健診で「HDLコレステロールが低い」と言われたら|40mg/dL未満の意味と2024年に変わった判定区分・善玉コレステロールを上げる方法【港区・白金高輪の内科】
- 2026年9月18日
- 脂質異常症(コレステロール),内科一般
健診で「HDLコレステロールが低い」と言われたら|40mg/dL未満の意味と2024年に変わった判定区分・善玉コレステロールを上げる方法【港区・白金高輪の内科】
医療法人社団五良会|理事長、竹内内科小児科医院|院長 五藤良将(糖尿病内科・感染症)
② 低HDLコレステロール血症の基準値は40mg/dL未満
③ 【2024年4月改定】人間ドックの判定区分が変わりました
④ HDLが低いと、なぜ動脈硬化が進むのか
⑤ HDLが低くなる原因一覧(生活習慣・病気・薬)
⑥ HDL30mg/dL未満は要注意|見逃してはいけない原発性低HDL血症
⑦ HDLだけを見てはいけません|中性脂肪・non-HDLとセットで読む
⑧ HDLを上げる方法|数値で見る運動・禁煙・減量の効果
⑨ 薬でHDLを上げれば安心か|大規模試験が教えてくれたこと
⑩ HDLが「高すぎる」場合にも注意が必要です
⑪ 白金高輪での進め方|検査と診療の流れ
⑫ よくあるご質問(FAQ)
⑬ 理事長コメント
⑭ まとめ
📚 あわせて読みたい関連記事
🏥 ご予約・クリニック案内
1. HDLコレステロールとは|「善玉」と呼ばれる本当の理由
💡 ひとことで言うと
LDLは「コレステロールを置いていく車」、HDLは「掃除して持ち帰る車」。掃除の車が少なければ、置いていかれたコレステロールは血管に残り続けます。だからHDLが低いことは、LDLが高いことと同じくらい重要なサインなのです。
2. 低HDLコレステロール血症の基準値は40mg/dL未満
| 項目 | 基準 | 診断名 |
|---|---|---|
| LDLコレステロール | 140mg/dL以上 (120〜139は境界域) |
高LDLコレステロール血症 |
| HDLコレステロール | 40mg/dL未満 | 低HDLコレステロール血症 |
| 中性脂肪(トリグリセライド) | 150mg/dL以上(空腹時) 175mg/dL以上(随時) |
高トリグリセライド血症 |
| non-HDLコレステロール | 170mg/dL以上 (150〜169は境界域) |
高non-HDLコレステロール血症 |
⚠️ 「LDLが正常だから大丈夫」は誤りです
低HDLコレステロール血症は、LDLコレステロールが正常範囲であっても単独で動脈硬化性疾患のリスクを高めます。結果票で「HDLのみ低値」となっている方も、脂質異常症として評価と対応が必要です。
3. 【2024年4月改定】人間ドックの判定区分が変わりました
| HDLコレステロール | A 異常なし | B〜C 軽度異常・要再検査 | D 要精密検査・治療 |
|---|---|---|---|
| 旧区分(〜2024年3月) | 40以上 | 35〜39 | 34以下 |
| 新区分(2024年4月1日〜) | 40以上 | 30〜39 | 29以下 |
⚠️ 判定区分が変わっても、40mg/dL未満が脂質異常症である事実は変わりません
30〜39mg/dLが「B(軽度異常)」に整理されたことで、以前より軽く見えてしまう可能性があります。しかし診断基準上は40mg/dL未満で低HDLコレステロール血症です。判定区分は「どの程度急いで医療機関につなぐか」の目安であり、「病気かどうか」の線引きではない点にご注意ください。
4. HDLが低いと、なぜ動脈硬化が進むのか
| STEP 1 | 回収されないコレステロールが蓄積する 血管壁に入り込んだLDL由来のコレステロールが引き抜かれず、マクロファージに取り込まれて泡沫細胞となり、プラークの芯(脂質コア)を作ります。 |
| STEP 2 | 抗酸化・抗炎症の守りが弱くなる HDLにはLDLの酸化を防ぎ、血管の炎症を抑える作用があります。HDLが少ないと、この防御が働きにくくなります。 |
| STEP 3 | 血管内皮の機能が落ちる HDLは一酸化窒素(NO)の産生を助け、血管をしなやかに保ちます。この作用が低下すると血管は硬く、収縮しやすくなります。 |
| STEP 4 | プラークが不安定になり、破綻する 炎症を抱えたプラークは薄い膜に覆われた不安定な状態になり、破綻すると血栓ができて心筋梗塞・脳梗塞につながります。 |
5. HDLが低くなる原因一覧(生活習慣・病気・薬)
生活習慣に関わる原因
| 原因 | HDLが下がるしくみ |
|---|---|
| 内臓脂肪型肥満 | 中性脂肪が増えるとHDL粒子が小型化し、腎臓から排泄されやすくなります。低HDLの最大の原因です。 |
| 喫煙 | HDL量を減らすだけでなく、HDLの機能(引き抜き能)そのものを低下させます。 |
| 運動不足 | リポ蛋白リパーゼの活性が低下し、HDLが作られにくくなります。 |
| 極端な高糖質・低脂肪食 | 糖質のとりすぎは中性脂肪を上げ、結果としてHDLを下げます。脂質を極端に減らす食事もHDLを下げることがあります。 |
| トランス脂肪酸のとりすぎ | LDLを上げ、HDLを下げる方向に働きます。 |
病気に関わる原因
薬剤に関わる原因
⚠️ 「一度だけ低かった」場合の注意
感染症の急性期、大きな手術やケガの後、妊娠中などは一時的にHDLが下がります。これらの状況では時期をあらためて再検査し、平常時の値で判断します。
6. HDL30mg/dL未満は要注意|見逃してはいけない原発性低HDL血症
| 疾患 | 原因 | 特徴的な所見 |
|---|---|---|
| LCAT欠損症 (指定難病259) |
LCAT酵素の欠損・活性低下 | HDLの著明な低下、角膜混濁、溶血性貧血、腎障害(蛋白尿・腎機能低下) |
| タンジール病 (指定難病261) |
ABCA1遺伝子の異常(常染色体潜性遺伝) | HDL・アポA-Iの著明な低下、橙黄色の扁桃肥大、肝脾腫、末梢神経障害 |
| アポA-I欠損症・異常症 | アポリポ蛋白A-Iの欠損・構造異常 | HDLの著明な低下、若年での冠動脈疾患、角膜混濁、黄色腫 |
□ 肥満も喫煙もなく、中性脂肪も正常なのにHDLだけが低い
□ 血縁者にHDLが極端に低い方がいる
□ 親・兄弟姉妹に若くして心筋梗塞・狭心症になった方がいる
□ 角膜の濁りや扁桃が橙色と指摘されたことがある
□ 手足のしびれ・筋力低下(末梢神経障害)がある
□ 蛋白尿や腎機能低下を同時に指摘されている
□ 筋肉増強目的のサプリメント・注射を使ったことがある
7. HDLだけを見てはいけません|中性脂肪・non-HDLとセットで読む
💡 「中性脂肪が高い+HDLが低い」の組み合わせが最も危険
この組み合わせは動脈硬化惹起性脂質異常症と呼ばれ、糖尿病・メタボリックシンドロームの方に典型的にみられます。小型で密度の高いLDL(small dense LDL)が増えており、LDLコレステロールの数値が正常でも血管への負担は大きくなっています。
8. HDLを上げる方法|数値で見る運動・禁煙・減量の効果
| 対策 | 期待できるHDL上昇 | 実践のポイント |
|---|---|---|
| 有酸素運動 | 約2.5mg/dL | 速歩・ジョギング・水泳などを週120分以上。1回30分以上をまとめて行う方が効率的です。 |
| 禁煙 | 約4mg/dL | 29研究のメタ解析で、禁煙後にHDLが0.100mmol/L(約4mg/dL)上昇。HDL対策として最も効果が大きい介入のひとつです。 |
| 減量(内臓脂肪の減少) | 体重1kg減あたり 約0.35mg/dL |
減量中は一時的にHDLが下がることもあり、体重が安定した後に上昇します。腹囲の減少とあわせて評価します。 |
| 中性脂肪を下げる | 個人差が大きい | 糖質(とくに清涼飲料水・菓子・果物のとりすぎ)とアルコールの見直し。中性脂肪が下がるとHDLは自然に上がります。 |
| 食事の質の改善 | 数値化は困難 | トランス脂肪酸を減らし、オリーブオイル・青魚(n-3系脂肪酸)・ナッツなど不飽和脂肪酸を適量とります。 |
⚠️ 「お酒はHDLを上げるから体にいい」は危険な誤解です
確かに飲酒はHDLコレステロールを上昇させます。しかしそれは血管を守る良いHDLが増えたことを必ずしも意味しません。飲酒量の増加は中性脂肪・血圧・肝機能の悪化、不整脈やがんのリスク上昇を伴い、総合的な健康リスクはむしろ高くなります。HDLを上げる目的での飲酒は推奨できません。
9. 薬でHDLを上げれば安心か|大規模試験が教えてくれたこと
| 薬剤・試験 | 結果 |
|---|---|
| ナイアシン(AIM-HIGH試験、2011年) | スタチン治療中の患者に上乗せ。HDLと中性脂肪は有意に改善したが、心血管イベントの追加的な抑制効果は認められず、試験は早期中止。 |
| ナイアシン(HPS2-THRIVE試験、2014年) | 約2万5千人を対象。心血管イベントは減らず、重篤な有害事象がむしろ増加。 |
| CETP阻害薬トルセトラピブ(ILLUMINATE試験、2007年) | HDLは大きく上昇したが、血圧上昇と心血管イベント・総死亡の増加のため第III相試験が中止。 |
| CETP阻害薬ダルセトラピブ(2012年) | 効果不十分として第III相試験が中止。 |
10. HDLが「高すぎる」場合にも注意が必要です
11. 白金高輪での進め方|検査と診療の流れ
| STEP 1 | 健診結果の持参と問診 可能であれば過去数年分の結果票をお持ちください。HDLが「もともと低い体質」なのか「近年下がってきた」のかで、考えるべき原因が変わります。喫煙歴・飲酒量・服薬内容・サプリメント・家族歴を詳しくうかがいます。 |
| STEP 2 | 空腹時採血での再評価 脂質4項目(LDL・HDL・中性脂肪・non-HDL)に加え、血糖・HbA1c、肝機能、腎機能、甲状腺機能などを同時に確認し、二次性の原因を洗い出します。必要に応じてアポ蛋白(アポA-I・アポB)も測定します。 |
| STEP 3 | 動脈硬化のリスク評価 血圧・腹囲・喫煙・糖尿病の有無からあなたのリスク区分と脂質管理目標値を決定します。必要な方には頸動脈エコー等での評価もご案内します。 |
| STEP 4 | 治療方針の決定と継続フォロー まずは禁煙・運動・減量・中性脂肪対策を3〜6か月。並行して、LDL・non-HDLが目標を超える方には薬物療法を検討します。HDL30mg/dL未満で原発性が疑われる方は、精査可能な専門施設へご紹介します。 |
12. よくあるご質問(FAQ)
13. 理事長コメント
当院は糖尿病内科と血液内科専門外来、内視鏡検査を同じフロアに備えており、脂質・血糖・肝臓・腎臓をまとめて一度に評価できる体制を整えています。数値そのものより、あなたの血管がこの先どうなるかを一緒に考えるのが私たちの役割です。健診結果を丸ごとお持ちになって、お気軽にいらしてください。
五藤良将(日本抗加齢医学会専門医/日本糖尿病協会登録医/日本旅行医学会認定医)
14. まとめ
✅ 2024年4月から人間ドックの判定区分が改定され、D判定(要精密検査・治療)は29以下に。30〜39はB(軽度異常)ですが、病気でないという意味ではありません
✅ HDL30mg/dL未満では原発性低HDL血症(LCAT欠損症・タンジール病など指定難病を含む)の精査が必要です
✅ 原因の多くは内臓脂肪・喫煙・運動不足・高中性脂肪。薬剤(蛋白同化ステロイド等)や他の病気が関わることもあります
✅ 上げ方の目安は有酸素運動で約2.5mg/dL(週120分以上)、禁煙で約4mg/dL。効果判定は3か月後が目安です
✅ 薬でHDLを上げても心血管イベントは減らなかったのが大規模試験の教訓。主役はLDL・non-HDLの管理と原因側の治療です
✅ HDLは高すぎ(90mg/dL以上)も要注意。CETP欠損症などが隠れていることがあります
参考文献・出典
2. 日本動脈硬化学会.『動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版』.
3. 日本人間ドック学会(現・日本人間ドック・予防医療学会).会告「脂質の判定区分・脚注の改定」2024年4月1日適用.
4. 厚生労働省 健康・生活衛生局.『標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)』.
5. 難病情報センター.レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)欠損症(指定難病259)/タンジール病(指定難病261).
6. NIPPON DATA80 研究班.HDLコレステロールと冠動脈疾患発症リスクに関する追跡研究.
7. Kodama S, et al. Effect of aerobic exercise training on serum levels of high-density lipoprotein cholesterol: a meta-analysis. Arch Intern Med. 2007;167(10):999-1008.
8. Maeda K, Noguchi Y, Fukui T. The effects of cessation from cigarette smoking on the lipid and lipoprotein profiles: a meta-analysis. Prev Med. 2003;37(4):283-290.
9. Dattilo AM, Kris-Etherton PM. Effects of weight reduction on blood lipids and lipoproteins: a meta-analysis. Am J Clin Nutr. 1992;56(2):320-328.
10. AIM-HIGH Investigators. Niacin in patients with low HDL cholesterol levels receiving intensive statin therapy. N Engl J Med. 2011;365(24):2255-2267.
11. HPS2-THRIVE Collaborative Group. Effects of extended-release niacin with laropiprant in high-risk patients. N Engl J Med. 2014;371(3):203-212.
12. Barter PJ, et al. Effects of torcetrapib in patients at high risk for coronary events (ILLUMINATE). N Engl J Med. 2007;357(21):2109-2122.
13. Hirata A, et al.(EPOCH-JAPAN/NIPPON DATA90)著明な高HDLコレステロール血症と死因別死亡に関する検討.厚生労働科学研究報告.
⚠️ 本記事について
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、個々の診断・治療方針を示すものではありません。検査値の解釈や薬剤の調整については、必ず主治医にご相談ください。
脂質・血糖・肝機能・腎機能を同じ採血でまとめて評価し、あなたの管理目標値をご説明します。
✅ HDLが30mg/dL未満で、原因を詳しく調べたい方
✅ 中性脂肪・LDL・血糖も一緒に指摘されている方
✅ 禁煙・減量・運動を医師と一緒に進めたい方
| 内科 | 小児科 | 消化器内科 | 血液内科 | 内視鏡 |
| 糖尿病内科 | アレルギー科 | 予防接種 | 健康診断 | 渡航医学 |
東京メトロ南北線・都営三田線「白金高輪駅」2番出口 徒歩1分
| 診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日・祝 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10:00〜13:00 | ○ | 休 | ○ | ○ | ○ | 10:00 〜 15:00 |
10:00 〜 15:00 |
| 14:30〜19:00 | ○ | ○ | ○ | ○ |
休診日:火曜日/土・日・祝は10:00〜15:00(最終受付14:30)
|
WEB予約 前日まで |
当日WEB予約 CLINICS(当日順番) |
WEB問診 事前入力でスムーズ |
|
LINE 公式アカウント |
1F公式 |
電話 03-6432-5353 |
理事長 五藤 良将