健診で「HDLコレステロールが低い」と言われたら|40mg/dL未満の意味と2024年に変わった判定区分・善玉コレステロールを上げる方法【港区・白金高輪の内科】|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

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健診で「HDLコレステロールが低い」と言われたら|40mg/dL未満の意味と2024年に変わった判定区分・善玉コレステロールを上げる方法【港区・白金高輪の内科】|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

健診で「HDLコレステロールが低い」と言われたら|40mg/dL未満の意味と2024年に変わった判定区分・善玉コレステロールを上げる方法【港区・白金高輪の内科】

健診で「HDLコレステロールが低い」と言われたら|40mg/dL未満の意味と2024年に変わった判定区分・善玉コレステロールを上げる方法【港区・白金高輪の内科】

医療法人社団五良会|理事長、竹内内科小児科医院|院長 五藤良将(糖尿病内科・感染症)

健康診断の結果票で、LDLコレステロールや中性脂肪は基準内なのにHDLコレステロール(善玉コレステロール)だけが低い――そんな結果を受け取って、「悪玉が高いわけではないから大丈夫だろう」と判断していないでしょうか。外来では「HDLが低いと言われたけれど、何をすればよいのか説明されなかった」というご相談を数多くいただきます。
結論から申し上げます。HDLコレステロール40mg/dL未満は「低HDLコレステロール血症」という立派な脂質異常症であり、それ自体が動脈硬化性疾患の独立した危険因子です。さらに2024年4月から人間ドックの判定区分が改定され、HDLコレステロール29mg/dL以下は「要精密検査・治療(D判定)」として扱われるようになりました。この記事では、日本動脈硬化学会『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版』と2024年度からの新しい判定区分をもとに、低HDL血症の意味・原因・上げ方、そして見逃してはいけない病気について、東京メトロ南北線・都営三田線「白金高輪駅」徒歩1分の内科の視点から解説します。
📋 この記事の内容(クリックで該当箇所へ)
① HDLコレステロールとは|「善玉」と呼ばれる本当の理由
② 低HDLコレステロール血症の基準値は40mg/dL未満
③ 【2024年4月改定】人間ドックの判定区分が変わりました
④ HDLが低いと、なぜ動脈硬化が進むのか
⑤ HDLが低くなる原因一覧(生活習慣・病気・薬)
⑥ HDL30mg/dL未満は要注意|見逃してはいけない原発性低HDL血症
⑦ HDLだけを見てはいけません|中性脂肪・non-HDLとセットで読む
⑧ HDLを上げる方法|数値で見る運動・禁煙・減量の効果
⑨ 薬でHDLを上げれば安心か|大規模試験が教えてくれたこと
⑩ HDLが「高すぎる」場合にも注意が必要です
⑪ 白金高輪での進め方|検査と診療の流れ
⑫ よくあるご質問(FAQ)
⑬ 理事長コメント
⑭ まとめ
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1. HDLコレステロールとは|「善玉」と呼ばれる本当の理由

コレステロールは水に溶けないため、血液の中ではリポ蛋白という粒子に包まれて運ばれます。このうち、肝臓から全身へコレステロールを配達するのがLDL(低比重リポ蛋白)、いわゆる悪玉コレステロールです。配達されたコレステロールが血管の壁に溜まり、酸化して炎症を起こすことで動脈硬化のプラーク(粥腫)ができます。
一方のHDL(高比重リポ蛋白)は、血管壁に溜まった余分なコレステロールを引き抜いて肝臓へ回収する役割を担っています。この働きをコレステロール逆転送系と呼びます。さらにHDLには抗酸化作用・抗炎症作用・血管内皮を保護する作用もあることが知られており、これらの多面的な働きから「善玉」と呼ばれています。

💡 ひとことで言うと

LDLは「コレステロールを置いていく車」、HDLは「掃除して持ち帰る車」。掃除の車が少なければ、置いていかれたコレステロールは血管に残り続けます。だからHDLが低いことは、LDLが高いことと同じくらい重要なサインなのです。

2. 低HDLコレステロール血症の基準値は40mg/dL未満

日本動脈硬化学会『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版』では、脂質異常症の診断基準を次のように定めています(空腹時採血)。HDLコレステロールは男女を問わず40mg/dL未満で「低HDLコレステロール血症」と診断されます。
項目 基準 診断名
LDLコレステロール 140mg/dL以上
(120〜139は境界域)
高LDLコレステロール血症
HDLコレステロール 40mg/dL未満 低HDLコレステロール血症
中性脂肪(トリグリセライド) 150mg/dL以上(空腹時)
175mg/dL以上(随時)
高トリグリセライド血症
non-HDLコレステロール 170mg/dL以上
(150〜169は境界域)
高non-HDLコレステロール血症
この40mg/dLという数字は、根拠なく決められたものではありません。日本人約1万人を追跡した大規模コホート研究NIPPON DATA80では、HDLコレステロールが下がるほど冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)の発症率が高くなり、とくに40mg/dLを下回ると発症リスクが急に立ち上がることが示されています。また、メタボリックシンドロームの診断基準においても、脂質項目は「中性脂肪150mg/dL以上かつ/またはHDLコレステロール40mg/dL未満」と定義されており、HDL単独の低下でも該当します。

⚠️ 「LDLが正常だから大丈夫」は誤りです

低HDLコレステロール血症は、LDLコレステロールが正常範囲であっても単独で動脈硬化性疾患のリスクを高めます。結果票で「HDLのみ低値」となっている方も、脂質異常症として評価と対応が必要です。

3. 【2024年4月改定】人間ドックの判定区分が変わりました

ここは、健診・人間ドックを受けている方にぜひ知っておいていただきたい変更点です。日本人間ドック学会(現・日本人間ドック・予防医療学会)は2024年4月1日から、HDLコレステロールの判定区分を改定しました。
HDLコレステロール A 異常なし B〜C 軽度異常・要再検査 D 要精密検査・治療
旧区分(〜2024年3月) 40以上 35〜39 34以下
新区分(2024年4月1日〜) 40以上 30〜39 29以下
この改定の背景には2つの事情があります。ひとつは、令和6年度からの特定健康診査でHDLコレステロールの「受診勧奨判定値(34以下)」が廃止されたことです。ただしこれは「34以下でも放置してよい」という意味ではまったくありません。厚生労働省の標準的な健診・保健指導プログラムでも、再検査や生活習慣改善指導を含め医療機関での管理が必要な場合があると明記されています。
もうひとつが、より重要な理由です。日本動脈硬化学会は、低HDL血症があれば二次性(他の病気や薬による)の原因検索が必要であり、その中には指定難病も含まれるとしています。そのうえで、専門医への紹介を判断する目安をHDLコレステロール30mg/dL未満と示していることから、人間ドックのD判定(要精密検査・治療)の境界が「34以下」から「29以下」へと変更されました。

⚠️ 判定区分が変わっても、40mg/dL未満が脂質異常症である事実は変わりません

30〜39mg/dLが「B(軽度異常)」に整理されたことで、以前より軽く見えてしまう可能性があります。しかし診断基準上は40mg/dL未満で低HDLコレステロール血症です。判定区分は「どの程度急いで医療機関につなぐか」の目安であり、「病気かどうか」の線引きではない点にご注意ください。

4. HDLが低いと、なぜ動脈硬化が進むのか

HDLが少ないということは、血管壁からコレステロールを回収する能力が落ちているということです。具体的には次のような形で動脈硬化が進みます。
STEP 1 回収されないコレステロールが蓄積する
血管壁に入り込んだLDL由来のコレステロールが引き抜かれず、マクロファージに取り込まれて泡沫細胞となり、プラークの芯(脂質コア)を作ります。
STEP 2 抗酸化・抗炎症の守りが弱くなる
HDLにはLDLの酸化を防ぎ、血管の炎症を抑える作用があります。HDLが少ないと、この防御が働きにくくなります。
STEP 3 血管内皮の機能が落ちる
HDLは一酸化窒素(NO)の産生を助け、血管をしなやかに保ちます。この作用が低下すると血管は硬く、収縮しやすくなります。
STEP 4 プラークが不安定になり、破綻する
炎症を抱えたプラークは薄い膜に覆われた不安定な状態になり、破綻すると血栓ができて心筋梗塞・脳梗塞につながります。
しかも低HDL血症は、単独で起こることはむしろ少なく、内臓脂肪型肥満・インスリン抵抗性・高中性脂肪血症とセットで現れることがほとんどです。この組み合わせは「動脈硬化惹起性(じゃっきせい)脂質異常症」と呼ばれ、糖尿病やメタボリックシンドロームの方に典型的にみられます。

5. HDLが低くなる原因一覧(生活習慣・病気・薬)

低HDL血症の大半は、生活習慣や他の病気・薬剤による二次性です。原因が分かれば対応できるものも多いため、まずは以下を一つずつ確認します。

生活習慣に関わる原因

原因 HDLが下がるしくみ
内臓脂肪型肥満 中性脂肪が増えるとHDL粒子が小型化し、腎臓から排泄されやすくなります。低HDLの最大の原因です。
喫煙 HDL量を減らすだけでなく、HDLの機能(引き抜き能)そのものを低下させます。
運動不足 リポ蛋白リパーゼの活性が低下し、HDLが作られにくくなります。
極端な高糖質・低脂肪食 糖質のとりすぎは中性脂肪を上げ、結果としてHDLを下げます。脂質を極端に減らす食事もHDLを下げることがあります。
トランス脂肪酸のとりすぎ LDLを上げ、HDLを下げる方向に働きます。

病気に関わる原因

2型糖尿病・インスリン抵抗性メタボリックシンドローム脂肪肝(MASLD)・慢性肝疾患甲状腺機能亢進症慢性炎症性疾患(関節リウマチなど)慢性腎臓病重症感染症の急性期などで低HDL血症がみられます。とくに糖尿病では、HDL低値と高中性脂肪がセットで現れることが典型的です。

薬剤に関わる原因

蛋白同化ステロイド・男性ホルモン製剤(筋肉増強目的の使用を含む)、プロブコール(脂質異常症治療薬)、一部のβ遮断薬チアジド系利尿薬レチノイド製剤などはHDLを低下させることがあります。とくに蛋白同化ステロイドは著明な低HDL血症を起こすため、HDLが極端に低い若い男性では、必ず使用歴を確認します。

⚠️ 「一度だけ低かった」場合の注意

感染症の急性期、大きな手術やケガの後、妊娠中などは一時的にHDLが下がります。これらの状況では時期をあらためて再検査し、平常時の値で判断します。

6. HDL30mg/dL未満は要注意|見逃してはいけない原発性低HDL血症

ここが、この記事でもっともお伝えしたい部分です。HDLコレステロールが著しく低い(おおむね30mg/dL未満、とくに20mg/dL未満)場合には、生活習慣ではなく遺伝的な原因による原発性低HDL血症を考える必要があります。以下の3疾患は、いずれも国の指定難病です。
疾患 原因 特徴的な所見
LCAT欠損症
(指定難病259)
LCAT酵素の欠損・活性低下 HDLの著明な低下、角膜混濁、溶血性貧血、腎障害(蛋白尿・腎機能低下)
タンジール病
(指定難病261)
ABCA1遺伝子の異常(常染色体潜性遺伝) HDL・アポA-Iの著明な低下、橙黄色の扁桃肥大、肝脾腫、末梢神経障害
アポA-I欠損症・異常症 アポリポ蛋白A-Iの欠損・構造異常 HDLの著明な低下、若年での冠動脈疾患、角膜混濁、黄色腫
これらはいずれも頻度の高い病気ではありません。しかし、HDLの値だけでは鑑別できず、アポ蛋白(アポA-I)やLCAT活性の測定、最終的には遺伝子検査が必要になります。だからこそ日本動脈硬化学会は「HDL30mg/dL未満では専門医への紹介を検討」という目安を示しており、人間ドックの判定区分もこれに合わせて改定されたのです。
✅ 早めに医療機関でご相談いただきたい方
□ HDLコレステロールが30mg/dL未満だった
□ 肥満も喫煙もなく、中性脂肪も正常なのにHDLだけが低い
血縁者にHDLが極端に低い方がいる
親・兄弟姉妹に若くして心筋梗塞・狭心症になった方がいる
角膜の濁り扁桃が橙色と指摘されたことがある
□ 手足のしびれ・筋力低下(末梢神経障害)がある
□ 蛋白尿や腎機能低下を同時に指摘されている
□ 筋肉増強目的のサプリメント・注射を使ったことがある
🩸 健診結果をお持ちください。その場で一緒に読み解きます
当院では、脂質4項目(LDL・HDL・中性脂肪・non-HDL)に加えて、血糖・HbA1c・肝機能・腎機能・甲状腺機能・アポ蛋白まで同じ採血で確認できます。低HDLの原因が生活習慣なのか、他の病気なのかを切り分けたうえで、必要な方には専門施設もご紹介します。白金高輪駅2番出口から徒歩1分、土・日・祝も診療しています(火曜休診)。

7. HDLだけを見てはいけません|中性脂肪・non-HDLとセットで読む

低HDL血症の方の結果票を拝見するとき、私たちが必ずセットで確認するのが中性脂肪non-HDLコレステロールです。
non-HDLコレステロールは「総コレステロール − HDLコレステロール」で計算され、HDL以外のすべての動脈硬化を促す粒子(LDL・レムナント・リポ蛋白(a)など)をまとめて評価できる指標です。中性脂肪が高い方では、LDLコレステロールの値が実態を過小評価してしまうことがあるため、non-HDLが重要になります。
🔬 2024年度からの判定ルール変更(non-HDLの扱い)
日本人間ドック・予防医療学会の2024年4月改定では、原則としてLDLコレステロールは直接法で測定し、non-HDLコレステロールの判定よりもLDLコレステロールの判定を優先すると整理されました。また、中性脂肪400mg/dL以上ではFriedewald式(計算法)を用いない600mg/dL以上ではnon-HDLの信頼性も乏しくなるといった注意も明記されています。中性脂肪が高い方は、空腹時での再検査が前提になるとお考えください。

💡 「中性脂肪が高い+HDLが低い」の組み合わせが最も危険

この組み合わせは動脈硬化惹起性脂質異常症と呼ばれ、糖尿病・メタボリックシンドロームの方に典型的にみられます。小型で密度の高いLDL(small dense LDL)が増えており、LDLコレステロールの数値が正常でも血管への負担は大きくなっています。

8. HDLを上げる方法|数値で見る運動・禁煙・減量の効果

「HDLはどうすれば上がりますか」というご質問には、できるだけ具体的な数字でお答えするようにしています。期待値が分かっていれば、続けるモチベーションにもなるためです。
🔬 エビデンス:有酸素運動でHDLはどれだけ上がるか
1966〜2005年に発表された35のランダム化比較試験を統合したメタ解析(Kodama S, et al. Arch Intern Med. 2007;167(10):999-1008)では、有酸素運動によりHDLコレステロールが平均2.53mg/dL上昇しました。効果が現れる最低ラインは週120分の運動、または週900kcalのエネルギー消費と推定され、1回あたりの運動時間を10分延ばすごとに約1.4mg/dLの上乗せが見込まれました。「回数を増やす」より「1回を長くする」方が効率的である点が、この研究の実用的な示唆です。
対策 期待できるHDL上昇 実践のポイント
有酸素運動 約2.5mg/dL 速歩・ジョギング・水泳などを週120分以上。1回30分以上をまとめて行う方が効率的です。
禁煙 約4mg/dL 29研究のメタ解析で、禁煙後にHDLが0.100mmol/L(約4mg/dL)上昇。HDL対策として最も効果が大きい介入のひとつです。
減量(内臓脂肪の減少) 体重1kg減あたり
約0.35mg/dL
減量中は一時的にHDLが下がることもあり、体重が安定した後に上昇します。腹囲の減少とあわせて評価します。
中性脂肪を下げる 個人差が大きい 糖質(とくに清涼飲料水・菓子・果物のとりすぎ)とアルコールの見直し。中性脂肪が下がるとHDLは自然に上がります。
食事の質の改善 数値化は困難 トランス脂肪酸を減らし、オリーブオイル・青魚(n-3系脂肪酸)・ナッツなど不飽和脂肪酸を適量とります。

⚠️ 「お酒はHDLを上げるから体にいい」は危険な誤解です

確かに飲酒はHDLコレステロールを上昇させます。しかしそれは血管を守る良いHDLが増えたことを必ずしも意味しません。飲酒量の増加は中性脂肪・血圧・肝機能の悪化、不整脈やがんのリスク上昇を伴い、総合的な健康リスクはむしろ高くなります。HDLを上げる目的での飲酒は推奨できません。

9. 薬でHDLを上げれば安心か|大規模試験が教えてくれたこと

「HDLが低いなら、HDLを上げる薬を飲めばよいのでは」――当然の発想です。実際、医学の世界では長年この「HDL仮説」に大きな期待が寄せられ、巨額の研究資金が投じられました。しかし結果は、私たちに重要な教訓を残しました。
薬剤・試験 結果
ナイアシン(AIM-HIGH試験、2011年) スタチン治療中の患者に上乗せ。HDLと中性脂肪は有意に改善したが、心血管イベントの追加的な抑制効果は認められず、試験は早期中止。
ナイアシン(HPS2-THRIVE試験、2014年) 約2万5千人を対象。心血管イベントは減らず、重篤な有害事象がむしろ増加
CETP阻害薬トルセトラピブ(ILLUMINATE試験、2007年) HDLは大きく上昇したが、血圧上昇と心血管イベント・総死亡の増加のため第III相試験が中止。
CETP阻害薬ダルセトラピブ(2012年) 効果不十分として第III相試験が中止。
これらが示しているのは、「HDLの数値を薬で上げること」と「血管が守られること」は同じではないという事実です。大切なのはHDLの「量」より「質(コレステロールを引き抜く機能)」であり、その機能は喫煙・炎症・糖尿病・肥満によって低下します。だからこそ、低HDL血症への対応は禁煙・運動・減量・血糖と中性脂肪の管理という「原因側の治療」が中心になるのです。
なお、低HDL血症だけを理由に薬物療法を始めることは通常ありません。薬物療法の主役はあくまでLDLコレステロールとnon-HDLコレステロールであり、糖尿病・高血圧・喫煙・冠動脈疾患の既往といった他の危険因子と合わせてリスクを評価し、個々の目標値を決めていきます。中性脂肪が高い方では、フィブラート系薬やEPA製剤が選択肢になり、その結果としてHDLが上がることはあります。
「自分の目標値」を知りたい方へ。脂質の管理目標は、年齢・性別・血圧・喫煙・糖尿病の有無などから算出されるリスク区分によって一人ひとり異なります。当院では健診結果をもとに、あなたに必要な目標値をその場でご説明します。ご相談は WEB予約 または お電話 03-6432-5353 へ。

10. HDLが「高すぎる」場合にも注意が必要です

低HDLの話をすると、「では高ければ高いほど良いのですね」と聞かれることがありますが、そうとは限りません。日本人を対象とした大規模統合解析(EPOCH-JAPAN)やNIPPON DATA90の解析では、HDLコレステロールが90mg/dL以上の著しい高値群で、動脈硬化性疾患による死亡リスクが上昇することが報告されています。リスクは低すぎても高すぎても上がる、いわゆるU字型(J字型)の関係です。
背景として日本人に比較的多いのがCETP(コレステリルエステル転送蛋白)欠損症です。CETPの働きが失われるとHDLの数値は著明に高くなりますが、そのHDLはコレステロールを肝臓へ運ぶ機能を十分に果たせていない場合があります。数値の高さが機能の高さを意味しないという点で、低HDLの話と表裏一体です。HDLが90mg/dLを超えている方も、一度ご相談いただく価値があります。

11. 白金高輪での進め方|検査と診療の流れ

STEP 1 健診結果の持参と問診
可能であれば過去数年分の結果票をお持ちください。HDLが「もともと低い体質」なのか「近年下がってきた」のかで、考えるべき原因が変わります。喫煙歴・飲酒量・服薬内容・サプリメント・家族歴を詳しくうかがいます。
STEP 2 空腹時採血での再評価
脂質4項目(LDL・HDL・中性脂肪・non-HDL)に加え、血糖・HbA1c、肝機能、腎機能、甲状腺機能などを同時に確認し、二次性の原因を洗い出します。必要に応じてアポ蛋白(アポA-I・アポB)も測定します。
STEP 3 動脈硬化のリスク評価
血圧・腹囲・喫煙・糖尿病の有無からあなたのリスク区分と脂質管理目標値を決定します。必要な方には頸動脈エコー等での評価もご案内します。
STEP 4 治療方針の決定と継続フォロー
まずは禁煙・運動・減量・中性脂肪対策を3〜6か月。並行して、LDL・non-HDLが目標を超える方には薬物療法を検討します。HDL30mg/dL未満で原発性が疑われる方は、精査可能な専門施設へご紹介します。
五良会クリニック白金高輪は、東京メトロ南北線・都営三田線「白金高輪駅」2番出口から徒歩1分(東京都港区高輪1丁目3-1 プレミストタワー白金高輪 1F)。平日にお時間の取りにくい港区・品川区・目黒区周辺の勤労世代の方にもご利用いただけるよう、土曜・日曜・祝日も10:00〜15:00で診療しております(火曜休診)。糖尿病内科・血液内科専門外来・内視鏡検査を同じフロアで併設しており、脂質異常症に糖尿病や脂肪肝を合併している方も、一度の受診でまとめて評価できます。

12. よくあるご質問(FAQ)

Q1. HDLコレステロールが低いだけで、LDLも中性脂肪も正常です。放置してよいですか。
A. 放置は勧められません。HDL40mg/dL未満はそれ自体が脂質異常症(低HDLコレステロール血症)であり、日本人を対象としたNIPPON DATA80でも、40mg/dLを下回ると冠動脈疾患の発症リスクが急に高まることが示されています。まずは喫煙・運動不足・内臓脂肪といった原因の有無を確認し、生活習慣で改善しない場合や、HDLが30mg/dL未満と低い場合には原因検索が必要です。
Q2. HDLはどのくらいの期間で上がりますか。
A. 運動や食事の効果が数値に表れるまで、おおむね2〜3か月を見ていただきます。当院では生活習慣の改善を始めてから3か月後を目安に再検査を行い、変化を一緒に確認しています。禁煙の効果はやや遅れて現れ、数か月〜1年かけて上昇します。なお減量の途中では一時的にHDLが下がることがあり、体重が安定してから評価するのが原則です。
Q3. 2024年から判定区分が変わって「B判定」になりました。軽くなったということですか。
A. いいえ。2024年4月の改定で、日本人間ドック・予防医療学会のD判定(要精密検査・治療)の境界が「34以下」から「29以下」に変わり、30〜39mg/dLはB(軽度異常)に整理されました。これは30mg/dL未満で原発性低HDL血症(指定難病を含む)の精査が必要になるという考え方を反映したものです。病気の基準そのものが緩んだわけではなく、40mg/dL未満が脂質異常症であることに変わりはありません
Q4. HDLを上げるサプリメントはありますか。
A. HDLを上げることで心血管イベントを減らせると証明されたサプリメントはありません。ナイアシン(ビタミンB3)はHDLを上昇させますが、AIM-HIGH試験・HPS2-THRIVE試験でスタチンに上乗せしても心血管イベントは減らず、後者では有害事象がむしろ増えました。高用量の自己判断での摂取は避けてください。n-3系脂肪酸(EPA・DHA)は中性脂肪を下げる目的で用いられ、その結果HDLが改善することはありますが、HDLを上げる目的の薬ではありません。
Q5. 痩せていて、たばこも吸いません。それでもHDLが35mg/dLです。なぜでしょうか。
A. 生活習慣で説明がつかない低HDL血症では、遺伝的な体質、薬剤の影響、甲状腺機能亢進症や慢性炎症などの二次性の原因を考えます。また、感染症の後や手術後、妊娠中は一時的に低下します。まずは時期をあらためた空腹時採血での再検査と、服薬・サプリメント(とくに筋肉増強目的の製品)の確認をお勧めします。血縁者にも低HDLの方がいる場合は、遺伝性の可能性が高まります。
Q6. 低HDLだけで、コレステロールの薬(スタチン)は始まりますか。
A. 通常、低HDL血症だけを理由に薬物療法を開始することはありません。薬物療法の主な標的はLDLコレステロールとnon-HDLコレステロールです。ただし低HDLはリスク評価の重要な材料であり、他の危険因子と合わせた総合的なリスクが高いと判断されれば、LDLの目標値がより厳しく設定され、結果として薬物療法が必要になることはあります。「自分の目標値がいくつなのか」を確認することが第一歩です。
Q7. 健診の採血は食後でした。HDLの値は信用してよいですか。
A. HDLコレステロールは中性脂肪ほど食事の影響を受けませんが、中性脂肪が高いとHDLは見かけ上さらに低く出る傾向があります。中性脂肪が400mg/dL以上の場合は計算式でのLDL算出も行わないルールとなっており、脂質全体の評価には10〜12時間以上の絶食後の採血が原則です。食後採血で異常を指摘された方は、空腹時での再検査をお受けください。

13. 理事長コメント

💬 理事長 五藤良将より
「HDLが低い」とだけ書かれた結果票を前に、何をすればよいか分からないまま1年が過ぎてしまう方を、私は外来で何度も見てきました。HDLはLDLのように「薬で下げれば解決」という単純な指標ではありません。だからこそなぜ低いのかを突き止めることに価値があります。内臓脂肪なのか、たばこなのか、中性脂肪なのか、あるいは体質や他の病気なのか――そこが分かれば、打つ手は必ず見つかります。

当院は糖尿病内科と血液内科専門外来、内視鏡検査を同じフロアに備えており、脂質・血糖・肝臓・腎臓をまとめて一度に評価できる体制を整えています。数値そのものより、あなたの血管がこの先どうなるかを一緒に考えるのが私たちの役割です。健診結果を丸ごとお持ちになって、お気軽にいらしてください。

五藤良将(日本抗加齢医学会専門医/日本糖尿病協会登録医/日本旅行医学会認定医)

14. まとめ

📝 この記事のポイント
HDLコレステロール40mg/dL未満は「低HDLコレステロール血症」。LDLが正常でも、それ単独で動脈硬化のリスクになります
✅ 2024年4月から人間ドックの判定区分が改定され、D判定(要精密検査・治療)は29以下に。30〜39はB(軽度異常)ですが、病気でないという意味ではありません
HDL30mg/dL未満では原発性低HDL血症(LCAT欠損症・タンジール病など指定難病を含む)の精査が必要です
✅ 原因の多くは内臓脂肪・喫煙・運動不足・高中性脂肪。薬剤(蛋白同化ステロイド等)や他の病気が関わることもあります
✅ 上げ方の目安は有酸素運動で約2.5mg/dL(週120分以上)、禁煙で約4mg/dL。効果判定は3か月後が目安です
薬でHDLを上げても心血管イベントは減らなかったのが大規模試験の教訓。主役はLDL・non-HDLの管理と原因側の治療です
✅ HDLは高すぎ(90mg/dL以上)も要注意。CETP欠損症などが隠れていることがあります

参考文献・出典

1. 日本動脈硬化学会.『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版』(2026年9月時点の現行最新版).
2. 日本動脈硬化学会.『動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2023年版』.
3. 日本人間ドック学会(現・日本人間ドック・予防医療学会).会告「脂質の判定区分・脚注の改定」2024年4月1日適用.
4. 厚生労働省 健康・生活衛生局.『標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)』.
5. 難病情報センター.レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)欠損症(指定難病259)/タンジール病(指定難病261).
6. NIPPON DATA80 研究班.HDLコレステロールと冠動脈疾患発症リスクに関する追跡研究.
7. Kodama S, et al. Effect of aerobic exercise training on serum levels of high-density lipoprotein cholesterol: a meta-analysis. Arch Intern Med. 2007;167(10):999-1008.
8. Maeda K, Noguchi Y, Fukui T. The effects of cessation from cigarette smoking on the lipid and lipoprotein profiles: a meta-analysis. Prev Med. 2003;37(4):283-290.
9. Dattilo AM, Kris-Etherton PM. Effects of weight reduction on blood lipids and lipoproteins: a meta-analysis. Am J Clin Nutr. 1992;56(2):320-328.
10. AIM-HIGH Investigators. Niacin in patients with low HDL cholesterol levels receiving intensive statin therapy. N Engl J Med. 2011;365(24):2255-2267.
11. HPS2-THRIVE Collaborative Group. Effects of extended-release niacin with laropiprant in high-risk patients. N Engl J Med. 2014;371(3):203-212.
12. Barter PJ, et al. Effects of torcetrapib in patients at high risk for coronary events (ILLUMINATE). N Engl J Med. 2007;357(21):2109-2122.
13. Hirata A, et al.(EPOCH-JAPAN/NIPPON DATA90)著明な高HDLコレステロール血症と死因別死亡に関する検討.厚生労働科学研究報告.

⚠️ 本記事について

本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、個々の診断・治療方針を示すものではありません。検査値の解釈や薬剤の調整については、必ず主治医にご相談ください。

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五良会クリニック白金高輪
内科・小児科・消化器内科・血液内科・内視鏡検査・糖尿病内科・アレルギー科
内科 小児科 消化器内科 血液内科 内視鏡
糖尿病内科 アレルギー科 予防接種 健康診断 渡航医学
〒108-0074 東京都港区高輪1丁目3-1 プレミストタワー白金高輪 1F
東京メトロ南北線・都営三田線「白金高輪駅」2番出口 徒歩1分
診療時間 日・祝
10:00〜13:00 10:00

15:00
10:00

15:00
14:30〜19:00

休診日:火曜日/土・日・祝は10:00〜15:00(最終受付14:30)


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理事長 五藤 良将