その夏の咳、風邪ではないかもしれません|夏型過敏性肺臓炎(トリコスポロン肺炎)を内科医が解説|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

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その夏の咳、風邪ではないかもしれません|夏型過敏性肺臓炎(トリコスポロン肺炎)を内科医が解説|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

その夏の咳、風邪ではないかもしれません|夏型過敏性肺臓炎(トリコスポロン肺炎)を内科医が解説

その夏の咳、風邪ではないかもしれません|夏型過敏性肺臓炎(トリコスポロン肺炎)を内科医が解説

「梅雨から夏にかけて、毎年決まって咳が続く」「熱はほとんどないのに、階段で息切れする」――そんな症状でお悩みの方はいらっしゃいませんか。夏かぜや気管支炎として様子を見ているうちに、実は夏型過敏性肺臓炎(かびんせいはいぞうえん)という別の病気だった、というケースが少なくありません。

夏型過敏性肺臓炎は、日本の住宅に多いトリコスポロンというカビ(真菌)を繰り返し吸い込むことで、肺にアレルギー性の炎症が起こる病気です。日本で発症する急性過敏性肺炎のおよそ7割以上を占めるとされ、梅雨〜夏の高温多湿の時期に集中します。気づかずに抗原(原因物質)を吸い続けると、肺が硬くなる「線維化」に進むこともあるため、早めの気づきと環境対策が大切です。

この記事では、五良会クリニック白金高輪の内科の視点から、夏型過敏性肺臓炎の症状・見分け方・診断・治療、そしてご家庭でできる予防策までを、最新の公的情報をもとにわかりやすく整理します。

1. 夏型過敏性肺臓炎とは ― 「夏かぜ」との違い

過敏性肺臓炎(過敏性肺炎)とは、空気中に浮かぶカビ・細菌・動物性タンパクなどの微粒子を繰り返し吸い込むことで、肺胞(はいほう=肺の中で酸素を取り込む小さな袋)にアレルギー性の炎症が起こる病気です。カビそのものが肺で増えるわけではなく、その「かけら」に対して体の免疫が過剰に反応してしまう点が特徴です。

その中でも日本でもっとも多いのが「夏型」で、住宅に生えるトリコスポロンというカビが原因です。梅雨から夏にかけての高温多湿の時期に発症が集中し、涼しくなる秋以降は自然に軽くなることも多いため、「毎年夏だけ体調を崩す」という経過をたどりやすいのが特徴です。

💡 「夏かぜ」との決定的な違い

夏かぜは数日〜1週間ほどで自然に治ります。一方、夏型過敏性肺臓炎は同じ家に居続ける限り症状が続き・繰り返すのが大きな違いです。「毎年夏になると咳が長引く」「旅行や出張で家を空けると楽になる」という方は、風邪ではなくこの病気を疑う手がかりになります。

2. 原因菌トリコスポロン ― なぜ梅雨〜夏に増えるのか

原因となるのはトリコスポロン・アサヒ(Trichosporon asahii)を中心とする真菌(カビ)です。このカビは気温20℃以上・湿度60%以上の高温多湿の環境で活発に増殖します。まさに日本の梅雨〜夏の室内環境が、繁殖にうってつけの条件になってしまうのです。

トリコスポロンが好む場所

トリコスポロンは、台所・浴室・洗面所などの水回りや、雨漏りで腐った木材(腐木)、古い畳、カーペット、寝具、エアコン内部などに繁殖しやすいことが知られています。とくに古い木造住宅や風通しの悪い部屋では、知らないうちに温床ができていることがあります。

🔬 知っておきたいデータ
日本で発症する急性過敏性肺炎のうち、およそ75%が夏型過敏性肺臓炎とされます。一方で、トリコスポロンが繁殖しにくい寒冷地(秋田県・岩手県より北の地域)ではほとんど発症しないと報告されており、気候・住環境と強く結びついた病気であることがわかります。
出典:日本呼吸器学会「市民のための医療コラム」2025年7月30日 ほか

3. 3大症状と「家を離れると軽くなる」サイン

夏型過敏性肺臓炎の代表的な症状は、咳(多くは痰のからまない空咳)・発熱・息切れの3つです。原因のカビを大量に吸い込んでから数時間後(およそ4〜8時間後)に症状が現れるのが特徴で、夕方から夜にかけて悪化しやすい傾向があります。

痰のからまない乾いた咳が続く。夜間や帰宅後に悪化しやすい
発熱 微熱〜38℃前後。「夏かぜが長引いている」と勘違いされやすい
息切れ 階段や坂道での息苦しさ。進行すると安静時にも出ることがある

⚠️ 見逃されやすい重要なサイン

「自宅にいると調子が悪く、外出・旅行・入院で家を離れると数日で軽くなる」――これは夏型過敏性肺臓炎を強く疑う所見です。逆に、帰宅すると再び悪化するのも典型的です。この「環境との関係」に気づけるかどうかが、早期発見の鍵になります。

4. 急性型と慢性型 ― 見逃すと肺が線維化する

夏型過敏性肺臓炎は、経過によって大きく2つの型に分けられます。

✅ 急性型
抗原を吸い込んで数時間後に、咳・発熱・息切れがはっきり出るタイプ。原因環境から離れれば比較的早く改善します。夏に繰り返す場合はこの型が多く見られます。

慢性型 ― もっとも注意すべきタイプ

低い濃度の抗原を長期間にわたって吸い続けると、はっきりした発作がないままゆっくりと肺の線維化(肺が硬くなり、元に戻りにくくなる変化)が進むことがあります。ここまで進むと治療が難しくなるため、「毎年夏に軽い不調を繰り返す」段階での気づきと環境改善がとても重要です。

5. 夏かぜ・喘息との見分け方(比較表)

初期症状が風邪や喘息と似ているため、見分けにくいのがこの病気の難しさです。目安として、次のような違いがあります。

項目 夏型過敏性肺臓炎 夏かぜ 気管支喘息
経過 夏の間ずっと続く・毎年繰り返す 数日〜1週間で治る 発作的に反復
家との関係 家を離れると軽快/帰宅で悪化 場所と無関係 ダニ・ホコリ等で悪化することも
主な症状 空咳・息切れ・微熱 のど・鼻・発熱 ゼーゼー・ヒューヒュー・夜間咳
きっかけ 室内のカビ(トリコスポロン) ウイルス感染 アレルゲン・気道の炎症

※ あくまで目安です。これらは併存することもあり、自己判断は難しいため、症状が続く場合は医療機関での評価をおすすめします。

6. 診断 ― 問診・血液検査・胸部CT

診断でもっとも大切なのは「詳しい問診」です。症状と生活環境(住宅の築年数、水回りやカビの状況、症状と自宅の関係)を丁寧に確認します。そのうえで、以下の検査を組み合わせて総合的に判断します。

STEP 1 問診・曝露評価
「家を離れると症状が軽くなるか」を含め、生活環境と症状の関係を確認します
STEP 2 血液検査
トリコスポロンに対する特異的IgG抗体(抗トリコスポロン・アサヒ抗体)などを調べます
STEP 3 画像検査
胸部X線・胸部CTで、肺のすりガラス状の影など特徴的な変化を確認します
STEP 4 専門的な評価
必要に応じて呼吸機能検査や専門医療機関での精密検査(気管支鏡など)を行います

💡 当院でできること

五良会クリニック白金高輪では、問診・血液検査・胸部X線による初期評価を行い、長引く咳の原因を整理します。CTや気管支鏡などのより詳しい検査が必要と判断した場合は、連携する専門医療機関へ速やかにご紹介します。「何科に行けばよいか分からない」段階でも、まずは内科でご相談ください。

7. 治療 ― 抗原回避が基本、必要に応じてステロイド

治療の最も基本かつ最も重要な柱は「抗原回避」、つまり原因となるトリコスポロンを吸い込まない環境をつくることです。薬だけで根本的に治すことは難しく、環境改善なしには再発を繰り返してしまいます。

✅ 治療の2本柱
抗原回避・環境改善(すべての基本)― カビの温床を取り除き、湿度を下げる
薬物療法(中等症以上)― 炎症を抑える副腎皮質ステロイドを一時的に使用

症状が中等症以上の場合は、炎症を鎮めるために副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン換算でおよそ20〜40mg/日)を短期間使用することがあります。急速に呼吸状態が悪化する重症例では、より強力なステロイド治療(パルス療法)を行うこともあります。いずれも、環境改善とあわせて行うことで効果が高まります。

8. ご家庭でできる予防と環境対策

予防の合言葉は「カビを増やさない・吸い込まない」。日本呼吸器学会も、湿度を下げる・乾かす・換気する・掃除する、そして必要に応じてマスクを使う、という対策を挙げています。今日から始められる具体策をまとめました。

湿度を下げる 室内の湿度は60%以下を目安に。除湿機・エアコンの除湿機能を活用
換気する 1日数回、1回5〜10分の換気。押し入れや家具の裏など湿気のこもる場所も忘れずに
エアコン清掃 フィルターと内部を定期的に清掃。使い始めの季節はとくに念入りに
掃除・洗濯 こまめに掃除機をかけ、寝具・カーテンは洗濯・乾燥を。ホコリの中の抗原を減らす
腐木のリフォーム 雨漏りで黒ずんだ天井・壁・木材(腐木)はカビの温床。改修を検討する

⚠️ 掃除の際のワンポイント

カビの多い場所を掃除するときは、かえって胞子を舞い上げて吸い込んでしまうことがあります。掃除中はマスクを着用し、作業後にしっかり換気しましょう。症状が出ている方は、可能であれば掃除を家族にお願いするのも一つの方法です。

出典:日本呼吸器学会「市民のための医療コラム」2025年7月30日/日本臨床環境医学会 提言『室内環境の視点からみた住まいのアレルギー対策』2025年2月21日

9. こんな方は早めにご相談を

次のような方は、夏型過敏性肺臓炎の可能性を含めて一度ご相談ください。

✅ 毎年、梅雨〜夏になると咳が長引く方
✅ 熱はほとんどないのに、息切れ・だるさが続く方
家を離れると軽くなり、帰宅すると悪化すると感じる方
✅ 古い木造住宅・水回りのカビ・雨漏りが気になるお住まいの方
✅ 市販の風邪薬や咳止めで改善しない咳が2週間以上続く方

こんなときは早めの受診を

安静にしていても息苦しい、少し動いただけで強く息切れする、高熱が続く――こうした場合は急性増悪の可能性があります。無理をせず、早めに医療機関を受診してください。

10. 理事長コメント

💬 理事長 五藤良将より
「夏の長引く咳は、つい『夏かぜ』『冷房のせい』と見過ごされがちですが、その中に夏型過敏性肺臓炎が隠れていることがあります。ポイントは『家にいると悪く、離れると楽になる』という生活とのつながりです。少しでも思い当たる方は、どうか我慢せずご相談ください。当院では内科で咳の原因を整理し、必要に応じて専門機関と連携しながら対応します。感染症・アレルギーを専門としてきた立場から、皆さまが安心して夏を過ごせるようお手伝いいたします。」

11. まとめ

📝 この記事のポイント
✅ 夏型過敏性肺臓炎は、住宅のカビ「トリコスポロン」を吸い込んで起こるアレルギー性の肺の炎症
✅ 咳・微熱・息切れが3大症状。「家を離れると軽くなる」のが最大の手がかり
✅ 見逃して抗原を吸い続けると、肺が線維化して治りにくくなることがある
✅ 治療の基本は薬より「抗原回避・環境改善」。中等症以上でステロイドを併用
✅ 予防は湿度60%以下・換気・エアコン清掃・掃除がカギ
✅ 毎年夏に咳が長引く方は、風邪と決めつけず内科へご相談を

NAIKA & ALLERGY
🫁 長引く咳・夏の不調は内科・アレルギー科へ
五良会クリニック白金高輪では、問診・血液検査・胸部X線による初期評価で、長引く咳の原因を整理します。
必要に応じて専門医療機関と連携し、安心して夏を過ごせるようサポートします。
✅ 2週間以上つづく咳・微熱・息切れが気になる方
✅ 「家にいると悪化する」体調不良にお悩みの方
✅ カビ・ダニなど室内環境のアレルギーが心配な方
✅ 何科を受診すべきか迷っている方
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