後の血糖管理・シックデイ対応のアドバイス
歯周病治療の経過に応じた糖尿病治療薬の見直し
健診結果をもとにした歯科受診のタイミングの提案
かかりつけの歯科医院がある方は、糖尿病の診断・治療状況を伝えていただくとスムーズです。かかりつけ歯科医がまだない場合は、まず当院にご相談いただければ、血糖コントロールの状況を踏まえたうえで受診のタイミングについてアドバイスいたします。

9. 理事長コメント

💬 理事長 五藤良将より
「糖尿病の診療をしていると、血糖値やHbA1cのお話に意識が向きがちですが、歯ぐきの状態も血糖コントロールを左右する大切な要素です。診察の際に『最近歯ぐきから血が出やすい』といった一言をいただければ、歯科受診のタイミングも含めてご相談に乗らせていただきます。当院は健診・内視鏡・血液内科もワンストップで対応しておりますので、糖尿病とその合併症について気になることがあれば、どんな小さなことでもお気軽にお申し付けください。」

10. まとめ

📝 この記事のポイント
✅ 歯周病は糖尿病の「第6の合併症」と呼ばれ、網膜症・腎症・神経障害などと同様に重要視されています
✅ 糖尿病は歯周病を悪化させ、歯周病は血糖コントロール(HbA1c)を悪化させる双方向の関係があります
✅ 歯周基本治療により、HbA1cが平均0.3〜0.5%程度改善したとする報告があります(推奨グレードA)
✅ 歯ぐきの出血・腫れが続く場合は、放置せず歯科でのチェックをおすすめします
✅ 糖尿病治療中の歯科治療は、血糖コントロール状況の共有によって多くの場合安全に受けられます

11. よくあるご質問

Q. 歯周病は糖尿病の合併症の一つなのですか?
A. 歯周病学の分野では、網膜症・腎症・神経障害・大血管障害・足病変に続く「糖尿病の第6の合併症」として位置づけられています。糖尿病があると歯周病になりやすく、重症化しやすい傾向があるとされています。
Q. 歯周病を治療すると血糖値(HbA1c)は本当に下がりますか?
A. 複数のメタ解析で、歯周基本治療によりHbA1cが平均0.3〜0.5%程度改善したとする報告があります。『糖尿病診療ガイドライン2024』でも推奨グレードAとされています。ただし効果には個人差があり、歯周治療だけで糖尿病が治るわけではありません。
Q. 歯茎からの出血や腫れがあれば、必ず歯科に行くべきですか?
A. はい、放置せず歯科でのチェックをおすすめします。歯周病は自覚症状が乏しいまま進行することが多く、早めの受診で進行を抑えやすくなります。
Q. 糖尿病があると歯科治療(抜歯やインプラントなど)は受けられませんか?
A. 血糖コントロールの状況を歯科医に伝えていただければ、多くの場合、通常どおり治療を受けられます。血糖コントロールが極端に不良な場合は、外科的な処置を計画的に延期することがあります。
Q. 歯周病の治療は内科の糖尿病治療と並行して受けていいですか?
A. はい、並行して受けていただくことが望ましいとされています。血糖コントロールと歯周病治療は相互に影響し合うため、両方を並行して行うことで、より良い結果が期待できます。
Q. 歯周病があると分かった場合、まず何科を受診すればいいですか?
A. 歯周病そのものの治療は歯科・歯周病科が専門です。糖尿病の診断・治療を受けている方は、血糖コントロールの状況を歯科に伝えていただくため、内科(糖尿病内科)にも一度ご相談いただくとスムーズです。
Q. HbA1cが高い状態で歯科治療を受けると危険ですか?
A. HbA1cが高い状態が続いていると、感染や治癒遅延のリスクがやや高くなるとされています。抜歯などの侵襲的な処置の前には、内科での血糖コントロールの見直しを行うことがあります。まずはかかりつけの歯科医・内科医にご相談ください。
Q. 定期的な歯科検診はどのくらいの頻度で受けるべきですか?
A. 明確な決まりはありませんが、糖尿病の方や健診でHbA1c・血糖値高値を指摘されている方は、年1〜2回程度のメンテナンスを目安にする歯科医院が多いようです。かかりつけ歯科医とご相談のうえ頻度を決めることをおすすめします。

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