帰国後の発熱、様子を見てはいけません|マラリア・デング熱など輸入感染症と受診の目安【日本旅行医学会認定医が解説】|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

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帰国後の発熱、様子を見てはいけません|マラリア・デング熱など輸入感染症と受診の目安【日本旅行医学会認定医が解説】|五良会クリニック白金高輪|白金高輪の内科

帰国後の発熱、様子を見てはいけません|マラリア・デング熱など輸入感染症と受診の目安【日本旅行医学会認定医が解説】

医療法人社団五良会|理事長、竹内内科小児科医院|院長 五藤良将(糖尿病内科・感染症)

夏休みやお盆休みを利用して、東南アジアやアフリカ、中南米など海外へ旅行される方が多い季節になりました。楽しい旅行から帰国したあと、数日〜数週間して発熱や体調不良が出てきた――そんなとき、「時差ボケかな」「ただの夏風邪だろう」と自己判断で様子を見てしまう方が少なくありません。

しかし、帰国後の発熱の中には、マラリアやデング熱、腸チフスなど、治療のタイミングを逃すと命に関わる「輸入感染症」が隠れていることがあります。この記事では、日本旅行医学会認定医の立場から、帰国後に注意すべき感染症、受診の目安、医師に必ず伝えてほしいことを解説します。ご自身やご家族が海外から戻られたばかりの方は、ぜひ最後までお読みください。

📋 この記事の内容(クリックで該当箇所へ)
① 帰国後の発熱を「ただの夏風邪」と自己判断してはいけない理由
② 帰国後に注意すべき代表的な輸入感染症
③ 最も急ぐべきはマラリア――「帰国後の発熱+アフリカ滞在」は緊急事態
④ 増えているデング熱――解熱後こそ注意が必要
⑤ 発熱だけではない:下痢・皮疹・長引く咳にも注意
⑥ 潜伏期間から考える――帰国後いつまで注意が必要か
⑦ すぐに受診すべきサイン――受診の目安
⑧ 受診時に医師へ必ず伝えてほしい7つのこと
⑨ 当院の「帰国後診療」――渡航医学認定医、日本旅行医学会認定医在籍
⑩ 理事長コメント
⑪ まとめ
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1. 帰国後の発熱を「ただの夏風邪」と自己判断してはいけない理由

帰国後の発熱の原因として実際に多いのは、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症、普通の風邪など、日本国内でもみられる、ありふれた感染症です。しかし問題は、輸入感染症は初期症状だけでは風邪とほとんど区別がつかないことです。

マラリアもデング熱も腸チフスも、初期は「発熱・頭痛・だるさ・関節痛」から始まります。診断の最大の手がかりは症状ではなく、「どこに、いつ、どのくらい滞在したか」という渡航歴です。逆にいえば、渡航歴を伝えないまま受診すると、医師でも輸入感染症を疑うことが難しく、診断が遅れる原因になります。

💡 大原則

帰国後おおむね1〜2か月以内に発熱・体調不良が出たら、「海外渡航後である」ことを必ず医療機関に伝えてください。市販の解熱薬で様子を見続けるのは危険です。特にアフリカ(サハラ以南)滞在後の発熱は、当日中の受診が原則です。

2. 帰国後に注意すべき代表的な輸入感染症

帰国後の発熱で特に見逃してはいけない疾患を一覧にまとめました。太字の疾患は、診断・治療の遅れが重症化に直結するものです。

疾患 主な感染経路 主な流行地域 特徴的な症状
マラリア ハマダラカの刺咬 サハラ以南アフリカ、パプアニューギニア、東南アジア・南アジアの一部 周期的な発熱・悪寒戦慄。熱帯熱マラリアは急速に重症化
デング熱 ネッタイシマカ・ヒトスジシマカの刺咬 東南アジア(インドネシア・フィリピン・タイ等)、南アジア、中南米 高熱・頭痛・眼の奥の痛み・関節痛・皮疹。解熱前後に重症化サイン
チクングニア熱 蚊の刺咬 東南アジア・南アジア・アフリカ・中南米 発熱と強い関節痛(数週間〜数か月続くことも)
腸チフス・パラチフス 汚染された水・食べ物 南アジア(インド・パキスタン・バングラデシュ等)、東南アジア 段階的に上がる高熱、比較的脈が遅い、便秘のこともある
A型肝炎 汚染された水・食べ物(生もの・氷) アジア・アフリカ・中南米の広い範囲 発熱・倦怠感の後に黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
旅行者下痢症・細菌性腸炎 汚染された水・食べ物 世界中(特に衛生環境の異なる地域) 下痢・腹痛・発熱。血便や高熱を伴う場合は要受診
狂犬病(曝露) イヌ・ネコ・サル・コウモリ等による咬傷・掻傷 アジア・アフリカを中心にほぼ全世界 発症すればほぼ100%死亡。咬まれたら症状がなくても直ちに受診

⚠️ 注意

この表はあくまで代表例です。渡航先・行動歴によっては、レプトスピラ症(淡水への接触)、住血吸虫症(湖や川での水浴)、麻疹・風疹など、他の疾患も考慮する必要があります。厚生労働省は2026年6月に「蚊媒介感染症に関する特定感染症予防指針」を改正し、輸入症例への警戒を強めています(出典:厚生労働省 2026年6月)。

3. 最も急ぐべきはマラリア――「帰国後の発熱+アフリカ滞在」は緊急事態

輸入感染症の中で、最も一刻を争うのが熱帯熱マラリアです。ハマダラカに刺されてからおおむね7日以降(多くは10日〜4週間程度)で発症し、発熱・悪寒・頭痛・筋肉痛など、インフルエンザによく似た症状で始まります。

怖いのはそのスピードです。熱帯熱マラリアは適切な治療が遅れると発症から数日で、脳症・腎不全・重症貧血などを起こして急速に重症化し、命に関わることがあります。日本感染症学会も、渡航歴のある発熱患者ではまずマラリアを除外するよう注意喚起しています(出典:日本感染症学会 感染症クイック・リファレンス「マラリア」)。

日本では国内での感染はありませんが、海外で感染して帰国後に発症する輸入症例が年間およそ50例前後報告されています(出典:国立健康危機管理研究機構(JIHS)感染症情報提供サイト)。決して「遠い国の病気」ではありません。

🚨 ここが危険

サハラ以南アフリカやパプアニューギニアなどマラリア流行地から帰国後、1週間〜数か月以内に発熱した場合は、「翌日まで様子を見る」ではなくその日のうちに医療機関を受診してください。夜間であれば救急外来の受診をためらわないでください。マラリアの確定診断(血液塗抹検査等)と治療は専門施設で行うため、当院を含む一般外来では疑った時点で速やかに高次医療機関へつなぎます。

4. 増えているデング熱――解熱後こそ注意が必要

デング熱は、帰国後の発熱の原因として近年最も頻度の高い蚊媒介感染症のひとつです。コロナ禍で一時減少した輸入症例は、海外渡航の回復とともに再び増加しており、推定感染地としてはインドネシア、インド、フィリピン、タイなどアジアが中心です(出典:国立健康危機管理研究機構「日本の輸入デング熱症例の動向について」2026年5月29日更新版)。

蚊に刺されてから3〜7日程度(最長でおよそ2週間)で、突然の高熱、強い頭痛、眼の奥の痛み、関節痛・筋肉痛で発症し、経過中に皮疹が出ることがあります。多くは1週間ほどで回復しますが、注意すべきは熱が下がりはじめる時期です。この時期に血小板が減少し、まれに出血やショックを伴う重症型デングに移行することがあります。

⚠️ デング熱が疑われるときの解熱薬

デング熱が否定できない段階では、出血リスクを高めるおそれのあるロキソプロフェンやイブプロフェンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は避け、アセトアミノフェンを使用するのが原則です。市販薬を自己判断で使う前に、医療機関にご相談ください。

解熱後に強い腹痛、繰り返す嘔吐、歯ぐきや鼻からの出血、皮下の点状出血、ぐったりして反応が鈍いなどの症状が出た場合は、重症化のサインです。直ちに医療機関を受診してください。

5. 発熱だけではない:下痢・皮疹・長引く咳にも注意

帰国後の体調不良は発熱だけとは限りません。次のような症状も、渡航と関連している可能性があります。

下痢・腹痛が続く

旅行者下痢症の多くは数日で自然軽快しますが、血便、38度以上の発熱を伴う下痢、1週間以上続く下痢は、細菌性赤痢やアメーバ赤痢、ジアルジア症などの可能性があり、検査が必要です。帰国後しばらくしてから続く下痢・腹痛については、「続く下痢・腹痛、放っておいて大丈夫?」の記事もご参照ください。

皮疹・皮膚の異常

デング熱・チクングニア熱・麻疹などの発疹のほか、砂浜を裸足で歩いたあとに皮膚をミミズ腫れ状に移動するかゆみ(皮膚幼虫移行症)、虫刺され様のしこりが治らないケース(リーシュマニア症など)もあります。「虫刺されがなかなか治らない」も受診のサインです。

長引く咳・呼吸器症状

インフルエンザや新型コロナのほか、滞在先や滞在期間によっては結核などの可能性も考慮されます。2週間以上続く咳は、渡航歴の有無にかかわらず一度ご相談ください。

6. 潜伏期間から考える――帰国後いつまで注意が必要か

「帰国してもう2週間たつから大丈夫」とは限りません。疾患ごとに潜伏期間(感染してから発症するまでの期間)は大きく異なります。

疾患 おおよその潜伏期間 帰国後の注意期間の目安
デング熱 3〜7日(最長約14日) 帰国後約2週間
チクングニア熱 おおむね2〜12日 帰国後約2週間
腸チフス・パラチフス 1〜3週間程度 帰国後約1か月
マラリア 7日〜4週間程度(種類により数か月後の発症もある) 帰国後3か月(それ以降も念頭に)
A型肝炎 2〜7週間(平均約4週間) 帰国後約2か月
狂犬病 通常1〜3か月(さらに長いことも) 咬傷歴があれば症状が出る前に直ちに受診

💡 ポイント

実務的には、「帰国後1〜2か月以内の発熱は渡航関連を疑う」「マラリア流行地滞在後は3か月間注意する」と覚えておくとよいでしょう。数値はいずれも目安であり、個人差があります(参考:厚生労働省検疫所FORTH、東京大学医科学研究所附属病院感染免疫内科の公開情報)。

7. すぐに受診すべきサイン――受診の目安

🚨 当日中に受診(夜間なら救急外来も検討)

マラリア流行地(特にサハラ以南アフリカ)から帰国後の発熱
❗ 38度以上の高熱に、悪寒戦慄(ガタガタ震えるほどの寒気)を伴う
❗ 意識がもうろうとする、呼びかけへの反応が鈍い
❗ 皮下の点状出血、歯ぐき・鼻からの出血、血便・黒色便
❗ 強い腹痛や繰り返す嘔吐で水分がとれない
❗ 皮膚や白目が黄色い(黄疸)
❗ 渡航中に動物に咬まれた・引っかかれた(症状がなくても)

⚠️ 数日以内に受診

▶ 帰国後2か月以内の発熱(上記の緊急サインがない場合)
▶ 血便や高熱を伴う下痢、1週間以上続く下痢
▶ 治らない虫刺され・移動する皮疹などの皮膚症状
▶ 2週間以上続く咳

また、帰国時の空港・港で発熱や下痢などの症状がある場合は、そのまま通過せず検疫所の健康相談窓口に申し出てください。帰国後に症状が出た場合も、受診に迷うときは検疫所や医療機関に電話で相談できます。

✈️ 帰国後の発熱・体調不良、当院で相談できます
五良会クリニック白金高輪は渡航医学認定医、日本旅行医学会認定医在籍。土・日・祝も診療しています(火曜休診)。
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8. 受診時に医師へ必ず伝えてほしい7つのこと

輸入感染症の診断は「問診が9割」といっても過言ではありません。受診の際は、次の7項目をメモしてお持ちいただくと、診断が格段に早くなります。

1 渡航先(国・都市・農村部か都市部か)
同じ国でも地域によって流行疾患が異なります。経由地も含めてすべて。
2 渡航期間と帰国日
潜伏期間の推定に必須です。「発症日−帰国日」の計算が診断の軸になります。
3 現地での飲食
生水・氷・生野菜・カットフルーツ・生の魚介や肉を口にしたか。
4 蚊・ダニ・動物との接触
蚊に刺されたか、動物に咬まれた・なめられたか、淡水(川・湖)に入ったか。
5 渡航前のワクチン接種歴・マラリア予防内服の有無
接種済みワクチンと予防内服の内容・服薬状況(途中でやめた場合はその旨も)。
6 同行者の体調
同じ行程の同行者に同様の症状があるかどうかは、重要な手がかりです。
7 症状の経過
いつから、どんな順番で症状が出たか。発熱の場合は体温の推移もメモを。

9. 当院の「帰国後診療」――渡航医学認定医、日本旅行医学会認定医在籍

五良会クリニック白金高輪では、渡航前のワクチン接種・健康相談(トラベルクリニック)に加えて、帰国後の発熱・下痢・皮疹などの「帰国後診療」にも対応しています。日本旅行医学会認定医(五藤良将理事長)と日本渡航医学会認定医(安達弘人医師)の2名が在籍しており、渡航歴をふまえた診療を行います。

✅ 当院でできること
・渡航歴をふまえた問診・診察と、血液検査・尿検査・便検査などの初期評価
・インフルエンザ・新型コロナなど国内流行疾患との鑑別
・デング熱等が疑われる場合の保健所・専門機関と連携した検査手配
・マラリアなど緊急性の高い疾患が疑われる場合の、高次医療機関への迅速な紹介
・帰国後に続く下痢・腹痛に対する培養検査や、必要に応じた内視鏡検査(土日祝も毎週実施)

当院は土曜・日曜・祝日も10:00〜15:00で診療しています(火曜休診)。「帰国した翌日が日曜で、どこも開いていない」というときこそ、ご利用ください。また、次の海外渡航が決まっている方は、渡航の2〜3か月前からのワクチン相談をおすすめします。詳しくはトラベルワクチン外来のご案内記事をご覧ください。

10. 理事長コメント

💬 理事長 五藤良将より
「私は日本旅行医学会認定医として、渡航前のご相談を数多くお受けしていますが、実は同じくらい大切なのが『帰国後』です。帰国後の発熱で受診された方の多くは、ご自身の渡航歴と症状を結びつけて考えておられません。『先週までタイにいました』『半年前にアフリカに行きました』――その一言が、診断への最短ルートになります。当院は土日祝も診療しており、渡航医学認定医、日本旅行医学会認定医で帰国後の体調不良に対応しています。旅の締めくくりまで、安心してお任せください。」

11. まとめ

📝 この記事のポイント
✅ 帰国後1〜2か月以内の発熱・体調不良は「渡航関連」を疑い、必ず渡航歴を医療機関に伝える
✅ マラリア流行地(特にサハラ以南アフリカ)から帰国後の発熱は、当日中の受診が原則
✅ デング熱は解熱前後が重症化の要注意期。NSAIDsは避けてアセトアミノフェンを
✅ 発熱だけでなく、続く下痢・治らない皮疹・長引く咳も受診のサイン
✅ 動物に咬まれた場合は、症状がなくても直ちに受診(狂犬病対策)
✅ 受診時は「渡航先・期間・飲食・虫や動物との接触・ワクチン歴・同行者・経過」の7点をメモして持参
✅ 当院は渡航医学認定医、日本旅行医学会認定医在籍、土日祝も診療。帰国後診療に対応
TRAVEL CLINIC
✈️ 当院のトラベルクリニックのご案内
五良会クリニック白金高輪では、渡航医学認定医、日本旅行医学会認定医(日本旅行医学会認定医・日本渡航医学会認定医)が在籍し、
海外渡航前のワクチン接種・健康相談から、帰国後の体調不良のご相談まで一括して承っております。
✅ 帰国後の発熱・下痢・皮疹のご相談
✅ 海外留学・赴任前のワクチン計画作成
✅ 黄熱・髄膜炎菌・狂犬病など輸入ワクチンも対応
✅ 英文接種証明書・診断書の発行
✅ 同日複数接種・出発までの最適スケジュール提案
渡航の2〜3か月前にはご相談ください。帰国後の症状は、我慢せず早めにご相談ください。

参考文献・出典

1. 厚生労働省「蚊媒介感染症」/「蚊媒介感染症に関する特定感染症予防指針」(2026年6月26日改正、同年6月29日 手引き等改訂)

2. 国立健康危機管理研究機構(JIHS)感染症情報提供サイト「日本の輸入デング熱症例の動向について」2026年5月29日更新版

3. 国立健康危機管理研究機構(JIHS)感染症情報提供サイト「マラリア(詳細版)」および「日本の輸入感染症例の動向について」2026年5月1日更新版

4. 日本感染症学会「感染症クイック・リファレンス:マラリア」

5. 厚生労働省検疫所 FORTH「海外渡航後に気をつけたい感染症について」

6. 東京大学医科学研究所附属病院 感染免疫内科「輸入感染症(熱帯・亜熱帯へ旅行される方へ)」

💡 本記事について

本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたもので、個々の診断・治療方針を示すものではありません。潜伏期間や流行状況は地域・時期により変動します。症状がある場合は自己判断せず、医療機関にご相談ください。

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