胃カメラで「早期胃がん」が見つかったら|お腹を切らずに治せるESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)とは――適応・入院期間・治療後の経過を院長 玉井博修が解説/理事長 五藤良将 監修【白金高輪・港区の内視鏡】|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

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胃カメラで「早期胃がん」が見つかったら|お腹を切らずに治せるESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)とは――適応・入院期間・治療後の経過を院長 玉井博修が解説/理事長 五藤良将 監修【白金高輪・港区の内視鏡】|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

胃カメラで「早期胃がん」が見つかったら|お腹を切らずに治せるESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)とは――適応・入院期間・治療後の経過を院長 玉井博修が解説/理事長 五藤良将 監修【白金高輪・港区の内視鏡】

胃カメラで「早期胃がん」が見つかったら|お腹を切らずに治せるESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)とは――適応・入院期間・治療後の経過を院長 玉井博修が解説/理事長 五藤良将 監修

執筆:五良会クリニック白金高輪|院長 玉井博修(日本内科学会 総合内科専門医・指導医/日本消化器病学会 専門医・指導医/日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医/日本肝臓学会 専門医・指導医)

共著・監修:医療法人社団五良会|理事長、竹内内科小児科医院|院長 五藤良将(糖尿病内科・感染症)

胃カメラ(上部内視鏡検査)や健康診断・人間ドックで「早期胃がんの疑いがあります」「生検の結果、がん細胞が見つかりました」と告げられると、頭が真っ白になってしまう方がほとんどだと思います。「手術でお腹を切らなければいけないのか」「入院はどれくらいかかるのか」——不安なことばかりだと思います。
実は、がんが胃の粘膜内にとどまっている「早期胃がん」の多くは、お腹を切らずに内視鏡だけで治療できる時代になっています。その中心となる治療がESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)です。この記事では、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医である当院院長 玉井博修が、ESDの適応となる条件・治療の流れ・入院期間・治療後の経過観察までを、日本胃癌学会『胃癌治療ガイドライン』の最新版にもとづいて、白金高輪駅徒歩1分の当院の視点から整理します。

📋 この記事の結論(先にお伝えします)

早期胃がんのうち、がんが粘膜内にとどまり、リンパ節転移の可能性が極めて低いと判断できる病変は、ESDによる内視鏡治療の対象になります。治療は入院1週間前後で完結することが多く、開腹や腹腔鏡による胃の切除に比べて体への負担が小さいのが特長です。ただし、切除した病変を顕微鏡で調べた結果によっては追加の外科手術が必要になることもあり、「内視鏡で切ったら終わり」ではない点が重要です。

五藤 良将

THIS ARTICLE IS WRITTEN AND SUPERVISED BY

執筆:五良会クリニック白金高輪 院長 玉井 博修
監修:医療法人社団 五良会 理事長 五藤 良将

玉井博修:日本内科学会 総合内科専門医・指導医/日本消化器病学会 専門医・指導医/日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医/日本肝臓学会 専門医・指導医
五藤良将:日本抗加齢医学会専門医・日本糖尿病協会登録医・日本旅行医学会認定医
この記事は玉井博修が執筆し、五藤良将が監修して内容に責任を持っています。

📋 この記事の内容(クリックで該当箇所へ)
① 「早期胃がん」と言われたら、まず知ってほしいこと
② 早期胃がんとは?進行胃がんとの違い
③ 治療法の比較|内視鏡治療(ESD)と外科手術
④ ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)とはどんな治療か
⑤ 【早見表】ESDの適応となる病変の基準
⑥ 治療の流れ|入院から退院まで
⑦ 偶発症(出血・穿孔)とその対応
⑧ 治癒判定「eCura分類」|切除して終わりではありません
⑨ 追加の外科手術が必要になるケース
⑩ 治療後の経過観察|胃カメラの頻度とピロリ菌除菌
⑪ 白金高輪の当院での進め方
⑫ 院長・理事長コメント
⑬ まとめ
⑭ よくある質問(FAQ)
⑮ 参考文献・出典
🏥 白金高輪で診るという選択(当院が選ばれる理由)
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1. 「早期胃がん」と言われたら、まず知ってほしいこと

「胃がん」という言葉を聞くと、多くの方が「お腹を切る手術」を思い浮かべると思います。しかし胃がんは、がんが胃の壁のどこまで深く入り込んでいるか(深達度)によって、治療の選択肢が大きく変わります。がんが胃の粘膜または粘膜下層にとどまっている段階を「早期胃がん」と呼び、この段階であればお腹を切らずに内視鏡だけで治療が完結する可能性があります。
一方で、「早期」という言葉から自己判断で治療を先延ばしにしてしまうのは危険です。早期胃がんであっても、病変の大きさ・深さ・組織のタイプによってはリンパ節に転移している可能性が内視鏡だけでは否定できないケースがあり、その場合は外科手術が必要になります。まずは「自分の病変がどのタイプにあたるのか」を、生検の結果と内視鏡所見をもとに正しく評価することが出発点です。

⚠️ 「早期」でも精密検査は必要です

生検で「早期胃癌」と診断されても、実際の深達度や広がりは拡大内視鏡検査・超音波内視鏡検査(EUS)・CT検査などを追加して初めて確定します。この精密検査の結果によって、内視鏡治療が可能かどうかの方針が決まります。

2. 早期胃がんとは?進行胃がんとの違い

胃の壁は、内側から粘膜(M)→粘膜下層(SM)→固有筋層(MP)→漿膜下層(SS)→漿膜(SE)という層構造になっています。がんがこのうち粘膜または粘膜下層までにとどまっているものを早期胃がん(cT1)、固有筋層より深くに達しているものを進行胃がんと呼びます。
深達度 分類 主な治療の考え方
粘膜内(M) 早期胃がん(cT1a) 条件を満たせば内視鏡治療(ESD)の対象
粘膜下層(SM) 早期胃がん(cT1b) 浸潤の深さが浅い一部の病変のみESDの対象。多くは外科手術を検討
固有筋層以深(MP以深) 進行胃がん(cT2以深) 外科手術(腹腔鏡下・開腹)が基本。薬物療法を組み合わせる場合も
内視鏡治療が選択肢になるかどうかを分けるもう一つの重要な要素が、リンパ節転移の可能性です。内視鏡でがんを切除しても、目に見えないリンパ節への転移までは取り除けません。そのため、これまでの手術症例のデータをもとに「この条件ならリンパ節転移の可能性が極めて低い」と統計的に確認された病変だけが、内視鏡治療の適応となります。

3. 治療法の比較|内視鏡治療(ESD)と外科手術

早期胃がんの治療法には、大きく分けて内視鏡治療(ESD)と外科手術(腹腔鏡下胃切除・開腹胃切除)があります。それぞれの特徴を整理します。
項目 ESD(内視鏡治療) 外科手術(胃切除)
お腹の傷 なし(口から内視鏡を挿入) あり(腹腔鏡下は数か所の小さな傷、開腹はより大きな傷)
胃の機能 胃をほぼそのまま温存できる 胃の一部または全部を切除。食事量の変化を伴うことが多い
リンパ節郭清 行わない 行う(転移の可能性に応じて範囲を決定)
入院期間の目安 1週間前後 腹腔鏡下で1〜2週間程度が目安(施設・術式により異なる)
対象となる病変 リンパ節転移の可能性が極めて低いと判断される早期胃がん ESDの適応外の早期胃がん、進行胃がん

胃を残せることのメリット

胃を切除すると、食事量の減少・ダンピング症候群(食後の動悸やめまい)・貧血(鉄やビタミンB12の吸収低下)などが起こりやすくなります。ESDで胃をほぼ温存できれば、こうした術後の生活の変化を最小限に抑えられることが大きな利点です。

4. ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)とはどんな治療か

ESD(Endoscopic Submucosal Dissection:内視鏡的粘膜下層剥離術)は、内視鏡の先端から専用の電気メスを出し入れし、病変の周囲の粘膜を切開したうえで、粘膜下層を少しずつ剥離してひとかたまりで切除する治療法です。2000年代に日本で開発され、それ以前の主流だった内視鏡的粘膜切除術(EMR)と比べて、大きな病変でも一括で切除できることが最大の特長です。
EMRでは大きな病変を分割して切除せざるを得ず、切除した病変のつなぎ目からがんが取り切れているかの判定が難しくなる(分割切除による評価困難)という課題がありました。ESDは病変を一括で切除できるため、切除した組織を顕微鏡で調べて「取り切れているかどうか」を正確に判定できる点で、がん治療としての精度が大きく向上しました。

5. 【早見表】ESDの適応となる病変の基準

日本胃癌学会『胃癌治療ガイドライン』(医師用、2025年3月改訂 第7版)にもとづく、ESDの絶対適応(内視鏡治療だけで治療が完結すると期待できる病変)の基準です。
組織型 深達度・潰瘍の有無 大きさ
分化型がん 粘膜内(cT1a)・潰瘍なし(UL0) 大きさを問わない
分化型がん 粘膜内(cT1a)・潰瘍あり(UL1) 3cm以下
未分化型がん 粘膜内(cT1a)・潰瘍なし(UL0) 2cm以下

✅ 「未分化型」もESDの対象になった経緯

かつて未分化型(低分化腺癌・印環細胞癌など)の早期胃がんはESDの適応外とされていました。しかし国内多施設共同のJCOG1009/1010試験(対象275例)で、この基準を満たす未分化型早期胃がんにESDを行ったところ5年生存率99.3%という良好な成績が得られ、あらかじめ設定された判定基準(閾値89.9%)を大きく上回りました。この結果を受けて2021年7月改訂(第6版)で未分化型粘膜内がん(2cm以下・潰瘍なし)がESDの絶対適応に加わり、現行の第7版にも引き継がれています。

6. 治療の流れ|入院から退院まで

ESDは全身麻酔ではなく鎮静剤を使用した状態で行うのが一般的です。治療時間は病変の大きさや部位によって幅がありますが、おおむね1〜2時間程度です。入院から退院までの標準的な流れは次のとおりです。
入院前 拡大内視鏡・超音波内視鏡(EUS)・CT検査
病変の広がりと深達度を評価し、ESDの適応かどうかを確定します。抗血栓薬(血液をさらさらにする薬)を内服中の方は、休薬・継続の方針を事前に相談します。
入院1日目 入院・治療前日の絶食
翌日の治療に向けて食事を調整します。
治療当日 ESD施行(鎮静下・1〜2時間程度)
治療後は数時間の絶飲食としたうえで、状態を確認しながら安静に過ごします。
治療後2〜4日目 段階的な食事再開
絶食→飲水→重湯・お粥へと、胃への負担が少ない食事から段階的に戻していきます。出血や腹痛がないかを継続的に確認します。
退院前 病理検査結果の説明(多くは退院後の外来で)
切除した病変を顕微鏡で調べる病理検査には数日〜1週間程度かかるため、結果の詳しい説明は退院後の外来で行うのが一般的です。
退院 入院期間の目安は1週間前後
施設や病変の大きさ・部位によって前後します。

7. 偶発症(出血・穿孔)とその対応

ESDは体への負担が少ない治療ですが、内視鏡治療である以上、一定の偶発症(治療に伴って起こりうる合併症)のリスクがあります。代表的なものが出血と穿孔(胃に穴が開くこと)です。

代表的な偶発症

出血:治療中の出血は内視鏡的な止血処置でそのほとんどに対応できます。退院後に起こる遅発性出血は、黒っぽい便やタール便として自覚されることがあります。
穿孔:頻度は病変の部位や大きさによって幅がありますが、多くは治療中に気づかれ、内視鏡的にクリップで縫縮することで外科手術を回避できることがほとんどです。ごくまれに、緊急の外科手術が必要になることがあります。

これらの偶発症は、経験豊富な内視鏡専門医・指導医が治療を担当し、入院管理のもとで慎重に経過を観察することで、多くは大事に至らず対応できます。当院では、退院後にご自宅で黒い便・強い腹痛・発熱などがあった場合は、すぐにご連絡いただくようご案内しています。

8. 治癒判定「eCura分類」|切除して終わりではありません

ESDでもっとも大切なのは、切除した「後」です。切除した組織を顕微鏡で詳しく調べ(病理検査)、深達度・大きさ・脈管侵襲(血管やリンパ管へのがんの侵入)の有無などを確認したうえで、「eCura(イーキュラ)システム」という基準で治癒の程度を評価します。
判定区分 意味 その後の方針
eCura A 治癒切除。リンパ節転移の可能性が極めて低い 追加治療は不要。定期的な胃カメラでの経過観察へ
eCura B 粘膜下層のごく浅い部分まで及ぶが、リンパ節転移のリスクは低い 追加治療は必須ではないが、より慎重な経過観察を継続
eCura C-1 分化型で、一括切除はできたが大きさなど一部の基準を超えている 経過観察、または病変の状況に応じて追加治療を相談
eCura C-2 分割切除・脈管侵襲あり・深い浸潤など、治癒切除の基準を満たさない 追加の外科的切除(リンパ節郭清を伴う胃切除)が標準的に推奨される

9. 追加の外科手術が必要になるケース

前章のeCura C-2と判定された場合、ESDで病変そのものは取り切れていても、顕微鏡レベルでリンパ節転移の可能性を否定できない状態にあります。この場合は、リンパ節郭清を伴う外科的な胃切除(追加手術)を検討することが標準的な方針です。

⚠️ 「ESDを受けた=すべて終わり」ではありません

ESD後に追加手術が必要と判定される方は少なくありません。病理検査の結果説明を必ず受け、eCuraの判定区分を主治医から確認することが、その後の方針を正しく理解するうえで欠かせません。「内視鏡で切除してもらったから安心」と自己判断せず、必ず外来でのフォローを受けてください。

10. 治療後の経過観察|胃カメラの頻度とピロリ菌除菌

eCura A・Bで治療が完結した場合でも、経過観察は続きます。理由は大きく2つあります。
1つ目は、胃の別の場所に新しい早期胃がんができる「異時性多発胃がん」のリスクです。早期胃がんの多くはピロリ菌感染を背景とする慢性胃炎の胃粘膜に発生するため、ひとつの病変を治療しても、胃の他の場所にも発がんの土壌が残っています。そのため年1回程度の定期的な胃カメラによる経過観察が推奨されます。
2つ目がピロリ菌の除菌です。ピロリ菌感染がある場合、除菌によって異時性多発胃がんの発生リスクを下げられることが国内の研究で示されています。ESD治療後にピロリ菌検査がまだの方は、除菌治療を検討することをおすすめします(除菌後も胃がんのリスクがゼロになるわけではなく、年1回の胃カメラは継続する必要があります)。

11. 白金高輪の当院での進め方

当院では、健診や人間ドックで異常を指摘された方の胃カメラ、生検、拡大内視鏡による精密な評価までを一貫して行っています。ESDそのものについては、病変の状況(大きさ・部位・深達度)に応じて、当院での実施が可能かどうかを含めて、患者さんにとって最も安全な治療体制をご提案します。入院を伴う内視鏡治療が必要と判断した場合は、連携する医療機関へ責任をもってご紹介し、治療後の経過観察は再び当院で継続して担当することができます。

平日にお休みが取りづらい方へ

当院は土曜・日曜・祝日も10:00〜15:00で診療しています(火曜休診)。胃カメラや生検結果のご相談を、平日のお休みが取りにくい方でも受けていただけるようにしています。

12. 院長・理事長コメント

💬 院長 玉井博修より(日本消化器病学会 専門医・指導医/日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医/日本肝臓学会 専門医・指導医)
「早期胃がんです」とお伝えすると、多くの方が「がん」という言葉だけで頭がいっぱいになってしまいます。ですが実際には、条件を満たせばお腹を切らずに、胃を残したまま治療できる病変が数多くあります。大切なのは、拡大内視鏡や超音波内視鏡で病変を正確に評価し、ご本人に合った治療法を一緒に選ぶことです。当院では、健診での指摘から精密検査、そして治療後の長期的な経過観察まで、責任をもって伴走いたします。
💬 理事長 五藤良将より
糖尿病内科の診療をしていると、健診で「要精密検査」と言われても、忙しさから胃カメラを先延ばしにしてしまう方を数多く見てきました。早期胃がんは自覚症状がほとんどないからこそ、健診で見つかったタイミングを逃さないことが何より重要です。当院では、生活習慣病の定期受診に合わせて、胃カメラの受診時期もあわせてご案内しています。健診の異常は、放置せずにまずご相談ください。

13. まとめ

📝 この記事のポイント
✅ 早期胃がん(がんが粘膜・粘膜下層にとどまる段階)は、条件を満たせばESD(内視鏡治療)だけで治療が完結する可能性がある
✅ ESDの絶対適応は「分化型・潰瘍なしなら大きさ問わず」「分化型・潰瘍ありなら3cm以下」「未分化型・潰瘍なしなら2cm以下」
✅ 入院期間の目安は1週間前後。全身麻酔ではなく鎮静下で行う
✅ 切除後は病理検査でeCura分類による治癒判定を行い、eCura C-2では追加の外科手術が必要になることがある
✅ 治療後も年1回程度の胃カメラと、必要に応じたピロリ菌除菌による経過観察が重要

14. よくある質問(FAQ)

Q1. ESDは痛いですか?麻酔はどうなりますか?
A. 全身麻酔ではなく、鎮静剤を使用した状態で行うのが一般的です。うとうとと眠っている間に治療が終わることが多く、通常の胃カメラに近い感覚で受けていただけます。治療当日は鎮静剤の影響が残るため、車の運転はできません。
Q2. 入院期間はどれくらいですか?日帰りはできますか?
A. 出血や穿孔のリスクを管理するため、多くの施設で1週間前後の入院が標準とされています。病変が小さく合併症のリスクが低いと判断される場合に、より短い入院期間で行う施設もありますが、基本的に日帰りでの実施は推奨されていません。
Q3. ESD後、食事や生活で気をつけることはありますか?
A. 退院後しばらくは、消化のよいものを中心に、暴飲暴食やアルコール、香辛料の強い食事を控えることが推奨されます。退院時の指示に従って、徐々に通常の食事に戻していきます。黒い便や強い腹痛があれば、すぐに医療機関に連絡してください。
Q4. 病変が大きいと、ESDでは対応できませんか?
A. 分化型で潰瘍を伴わない病変であれば、大きさに制限はありません。ESDは病変を一括で切除できる技術のため、大きな病変でもEMR(従来の粘膜切除術)に比べて対応しやすいのが特長です。ただし、潰瘍を伴う場合や未分化型の場合は大きさの基準があります。
Q5. eCura C-2と言われました。必ず手術が必要ですか?
A. eCura C-2はリンパ節転移の可能性を否定できない状態であり、ガイドライン上は追加の外科的切除(リンパ節郭清を伴う胃切除)が標準的な方針として推奨されます。ただし、年齢や併存疾患などにより手術のリスクが高い場合は、慎重な経過観察を選択することもあり、主治医との十分な相談が必要です。
Q6. ESD治療後、再発することはありますか?
A. 治癒切除(eCura A・B)と判定された場合、切除した部位そのものからの再発は稀です。一方で、胃の別の場所に新しい早期胃がんができる「異時性多発胃がん」は一定の頻度で起こるため、年1回程度の定期的な胃カメラによる経過観察が重要です。
Q7. ピロリ菌の除菌はいつ行うべきですか?
A. ESD治療の前後どちらでも実施可能ですが、多くの場合は治療後の傷が落ち着いてから除菌治療を行います。ピロリ菌感染がある場合、除菌によって新しい胃がんの発生リスクを下げられることが国内の研究で示されています。除菌後も胃カメラでの経過観察は継続してください。
Q8. 健診でまだ「早期胃がん」と診断されていませんが、心配な症状があります。相談できますか?
A. もちろんご相談いただけます。みぞおちの痛み、体重減少、黒い便などの症状がある場合や、ご家族に胃がんの方がいる、ピロリ菌感染の既往があるなど気になる点があれば、症状の有無にかかわらず胃カメラでの確認をおすすめします。

15. 参考文献・出典

1. 日本胃癌学会(編)『胃癌治療ガイドライン 医師用』2025年3月改訂 第7版 金原出版(2026年9月のweb検索で、改訂第8版の発刊がなく現行最新版であることを確認)。
2. 日本胃癌学会(編)『胃癌治療ガイドライン』2021年7月改訂 第6版 金原出版(未分化型粘膜内がんのESD絶対適応への追加を規定)。
3. Hatta W, Gotoda T, Oyama T, et al. A Scoring System to Stratify Curability after Endoscopic Submucosal Dissection for Early Gastric Cancer: “eCura system”. Am J Gastroenterol. 2017;112(6):874-881.
4. Kadota T, Fujisaki J, Ono H, et al.(JCOG1009/1010試験)Endoscopic submucosal dissection for undifferentiated-type early gastric cancer. 国内多施設共同非ランダム化検証的試験(対象275例、5年生存率99.3%、事前設定閾値89.9%を上回る成績を確認)。
5. 日本消化器内視鏡学会『胃癌に対するESD/EMRガイドライン(第2版)』Gastroenterological Endoscopy. 2020;62(2):273-.
6. 日本ヘリコバクター学会「ヘリコバクター・ピロリ感染の診断と治療のガイドライン」(早期胃癌内視鏡治療後の除菌による異時性多発胃がん抑制効果について記載)。
7. Gotoda T, Yanagisawa A, Sasako M, et al. Incidence of lymph node metastasis from early gastric cancer: estimation with a large number of cases at two large centers. Gastric Cancer. 2000;3(4):219-225.
医療法人社団 五良会・正友会 理事長 五藤 良将

AUTHOR / SUPERVISOR

監修:医療法人社団 五良会 理事長 五藤 良将(ごとう よしまさ)

  • 防衛医科大学校 医学部 卒業(27期)。防衛医科大学校病院、自衛隊中央病院、自衛隊横須賀病院ほかで臨床経験を積む
  • 医療法人社団 五良会 理事長/医療法人社団 正友会 理事長/竹内内科小児科医院 院長
  • 日本内科学会 認定内科医/日本抗加齢医学会 専門医/日本糖尿病協会 登録医/日本旅行医学会 認定医
  • 日本温泉気候物理医学会 温泉療法専門医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/難病指定医
  • 所属学会:日本内科学会、日本糖尿病学会、日本アレルギー学会、日本東洋医学会、日本リウマチ学会、日本外来小児科学会、日本抗加齢医学会、日本睡眠学会、日本美容内科学会、日本旅行医学会 ほか
  • 著書『あぶら落とすスープ』(アスコム)。NHK・TBS・フジテレビ・日本テレビ・テレビ朝日などメディア出演多数

執筆:五良会クリニック白金高輪 院長 玉井 博修

  • 日本内科学会 総合内科専門医・指導医
  • 日本消化器病学会 専門医・指導医
  • 日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医
  • 日本肝臓学会 専門医・指導医

執筆・監修責任について

本記事は、玉井博修が執筆し、五藤良将が監修しています。公的機関の発表・国内外の診療ガイドライン・査読済み論文を確認したうえで作成しており、内容は公開時点の情報に基づくものです。新しい知見やガイドラインの改訂があった場合は、こちらで記事を更新します。
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の患者さんの診断・治療に代わるものではありません。症状や治療のご判断については、必ず医師にご相談ください。記載内容について気になる点がございましたら、五良会クリニック白金高輪(03-6432-5353)までお知らせください。

🏥 白金高輪で診るという選択(当院が選ばれる理由)

早期胃がんの治療方針は、精密な内視鏡評価と、治療後の長期的な経過観察の両方があって初めて安心につながります。当院では、その両方を同じ場所で継続してご相談いただける体制を整えています。

理由① 日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医が内視鏡を担当

院長 玉井博修が、日本消化器病学会・日本消化器内視鏡学会・日本肝臓学会の専門医・指導医として、胃カメラによる精密な評価を担当します。

理由② 鎮静剤を用いた、苦痛の少ない胃カメラに対応

「精密検査が不安」という方こそご相談ください。鎮静下での検査に対応しています(当日の運転はできません)。

理由③ 土曜・日曜・祝日も10:00〜15:00で診療

平日にお休みが取りにくい方でも、健診異常の精密検査や治療後の経過観察の時期を逃さずに受けていただけます(火曜休診)。

理由④ 糖尿病内科・血液内科を併設

生活習慣病で定期通院されている方は、内科のカルテで胃カメラの受診時期まで一緒に管理できます。

理由⑤ 専門医療機関との連携体制

入院を伴うESDや追加の外科手術が必要と判断した場合は、連携する医療機関へ責任をもってご紹介し、治療後の経過観察は当院で継続して担当します。

理由⑥ 白金高輪駅2番出口から徒歩1分

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